第 2 章
高梁市の姿
第2章 の内 容
◆ 第 2 章 で は 、 本 市 の 概 要 や 各 環 境 分 野 に お け る 環 境の現状と課 題を表しま す。
第1節 高梁 市の概要 第2節 環境 の現状と課 題
第2章 高梁市の姿
第1節 高 梁市の概要
1 高梁市の 歴史・位置 ・自然・ 文化・交通
本市は、古来 「備中の 国
1
」の中核とし て繁栄 し、近世では幕 藩体制のも とに備中 松山 藩を中心 として、また近代 以降にお いても政治、 経済、教 育の中心地と して栄えて きました 。そし て、平成 16 年10 月1日に、旧高 梁市、旧 有漢 町、旧成 羽町、旧川上町 及び旧備中 町の1市 4町 が新設合 併
2
本市は、岡山県 中西部に広 がる吉備 高原 に位置 しており(図 2-1-1)、東は吉備中 央町 、西は広 島県神石高原 町、北は新見 市、真庭市、 南は総社 市、井原市に 隣接してい ます。市 域は東 西35㎞、
して、現在の 高梁市が 誕生しまし た 。
南北 30㎞とやや 東西方向 に長く、面 積 は547.01㎞
2
で、県土の 7.7%を占め 、岡山県 内の市町村で は4番目に広い面 積を有 しています 。市の東部 を県下三 大河川の 1つである 高梁川 が貫 流し、 高梁 川、成 羽川 及び 有 漢川の 流域 の平地 に市 街地が 広が り、 そ の他は、 急峻な傾斜部 及び起伏が 激しい高 原部に 集落が点在し ています。
本市は瀬戸内 海式 気候
3
こうし た自 然的特 色を 持つ本 市は 、河 川 の流れ や水 辺の風 景と 高原部 の耕 地や 豊 かな森 林環境 など 、古き よき 町並み を残 す都 市 空間と のど かな農 村風 景とが あい まっ て 、美しい 生活空 間を 形成し てい ます。 また 、備 中 松山城 、武 家屋敷 や寺 院、銅 山と ベン ガ ラ製造で 発展し た吹 屋の町 並み 、備中 たか はし 松 山踊り 、備 中神楽 、渡 り拍子 など 多く の 有形・無 形の文化財が 保存・継承 されてい ます。
とよば れる 気候 区分に 含まれ 、年 間を通 じて 天気 や湿度 が安 定 しています。 また本市は 1年を通 じて霧 が多い地域で もあります 。
本市と他地域 を結ぶ交通 機能とし ては、一般国道180 号、同 313 号、同 484 号、岡山自動 車道、JR伯 備 線が整備され、空 港へ向か う交通の 便も 良好です。これ ら 利 便 性 の 高 い 交 通 網 と 豊 か な 自 然 環 境 や 歴 史 文 化 に 彩られた地域 特性を背景 に、大学等の高 等教育機関が 集 積しており、地域 や行政、民 間企業等と 連携した学園 文 化交流都市づ くりが推進 されてい ます。
1 備中の国:7世紀後 半に吉備国 を三分し て設けられ た 国で、現在の 岡山県の西 部に当た る。
2 新設合併:2
以上の 市町村の区 域の全部 若しくは一 部 をもって市町 村を置くこ とで市町 村の数の 減少を伴う もの。合併の 当事者となる 当該自治体 をすべて 廃止して 新たな自治 体を設置する 方式をいう 。
3 瀬戸内海式気候: 中国、四 国地方等の 瀬戸内海 沿岸部 で見られる気 候で、年間 を通じて 天気や湿 度が安定し ており、梅
雨と秋雨の時 期に降水量 が増加す るという 特徴がある 。
図2-1-1 高梁市の位置
蒜 山
□ 高 梁 市 成 羽 川
凡 例 山 河 川
2 人口及び 世帯数
本 市 の 人 口 は 減 少 傾 向 に あ り 、 平 成 22 年 に 実 施 さ れ た 国 勢 調 査 に お け る 総 人 口 は 34,963人(図 2-1-2上)で、平 成 2 年と比較し て20.6%減少してい ます 。また、世 帯の増減数は 小さい一方 、一世帯 当たり の人数は平成 2年の 3.17人から 2.48 人に減少 しており、世帯分離 による核家 族
4
や高齢単身世帯
5
の増加などがう かがえます 。年 齢階 級 別の構成比率 は15歳未満の年少人口 及 び15歳以上65歳未満の生産年 齢人口 の割合が ともに 減少 傾向 にあ りま す。一 方、65 歳以上 の老 年人 口の 割合 は増加 傾向 にあ り、少 子 高齢化
6
が進行しています (図2-1-2下 )。
4 核家族:「夫婦と その未婚 の子女」、 「夫婦の み」、 「父親または 母親とその 未婚の子 女」から 成る家族の こと。
5 高齢単身世帯:65歳以上 の人一人 のみの一般 世帯のこ と。
6 少子高齢化:出生 数の減少 や老年人口 の増加が 同時に 進行している 状況のこと 。
資料:国勢調 査
資料:国勢調 査
図2-1-2 人口・世帯数 等・年齢 階級 別構成比率の 推移
15.5
13.7
11.9
10.4
9.8
61.5
59.3
57.3
56.4
54.2
23.0
27.0
30.8
33.2
36.0
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
平成2年
平成7年
平成12年
平成17年
平成22年
構成比率(%)
15歳未満 15歳以上65歳未満 65歳以上及び年齢不詳
44,039
43,115
41,077
38,799
34,963
13,873 14,939 15,376 15,325 14,121 3.17
2.89
2.67 2.53
2.48
0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0
0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 35,000 40,000 45,000 50,000
平成2年 平成7年 平成12年 平成17年 平成22年
一 世 帯 あ た り の 人 数( 人) 人
口、 世 帯 数( 人、 戸)
人口 世帯数 一世帯あたりの人数
3 土地利用
本市の山林面 積は市の総 面積の77.8%を占めており 、次い で田が4.7%、畑が3.8%と なっています (図2-1-3)。宅地の 面積 は、市の総面 積のわず か1.6%です。
図2-1-3 土地利用状況
4 産業
(1)産業別 就業者数
平成22年の国勢調 査による 就業者数(15歳以上)は、16,134人です(図2-1-4)。 平成7年以降、就業者が 減少して おり 、平成22年は平成7年比で71.4%と なって います。
