長 野 県 長 野 市
平 成 22 年 1 月
戸 隠 簡 易 水 道 事 業
事 前 評 価 書
簡 易 水 道 再 編 推 進 事 業 ( 統 合 簡 易 水 道 )
1 . 概 要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
2 . 事業計画 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
3 . 事業採択前の事業をめぐ る社会経済情勢等の変化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
(1)水需要の動向 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
(2)水源等の水質の変化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
(3)水道事業者等の要望等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
(4)関連事業との整合 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
(5)技術開発の動向 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
4 . 採択後の事業の進捗状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
(1)用地取得の見通し ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
(2)関連法手続き等の見通し ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
(3)工事工程 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
(4)実施上の課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
5 . コ スト 縮減 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
6 . 代替え案等の可能性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15
7 . 事業の投資効果分析 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18
(1)事業効果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18
(2)費用対効果分析 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18
目 次
1 . 概 要
長野市営の水道事業は、上水道事業のほか、5地区の簡易水道(戸隠・鬼無里・大岡・
信州新町・中条)を所管している。
戸隠簡易水道事業は、越水・宝光社・上野・南部・下祖山・西の旧6簡易水道と旧川下
飲料水供給施設、旧水景苑簡易給水施設及び旧鬼無里簡易水道の一部をソフト統合し、平
成21年3月に事業経営変更認可を受けたところである。
戸隠簡易水道の上楠川水源と品沢水源は、普通河川の掛札川から取水し、急速ろ過方式
の浄水場にて給水しているが、夏場の渇水、豪雨時の浄水不良、浄水施設の老朽化により
水道水の供給に支障をきたしている状況である。
本事業はクリプトスポリジウム(注1)による汚染の恐れがある水源を含む12水源及
び4浄水場を廃止して、新たに上水道の戸隠水源から原水を取水して、膜ろ過方式の戸隠
浄水場を建設し、戸隠と鬼無里を結ぶ連絡管を布設する計画である。
本評価書は、簡易水道統合整備事業(戸隠簡易水道事業)の有効性について、事前評価を
行うものである。
注1. 腸管系に寄生する原虫で、塩素消毒に耐性を持ち、感染すると腹痛を伴う水様性下痢など の症状を引き起こす。
戸隠簡易水道事業の現況は表−1, 2, 3及び図- 1に示すとおりである。
計画給水人口 1日最大給水量 1人1日最大給水量
(人) (m3/ 日) (L / 日) 4, 294 2, 348 547
浄水能力
(m
3
/ 日) 急速ろ過
塩素滅菌
630. 6
S56. 3竣工
(廃止予定) 緩速ろ過
塩素滅菌
48. 0
S51. 10竣工
(廃止予定) 緩速ろ過
塩素滅菌
69. 1
S49. 3竣工
(廃止予定) 川下
緩速ろ過 塩素滅菌
50. 0 H8. 3竣工 鬼無里
急速ろ過 塩素滅菌
314. 8
S46. 5竣工
(廃止予定)
※ 急速ろ過 : 薬品で凝集沈でんした原水をろ材は砂で、1日120m∼150mのろ過速度でろ過を行 う方式
※ 緩速ろ過 : ろ材は砂で、生物ろ過膜により1日4m∼5mのろ過速度でろ過を行う方式
品 沢 浄 水 場
西
名 称
戸 隠 簡 易 水 道
浄 水 場 名
上 楠 川 浄 水 場 尾 倉 沢 浄 水 場
宮 浦 浄 水 場
川 下 浄 水 場
備 考
表−1 戸隠簡易水道の現況
備 考
表−2 浄水施設の現況
水 系浄 水 方 法
- 1 -
水源水量 取水量
(m
3
/ 日) (m
3
/ 日)
越 水 第 3 水 源 深 井 戸 640 180 塩素滅菌 レベル1 越 水 第 4 水 源 深 井 戸 1, 440 404 塩素滅菌 レベル1 宝 光 社 第 1 水 源 湧 水 120 113 塩素滅菌 レベル2 宝 光 社 第 2 水 源 湧 水 80 75 塩素滅菌 レベル2
上 野 第 1 水 源 湧 水 60 40 塩素滅菌 レベル2
上 野 第 2 水 源 深 井 戸 塩素滅菌 −
上 野 第 3 水 源 浅 井 戸 290 140 塩素滅菌 レベル2 上 野 第 4 水 源 深 井 戸 1, 663 417 塩素滅菌 レベル1
水景苑 水 景 苑 水 源 深 井 戸 288 50 塩素滅菌 レベル2
上 楠 川 水 源 表 流 水 2, 585 503
急速ろ過 塩素滅菌
レベル4
下 楠 川 水 源 湧 水 18 18 塩素滅菌 レベル3
尾 倉 沢 水 源 表 流 水 210 22
緩速ろ過 塩素滅菌
レベル4
山 入 水 源 伏 流 水 17 9 塩素滅菌 レベル3
祖 山 水 源 表 流 水
緩速ろ過 塩素滅菌
