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本研究では、FR- 高発現がん細胞特異的な全身投与型 siRNA キャリアとしての Fol-PC の構築と有用性評価を行った。第 1 章では、Fol-PC (G3) を調製し、in vitro およ

in vivo において、がん細胞特異的な siRNA キャリアとしての有用性を評価した。第

2 章では、Fol-PC (G3)/siRNA 複合体の安定性や in vivo RNAi 効果の向上を目的と して、ジェネレーションを上げた Fol-PC (G4) を調製し、Fol-PC (G3) と同様に、

がん細胞特異的な siRNA キャリアとしての有用性を評価した。第 3 章では、Fol-PC

(G4)/siRNA 複合体の血中での安定性および in vivo RNAi 効果のさらなる向上を企図し、

Fol-PC (G4)/siRNA/低分子サクラン三元複合体を調製し、その遺伝子発現抑制効果を in

vitro および in vivo で評価した。以下に本研究で得られた知見を総括する。

【第 1 章】がん細胞特異的 siRNA キャリアとしてのPEG 化葉酸修飾デンドリマー (G3)/-シクロデキストリン結合体 (Fol-PC (G3)) の有用性評価

1) 葉酸と PEG (MW 2,000) を反応させ、Fol-PEG-COOH を調製後、-CDE (G3, DS2) と Fol-PEG-COOH を種々の割合で反応させ、葉酸置換度の異なる 3 種類の Fol-PCs (G3, DSF2, 4, 7) を調製した。

2) ルシフェラーゼ遺伝子一過性発現 KB 細胞 (FR 高発現細胞) において、葉酸置換 度 4 の Fol-PC (G3, DSF 4) と siRNA との複合体が、他の Fol-PCs (G3) 複合 体よりも高い RNAi 効果を示した。また、Fol-PC (G3, DSF4)/siRNA 複合体の遺 伝子発現抑制効果における至適チャージ比は 20 であった。

3) Fol-PC (G3, DSF4)/siRNA 複合体の遺伝子発現抑制効果は、血清添加濃度依存的

に低下したが、10% FBS 存在下でも有意な遺伝子発現抑制効果を保持し、血清耐 性能を一部有することが示唆された。

4) Fol-PC (G3, DSF4)/siRNA 複合体は、FR- を介した細胞内取り込みに適した物理

化学的性質を示した。

5) Fol-PC (G3, DSF4)/siRNA 複合体は、FR- を介して細胞内に取り込まれ、FR-

高発現細胞選択的に遺伝子発現抑制効果を誘導することが示唆された。

6) Fol-PC (G3, DSF4)/siRNA 複合体は、細胞内に取り込まれた後、デンドリマーの

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プロトンスポンジ効果に加え、-CyD のエンドソーム脱出促進効果により効率的 にエンドソームを脱出後、細胞質に多く分布することが示唆された。

7) ルシフェラーゼ遺伝子安定発現 Colon-26-luc 細胞を移植した担がんマウスにお いて、Fol-PC (G3, DSF4)/siRNA 複合体を腫瘍内に直接投与すると、配列特異的 な遺伝子発現抑制効果を示し、in vivo においても RNAi 効果を誘導可能なことが 示唆された。また、本複合体を尾静脈内に投与した場合、配列特異的な遺伝子発現 抑制効果を誘導する傾向が示された。

8) TRITC-Fol-PC (G3, DSF4)/FITC-siRNA 複合体を担がんマウスに尾静脈内投与す ると、一部解離し、血中から消失したものの、FITC-siRNA および TRITC-Fol-PC

(G3, DSF4) は腫瘍組織に移行可能であることが示唆された。

9) Fol-PC (G3, DSF4)/siRNA 複合体は、市販のキャリアと比較して低い細胞障害性

を示し、インターフェロン応答を誘導せず、さらに、静脈内投与後、血液生化学検 査値に影響を与えなかったことから、安全性に優れる可能性が示唆された。

【第 2 章】がん細胞特異的 siRNA キャリアとしてのPEG 化葉酸修飾デンドリマー

(G4)/-シクロデキストリン結合体 (Fol-PC (G4)) の有用性評価

1) -CyD 置換度の異なる 5 種類の -CDEs (G4, DS1.6, 2.9, 3.5, 4.5, 5.0) を用いて、

ルシフェラーゼ遺伝子一過性発現 KB 細胞 (FR- 高発現細胞) における RNAi 効果を検討した結果、-CyD 置換度 2.9 の -CDE (G4, DS2.9)/siRNA 複合体が最

も高い RNAi 効果を示した。

2) -CDE (G4, DS2.9) と Fol-PEG-COOH を種々の割合で反応させ、葉酸置換度の異 なる 4 種類の Fol-PCs (G4) を調製した。1H-NMR スペクトルの結果より算出し た Fol-PCs (G4) の葉酸置換度は、それぞれ2、4、6 および 11 であった。

3) 葉酸置換度の異なる 4 種類の Fol-PCs (G4, DSF2, 4, 6, 11) を用いて、ルシフェ ラーゼ遺伝子一過性発現 KB 細胞 における RNAi 効果を検討した結果、葉酸置 換度 2 の Fol-PC (G4, DSF2)/siRNA 複合体が最も高い RNAi 効果を示した。さ らに、その RNAi 効果はチャージ比 (キャリア/siRNA) 10 で最も高いことが示唆 された。