また 、産 業別 就 業人 口の 構成 比 は、 第三 次産 業が 増加 す る一 方で 、第 一 次産 業と 第 二次産業は減 少傾向にあ ります。 平成 22 年には、第三次産業 が第一次 産業に比 べ約 3.4倍、第二次産 業に比べ約1.9倍とな っています。
資料:国勢調 査
図2-1-4 産業別就業者 数(15歳以上)の推移
〔注〕 平 成19年11月に日本産業 分類が改定 され たため、平 成17年以前と平成22年の産業部門 別割 合が異なる場 合がある。 資料:高梁市 資料
山林 425.29k㎡
(77.8%) 田
25.55k㎡
(4.7%) 畑
20.93k㎡
(3.8%) 原野 15.53k㎡
(2.8%)
宅地 8.62k㎡
(1.6%)
その他 51.09k㎡
(9.3%)
4,886
3,725
3,502
2,552
7,717
6,340
5,352
4,602
9,975
9,993
9,546
8,641
4
15
41
339
0 4,000 8,000 12,000 16,000 20,000 24,000
平成7年
平成12年
平成17年
平成22年
就業者数(人)
第一次産業 第二次産業 第三次産業 分類不能産業
計20,073
計18,441 計16,134
計22,582
第2節 環境 の現状と課 題
1 生活環境
〈現状と課題 〉
本市域の大気 、水質など について は、環 境基準
7
また、廃棄 物について 、平成19年度以 降は本市のリ サイクル率 が全国平 均を下 回 っていること などから、家庭や事 業所に おける一層の ごみの削減 とリサイ クルの 推進 が必要です。
を概ね達成し ており、 比較的良 好 な状態を維持 しているこ とから、今後も 継続して監視 などを行う とともに 事業者 への 指導等に努め る必要があ ります。
(1)大気の 現状
※1
本市では、落合町 近似地内 に一般環境 大 気測定局
8
(以下「高梁局」という。)が あ り、平成22年4月から二酸化窒素
9
、光化学オキシ ダント
10
等につい て常時監 視 が 行われていま す。
1)二酸化窒素
高 梁 局 で は 、 平 成 22 年 度 に 二 酸 化 窒 素 の日 平 均 値 の 年 間 98% 値
11
が 、 0.013ppmで 、 環 境 基 準 ゾ ー ン ( 日 平 均 値 の 年 間 98% 値 が 0.04ppmか ら 0.06ppm)を下回っ ており、 二酸化窒 素の環境基準 を達成して います。
2)光化学オキシダン ト
光化学オキシ ダントにつ いては、1 時間 値が0.12ppmを超えた場合 は、注意 報 や警報を発令 しており 、本市 では平成22年度に、注意報 の発令が1回あ りまし た。 また、高梁局 では、平 成 22 年度に光 化学オキシダ ントの環境 基準が未 達成と な っていますが 、全国の環 境基準達 成率 は 0.1%(平成 21 年度)と低い 状況 で、本 市も全国の他 都市と同様 の傾向に ありま す。
7 環境基準:資料 編P13~P20
※1:資料編 P22~P24参照。本市 の気象、環 境大気の 常時監視地点 はP23を参照。
8 一般環境大気測定 局:大気 汚染防止法 第22条に基づ いて、環境大 気の汚染状 況を常時 監視(24時間測定 ) する測定局。
9 二酸化窒素:(環 境用語 集P60に記載)
10 光化学オキシダン ト:( 環境用語 集P54に記載)
11 日平均値の年間98%値:1
年間に得ら れた1日 平均値 を整理し、低 い方か ら98%に相当する(365日分の1日 平均値があ れば358番目の)1日平均 値をいう 。
課題:概ね 良好な状 態を維持 していま す が、光化学 オキシダ ントのよ うに環境 基 準を超 過する結果 もみられ 、今後も 監視を 継続 していくこ とが必要 です。ま た、光化 学 オ キ シ ダ ン ト 注 意 報 等 が 発 令 さ れ た 場 合 に は 市 民 等 へ 速 や か に 周 知 す る と と も に、健康被害や農 作物被害 が発生した 場 合には、市民等へ の周知や 情報収集な ど 、 関係機関等と 連携した迅 速な対応 が必要 です。
(2)水質の 現状
※2
本市内の河川 では、高梁 川、成羽 川、有 漢川が河川A 類型の指定
12
平成18年度から平成22年度において 、水質汚濁に 係る環境基準
を受けており 、 岡山県におい て常時監視 されてい ます。
13
のうち、生 活 環境項目
14
の汚れの指 標であるBOD(生 物化学的酸素 要求量)
15
については、ほ ぼ 全 て の 地 点 で 環 境 基 準 値 を 下 回 っ て お り 、 概 ね 良 好 な 水 質 が 維 持 さ れ て い ま す ( 図 2-2-1)。
図2-2-1 岡山県公共用水域水質測定結果
16
※2:資料編 P25~27参照。本市 内の岡山県 公共用水 域水質測定結 果の測定地 点等は、P25を参照。
12 河川A類型の指定:水質汚 濁に係る環 境基準の うち、 生活環境の基 準について は、河川 、湖沼、 海域別に利 水目的に応 じた水域を区 切ってAA~Eまでの6段階で類型を設け て 、それぞれの 水域類型毎 に環境基 準項目に ついて基準 値を定めて いる。
13 水質汚濁に係る環 境基準: (環境用語 集P56に記載)
14 生活環境項目:( 環境用語 集P57に記載)
15 BOD(生物化学 的酸素要求 量):(環境用 語集P49に 記載)
16 富栄養化:(環境 用語集P61に記載)
課題:現在の概 ね良好な 水質を将来 にわ たって維持し ていくため 、市民等へ の情 報発信 や意識啓発と ともに、合併 浄化槽の普 及 や下水道への 接続を促進 すること が必要 です。
資料:公共用 水域水質測 定結果( 岡山県)
〔注〕1「75%値」は、毎月 の日平均 値(12個のデータ)を、濃 度が低い順 に並べ た9番目の 値 のことです。
※新成 羽川ダムは 「ダム湖 」であり 、岡山県環 境白書では富 栄養 化 16していると紹介 されて います。
※
※
(3)騒音・ 振動の現 状
※3
1)騒音 17
本市内には、騒音規制 法
18
に基づく指定 地域
19
として、旧市街 地や落合 町阿 部 ・ 近似地区の一 部区域
※4
指定 地 域内 に 立地 す る工 場及 び 事業 場 等 のう ち 、そ の 敷地 内 に著 しく 騒 音を 発生 する施設とし て定められ た「特定 施設
が、指定さ れて います。
20
