神奈川銀杏会 三火会 報告 開催日:2013年5月21日(火) 話題提供者: 長岡芳雄氏 (S30教育) 題名: 「アフター65の生き方」
内容: この3年間、三火会例会で「わが国の現状と将来」と言うテーマで、多くの課題について論じてき た。今回は、将来に亘り制度上も、財源上もわが国の最大の課題である高齢化の問題を(対局には少子化の 問題がある)、一つの体験事例として取り上げる。高齢化指標として「平均寿命」は東北大震災の影響もあ り、若干下がっているが、まだ男女合わせた数字は世界トップレベルである。病気や怪我で健康が損なわれ た期間を除く「健康寿命」は世界1である。昨年傘寿を迎え、80才という年齢は一つの通過点であると考 えながら、感覚的には戦中を経験した者として、よく生きたという感慨であった。男性の平均寿命は79 才、80歳の「平均余命」は約8年である。話題になった、ローマ法王の選挙権があるのは79才まで、国 内の身近な問題としては、80才以上の者が、投資信託等いわゆる、リスク商品を購入する際には、原則と して、70才以下の親族が同席する必要がある。(金融庁の指導指針)
この傘寿を迎えた昨年、メンバーとなっている、NPO法人「関東シニアライフアドバイザー協会」から 推薦を受け「東京都福祉サービス第三者評価者」の研修を受け、試験に合格し、資格を取得することができ たので、「傘寿の手習い」として、今後多少なりとも、社会に役立てるのではないかと考え、内容をお伝え したい。この「東京都福祉サービス第三者評価者」は、「福祉系」(医師・看護師・保育士・社会福祉士 等)、または「経営系」(一定の規模の企業での常勤役員)のいずれかの資格を有し、3年以上の実務経験 があること、さらに認定された「評価機関」に所属し、所定の研修を受け、試験に合格することが必要であ る。資格審査は煩雑で、研修は数百ページに及ぶテキストと演習で6日間、目いっぱいの厳しいものであっ た。評価者の業務は、毎年、東京都福祉機構が発行する「福祉サービスガイドブック」に基づいて、利用の 福祉施設についての不満・要望等を収集する「利用者調査」と、運営面の「事業者評価」を実施する。1施 設につき、評価者3人以上が評価計画から報告書の作成まで、一貫して担当する。報告書は事業者が確認の 上、東京都のホームページに公開される。評価対象となる福祉サービスは、高齢者関連15種、障害者対象 の19種、こども家庭対象5種、婦人保護対象の4種である。日本の福祉施策は種類が多く、キメの細かい 対応をしているが省庁の縦割り行政で無駄もあり、欧米と比べ高福祉・低負担となっている。
また、安楽死・尊厳死・平穏死、終活、直葬等、最近高齢者を巡り話題となっている言葉について説明が あった。なお、日本では安楽死は法制化されていないが、米国ではオレゴン州、ワシントン州等で法制化さ れている。
長岡氏からの説明に続いて、出席者からの質問・意見があった。 ①評価者への報酬はあるのか。回答: 評価者の所属機関に対してある。受験費用は個人負担。 ②誘いかけがあって受験したのか。回答:所属機 関である「関東シニアライフアドバイザー協会」メンバーとしてシニア相談を担当していることもあり、推薦 を受けた。 ③この仕組みはよく考えられたものと思うが、研究の成果として考えられたのか? 回答:社 会福祉法で「福祉施設は第三者の評価を受けることが望ましい」と定められている。評価の実施は利用者の 要望が福祉施設の運営に生かされることが望まれており、第三者の評価を受けることが施設の評価を高めて いる。 ④評価機関は「関東シニアライフアドバイザー協会」以外にあるのか。回答;東京都で126あ り、全国では400を越えている。 ⑤資格取得後の活動は?回答:所属している評価機関が評価を受託し た施設毎に評価計画を作成し評価を開始する、報告書の纏めまでに通常3∼6カ月程度を要する。 ⑥評価 を受ける施設は自分で費用負担するのか。回答:契約金額に相当する費用が行政から補助される。 ⑦横浜 市でもこのような活動をしているのか。回答:実施主体は神奈川県であるが、スタッフは少なく、評価実績 も少ない。実績のあるのは東京都だけで、東京都の財力と人材の豊富さを実感した。 ⑧評価は何のために するのか。回答:評価報告書に基づいて、事業者は組織運営の改善点を見いだし、施設利用者は不満や要望 に対する改善が期待できる。施設全体としては、第三者評価を受け、公表されることで信用が高まることと なる。 ⑨国の省庁縦割りの現実と地方での施策との齟齬については、力ある地方自治体は国の縦割りを無 視して実行している。 ⑩福祉・介護施設は常時人手不足である、一方で介護保険収入により、経営は成り 立つ。マーケットはなくならない。弱者を相手にする商売は かると言う現実がある。(文責:林しん治)