−
宮 浦 水 源 深 井 戸 403 111 塩素滅菌 レベル1
谷 沢 水 源 湧 水 300 250 塩素滅菌 レベル3
南部 南 部 水 源 湧 水 120 63 塩素滅菌 レベル2
川 下
川 下 水 源 湧 水 20 11
緩速ろ過 塩素滅菌
レベル4 下 祖 山 第 1 水 源 湧 水 16 16 塩素滅菌 レベル3 下 祖 山 第 2 水 源 湧 水 23 23 塩素滅菌 レベル3
下 祖 山 第 3 水 源 深 井 戸 塩素滅菌 −
ほ と ば 沢 第 1水 源 湧 水 43 29 塩素滅菌 レベル3
品 沢 水 源 表 流 水 570 220
急速ろ過 塩素滅菌
レベル4 品 沢 水 源 P 表 流 水 500 200
急速ろ過 塩素滅菌
レベル4
財 又 水 源 伏 流 水 343 78 塩素滅菌 レベル3
1.表流水 : 河川、湖水、ダムの水を取水 2.湧 水 : 地下水が地上に湧き出た水を取水
3.伏流水 : 河床、湖床またはその付近の地下を流れている水を取水 4.深井戸 : 一般的に30∼50m以上の深い地下水を取水
5.浅井戸 : 一般的に10∼30m以内の比較的浅い地下水を取水 6.水質レベル1 : クリプトスポリジウム等による汚染の可能性が低い 7.水質レベル2 : クリプトスポリジウム等による汚染の可能性が当面は低い
8.水質レベル3 : クリプトスポリジウム等による汚染のおそれがあり、浄水設備の整備など何らかの処置が必要 9.水質レベル4 : クリプトスポリジウム等による汚染のおそれが高く、浄水設備の整備など何らかの処置が必要 10.水源水量及び取水量 : 今回事業認可値を記載
表−3 水源施設の現況
水系 水 源 名 種 別 浄水方法 水質レベル
鬼 無 里 越 水 宝 光 社
下 祖 山 西
休 止 上
野
休 止
休 止
- 2 -
2 . 事業計画
本事業は、戸隠宝光社地籍に処理能力920 m
3
/ 日の膜ろ過浄水場を建設し、送水管を
布設して宝光社・西地区及び鬼無里地区の一部に給水するものであり、その事業計画は
表‐ 4に示すとおりである。
本事業の全体事業費は1, 328, 170千円(国庫補助基本額:1, 200, 300千円、国庫補助金
:300, 075千円、国庫補助率:1/ 4)で、その予定工期は平成22年度∼25年度の4ヵ年を
予定している。
※ 補助事業名:簡易水道再編推進事業、補助区分:統合簡易水道
(単位千円)
施 設 事業内容 形状寸法 数量 単位 事業費
導水管布設 配水用ポリ管φ 150∼φ 100 800 m 36, 000 ① ポンプ場築造 RC 造り Q=1, 000m3/ 日 1 箇所 50, 000 ② 戸隠浄水場築造 鉄骨造り A =160m2 1 式 50, 000 ③ 戸隠浄水場設備 膜ろ過方式 Q=920m3/ 日 1 式 300, 000 ④
飯綱浄水場監視機能増設 1 式 10, 000 ⑤
送水管布設 (宝光社) 配水用ポリ管φ 150∼φ 100 4, 000 m 200, 000 ⑥ 送水管布設 (上楠川 先) DIP(NS) φ 100 2, 000 m 95, 600 ⑦ 送水管布設 (品沢) 配水用ポリ管 φ 50 3, 000 m 135, 000 ⑧ 上楠川中継ポンプ場築造 RC 造り V =270m3/ 日 1 式 40, 000 ⑨ 菅谷地中継ポンプ場築造 RC 造り V =270m3/ 日 1 式 40, 000 ⑩ 品沢中継ポンプ場築造 RC 造り V = 60m3/ 日 1 式 30, 000 ⑪ 上楠川配水池築造 RC 造り V =150m3/ 日 1 式 30, 000 ⑫
上楠川減圧弁設置 φ 150 1 基 13, 000 ⑬
品沢第2配水池築造 RC 造り V =150m3/ 日 1 式 30, 000 ⑭ 品沢第1配水池築造 RC 造り V = 80m3/ 日 1 式 25, 000 ⑮ 連絡管布設 (田頭) 配水用ポリ管 φ 100 600 m 27, 000 ⑯ 連絡管布設 (山入) 配水用ポリ管 φ 50 600 m 24, 000 ⑰
大沢ポンプ場築造 RC 造り 1 式 40, 000 ⑱
連絡管布設 (大沢方面) 配水用ポリ管φ 100∼φ 75 1, 000 m 40, 000 ⑲ 1, 215, 600 1 式 4, 400 ⑳ 1 式 64, 170 21 1 式 18, 800
22
1 式 25, 200
23
1, 328, 170
(上記金額を耐用年数施設区分により集計)
計 1,328,170千円
(①, ⑥, ⑦, ⑧, ⑬, ⑯, ⑰, ⑲及び21∼23を按分比46.9%含む)
(③, ⑫, ⑭, ⑮, ⑳及び21∼23を按分比11.1%含む)
(②, ④, ⑤, ⑨, ⑩, ⑪, ⑱及び21∼23を按分比42.0%含む) 管路布設費用 621,330千円
構造物建設費用 151,410千円 浄水設備費用 555,430千円 配水施設
工 事 価 格 計
合 計
用 地 費
調 査 費
工 事 雑 費
事 務 費
表−4 事 業 計 画
導水施設
浄水施設
送水施設
- 4 -
3 . 事業採択前の事業をめぐ る社会経済情勢等の変化
(1)水需要の動向
給水人口は、平成10年度から平成19年度にかけて781人(年平均87人)減少
しており、水需要も給水人口の減少、節水意識の高まりと各種節水機器の普及などによ
り減少傾向となっている。
平成10年度から平成19年度の実績をもとに、平成28年度まで推計を行った給水
人口及び給水量の推計結果は表- 5及び図- 3のとおりである。
給水区域内人 口
給水人口
1日平均 有収水量
1日平均 給水量
1日最大 給水量
(人) (人) (m
3
) (m
3
) (m
3