」が設置され ている工場 ・事業場 は「 特 定 工場等」とな り、規制基 準
※5
騒音規制法に 基づき、平 成 22 年度末 現在までに本 市へ届出の あった特 定施設 数 は85施設で、特 定工場等数 は10工場等となってい ます。
を遵守し なければなり ません。
また 、 指定 地 域内 に おい て実 施 され る 著 しく 騒 音を 発 生さ せ る建 設作 業 は「特定 建設作業
21
一方、自動車 騒音
」となり、 規制基準 を遵守し なければなり ません。
22
に関しては、本 市内 では一般国道 180 号沿道(鉄砲町 )に おいて、道路 に面する 地域の騒 音を測定 しており、直 近4年間
23
測定地点には「幹線交通 を担う道 路に近 接する空間」の環境基準 値
※6
が適用さ れ 、 過去4年間は環境基 準を達成し ていま す。
(平成18年 度 か ら平成21年度)の測定結果 を表2-2-1に示します。
表 2-2-1 騒音測定結果 測定場所及び車線数
等価騒音レベル(dB)
環境基準値 時間区分 H18 H19 H20 H21 H22
一般国道180号沿道
(高梁市鉄砲町)
■4車線
昼間 69 69 70 69 - 70dB以下
夜間 64 64 65 64 - 65dB以下
〔注〕1.測定地点には「 幹線交通 を担う道路 に近接す る空間」の環 境基準値が 適用され る。
2.「昼間」は午前6時 ~午後10時までの間 を、「 夜間」は午 後10時から翌日の午 前6時ま での間をい う 。 3.「-」は、測定 が実施さ れていない ことを示 す。
資料:平成19年度~平 成23年度版 岡山県環 境白 書(岡山県)
なお、本市内 の「騒音に 関する相 談の受 理件数」も少 なく、平 成 19 年度と平 成 21年度から平成22年度は各1件、平 成18年度と平成20年度は0件とな って います。
※3:資料編 騒音 ・振動規 制に係る指 定地域、 自動車 交通騒音測定 地点等は、P28、P29参照
17 騒音
:一般的に「好 ましくな い音」のこ と。工場や 建 設作業からの 騒音、自動 車からの 交通騒音 に対する法 律として「騒 音規制法」が ある。
18 騒音規制法
:(環境用語 集P57に記載)
19 指定地域:騒音規 制法第3 条に基づき 、都道府 県知事 (市の区域内 の地域につ いては、 市長)が 指定する地 域。
※4:資料編 都市 計画区域 図は、P28を参照
20 特定施設
:(環境用語集: 騒音規制 法P57に記載)
※5:資料編 特定 工場等に おける規制 基準は、P21を 参照。
21 特定建設作業
:(環境用語 集:騒音規 制法P57に記載 )
22 自動車騒音
:(環境用語集 :騒音規制 法P57に記載)
23 直近4
年間:平成22年度につい ては、市 内での測定 実績はない。
※6:資料編 騒音 に係る環 境基準は、P19、P20を参照。
2)振動 24
本市内には、振動規制 法
25
に基づく指定 地域
26
指定 地 域内 に 立地 す る工 場及 び 事業 場 等 のう ち 、そ の 敷地 内 に著 しく 振 動を 発生 する 施 設と して 定 めら れ た「 特 定施 設 」 が設 置 され てい る 場合 、 その 工 場・ 事 業 場 は「特定工場 等」となり 、規制基 準を遵 守しなければ なりません 。
として、旧市街 地や落合 町阿 部 ・ 近似地区の一 部区域
※7
が、 指定され てい ます。
振動規制法に 基づき、平成22年度末ま でに本市へ届 出のあった 特定施設 数は83 施設で、特定 工場等数 は8工場等とな っています。
また 、 指定 地 域内 に おい て実 施 され る 著 しく 振 動を 発 生さ せ る建 設作 業 は「 特定 建設作業」と なり、規制 基準を遵 守しな ければなりま せん。
なお、本市内 の「振動に 関する相 談の受 理件数」は、 平成 18 年度から平成 22 年度で0件となって います。
(4)悪臭
27
本市内には、悪臭防止 法 の現状
28
また、本市内 の「悪臭に 関する相 談の受 理件数」は、 平成 18年度と平成 20年度 は1件、平成19年度と平成21年度から平成22年度は0件となっていま す 。
に基づく規制 地域はありま せん。
24 振動:工場・作業 場や建設 工事、自動 車交通か ら発生 する振動。
25 振動規制法:(環 境用語 集P56に記載)
26 指定地域:振動規 制法第3 条に基づき 、都道府 県知事 (市の区域内 の地域につ いては、 市長)が 指定する地 域。
※7:資料編 都市 計画区域 図は、資料 編P28を参照。
27 悪臭:工場その他 の事業場 における事 業活動に 伴つて 発生する悪臭 。
28 悪臭防止法:(環 境用語 集P49に記載)
課題:特定施設の 設置等や 特定建設作 業 を行う場合は、騒 音規制法 に基づく規 制 基準等 を遵守するよ う徹底する とともに、自 動 車騒音につい ては、今後も継 続的な測 定 を実施し、必要に 応じて対策 を講じる な どし、概ね良好な 現状を将来 にわたっ て 維持していく ことが重要 です。
課題:事 業者の 自助 努力と ともに 、周辺 住民を含 めた総 合的 な取組 が必要 であり 、概ね 良好な現状を 将来にわた って維持 してい くことが重要 です。
課題:特定施 設の設置 等や特定建 設作業 を行う場合は 、振動規 制法に基づ く規制 基準等 を遵守するよ う徹底する とともに 、道路 交通振動につ いては、必要に応じ て測定 などの対策を 講ずるなど し、概 ね良好な 現状を将来に わたって維 持してい くこと が重要です。
(5)土壌と 地下水の現 状
※8
1)土壌
本市内には、平成24年3月末現在にお いて、土壌汚 染対策法
29
に基づく「要 措 置区域
30
」及び「形質 変更時要 届出区域
31
」の指定はあ りません。 32
2)地下水
本市内では、水質汚濁防 止法
33
平成22年度に本 市内におい て、概 況調 査
第16条の規定に基づ き、岡山県 が地下水 の水 質 調査を行って います。
341
箇所、継 続監視調査
35
平成18年度から 平成21年度では、平 成20年度に1箇所にお いて1項目( シ ス-1、2-ジクロロエチレン )が環境 基 準を超過しま したが、その他の地 点・項目に ついては環境 基準を達成 していま す。
1箇所 の 計 2箇所で調査した結 果、全ての 地点、全 項目で環境基 準を達成し ています 。
