第 3 章 Dynamical supersymmetry 26
3.3 Representations of hadrons
ここからはハドロンに対するV(3)の表現を見ていく. sクォークとudダイクォークの質量が
500 MeV程度で近いという仮定を考慮し, V(3)の基本表現としてストレンジクォークのスピン上下
と,ud反ダイクォークを以下のように3重項を組んだ: Ψi=
ψ1 ψ2 φ3
=
s↑ s↓ ud
, (3.103)
これはカラー3重項を持っている. この基本表現を元にハドロンを構成していく. 取りうるハドロ ンの表は図3.1に示す.
3.3.1 Triplet Representation
基本表現はカラーを持っているのでΨ単体ではハドロンを構成できない. ここではheavy quark と反3重項でカラー白色のハドロンを作る. まず最初にheavy quarkとしてチャームクォークを選
び,ciとΨˆj でハドロンを構成する. チャームクォークはスピン1/2で添字のiは1から2が走る. 2⊗3なので6つの成分が取れる. スピンの固有状態で見ると,スピン3重項,単重項, 2重項,
Ds∗={ψˆ2c1, 1
√2( ˆψ1c1−ψˆ2c2),ψˆ1c2}, Ds = 1
√2( ˆψ1c1+ ˆψ2c2), Λc={φˆ3c1,φˆ3c2}, (3.104) のように分けられる. このようにして見ると, V(3)の対称性によってD∗s,Ds,Λcが1つの表現に 縮退している. これらの共役な成分は
Dˆs∗={cˆ1ψ2, 1
√2(ˆc1ψ1−cˆ2ψ2),cˆ2ψ1}, Dˆs = 1
√2(ˆc1ψ1+ ˆc2ψ2), Λˆc ={−ˆc1φ3,−cˆ2φ3}. (3.105) ここで( ˆψ2c1)† = (c1)†( ˆψ2)†= ˆc1ψ2,( ˆφ3c1)† = (c1)†( ˆφ3)†=−ˆc1φ3というのを使った. このハド ロンに対する3表現の質量項は共通質量m0とすると,
m0( ˆDs∗D∗s+ ˆDsDs+ ˆΛcΛc)
=m0
[ ˆ
c1(ψ1ψˆ1+ψ2ψˆ2−φ3φˆ3)c1+ ˆc2(ψ1ψˆ1+ψ2ψˆ2−φ3φˆ3)c2 ]
(3.106)
=−m0
[ ˆ
c1( ˆψ1ψ1+ ˆψ2ψ2+ ˆφ3φ3)c1+ ˆc2( ˆψ1ψ1+ ˆψ2ψ2+ ˆφ3φ3)c2 ]
(3.107) と書くことが出来る. この質量項はV(3)の回転に対して不変である.
同様にしてボトムクォークを考えることで,Bs∗,Bs,Λb
B∗s ={ψˆ2b1, 1
√2( ˆψ1b1−ψˆ2b2),ψˆ1b2}, Bs = 1
√2( ˆψ1b1+ ˆψ2b2), Λb={φˆ3b1,φˆ3b2} (3.108) が縮退する.
3.3.2 Mesonic representation
次にメソニック表現 ΨˆiΨj ⊕ΨˆiΨj を見ていこう. V(3) の表現としては節3.3.2 において 3⊗¯3 =1⊕8であることをみた. しかし8重項と1重項は質量が近いと考えられる. このためメ
表3.1 V(3)代数においての取りうる表現.アスタリスクのついた表現に関しては軌道角運動量 などの励起を考慮している.丸カッコの中身は考えうるスピン-パリティJPの構成である.励起 状態に関しては全スピンJではなく,取りうるスピンSで記している.またcクォークに関して はV(3)表現の外から持ってくるため,bクォークのようにcではなく他のクォークを用意するこ とができる.