) H10 5, 291 5, 132 1, 268 1, 634 2, 718 H11 4, 940 4, 789 1, 198 1, 535 2, 631 H12 4, 870 4, 712 1, 253 1, 596 2, 673 H13 4, 770 4, 613 1, 231 1, 573 2, 662 H14 4, 687 4, 530 1, 219 1, 555 2, 632 H15 4, 598 4, 472 1, 173 1, 489 2, 467 H16 4, 776 4, 665 1, 160 1, 477 2, 407 H17 4, 640 4, 570 1, 142 1, 447 2, 443 H18 4, 522 4, 449 1, 118 1, 419 2, 343 H19 4, 411 4, 351 1, 093 1, 383 2, 286 H20 4, 348 4, 294 1, 097 1, 383 2, 348 H21 4, 265 4, 218 1, 079 1, 356 2, 299 H22 4, 188 4, 148 1, 064 1, 335 2, 264 H23 4, 108 4, 073 1, 046 1, 307 2, 214 H24 4, 030 4, 003 1, 028 1, 279 2, 163 H25 3, 956 3, 936 1, 013 1, 256 2, 124 H26 3, 883 3, 870 998 1, 233 2, 083 H27 3, 809 3, 803 981 1, 207 2, 036 H28 3, 737 3, 737 965 1, 185 1, 997
〃
(目標年度)
(認可値)
表−5 給水人口及び給水量の推計結果
年度 備 考
〃 実 績
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
- 6 -
図- 3 戸隠簡易水道の水使用実績と 予測
0 500 1, 000 1, 500 2, 000 2, 500 3, 000 3, 500 4, 000 4, 500 5, 000
H1 0
H1 1
H1 2
H1 3
H1 4
H1 5
H1 6
H1 7
H1 8
H1 9
H2 0
H2 1
H2 2
H2 3
H2 4
H2 5
H2 6
H2 7
H2 8
0 1, 000 2, 000 3, 000 4, 000 5, 000 6, 000 7, 000 1日最大 給水量
給水人口
(人)
(m3/日)
- 7 −
(2)水源等の水質の変化
本事業の水源は下表に示すとおりである。これまでにクリプトスポリジウムによる汚染
の恐れがあると判断される指標菌が検出されたことがある水源では、早急な浄水処理の対
策が必要な状況である。
表‐ 6には水源毎の種別及び計画取水量を、表‐ 7には今後使用していく水源の主な原
水水質結果を示すものである。
なお、上楠川・品沢浄水場については、施設の老朽化、渇水対策に苦慮しており、降雨
時の急激な濁度上昇を起こしている。国庫補助採択基準では、原水中に大腸菌等の検出に
加え、浄水濁度を0. 1度以下に維持できない施設が対象である。
給水栓での濁度の状況を表- 8・9に示すものである。
水源水量 計画取水量
(m
3
/ 日) (m
3
/ 日)
新規 戸 隠 水 源 ダ ム 水 920 920
※ 膜ろ過 塩素滅菌
レベル4 越 水 第 3 水 源 深 井 戸 640 180 塩素滅菌 レベル1 越 水 第 4 水 源 深 井 戸 1, 440 404 塩素滅菌 レベル1 宝 光 社 第 1 水 源 湧 水 120 113 塩素滅菌 レベル2 宝 光 社 第 2 水 源 湧 水 80 75 塩素滅菌 レベル2
上 野 第 1 水 源 湧 水 60 40 塩素滅菌 レベル2
上 野 第 2 水 源 深 井 戸 塩素滅菌 −
上 野 第 3 水 源 浅 井 戸 290 140 塩素滅菌 レベル2 上 野 第 4 水 源 深 井 戸 1, 663 417 塩素滅菌 レベル1
水景苑 水 景 苑 水 源 深 井 戸 288 50 塩素滅菌 レベル2
上 楠 川 水 源 表 流 水 2, 585 503
急速ろ過 塩素滅菌
レベル4
下 楠 川 水 源 湧 水 18 18 塩素滅菌 レベル3
尾 倉 沢 水 源 表 流 水 210 22
緩速ろ過 塩素滅菌
レベル4
山 入 水 源 伏 流 水 17 9 塩素滅菌 レベル3
祖 山 水 源 表 流 水
緩速ろ過 塩素滅菌
−
宮 浦 水 源 深 井 戸 403 111 塩素滅菌 レベル1
谷 沢 水 源 湧 水 300 250 塩素滅菌 レベル3
南部 南 部 水 源 湧 水 120 63 塩素滅菌 レベル2
川 下
川 下 水 源 湧 水 20 11
緩速ろ過 塩素滅菌
レベル4 下 祖 山 第 1 水 源 湧 水 16 16 塩素滅菌 レベル3 下 祖 山 第 2 水 源 湧 水 23 23 塩素滅菌 レベル3
下 祖 山 第 3 水 源 深 井 戸 塩素滅菌 −
ほ と ば 沢 第 1水 源 湧 水 43 29 塩素滅菌 レベル3
品 沢 水 源 表 流 水 570 220
急速ろ過 塩素滅菌
レベル4 品 沢 水 源 P 表 流 水 500 200
急速ろ過 塩素滅菌
レベル4
財 又 水 源 伏 流 水 343 78 塩素滅菌 レベル3
※ 水源水量及び計画取水量 : 今回事業認可の平成26年度における計画値
※ 部分 : 今回事業認可において廃止する水源
※ 膜ろ過 : 肉眼では見えないほどの小さな細孔により、砂ろ過では除去できない微粒子、細菌類及び大腸菌等除去します。
(クリプトスポリジウムも確実に除去できる)
休 止
鬼 無 里 下 祖 山 西
休 止 越
水 宝 光 社
上 野
休 止
表−6 戸隠簡易水道の水源の種別及び計画取水量
水系 水 源 名 種 別 浄水方法 水質レベル
- 8 -
戸隠 越水3, 4 上野1, 3, 4 宮浦
一般細菌 100/ ml 以下 67∼1 0 2 1
大腸菌 検出されないこと 12∼0 陰性 陰性 陰性
硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素 10mg/ l 以下 0. 12∼0. 05 0. 4 0. 3 0. 3∼0. 2 フッ素及びその他化合物 0. 8mg/ l 以下 0. 07∼0. 01 0. 05未満 0. 05未満 0. 05 亜鉛及びその他化合物 1. 0mg/ l 以下 0. 012 0. 013∼0. 008 0. 005未満 0. 005未満 アルミニウム及びその他化合物 0. 2mg/ l 以下 0. 01 0. 02未満 0. 02未満 0. 02未満 鉄及びその他化合物 0. 3mg/ l 以下 0. 01 0. 03未満 0. 03未満 0. 03未満 銅及びその他化合物 1. 0mg/ l 以下 0. 004 0. 01未満 0. 01未満 0. 01未満 マンガン及びその他化合物 0. 05mg/ l 以下 0. 001 0. 005未満 0. 005未満 0. 005未満 有機物(有機炭素( TOC) の量) 5mg/ l 以下 0. 76 0. 2未満 0. 2未満 0. 2未満 pH値 5. 8以上8. 6以下 7. 4 7. 2∼7. 1 6. 9∼6. 8 7. 0∼6. 9