※8:資料編 測定 結果の概 要等は、P30を参照。
29 土壌汚染対策法: (環境用 語集P60に記載)
30
要措置区 域:土 地が 土壌 の 特定 有害 物質 に よる 汚染 によ り、 人の 健 康に 被害 が生 じ る又 は生 じる おそ れ が ある もの とし
て政令で 定める 基準に 該当 するな どの場 合に、「汚 染の 除去等」 の措置 を講ず るこ とが必 要な区 域とし て都道 府県知事 が 措置を指示す る区域。
31 形質変更時要 届出区 域:土 地の土壌 の特定 有害物 質に よる汚染 状態が環 境省令 で定め る基準に 適合せ ず、「要 措置区域」 に該 当し ない と認 める 場合 に、 土地 が特 定有 害 物質 に よっ て汚 染さ れて おり 、当 該土 地の 形質 の変 更 をし よ うと すると きの届出をし なければな らない区 域として 都道府県知 事が指定する 区域。
32 土壌汚染:(環境 用語集P59に記載)
33 水質汚濁防止法: (環境用 語集P56に記載)
34 概況調査:新たな 地下水汚 染を発見す ることを 目的と して、市内全 域を対象と して、2kmメッ シュに分割 し 、測定地点 が偏在しない ように測定 地点を選 定して実 施する調査 。
35 継続監視調査:利 水的に重 要な地域、 地域の代 表的な 地点、汚染が 見られる地 域の周辺 など経年 的なモニタ リングが必 要な地点を選 定して実施 する調査 。
課題:土 壌汚 染
32
の未然 防止対 策を推 進 するとと もに 、土壌 汚染が 発覚し た時 の 事業者 に対する指導 や市民への 情報提供 など、対応を迅速か つ的確に行 う必要が ありま す。
課題: 各種 法令遵 守の 徹底を 図る とと も に、汚 染が 確認さ れた 場合に は適 切に 対 応する ことが必要で す。
(6)有害化 学物質の現 状
本市 内で は、 ダ イオ キシ ン類 に よる 汚染 状態 を把 握す る ため 、 岡 山県 が 毎年 度、 大 気、河川水、 底質、土壌 及び地下 水につ いて調査を実 施していま す(表2-2-2)。 平成18年度から 平成22年度では、全 ての地点・項目で環 境基準を達 成してい ます。
表 2-2-2 ダイオキシン 類環境調 査の 結果
(平成18年度~平成22年度)
環境媒体 調査地点数 平均値 濃度範囲 単位 環境基準
大 気 5 0.019 0.010~0.028 pg-TEQ/m3 0.6以下 公共用水域水質 15 0.079 0.054~0.26 pg-TEQ/L 1以下 公共用水域底質 10 0.35 0.21~0.69 pg-TEQ/g 150以下 地 下 水 質 8 0.054 0.017~0.068 pg-TEQ/L 1以下 土 壌 8 1.15 0.00099~8.8 pg-TEQ/g 1,000以下
資料:ダイオ キシン類環 境調査結 果(岡山 県)
〔注〕 1. TEQは、毒性 当量を示 す。ダイオ キシン は、通常は混 合物として 環境中に 存在する ので、ダイ オキシンの 毒性の強さ は、各同 族体の量 にそれぞれ の毒性等価係 数(最も毒 性が強い とされ る2,3,7,8-TCDDの毒性 を1とした時 の係数 )を乗じた 値を総和 して、毒性 当等(TEQ)として 表す。国 際的には 、TEQで表さ れ た数値によ り、ダイ オキシン の毒性が評 価されている 。
2. 濃度範囲 の数値は、 大気は各 地点の年4 回の調査 結果の平均値 、その他の 媒体は各 地点の 年1回の調査 結果である。
課題: 住民 、事 業所及 び行 政が 有害 化学 物質に 関す る情 報を共 有し 、そ れぞ れが 果たす べき役割を認 識すること が重要で す。
(7)廃棄物 の現状
本市のごみ排 出量は年々 減少傾向 にあり ます(図 2-2-2)。また平 成 18 年度以降 の一人一日 当たり のごみの 排出量 では、 平成 22 年度に本市 が 936gと全国平 均の 976gと比較し て少ない 状況で推移 し ています(図2-2-3)。
一方で、本市 の「リサイ クル率
36
」は平 成18年度には全国平均 を上回っ ていま し たが、平成19年度以降は全 国平均を 下 回っています 。
図2-2-2 ごみの排出量の 推移
図2-2-3 本市と全国のリ サイクル率 と一人当たり のごみの排 出量の推 移
36 リサイクル率:リ サイクル の実績を示 す指標 の1つで 、「総資源化 量÷ごみ総排出 量×100」により算出 され る。
課題:家庭や事業所における一層のごみの減量化とリサイクルの推進が必要です。
資料:高梁市 一般廃棄物 処理基本 計画
資料:一般廃 棄物処理事 業実態調 査結果( 環境省 )
9,376 9,406 9,541 9,266 9,213
1,137 1,027 918 891 677
1,394 1,328 1,204 1,119
1,128
861 880 685
685 709
0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 14,000
平成18年度 平成19年度 平成20年度 平成21年度 平成22年度
ご み 排 出 量( t)
集団回収品
資源ごみ
燃やせないごみ
燃やせるごみ 計11,961
計12,768
計12,348 計12,641
計11,727
1,115 1,089
1,033 994 976
949 953 948 939 936
19.6%
20.3% 19.8% 20.5% 20.8%
19.8%
19.3%
17.2% 17.1% 17.8%
10% 20% 30%
0 200 400 600 800 1,000 1,200
平成18年度 平成19年度 平成20年度 平成21年度 平成22年度
リ サ イ ク ル 率(
%) 一
人 一 日 当 た り 排 出 量( g)
一人一日当たり排出量(全国) 一人一日当たり排出量(高梁市) リサイクル率
(全国)
リサイクル率
(高梁市)
2 自然環 境
(1)地勢の 現状
本市 内に は県 下 三大 河川 の1 つ であ る高 梁川 が南 へ流 れ 、東 流し てき た 成羽 川と 市 街地 のや や下 流で 合 流し て、 総社 市 及び 倉敷 市を 経て 瀬戸 内 海へ 注い でい ま す。 成羽 川以 外に も、 有漢 川 、玉 谷川 、伊 賀 谷川 、河 戸川 、佐 伏川 等 の河 川が あり 、 それ ぞれ 高梁川と合流 しています 。
