皆さん、からだやこころに何かちょっと実感できることが表われているでしょうか。体重や血圧など数値としては現れていなくても、
「疲れにくくなってきた」「からだがしまった感じがする」「ぐっすり眠れるようになった」など、何らかの実感が出てきたらしめたも
のです。実感できない場合、健康行動の継続に問題があることが考えられます。継続できていない方は、スモールチェンジ活動の敷居
が高い、つまり欲張りすぎているか、あるいは続ける工夫をうまく行っていないかのどちらかです。今回は、続ける工夫として、セル
フマネジメント(自己管理)技法、すなわち継続のコツについて解説します。
簡単でよいので、自分用のカレンダーに体重だけでなく、自分で決めたスモー ルチェンジ行動を◎○△×で記録してみましょう。記録をつけることは「セル フモニタリング(自己監視)」と呼ばれ、健康づくりのプログラムでよく使われ ています。セルフモニタリングは、自分の行動を自分で監視し、そうすること で行動実践の拘束力を高め、さらに進 の度合いや問題点を探るために用いら れます。自分が決めた健康行動の実践に対して、単に行ったか、行わなかった かについて○×で記録する簡単なものから、◎○△×など行動の度合いを考慮で きるもの、そして歩数など具体的な数字で表される記録を行う方法があります。
Specific(具体的な) 何を、いつ、どの程度行うのかを示す
Measurable(測定可能な) どの程度行うかを数量で確認できる
Appropriate(適切な) 自分のニーズや好みに沿っている
Realistic(現実的な) 現状で現実的に達成可能である
Time-bound(期限を定めた) 行動変容を達成する期限を示す
行動の習慣化を強めるために、セルフモニタリングに加えて、目標 設定をうまく行うと効果が上がります。目標設定は、目標が量的で、 しかも短期(毎日あるいは週ごと)に設定される時に最も効果を発揮 します。右の表は、目標を設定する時に留意する必要があるSMART ポイントを示しています。
なお、目標は、行動内容についての設定であって、成果や結果で はありません。例えば、5kg減量するという目標ではなく、週に3回、 1日につき10分間のウォーキングを行うなどの行動目標を立てます。
目標設定のSMARTポイント
セルフモニタリング
自分で記録をつける
目標設定
効果の上がる目標を考える
所沢市 with 早稲田大学応用健康科学研究室
ソーシャルサポート
ソーシャルサポートとは、あなたの健康行動を継続させるために、他人から援助してもらうことです。 他人といっても、家族や同僚、友人など親しい人がよいですね。野菜料理を多くしてもらう、ドレッシン グの油分や塩分の代わりに香辛料やお酢を使ってもらうなど、奥さんに頼んでみてはいかがでしょうか。 また、自分が散歩に行きたい時には、だんなさんを一緒に誘ったり、代わりに掃除や料理を頼んでみるの もよいですね。ただし、「あなたの作った料理は最高、ありがとう」など、少々の褒め言葉も必要です。
認知的方略
友人、家族の支援をうまく使う
ポジティブな考え方にする
認知的方略とは、健康行動の実践をポジティブに考えることです。その一つに、健康行動を行うことによる「恩恵感」と「負担感」を天 に かける方法があります。例えば、散歩すると時間をとられる、面倒くさい、疲れる、などは、散歩を行う際に感じる「負担感」です。健康行動 には必ず「負担感」が伴います。しかし、「負担感」にばかり目を向けていくと、あなたの健康行動は始まらないし、続けていくことも難しく なります。「負担感」はあって当然なので、健康行動を続けていくと将来どんなよいこと が起こるかを考えてみましょう。お腹がへっこむ、息切れがなくなる、口臭がなくなる、 よく眠れるようになる、などの「恩恵感」です。ポジティブな「恩恵感」を持ちながら 実践してみましょう。
時々、おかしなことを言う人がいます。例えば、タバコをやめると太りやすい、運動 すると疲れて何もできない、野菜を食べるとお腹をこわす、汗をかかないと運動の効果 はない、などです。実際のところ、タバコをやめると肺の健康によく、運動すると疲れ にくくなり、野菜を食べるとお通じがよくなり、汗をかかなくても効果はあります。スモー ルチェンジ活動は、思い込みや合理的でない考えにチャレンジして、効果を上げています。