色度 5度以上 4. 0 0. 5未満 0. 5未満 0. 5未満
濁度 2度以下 1. 1 0. 1未満 0. 1未満 0. 2
南部 川下 下祖山第1 下祖山第2
一般細菌 100/ ml 以下 19 14∼2 1 0
大腸菌 検出されないこと 陰性 陰性 陰性 陰性
硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素 10mg/ l 以下 0. 5 1. 9 2. 4∼1. 0 2. 5∼1. 0 フッ素及びその他化合物 0. 8mg/ l 以下 0. 05未満 0. 05 0. 06 0. 06 亜鉛及びその他化合物 1. 0mg/ l 以下 0. 005未満 0. 005未満 0. 005未満 0. 006 アルミニウム及びその他化合物 0. 2mg/ l 以下 0. 02未満 0. 15∼0. 03 0. 02未満 0. 02未満 鉄及びその他化合物 0. 3mg/ l 以下 0. 03未満 0. 1 0. 03未満 0. 03未満 銅及びその他化合物 1. 0mg/ l 以下 0. 01未満 0. 01未満 0. 01 0. 01未満 マンガン及びその他化合物 0. 05mg/ l 以下 0. 005未満 0. 005未満 0. 005未満 0. 005未満 有機物(有機炭素( TOC) の量) 5mg/ l 以下 0. 2未満 0. 4 0. 3 0. 3∼0. 2 pH値 5. 8以上8. 6以下 6. 8∼6. 7 6. 9∼6. 8 7. 1 7. 1∼6. 7 色度 5度以上 0. 5未満 1. 4∼0. 8 0. 5未満 0. 5未満
濁度 2度以下 0. 1 1. 7∼0. 8 0. 2 0. 1
※ H19. 10、H20. 10 採水結果による。
水質項目 浄水基準
水 源 名
水質項目 浄水基準
水 源 名
表−7 各水源の主な原水水質
- 9 -
H18年度 H19年度 H20年度
4月 ※ 基準値以下 0. 2 基準値以下
5月 基準値以下 基準値以下 0. 1
6月 0. 2 0. 2 0. 1
7月 基準値以下 0. 2 基準値以下
8月 0. 1 0. 2 0. 4
9月 0. 5 0. 1 基準値以下
10月 0. 2 基準値以下 基準値以下
11月 基準値以下 基準値以下 基準値以下
12月 基準値以下 0. 2 基準値以下
1月 基準値以下 基準値以下 基準値以下
2月 基準値以下 基準値以下 基準値以下
3月 0. 2 基準値以下 基準値以下
H18年度 H19年度 H20年度
4月 1. 4 0. 1 0. 6
5月 0. 6 0. 8 0. 6
6月 0. 8 0. 2 0. 9
7月 0. 7 0. 7 0. 2
8月 基準値以下 0. 2 基準値以下
9月 7. 1 0. 5 基準値以下
10月 0. 7 0. 3 0. 1
11月 0. 3 0. 1 0. 2
12月 0. 1 0. 2 0. 4
1月 0. 2 0. 2 0. 2
2月 0. 7 0. 2 0. 6
3月 0. 5 0. 2 基準値以下
※ 基準値以下 : 濁度0. 1度未満(濁度の水質基準では2度以下であるが、国庫補助 基準では0. 1度以下に維持できない施設が補助対象となる。)
表−8 上楠川水源での浄水濁度
表−9 品沢水源での浄水濁度
○ 施設の老朽化により、浄水能力が低下し、浄水濁度が年間を通じて0. 1を超えている状況である。
○施設の老朽化により、浄水能力が低下し、浄水濁度が0. 1を超えている月が多い状況である。
- 10 -
(3)水道事業者等の要望等
水道事業者は、「安全」にして必要な浄水を「安定」的に供給するという使命を担っ
ているが、近年では上楠川水源、下楠川水源、谷沢水源、尾倉沢水源、山入水源、下祖
山第1及び第2水源から指標菌(レベル3、4)が検出され、また、掛札川を水源とす
る上楠川水源及び品沢水源は、渇水による水量の低下と、降雨時の急激な濁度上昇への
対応が難しく、要件としての「安全」、「安定」な浄水の供給が達成できない状況にあ
った。
このことから、市民に「水質的に安全な浄水」を供給するために、代替水源の確保、
給水区域の再編、クリプトスポリジウム対策としての浄水処理施設の建設等、早急な整
備が望まれている。
(4)関連事業との整合
本事業は簡易水道再編推進事業の統合簡易水道事業として行われる事業として、新た
に戸隠水源を取得し、その浄水処理として膜ろ過方式による戸隠浄水場を建設し、給水
を行うものであり、宝光社地区、西地区、鬼無里の一部に給水するための送水管等は、
主要地方道36号信濃信州新線の道路改良事業に合わせて布設する計画である。
また、戸隠地区における下水道事業は完了しており、その他の開発計画はないことか
ら、現在布設されている配水管等、利用できる施設については最大限使用する計画であ
る。以上のことから、既存施設と新規事業との関連性は確保されており、関連事業との
整合性もとれているものと考える。
(5)技術開発の動向
厚生労働省では、「水道施設の技術的基準を定める省令の一部を改正する省令」(平
成19年厚生労働省令第54号)を、平成19年4月1日から施行し、耐塩素性病原生
物対策については、原水に耐塩素性病原生物が混入するおそれがある場合には浄水施設
にろ過等の設備を設けなければならないこととしている。
戸隠水源の種別はダム水であり、上述の省令を鑑み、本事業では浄水方法の比較をお
こない総合的な判断のもと、無人運転が可能であり、確実なクリプトスポリジウム等病
原性微生物の除去が可能であり、維持管理の面に優れた膜ろ過方式による浄水方法を採
用する。
- 11 -
4 . 採択後の事業の進捗状況
(1)用地取得の見通し
戸隠浄水場の建設予定地は、地権者との立会いにより内諾を得ている。
(2)関連法手続き等の見通し
戸隠浄水場の建設予定地は、国立自然公園内であるが、環境省戸隠自然保護管事務
所と協議を開始したところであり、工作物の新築許可を得られる見通しである。
(3)工事工程
本事業は、新たに統合整備される戸隠簡易水道の整備事業であり、平成22年度から平
成25年度にかけて実施するものである。
表−10に本統合整備事業の工程表を示す。
H22 H23 H24 H25
(4)実施上の課題