高梁 川沿 いに は 一部 に狭 い平 坦 地が 存在 し、 その 周囲 は 急峻 な山 腹と な り、 さら に 山頂 から はゆ るや か な台 地が 開け て 吉備 高原 を形 成し てい ま す。 市域 の多 く は、 吉備 高原上にある 標高300mから700mの山間地帯に なっていま す。
岡山県西部に は石灰岩で 構成され た台地 であるカルス ト台地
37
が多く、本 市には 大 賀台や川上台 等がありま す。石灰岩 の台 地では溶 食
ようしょく 38
による台地 上のドリ ーネ
39
等 の くぼ地のよう な独特の地 形が発達 するほ か、鍾乳 洞等の形成 がなされ ます。また 成羽・ 川上地域には 、三畳 紀
40
の二枚貝化石 を 多産する地層( 地頭層
じ と う そ う
)やシダ等の植物 化石 を多産 する 地層( 日
ひ
名畑層
な ば た そ う
)等があ ります 。本 市 は岡山 県内 におけ る特 徴的 な地形 や 地質 の事 例が 多く あ るた め、 地質 学 分野 での 研究 対象 とし て の歴 史が 古く 、 大正 末期 に大賀
おおが
の 押 被
おしかぶせ 41
(大賀デッ ケン)の 発見や昭 和初期 に成羽地域や 石灰岩地域 の研究等 がなされてい ます。
37
カルスト台地:石灰岩 等の水に溶 解しやす い岩石で 構 成された大地 が、雨水、 地表水、 土壌水、 地下水等に よって浸食
(主として溶 食)されて できた地 形(鍾乳 洞等の地下 地形を含む) である。
38 溶食:石灰岩の主 成分であ る炭酸カル シウムCaCO3が炭酸ガスを含 む雨水によ って徐々 に分解、 溶解される こと。
39
ドリーネ:雨 水が石灰 岩の割れ目 に沿って 集中的に 地 下に浸透する 過程で、周 囲の石灰 岩を溶か してできる すり鉢型の 窪地のこと。
40 三畳紀:約2
億5100万年前に始 まり、 約1億9960万年前まで続く 地質時代の こと。
41
大賀の押被:中生代 三畳紀の 地層の上に 古生代の 石灰 岩が押し被さ った逆断層 で、昭 和12年に国指定 の天然 記念物に指 定された。
<現状と課題 >
本市には、河川 や森林、石灰 岩地域とい った様々な自 然環境があ り、それら の環 境に適応した 多様な動植 物が生息 してい ます。希少な 生物も多 く生息して おり、そ れらの保護が 求められま す。
また、有害鳥獣に よる被害や 農地の減 少 、森林の荒廃、河川・山林 等に投棄さ れ るごみ等の問 題も発生し ており、 効果的 かつ永続的な 対策が必要 です。
課題:本市にある多彩で独特な自然環境は学術的にも景観的にも貴重であるため、それらの 環境を保全し、将来の世代に継承していくことが必要です。
(2)動植物 の現状
1)本市に生 息する動植 物
本市 に は河 川 や山 地 、石 灰岩 地 域、 農 地 や里 山 等、 様 々な 環 境が 存在 し てい るこ とか ら 、そ れら の 環境 に 適応 し た多 種 多 様な 動 植物 が生 息 して い ます 。 環境 省 の 第 3回(昭和58年 度から昭 和62年度 )、並びに第4回(昭和 63年度 から平成 4年 度)自然環 境保全基礎 調査
42
による動植 物分布調査
43
では、本市から 淡水貝 類・ 陸 産貝類・昆虫・淡水魚類・哺乳類 につい て171種が記載されてい ます。ま た、高梁 市の 植 生は ヤブ ツ バキ ク ラス 域 (常 緑 広 葉樹 林 域) です 。 山地 で ある 吉 備高 原 上 に も集 落 が点 在し て いる た め、 自 然植 生 よ りも コ バノ ミツ バ ツツ ジ -ア カ マツ 群 集 や コナラ群落等 の二次林、 スギやヒ ノキ等 の植林地の方 が広い面積 を占めて います 。
2)本市に生 息する希少 な動植物
※9
本市では、岡 山県版レッ ドデータ ブック に「絶滅危惧 Ⅰ類
44
」として 記載され て いる生物が 38 種(生息 地域が公 開さ れた種のみ) 確認されて います。 本市に 生息 する 希 少な 動植 物 とし て は、 巣 箱に よ る 保護 活 動が され て いる ブ ッポ ウ ソウ や 「絶 滅のおそれの ある野生動 植物の種 の保存 に関する法律
45
(通称:種の保存法)」の 指 定種(国内希 少野生動植 物種
46
)であるヤイロチョウ 、石灰岩地 域に分布 が局 限 さ れて い るイ チョ ウ シダ 等 が挙 げ られ ま す 。そ れ らの 動植 物 が少 な くな っ た要 因 と し ては 、 草地 が森 林 に変 わ ると い った 環 境 が自 然 に変 化す る こと に よる 影 響、 農 地 に おけ る 耕作 放棄 と いっ た 人間 の 社会 生 活 が変 化 した こと に よる 影 響、 業 者や マ ニ ア による採取等 が考えられ ています 。
42 自然環境保全基礎 調査:「 緑の国勢調 査」とも 呼ばれ 、陸域、陸水 域、海域 の各 々の領域に ついて国 土全体 の状況を把 握するために 行われた調 査。
43 動植物分布調 査:日本 の動植物種 について 、分布の 現 状とその時系 列的変化を 把握する ために行 われた調査 。
※9:資料編 本市 で確認さ れた希少な 動植物は 、P31、P32を参照。
44 絶滅危惧Ⅰ類:現在の 状態をもた らした圧 迫要因が 引 き続き作用す るならば、 その存続 が困難で ある種。
45 絶滅のおそれのあ る野生動 植物の種の 保存に関 する法 律:(環境用 語集P57に記載)
46
国内希少野生 動植物種:日本に生 息、生育 している 絶 滅のおそれの ある野生動 植物の種 で、政令 で定められ ているも の。
課題:希少な動 植物を保護 するため には 、生息地の変化 を防ぎ、違法 な採取を 取 り締ま る等の対応が 必要です。ま た、希少な動 植物の現状を 正しく把握 し、効果的 な保 全手法を明ら かにするた め、分 布範囲等 の基礎的な情 報を継続的 に調査す ること や市民に対す る啓発活動 が求めら れます 。
3)有害鳥獣 による被害
本市では、イ ノシシ、ニ ホンザル 、ヌー トリア、カワ ウ等の有害 鳥獣
47