4) Fol-PC (G4, DSF2)/siRNA 複合体は、KB 細胞上の FR を介して細胞内に取り込 まれ、RNAi 効果を誘導することが示唆された。

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5) Fol-PC (G3, DSF4)/siRNA 複合体は、20% 以上の血清存在下において有意な

RNAi 効果を示さなかったのに対して、Fol-PC (G4, DSF2)/siRNA 複合体は、50%

血清存在下においても RNAi 効果を誘導可能であり、Fol-PC (G3, DSF4)/siRNA 複合体よりも血清耐性能が高いことが示唆された。

6) Lipofectamine® 2000/siRNA 複合体を KB 細胞にトランスフェクションすると、

IFN- およ び TNF- mRNA の発現が誘 導されたのに対し て 、Fol-PC (G4,

DSF2)/siRNA 複合体はインターフェロン応答を誘導しなかった。

7) Fol-PC (G4, DSF2)/siRNA 複合体を KB 細胞にトランスフェクション後、Fol-PC

(G4, DSF2) は、細胞内に蓄積しにくく、また、徐々に細胞外に排出されることが

示唆された。

8) ルシフェラーゼ遺伝子安定発現 Colon-26-luc 細胞を移植した担がんマウスにお いて、Fol-PC (G3, DSF4)/siRNA 複合体を尾静脈内投与しても、コントロールに 比 べ て 、 有 意 な RNAi 効 果 は 認 め ら れ な か っ た の に 対 し て 、Fol-PC (G4,

DSF2)/siRNA 複合体は、腫瘍内ルシフェラーゼ活性を約 40% 低下させ、コントロ

ールと比べて有意差が得られた。

9) Fol-PC (G4, DSF2)/siRNA 複合体の細胞障害性は、デンドリマー (G4)/siRNA 複 合体や -CDE (G4)/siRNA 複合体に比べて低かった。また、本複合体は、マウス 尾静脈内投与後も、血液生化学的パラメータに大きな変化を与えなかったことか ら、in vitro および in vivo において安全性に優れる可能性が示唆された。

10) TRITC-Fol-PC (G4, DSF2)/FITC-siRNA 複合体を担がんマウス尾静脈内に投与し

た場合、FITC-siRNA は投与後 5 時間で完全に血中から消失したのに対して、

TRITC-Fol-PC (G4, DSF2) は 5 時間後も血中に存在し、高い血中滞留性を示した。

さらに、TRITC-Fol-PC (G4, DSF2) および FITC-siRNA は腫瘍組織へ移行するこ とが示唆された。

【第 3 章】Fol-PC (G4, DSF2)/siRNA/低分子サクラン三元複合体化による腫瘍特異 的 siRNA デリバリー効率の向上

1) Fol-PC (G4, DSF2)/siRNA/Sacran (1000, 10000) 三元複合体は、二元複合体と同程 度の細胞内取り込みを示した。一方、Sacran (100) との三元複合体の細胞内取り込 みは、二元複合体に比べて有意に上昇した。

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2) Fol-PC (G4, DSF2)/siRNA/Sacran (100) 三元複合体は、KB 細胞上の FR- を介し て、細胞内に取り込まれることが示唆された。

3) Sacran (100) の添加は Fol-PC (G4, DSF2)/siRNA の複合体形成能に大きな影響を 及ぼさないことが示唆された。また、三元複合体の粒子径および -電位は、二元 複合体と比較して有意に減少した。

4) Fol-PC (G4, DSF2)/siPLK1 二元複合体の in vitro RNAi 効果および殺細胞効果は、

Sacran (100) との三元複合体化によって有意に上昇することが示唆された。

5) 高チャージ比における Fol-PC (G4, DSF2)/siRNA 複合体の細胞障害性は、Sacran

(100) との三元複合体化によって軽減されることが示唆された。

6) Fol-PC (G4, DSF2)/siRNA/Sacran (100) 三元複合体は、二元複合体と比較して有意 に高い in vivo RNAi 効果を示した。

以上述べたように、Fol-PC (G3, DSF4) は、in vitro および in vivo において FR-

高発現がん細胞選択的 siRNA キャリアとして優れた性質を有することが示唆された。

また、デンドリマーのジェネレーションを上げた Fol-PC (G4, DSF2) は、Fol-PC (G3,

DSF4) と比較して、安定性および血中滞留性に優れるがん細胞選択的な全身投与型

siRNA キ ャ リ ア と し て 有 用 で あ る こ と が 示 唆 さ れ た 。 さ ら に 、Fol-PC (G4,

DSF2)/siRNA 二元複合体は Sacran (100) との三元複合体化によって、細胞内取り込み、

in vitro RNAi 効果、安全性および in vivo RNAi 効果を向上させ、腫瘍選択的 siRNA キャリアとして有用である可能性が示唆された。本研究で得られた知見は、siRNAに 対するがん細胞特異的なキャリアを開発する上で、有用な基礎的資料となるものと考 えられる。

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