本事業を実施する上で、特別支障を生じる課題等はないと考えるが、施設整備範囲が
広範囲となり、配管布設総延長が約12, 000mで、そのうち主要地方道36号信濃信州新線
への布設延長は約5, 900m、それ以外の市道は5, 300mである。配管の布設路線は地元住
民の生活道路となっているため、通行への配慮が必要となり堅実な実施計画の立案と慎
重な工事の実施が重要である。
送 水 施 設
配 水 施 設
表- 1 0 統合整備事業 工程表
名 称
導 水 施 設
浄 水 施 設
- 12 -
5 . コ スト 縮減
水道施設整備におけるコスト縮減については、「公共工事コスト縮減対策に関する新
行動指針」( 平成12年9月) 、「厚生労働省公共工事費用縮減対策に関する行動計画」( 平
成13年3月) 等に基づき、水道施設整備の実施主体である水道事業者が積極的にコスト縮
減に取り組んでいる。
本事業におけるコスト縮減方策は以下のとおりである。
(1)工事コストの低減
工事の計画・設計等の見直し、工事発注の効率化等の具体的施策を継続・充実して
実施することにより、工事コストの低減を図る。
ア 工事の計画・設計等の見直し
水道施設整備の工事の実施に当たって、必要以上に華美や過大となっていないかな
どの観点から、水道の事業計画に関し、現今の社会経済情勢を踏まえて将来の状況を
可能な限り的確に見通し、配管布設ルート選定においてロードヒーティング部を避け
コスト低減を図ること、また、既設水源を最大限活用することにより、新規開発水源
の費用を低減することなど、より合理的かつ効率的な水道施設整備計画を図る。
また、実勢価格の反映と適切なコスト管理を図るため、設計積算電算システム等を
活用し、積算の合理化を図る。
イ 工事発注の効率化
工事の計画的な発注、適切な工期の設定等により、水道施設整備に係る工事の平準
化を図る。
また、調査、計画、設計、積算、施行、管理に関する工事関係文書等の標準化・電
子化を推進し事業執行の効率化を図る。
ウ 工事構成要素のコスト縮減
既製品の利用を積極的に推進し、特注品の採用を可能な限り少なくすることで、工
事コストの低減と工期の短縮を図る。
(2) ライフサイクルコストの低減
より耐用年数の長い施設、省資源・省エネルギー化に資する施設、環境と調和する
施設等の整備を推進するなど、施設の品質の向上を図ることにより、ライフサイクル
を通じてのコストの低減や環境に対する負荷の低減を図る。
- 13 -
(3) 工事における社会的コストの低減
ア 工事におけるリサイクルの推進
建設副産物等のリサイクル化等を進めることにより、資源の有効利用や環境負荷量
の低減を図り、社会的コストを低減する。
イ 工事中の安全対策
水道施設整備の工事において、安全教育・訓練を実施し作業員の安全意識を高め、
安全性の水準を改善することにより、工事中の事故の減少など人的な損失の低減を図
る。
(4) 長期的コストの低減
工事情報や手続きの電子化等により工事の効率化を図るとともに、浄水場の統廃合
により、取水から配水までの一元管理をおこない、完成後の保全管理等を徹底し長期
的コストの低減を図る。
- 14 -
6 . 代替え案等の可能性
代替案としては、長野市上下水道局管理による飯綱浄水場(緩速ろ過方式 処理能力
Q=4,000m
3
/ 日)からの受水が考えられる。現在、飯綱浄水場は給水量の低下か
ら、その浄水能力をQ=2,000m
3
/ 日に落として稼働しており、浄水能力に余裕が
あり、本事業計画の戸隠水源を取得した場合と比較評価を行った。
また、浄水方法についても本事業計画の膜ろ過方式と緩速ろ過方式、急速ろ過方式に
ついて比較評価を行った。
表−11に統合整備事業の比較表を、表−12に浄水方法の比較表を示す。
比較案 項目
戸隠水源 飯綱浄水場
戸隠水源から宝光社浄水場まで。 布設延長は約0. 7km。
飯綱浄水場から宝光社配水池まで。 布設延長は約7. 4km。
ポンプによる圧送となる。
必要有り 必要なし
老朽化した上楠川及び品沢浄水場の廃 止ができる。
戸隠水源からの取水となり、導水管布 設延長が0. 7km程度と短い。
戸隠水源に職員が常駐しており、新た に建設する浄水場への緊急時対応は迅 速に行える。
老朽化した上楠川及び品沢浄水場を廃 止できる。
飯綱浄水場から受水を行うことで、す でに浄水された水の供給が可能であ る。
新たに宝光社配水池付近に浄水場が必 要となる。
受水先である飯綱浄水場は建設から35 年経過した浄水場であり、将来、浄水 施設の拡張が必要である。また、飯綱 浄水場から宝光社配水池までポンプ圧 送する必要があり送水管の布設延長は 7. 4kmと長い。
446, 000 千円
※ 1)
684, 000 千円
※ 2)
2, 690 千円/ 年 11, 700 千円/ 年 右案と比較して浄水場は1機場増える
が、膜ろ過浄水場とすることで、基本 的に無人化が可能である。また国庫補 助を受ける場合は簡易水道のみで済む ことから整備事業スケジュールの面に おいても有利であるほか、事業費につ いても有利である。
維持管理の面を考えると機場数が少な いことは有利であるが、数年後に予想 される飯綱浄水場の改修時は取水に支 障を来さぬ処置が必要なため、将来に 不安を残している。また、国庫補助を 受けるには上水道側の変更認可が必要 となり、認可取得後からの整備事業ス ケジュールを考えると難しい。 事業費は左案と比較し割高である。
◎ △
※ 1 戸隠水源より取水し、戸隠浄水場建設、宝光社配水池流入までの概算とした。
※ 2 飯綱浄水場より受水し、宝光社配水池流入までの概算とした。
表- 1 1 統合整備事業の比較
本事業計画 代替案
水 源
評 価
概 算 事 業 費 導水管(送水管)
浄 水 場
長 所
短 所
ランニングコスト
考 察
- 15 -
処 理 方 式 シ ス テ ム 構 成
緩 速 ろ 過 方 式 急 速 ろ 過 方 式 膜 ろ 過 方 式
前処理(必要に応じて)+緩速ろ過池 前処理(必要に応じて)+凝集沈殿+急速ろ過池 前処理(必要に応じて)+膜ろ過設備
処 理 概 要