により 、 水稲や果樹 、アユと いった農 産物や食 用 魚への被害が 発生してい ます(表2-2-3)。 捕獲 や 電気 柵の 設 置等 、 様々 な 被害 防 止 対策 が 講じ られ て いま す が、 依 然と し て 問 題解 決 には 至っ て いま せ ん。 さ らに 過 疎 や高 齢 化に より 耕 作放 棄 地や 手 入れ の で き ない 山 林が 増加 す るこ と によ っ て、 民 家 周辺 の 農地 にま で 被害 が 拡大 し つつ あ り ま す。
表2-2-3 有害鳥獣によ る農林水 産業 等への被害金 額
(単位:千円 ) 種 名 平成18年度 平成19年度 平成20年度 平成21年度 平成22年度 イノシシ 27,601 27,310 28,676 26,669 27,735 ニホンザル 5,597 5,879 6,173 5,741 5,969
ヌートリア 451 442 464 432 449
ハシブトガラ ス・
ハシボソガラ ス 5,274 4,950 5,198 4,834 5,027 カワウ 3,100 3,200 3,400 3,162 3,287 資料:高梁市 鳥獣被害防 止計画実 施状況報 告書
4)外来生物48
本 市 で は 外来 生 物 で あ る ヌ ー ト リ アに よ る 農 作 物へ の 被 害 が 確 認 さ れ て おり ( 表 2-2-3)、またオ オクチバス 等による 漁 業や生態系へ の被害も懸 念されて います 。
による問題
ま た 、 近 年、 果 樹 な ど の 農 作 物 や 文化 財 に 被 害 を与 え る ア ラ イ グ マ の 数 が急 激 に 増え、問題と なっていま す。平成 22年 11月には、隣の 井原市で 1頭捕獲 さ れて おり、果樹生 産農家や文 化財が多 い本市 においても、 今後注意が 必要です 。
47 有害鳥獣:人 や家畜、 農作物等に 被害を与 える鳥獣 。
48 外来生物:も ともと生 息していな かった地 域に、人 間 の活動によっ て外国や他 の地域か ら入って きた生物。
課題: 有害鳥 獣に よる被 害を 防ぐた め、 複数の 防護方 法の 併用、 ある いは新 たな 保護方 法を研 究する など 、効果 的か つ永 続的に 被害を 防止す るた めの対 策を 検討 する必 要があります 。
課題:外来生物 による産 業への被害 や生 態系への悪影 響を防ぐた め、分布の 拡大 を防ぎ、 個体数を減少 させること が求めら れます 。また、市民 への啓発活 動も必要 です。
(3)身近な 自然の現状 1)農地の保 全
本市の8.5%は農地 であり、そ の農地は 農作物を栽培 する場所で あるのと 同時に 、 生物 の 生息 地、 洪 水の 防 止、水源 涵養
か んよ う 49
とい った 重 要な 役割 を 果た し てい ます 。 ま た耕作放棄 地
50
が増えると、 病害虫や雑 草の発生源、 有害鳥獣の すみか、 ごみ の 不 法投棄場にな るおそれが あります 。本市 の経営耕地面 積
51
3,901
3,364
2,911
2,419
2,057
573
883 897
0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000 4,500
平成2年 平成7年 平成12年 平成17年 平成22年 耕
地 等 の 面 積(
㏊)
経営耕地面積 耕作放棄地面積
ha
は、近年減 少しつつ あ り ます(図2-2-4)。一方 、平成12 年から平成22 年の耕作放棄地の 面積を調 べ る と、 そ の面 積は 増 加し て いま し た。 経 営 耕地 面 積が 減少 し 耕作 放 棄地 が 増加 し て い る原 因 とし ては 、 農家 数 の減 少 とと も に 、農 業 従事 者の 高 齢化 の ため 、 耕作 で き る 耕地の範囲が 狭くなって きている ことも 考えられます 。
資料:農林業 センサス
図2-2-4 経営耕地面積 等の推移
2)森林の保全
本 市 の 森 林 計 画 対 象 森 林 ( 国 有 林 ・ 民 有 林 ) は 42,495 haで あ り 、 そ の う ち 10,710 ha(25.2%)が人工林 です( 表 2-2-4)。森林は生物 の生息地 、国土 保 全、水源涵養 や二酸化炭 素の吸収 により地球温暖化
52
49 水源涵養:水源を 保ち育て 、河川の流 量を調節 するこ と。
防止等の多面的 な機能を 有 し てお り 、造 林・ 保 育と 併 せて 、 森林 資 源 の保 護 育成 が求 め られ て いま す 。し か し な がら 、 林業 従事 者 の高 齢 化や 人 手不 足 等 が原 因 とな った 森 林の 荒 廃、 材 価の 低 迷 に よる林業経営 意欲の低下 等が懸念 されて います。
50 耕作放棄地:過去 1年以上 作付けされ ておらず 、今後 も作付けの予 定がない農 地。
51 経営耕地面積:農 家が経営 する耕地の 面積。
52 地球温暖化:地球 表面の大 気や海洋の 平均温度 が長期 的に見て上昇 する現象。
課題 :農 地を 保全 する ため 、 農地 の多 面 的な 機能 を活 かす ため にも 、 生産 者の 確 保と育 成が必要です 。また、耕 作放棄地 対策を 推進すること も重要です 。
表2-2-4 森林面積等( 平成23年3月31日現在) 区 分
森林計画対象 森林 左欄のうち地 域森林計画 対象民有 林 面積(ha) 面積(ha) 材積(m
3
) 成長量(m
3
/年 ) 人工林 10,710 (25.2%) 10,041 2,139,050 52,203 天然林 31,036 (73.0%) 30,660 4,540,832 22,199
その他(竹林 等) 749 ( 1.8%) 728 - -
合 計 42,495(100.0%) 41,429 6,679,882 74,402 出典:岡山県 の森林資源
3)河川の保全
本市を流れる 高梁川水系 は淡水魚 が多い 川として知ら れており、純淡水 魚
53
の 出 現数は41種で全国第7位を 誇ります
※10
。その一方で、高梁川 水系は水 不足に なり やすい側面も あり、近年 だけでも 平成 6年、平成14年、平成17年、平成20年 に渇 水 被害 が発 生 して い ます 。 また 、 河 川に ご みが 捨て ら れ る こ とも あ り、 そ れ ら は景観を損な うだけでは なく、治 水や生 態系等に悪影 響を及ぼし ています 。
53 純淡水魚:一生を 淡水域で 過ごす淡水 魚。
※10:河川水 辺の国勢調 査(平 成12年~平成17年魚 類調査)より 。
課題:森林資 源の保護育 成、森林の 持つ 多面的機能の 維持・保全 、未来の林 業を 担う後 継者の育成が 重要です 。また 企業や環境 保全団体、NPO法人等と協働し た維持管 理作業や、啓発活 動につな がるような 市 民参加型の事 業を実施す ることも 重要で す。
課題 : 渇水 は河 川 の公 益 性を 損 なう ため 、水 源 の涵 養を 目 的と し た山 林 ・農 地の 保全 や、 節 水・ 雨 水利 用 等の 水 資源 を 大切 に 扱う 対 策が 必 要で す 。ま た 、河 川 は水 産物 を 得る 場 所と し てだ け では な く、 洪 水に よ る被 害 の防 止 、農 業 用水 や 工業 用水 、 水道 水 、景 観 の形 成 、多 く の生 物 の生 息 地と し ての 役 割も 果 たし て いま す。 こ れら 河 川の 多 面的 な 機能 を 維持 ・ 向上 さ せる た め、 公 共工 事 をは じ め、 工場排水及び 生活排水対 策、あるいは 河 川の清掃活動 、不 法投棄パト ロール等、 様々 な 視点 に たっ て 、河 川 環境 の 保全 に つな が る取 組 を継 続 的に 実 施す る こと が重要です。
3 快適環 境
(1)歴史的 文化的遺産 の現状
本市は古くか ら備中の国 の中心地 として 栄え、市内に は多くの 文化財があ ります( 表 2-2-5)。 「環境 教育 等 によ る環 境保 全の 取組 の促 進 に関 する 法 律
54
本市 にあ る 文化 財の うち 、 国指 定等 の 文 化財 は14、 県指 定の 文化 財 は28、市 指 定 の文化財は157存在して います。
」で は、 そ の 基 本 理 念 の中 で 「 文 化 、 歴 史 の継 承 に 配 慮 す る こと 」 が う た わ れ て いま す 。 ま た 、 「 高 梁 市 環 境基 本 条 例 」 に お い ても 、 そ の 施 策 の 策定 等 に 係 る 基 本 指 針 と し て 「 歴 史 的 文 化的遺産を保 存し、その 活用を図 る」こ とが挙げられ ています。
表2-2-5 文化財の数
指定等 区 分 文化財の数
国指定等
重要文化財 4
史跡 2
名勝 2
天然記念物 2
重要無形民俗 文化財 1
重要伝統的建 造物群保存 地区 1
登録有形文化 財 2
県指定
重要文化財 18
史跡 4
名勝 1
天然記念物 5
市指定
有形文化財 100
民俗文化財 8
史跡 34
名勝 1
天然記念物 14
54 環境教育等による 環境保全 の取組の推 進に関す る法律:(環境用語 集P52に記載)
課題:文化財 を適切に保 存、管理 すると ともに、活用 を図ること が重要で す。
<現状と課題 >
本市には多く の文化財や 景観資源 、都 市 公園が存在し 、それ らを適切 に保存 、管 理、活用する ことが求 められて います。これら景観資 源等を活か した地域 の活性 化、 地域コミュニ ティーの再 生が必要 です 。また、快 適な暮らし の維持・向上 及び環 境 の保全・創造 に資するた め、上下 水道等 の施設整備等 が課題にな っていま す。
(2)景観
55
1)歴史的文化的景観 資源 資源の現状
岡山県は、県民に 親しまれ 県民の誇り と なるような地 域や新たに 景観づく りを行 う べき地域を景 観モデル地 区
56
として指定 しています。本市は優れ た景観資 源に恵 ま れ ており、高梁地区が「高 梁景観モ デル地 区」に指 定されてい ます 。また 、歴史的 、文 化的に優れた 景観をもつ 施設など の背景 ・借景を保全す るための 「背景保全 地区
57
」 として、本市 の吹屋地区 が指定さ れてい ます。
2)自然景観
58
・郷土景観
59
本市の自然景 観は、環境 省による 第3回 自然環境保全 基礎調査( 昭和 58 年度 か ら昭和 62 年度実施)の 自然景観 資源 調査で調査さ れています 。本市か らは、 石灰 岩景 観 や河 川 景 観を 中 心と し て、26 カ 所の 自 然景 観 資 源が 確 認さ れ てい ま す( 表 2-2-6)。
また、自然環 境保全基礎 調査の特 定植物 群落調査(昭和53 年度、昭和 59年 度 から昭和61年度、平成9年度 、平成10年度実施)では 、学術上 重要な群 落
60
表2-2-6 自然景観資源 の数
や 保護 を 要す る群 落 等と 定 義さ れ てい る 「 特定 植 物群 落」 が 本市 か ら4 件 挙げ ら れ て おり、4件と も郷土景観 に選定さ れてい ます(表2-2-7)。
類 型 自然景観資源 名 数
石灰岩景観
カルスト地形 (中地形) 5
カッレンフェ ルド・ドリ ーネ群 5
鍾乳洞(極微 地形) 6
非火山性山地 景観
岩峰・岩柱( 極微地形) 1
非火山性孤峰 (小地形) 1
河川景観 峡谷・渓谷( 中地形) 2
滝(極微地形 ) 6
資料: 環境省第 3回自然 環境保 全基礎調査
55 景観:風景や景色 、眺めの こと。
56
景観モデル地 区:景観 計画区域(景観行 政団体で ある 市町村(中 核市及び 県の同意を 得た市町 村)の区 域を除 く「岡山県
全域」) のうち、県 民に親し まれ、県民 の誇りと なる景 観を有する地 域、新たに 優れた景 観を創造 すべき地域 。
57 背景保全地区:景 観計画区 域(景観行 政団体であ る市 町村(中核市及 び県の同 意を得た市 町村)の区 域を除く「岡山県全 域」)の うち、県民 に親しま れ、県民の 誇りとな る優れ た景観を有す る施設等の 背景を保 全するた めに必要と なる地域。
58 自然景観: 山や川、森 林、植物 群落等の 自然物で構 成されている 地域や場所 の景観の こと。
59
郷土景観:そ の地域を 特徴づけて いる自然 環境や歴 史 環境、また地 域の人々の 生業を知 ることが できる景観 のこと。
60 群落:ある基準に よって区 分された、 同じ場所 に生育 している植物 群のこと。
課題:歴史的文化 的景観資源 を大切に 守 り、将来 に引き継 ぐとともに 、美 しい景 観と調 和したまちづ くりが重要 です。また、友 好都市との提 携や市内の 学校同士 の交流 などを通じて 、地域 の再発見 や活性化 、地域コミュニ ティーづく りなど 、恵ま れ た景観資源を 有効に利活 用するこ とが求 められていま す。また 、新し い文化を創 造していくこ とも重要で す。
表2-2-7 特定植物群落
件 名 集約群落名 選定基準 面積(ha)