・ろ過池砂層に増殖した微生物郡により、原水 ・原水中の懸濁物質を薬品(凝集剤)によって ・原水を20kPa∼200kPa程度の水頭差により膜 中の浮遊物質を捕捉、溶解性物質を酸化分解 凝集させ、粒状層に比較的速いろ過速度(120 モジュールに供給し、中空糸膜面を通水させ する作用に依存したシステムである。比較的 ∼150m/ 日)で通水し、濁質を除去するシス ることにより、クリプトスポジウム等病原性 良好な原水に適した方式であり、4∼5m / 日 テムである。除去対象の懸濁物質は、あらか 微生物を物理的に除去し、ろ過水を得るシス のろ過速度でろ過を行なう。 じめ凝集作用により、付着及びふるい分けさ テムである。
れ易い状態のフロックになっていることが必 ・膜の洗浄は、空洗又は逆圧水洗浄と気泡を含
要である。 んだ水流によるエアスクラビングを併用する。
・ろ過砂の閉塞状態によって、浄水及び空気を 空洗又は逆圧水洗浄により、数十分間隔に数 使用して1日に数回の逆洗を行う。 十秒程度の割合で行う。また、膜の汚れの程
度により、年1∼2回の薬品洗浄を行う。 ろ 過 原 理
・砂層表面でのふるい分け作用並びに水中微粒 ・ろ材への付着とろ層でのふるい分け(ろ過砂 ・2. 0μ m程度の膜孔径によるふるい分け作用及 子の砂粒表面への付着作用によりろ過する。 間隔内の抑留)によって濁質を除去する。 び膜表面に形成されるゲル層への付着。
処 理 可 能 な 原 水 の 水 質
・大腸菌群(100ml MPN)1, 000以下 ・大腸菌群、BOD、年間濁度が緩速ろ過方式の ・急速ろ過方式と同等の処理能力を有するが、
・生物化学的酸素要求量(BOD)2mg/ l 基準以上の水質の場合に適合する。 年高濁度は、膜の材質、膜モジュールの形状
・年間最高濁度10度以下(沈殿池を有する場合 ただし、濁度最低10度前後、最高1, 000度以 等により異なるため、膜の種類選定の際に注
は30度以下) 下であり、変動幅が極端に大きくないこと、 意が必要である。
また、処理水量の変動が少ないこと。 ク リ プ ト ス ポ リ
ジ ウ ム 除 去 性 能
・水質管理を十分に行った場合で90%(1 l og) ・水質管理を十分に行った場合で99%(2 l og) ・99. 9999%(6 l og)以上の除去。
の除去。 の除去。 ・膜孔径による固液分離であり、特殊な管理を
・他の方式と比べ、クリプトスポリジウム除去 ・除去可能であるが、適正凝集管理、適正ろ速 しなくても確実な除去が可能である。
性能が劣る。 保持を必要とする。
不 溶 解 成 分
・濁度について、通常年最高濁度10度以下が除 ・確実に除去できるが、適正凝集、適正ろ速保 ・膜孔径による固液分離であり、確実に除去で
去可能である。 持が必要である。 きる。
溶 解 成 分
・有機性物質に対し緩衝性はあるが、溶解性の ・原水の水質に応じて高度処理を行う必要があ ・原水の水質に応じて高度処理を行う必要があ
無機物には対応できない。 る。(活性炭吸着、除マンガン他) る。(活性炭吸着、除マンガン他)
スの実績もある。 原 水 水 質
追 従 性 能
・原水水質の急激な変化(特に濁度)に対して ・溶解性物質以外は対応可能であるが、原水水 ・溶解性物質以外は原水水質の急激な変化に追
追従性が低い。 質の急激な変化に対し、適正凝集管理、適正 従可能である。
ろ速保持を必要とする。
・管理技術は高度の技術者を必要としない。 ・原水水質の変化に対し、適正凝集管理、適正 ・遠方監視ができ、自動化、無人運転が可能で
・砂削り等の作業を行う人員が必要である。 ろ速保持を必要とするため、完全な無人運転 ある。
表- 1 2 浄水処理方式の比較表
用 地 面 積
・RC構造物であり、ろ速が遅いため、広い面積 ・RC構造物であり、比較的広い面積を必要とす ・急速ろ過方式に比べ、狭い面積で良い。
を必要とする。 る。
建 設 費 250, 000 千円 400, 000 千円 350, 000 千円
維 持 管 理 性
採 用 実 績
・小規模から中規模まで採用実績が多い。 ・小規模から大規模まで採用実績が多い。
はできない。 ・定期的な膜の薬品洗浄と膜交換を必要とする。
・小規模の実績が多いが、近年は10, 000m
3
クラ
処 理 方 式
評 価 評 価 評 価
△ ◎ ○
○ ○ ◎
△ ○ ◎
◎ △ ○
○ △ ◎
力を要する。また、用地確保も困難である。 建設でき、クリプト対策にも最適である。
総 合 評 価
・クリプトスポリジウム除去性能 ・クリプトスポリジウム除去性能 能である。
・建設費 ・建設費 ・建設費
長 所
・凝集材が不要である。 ・緩速ろ過の約30倍の速いろ過速度が得られる ・確実かつ上質な浄水が得られ、無人運転が可
・基本的に動力を必要としないため、ランニン ため、比較的狭い用地面積で大量の水量をろ
・維持管理性 ・維持管理性 ・維持管理性
評 価
項 目 項 目
・濁度上昇への対応 ・濁度上昇への対応 ・濁度上昇への対応
・クリプトスポリジウム除去性能
グコストが安価である。 過できる。 ・間欠運転でも処理水量が安定している。
・浄化能力が安定しており、比較的良好なろ過 ・凝集が適切であれば、確実な浄水処理ができ ・一般細菌、大腸菌群、ウイルスも確実に除去
水を得ることができる。 る。 できる。
・原水に含まれる汚泥物質の濃度が低いことが ・高濁度の原水に対しても処理可能である。 ・耐塩素性のあるクリプトスポリジウム等病原
条件となる。 性微生物の除去に有効である。
・運転管理に特別な技術、機械装置を必要とし ・ユニット化されているため、建設工期が大幅
ない。 に短縮可能である。
短 所
・高濁度の原水に対する処理対応性能が低く、 ・溶解性物質はほとんど除去できない。(他の ・膜の目詰まりに伴って、定期的な薬品洗浄が 高濁度が継続すると砂層表面において目詰ま 処理方法との併用で処理可能である。) 必要である。
りを起こす。 ・ろ過開始時及び洗浄終了時において、ろ過水 ・溶解性成分に対する除去性能は期待できない。
・ろ過速度が低いため、浄水量の割合には広大 質が安定しないことから、スロースタート、
な敷地面積を必要とする。 スローダウン等の制御が必要である。
ある。
・所定の損失水頭に達した場合は、ろ過砂表面 ・凝集材の適正注入が不可欠であり、原水水質 の掻き取り作業、洗砂作業及びろ過砂の補充 に呼応した注入制御が必要である。
・他の方式と比べ、クリプトスポリジウム除去
に時間を要する。(一般的に1∼7日程度) ・他の方式と比べ、処理操作に特殊な技術が必
・冬季間における積雪及び凍結に対する対策が 要となる。
作業が必要である。 ・各池において、処理水濁度を監視する必要が
・砂掻き取り後、生物ろ過膜が形成されるまで
△ ○ ◎
性能が劣る。
※ 建設費は最も安いが、用地確保が困難である。※ 建設費が3方式の中で最も高く、維持管理に労 ※ 建設費が3方式の中間であるが、用地が狭小で
項 目
・用地面積 ・用地面積 ・用地面積
緩 速 ろ 過 方 式 急 速 ろ 過 方 式 膜 ろ 過 方 式
必要である。
膜ろ過方式
△
△
◎
○
高濁度の処理に適さない
○
◎
緩速ろ過方式
400,000千円 350,000千円
比較的広い面積が必要
○
△
狭い面積で可能
用 地 面 積(敷地)
広い面積が必要
クリプトスポリジウム除去性能
濁度上昇への対応
項 目
総 合 評 価
低
急速ろ過方式
△
◎
90%除去可能
高
1,700㎡ 1,400㎡
建 設 費(概算)
○
維 持 管 理 性 2,720年/ 千円
250,000千円
◎
低
中 高
2,690年/ 千円
△
ほぼ100%除去可能
高濁度の処理が可能
99%除去可能
○
ある程度の濁度に対応可能
◎
浄 水 処 理 方 式 の 比 較 表
建設費は最も安いが、戸隠水
源付近は国立公園内と急傾斜地
のため、広い用地確保が困難で
ある。
建設費が最も高く、維持管理
に経費・労力が必要である。
用地が狭小で建設ができ、近
代的浄水方式によりクリプト対
策対策及び維持管理性に適して
いる。
○
△ ◎
中
900㎡
3,120年/ 千円
7 . 事業の投資効果分析
(1)事業効果
本事業を実施することにより新水源からの安定取水が可能となり、浄水処理施設の整備
により、クリプトスポリジウム等病原性微生物による汚染事故の発生を予防し、急激な濁
度の上昇による浄水不良の改善を図る。また、水道事業の再編をおこなうことで給水区域
の見直しを図り、効率的な水運用が実現でき、安全な水道水の安定供給が可能となる。
(2)費用対効果分析
簡易水道再編推進事業は、施設・人員が集約されることによる建設費、維持管理費の効
率化(スケールメリット)を図るものである。
本算定では、対象とする簡易水道事業毎に新たな水源を確保することが難しい事から、
長野市上下水道局管理による戸隠水源を新たな水源とし、地形的要因から施設統合が可能
となる、宝光社地区、西地区、鬼無里地区の一部(品沢水源系)を統合した事業を実施す
ることで得られる効果(便益)と事業実施にかかる事業費(費用)を比較し、事業の有効
性を評価する。
ア 事業概要
戸隠地区に新たに戸隠水源をもとめ、平成25年度末までに浄水能力920m
3
/ 日の膜
ろ過方式による浄水場を建設し、その浄水をハード統合する宝光社、西、鬼無里の一部地
区を連絡管で結ぶ施設を整備する。その他の地区はソフト統合となる。
表- 13に供用開始となる平成25年度末のハード統合地区の計画概要を示す。
計画給水人口 1日最大給水量 1人1日最大給水量 給水戸数
(人) (m3/ 日) (L/ 日) (戸)
宝 光 社 地 区 372 160 430 144 ハード統合地区
西 地 区 1, 447 521 360 561 〃
鬼 無 里 地 区 の 一 部 421 231 549 192 〃
計 2, 240 912 407 897
そ の 他 地 区 1, 629 1, 171 719 630 ソフト統合地区
合 計
3, 869 2, 083 538 1, 527表−1 3 計画給水人口及び計画給水量
名 称 備 考
- 18 -
イ 費用の算定
(ア) 事業費
事業費は以下のとおりである。
管路布設費用 621, 330 (千円) (耐用年数38年)
構造物建設費用 151, 410 (千円) (耐用年数58年)
浄水設備費用 555, 430 (千円) (耐用年数16年)
計 1, 328, 170 (千円)
※ 消費税相当額は費用から除外する。
(イ) 維持管理費
膜ろ過による浄水施設にかかる維持管理費(動力費、薬品費、膜薬品洗浄費、膜
の交換)は、処理水量1m
3
当りの単価を13. 4円/ m
3
とした。これに、年間浄水処理
水量(負荷率を60. 0%として計算)を乗じて、約2, 690千円/ 年とした。
年間維持管理費 = 2, 690, 050 円
■ 膜ろ過設備
a 基本条件
・1日最大取水(浄水)量 920m
3
・1日平均取水(浄水)量 550m
3
(負荷率60%で計算)
b 動力費
原水ポンプ、洗浄ポンプ、次亜注入ポンプ、検水ポンプなど負荷電力量を15kw
として浄水量1m
3
当り4. 7円で計算した。
1日× 550m
3
× 365日× 4. 7円/ m
3
= 943, 525 円/ 年
c 薬品費
後次亜、逆洗次亜の薬品費として浄水量1m
3
当り1. 0円で計算した。
1日× 550m
3
× 365日× 1. 0円/ m
3
= 200, 750 円/ 年
d 膜薬品洗浄
半年に1回薬品洗浄とするが、膜寿命は8年と想定し洗浄回数は15回とする。
洗浄費、作業委託費、運搬費の費用として浄水量1m
3
当り5. 5円で計算した。
1日× 550m
3
× 365日× 5. 5円/ m
3
= 1, 104, 125 円/ 年
e 膜の交換
膜寿命は8年と想定し、膜費用、交換作業費、運搬費の費用として浄水量1m
3
当り2. 2円で計算した。
1日× 550m
3
× 365日× 2. 2円/ m
3
= 441, 650 円/ 年
膜ろ過設備 計 = 2, 690, 050円/ 年(浄水量1m
3
当り13. 4円)
- 19 -
ウ 便益の算定
本事業での便益の算定は、戸隠水源の原水を膜ろ過による浄水処理をおこなわず、需要
者において浄水器やボトルウォーター購入などの代替手段による回避支出の場合と、既設
施設・管路を現状のまま放置した場合、老朽化の進行により水道が使用出来ず、需要者が、
独自に井戸等で水道と同等(水量、水質、水圧)の水の確保をおこなう費用を計上する2
ケースについて費用対効果を用いて比較する。
なお、便益の算定については厚生労働省健康局水道課による「水道事業の費用対効果
分析マニュアル 第Ⅳ編 算定事例 」の換算係数法に基づくものとした。
- 20 -
◆ ケース1 ◆
膜ろ過施設がない場合に、需要者がおこなわなければならない水質改善費用をもって便
益とした。
水質の改善方法としては「浄水器の設置」と「ボトルウォーターの購入」を想定した。
浄水器は調理や洗面に使用するものとして、全世帯に1箇所ずつ設置するものとし、ボト
ルウォーターは、飲用分として全員に1日あたり1㍑(生命維持に必要とされる3㍑の3
分の1)を確保するものとした。