臥牛山の針葉 樹林 アラカシ群落 郷土景観 60
祇園寺のモミ 林 モミ-シキミ 群集 郷土景観 5
熊野神社のタ ブノキ林 タブ群落 郷土景観 0.6
穴門山神社の カシ林 シラカシ群集 極めて稀な群 落、
郷土景観 7
資料:環境省 自然環境保 全基礎調 査
(3)自然公 園・自然環 境保全地 域
※11
の現状 1)自然公園
61
本市には「岡 山県立自然 公園条 例
62
」により指定され た「高梁川 上流自然 公園 」 の範囲が 含まれ ています (図 2-2-5)。高梁川 上流自 然公園は 、高梁 川上流 部 の阿 哲台 地 一帯 と、 高 梁川 支 流の 成 羽川 流 域 に広 が るカ ルス ト 地形 を 中心 と する 地 域 及 び学術参考保 護林に指定 されてい る臥牛 山等からなっ ています。
資料:岡山県 自然環境課HPより抜粋
図2-2-5 高梁川上流自 然公園の 範囲 (緑色の部分 )
※11:資料編 P33の表7「自然景観資 源」を参 照。
61 自然公園:一定の 開発行為 を規制する ことによ り、す ぐれた自然の 風景地を保 護すると ともに、 国民の自然 とのふれあ いを推進する ことを目的 に、自然 公園法( 又は条例) に基づいて国 又は都道府 県によっ て指定さ れる地域の こと。
62 岡山県立自然公園 条例:自 然公園法に 基づき、 県立自 然公園の指定 その他自然 公園に関 し必要な 事項を定め ることを目 的として制定 。
課題 :貴 重 な存 在で あ る自 然景 観と 郷 土 景観 を大 切 な地 域の 資 源と し、 それ ら を 保全、 継承していく ことが重要 です。
高梁市境
2)自然環境 保全地域
63
本市内には「岡山県自然 保護条 例
64
」により指定され た自然環境 保全地域 、郷 土 自然保護 地域、 郷土記念 物がそ れぞれ 1 カ所あり ます( 表 2-2-8)。さら に、 環境 省が 計 画し 都道 府 県が 事 業主 体 とし て 進 めて い る長 距離 自 然歩 道 の1 つ であ る 中 国 自然歩道が、 本市を東西 に横断し ていま す。
表2-2-8 自然公園及び 自然環境 保全 地域等
指定区分 名 称 備 考
県立自然公園 高梁川上流自 然公園 新見市、井原 市も区域に 含む 自然環境保全 地域 大平山権現山 地域 有漢町有漢
郷土自然保護 地域 祇園山地域 巨瀬町
郷土記念物 津川のタブノ キ 津川町
資料:岡山県 自然環境課
(4)公園・緑地の現 状
本市の都市公 園の計画決 定等面積 は 31.90haで、そのうち 供用面積は30.50ha、 供用率は95.6%となって います( 表2-2-9)。
公園 や緑 地は 、 憩い ・ふ れあ い の場 とし て、 市民 にう る おい とや すら ぎ を与 え、 美 しい 都市 景観 を提 供 して いま す。 ま た公 園や 緑地 にあ る植 物 は、 生物 のす み かや 移動 経路としての 役割を持っ ています 。
都市計画区域 内人口は 14,700 人であり、1 人当たり供用面積は 20.7 ㎡/人 で、 岡山県平均(14.2㎡/人)と比較 して 高い水準とな っています が、全体人口 ベ ースで の1人当たり の供用面 積は、本市 が9.0㎡/人となり岡 山県平均 (12.3㎡/ 人)に 対し、低い水 準となって います。
63 自然環境保全地域:(環境 用語集P55に記載)
64 岡山県自然保護条 例:自然 と調和した 良好な生 活環境 を保全し、及 び創造する ため、生 物の多様 性の確保そ の他の自然 の保護を目的 として制定 。
課題 :本 市 の恵 まれ た 自然 環境 を理 解 し 、環 境保 全 に関 する 認 識を 深め るた め に 、自然 公園や自然環 境保全地域 等の活用 を今ま で以上に推進 する必要が あります 。
表2-2-9 都市公 園・緑地 (平 成24年3月末現在)
名 称 種別 計画決定等面積(ha) 位置
都 市 公 園
・ 緑 地
都 市 公 園
高梁中央公園 街区公園 0.12 柿木町
正宗公園 街区公園 0.12 正宗町
なりわ運動公園 総合公園 11.40 成羽町成羽
高梁運動公園 運動公園 16.20 小高下町
落合公園 近隣公園 0.66 落合町阿部
都市公園合計 - 28.50 -
緑 地
ききょう緑地 緑地 3.40 落合町近似
緑地合計 - 3.40 -
都市公園・緑地合計 - 31.90 -
供 用 面 積 - 30.50 -
資料:高梁市 資料
(5)道路・交通の現 状
本市 の交 通網 に つい て見 ると 、 鉄道 では 、J R伯 備線 が 南北 に走 り、 備 中広 瀬、 備 中 高 梁 、、 備 中 川 面 及 び 方 谷 の 5 駅 が 設 置 さ れ て い ま す 。 J R 西 日 本 に よ れ ば 、 平 成 21年度の備中高 梁駅の1日 平均乗車 人 員は2,160人
※12
(普通678人、定 期1,483 人)であり、 JR伯備線 では総社 駅の2,947人に次いで 多くなっ ています 。
また、主な道 路としては 、岡山自 動車道 、一般国道 180 号、同 313 号、同 484 号及 び主 要地 方道 高 梁御 津線 、同 新 見川 上線 等が あり 、高 梁 市の 幹線 道路 と して の役 割を担ってい ます。
国道及び主要 地方道の道 路交通量(平成22年秋期観測 )は、一般国道180号や同 313号で24時間交通量が10,000台 を超える地点 があります(表2-2-10)。平成 17年の観測値に 比較すると、岡 山自動 車道の自動車 類交通量が、3区間とも に60% 以上増加して います。
課題:公園や緑地 は、憩 い・ふれあい の 場として 、市民に うるおいと やすらぎ を 与える ばかりでなく 、生物のす みかや移 動経路 としての役割 を持ち、ま た、避難 場所と しても重要な 役割を果た します。岡 山県 平均と比べ1 人当たりの 都市公園 面積が 少なく、市民アンケ ートでも「公園 の数 や広さ」の満足度が 低いため 、公園・緑 地の地域間の 均衡に配慮 した整備 が求め られます。
※12:岡山県 統計年報( 平成21年、岡山県) より引用 。岡山県統計 年報の中で 「乗車人 員(人/ 日)の計は 、各駅ごと に総数から算 出している ため内訳 の合計と 一致しない 場合がある 。」と説 明がある 。
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