単価(円) 50, 000 12, 000 36, 500
それぞれの水質改善行動に必要となる単価を設定して、表−15に示すように水質改善
費用を算定した。
① 浄水器の設置及びフィルター交換
浄水器は、月1回のフィルター交換と5年に1回の買い替えをした場合の費用を計上
した。
浄水器の単価は50, 000円(1世帯・5年)とし、フィルター交換費を12, 000円(1世帯
・年)(=1, 000円/ 世帯・月× 12ヶ月分)とした。
② ボトルウォーターの購入
ボトルウォーターは、1人あたり1日1㍑を購入するものとした。1㍑あたりの購入
費は実効価格参考に100円/ ㍑として、1人あたりの単価を36, 500円(人・年)
とした。
単価(円)
50, 000 897 世帯 44, 850 千円/ 5年 12, 000 897 世帯 10, 764 千円/ 年 36, 500 2, 240 人 81, 760 千円/ 年
円/ 世帯・5年
ボトルウォーター
フィルター交換 円/ 世帯・年
備 考 マニュアル単価 マニュアル単価 マニュアル単価
水 質 改 善 行 動 単 位
浄水器の設置
ボトルウォーター 円/ 人・年
表−1 4 水質改善行動の設定と 単価
フィルター交換
表−1 5 水質改善行動による便益額の算定
水 質 改 善 行 動 数 量 便 益 額
浄水器の設置
- 21 -
◆ ケース2 ◆
現状のまま施設・管路を放置した場合、老朽化の進行により水道が使用できない状態を
想定し、需要者(897戸)が、独自に井戸等で水道と同等(水量、水質、水圧)の水の
確保をおこなう費用をもって便益とした。
具体的には表- 16のように、「①井戸等の建設」、「②井戸等の維持管理費( 電気代、
補修点検費等)」、「③井戸等の水質検査費」とした。
単価(千円) 数量( 箇所)
2, 000 897 1, 794, 000 千円/ 16年 200 897 179, 400 千円/ 年
44 897 39, 468 千円/ 年 160 897 143, 520 千円/ 年
① 井戸等の建設費
井戸等の建設費は1箇所当たりの建設費を2,000千円/ 箇所( 深度30mを想定)
として、給水区域内の戸数(897戸)を乗じて、1,794, 000千円とした。
耐用年数は16年(機械・電気に準ずる)とした。
② 井戸等の維持管理費
井戸等の維持管理費は、年間の電気代、ポンプ等の補修点検費を計上した。1箇所当
たりの単価を200千円/ 箇所として、給水区域内の戸数(897戸)を乗じて、17
9, 400千円/ 年とした。
③ 水質検査費
水質検査費は、水道水と同等の安全性を確保するという観点から、上水道と同様の項
目・頻度として検査費を計上した。
③ 水質検査費(毎月) ③ 水質検査費(年1回)
表−1 6 便益の算定結果
項 目① 井戸等の建設費 ② 井戸等の補修費
便益額
- 22 -
エ 事業全体の投資効率性
ケース1及び2それぞれの費用と便益に換算係数を乗じて、総費用及び総便益を算
定した結果は以下の表のとおりである。
その結果、どちらのケースにおいても費用便益費が基準値(1. 0以上)を上回るこ
とから、本事業の実施は妥当であると判断できる。
耐用年数 換算係数
(年) ②
費用 事業費 管路布設費用 38 621, 330 千円 1. 13 構造物建設費用 58 151, 410 千円 0. 98 浄水設備費用 16 555, 430 千円 1. 85
1, 328, 170 千円
− 2, 690 千円/ 年 21. 48
便益 5 44, 850 千円 4. 61
フィルターの交換 10, 764 千円/ 年 21. 48 ボトルウォーター 81, 760 千円/ 年 21. 48
B/ C
耐用年数 換算係数
(年) ②
費用 事業費 管路布設費用 38 621, 330 千円 1. 13 構造物建設費用 58 151, 410 千円 0. 98 浄水設備費用 16 555, 430 千円 1. 85
1, 328, 170 千円
− 2, 690 千円/ 年 21. 48
便益 16 1, 794, 000 千円 1. 76
井戸の維持管理費 179, 400 千円/ 年 21. 48 水質検査(毎月) 39, 468 千円/ 年 21. 48
− 143, 520 千円/ 年 21. 48
B/ C
水質検査(年1回) 3, 082, 810
57, 781 148, 382 1, 027, 546
計 1, 878, 031
847, 773 702, 103
維持管理費
費用便益比 5. 65
合計(C) 1, 935, 812
井戸建設費 3, 157, 440
合計(B) 10, 941, 535
3, 853, 512
項 目
費用/ 便益 総費用/ 総便益
① ①× ②
浄水器の設置
費用便益比 1. 13
合計(B)
231, 211 1, 756, 205 2, 194, 175 206, 759
表−1 8 事業全体の投資効率性( ケース2 )
702, 103
1, 027, 546 計
合計(C)
1, 878, 031 57, 781 維持管理費
148, 382
1, 935, 812
表−1 7 事業全体の投資効率性( ケース1 )
費用/ 便益 総費用/ 総便益
項 目
① ①× ②
- 23 -
※ 換算係数について
構造物又は機械及び装置を一体として償却する場合
耐用年数 年
費用の 換算係数
38 1. 13
58 0. 98
16 1. 85
21. 48
種類
耐用年数 年
便益の 換算係数 器具及び
備品
5 4. 61
構造物又は機械及び装置を一体として償却する場合
耐用年数 年
便益の 換算係数
16 1. 76
21. 48
維持管理費等毎年発生する費用(年間一定として割引率で割り引いて総和)(フィルターの交換、ボトルウォーター、井戸の維持管理費、水質検査)
費
用
便 益
費用と便益の換算係数(水道事業の費用対効果分析マニュアル 第Ⅴ編 資料集から抜粋)
構築物又は機械及び装置
水道用又は工業用水道構造物のうち、配水管及び配水管付属設備
(管路布設費用) 配水設備及び橋りょう
(構造物建設費用)
家具・電気機器及び 家庭用品
機器
(浄水器の設置) 薬品注入設備及び滅菌設備
(浄水設備費用)
薬品注入設備及び滅菌設備
(井戸建設費)
維持管理費等毎年発生する費用(年間一定として割引率で割り引いて総和)
(維持管理費)
構造または用途 細目