V(3) quark contents hadrons
Ψcˆ ¯3 sc¯ (1−,0−), udc(12+) D∗s,Ds,Λc
ΨΨˆ 9 ss¯ (1−,0−), uds(12+), ud¯s(12−), udud(0+) ϕ,ηs,Λ,f0
ΨΨc 5 ssc(12+, 32+), udsc(0+,1+) Ωc,Tcs
4∗ ssc(S = 12), udsc(S = 0,1), ududc(S= 12) Ωc,Tcs,Θc
ΨΨΨ 7 sss(32+), udss(1+) Ω,Tss
8∗ sss(S = 12), udss(S = 0,1), ududs(S = 12) Ω∗,Tss,Θ 4∗∗ udss(S = 0), ududs(S = 12), ududud(S= 0) Tss,Θ∗, dibaryon
ソニックに対して8と1で分けず9表現として考えることができる. よってこれ以降8重項と1重 項を混ぜて議論していく. メソニックにおける(3.52)のような行列表現は
Mij = ˆΨiΨj (3.109)
のように取れる. Mij に対する量子数を考えてみると,以下のようにハドロンをMij に対応させる ことができる:
ϕ={M21, 1
√2(M11−M22), M12}, ηs = 1
√6(M11+M22+ 2M33), f0= 1
√3(M11+M22+M33), Λ ={M31, M32}, Λ =¯ {M23, M13}. (3.110)
ここで,ηsはsクォークで構成される擬スカラーメソンである.
式(3.9)と(3.13)によって与えられる共役な場を導入すると,
ϕˆ={M12, 1
√2(M11−M22), M21}, ηˆs= 1
√2(M11+M22), fˆ0=−M33,
Λ =ˆ {−M13,−M23}, Λ =ˆ¯ {M32, M31} (3.111) を得る. ここで,これらのハドロンの(+)成分に対して共役なものを考えると,
Mˆij = (Mij)† = ( ˆΨiΨj)†= (Ψj)†( ˆΨi)† = (−)δ3iΨˆjΨi≡(−)δ3iMji. (3.112) 質量項はハドロンの共通の(破れのない)質量をm0とすると,
m( ˆϕϕ+ ˆηsηs+ ˆf0f0+ ˆΛΛ + ˆΛ ¯¯Λ)
=m0(M12M21+M11M11+M22M22+M21M12−M33M33
−M13M31−M23M32+M32M23+M31M13) (3.113)
=m0
[ψˆ1(ψ1ψˆ1+ψ2ψˆ2−φ3φˆ3)ψ1+ ˆψ2(ψ1ψˆ1+ψ2ψˆ2−φ3φˆ3)ψ2
+ ˆφ3(ψ1ψˆ1+ψ2ψˆ2−φ3φˆ3)φ3 ]
(3.114) となる. これはV(3)の変換に対して不変である. そのためV(3)対称性が保たれていれば,ϕ,ηs,f0
とΛの質量が縮退する.
このあとの計算のためにこれらのハドロンの行列形式を以下のように導入する:
M =
√1
2(ϕ0+ηs) ϕ↓ Λ↓ ϕ↑ −√12(ϕ0−ηs) Λ↑
Λ↑ Λ↓ f0
, Mˆ =
√1
2( ˆϕ0+ ˆηs) ϕˆ↑ −Λˆ↑ ϕˆ↓ −√12( ˆϕ0−ηˆs) −Λˆ↓ Λˆ↓ Λˆ↑ −fˆ0
.
(3.115) このようにすると,行列形式での質量項は
m0Tr[ ˆM M]. (3.116)
のように表せる.
3.3.3 Other representations
ここからは質量項を議論せずにその他の表現を見ていきたい.
ΨΨchadron
ここではΨΨcから成るハドロンについて考える. 基底状態では動径方向の波動方程式は対称に 組まれている. cとΨはカラー3重項なので“ダイクォーク”状態ΨΨのカラーの組み方は反対称 にならなくてはいけない. そのためΨΨはV(3)の5表現に含まれる. 5表現では,スピン1のss と,スピン1/2のudsがあり,そこにチャームを付けるとスピン1/2と3/2のssc(これはΩcバリオ ンだが)とスピン0,またはスピン1でチャームのテトラクォークudscが得られる. udscは4つの フレーバーがすべて異なる純粋なテトラクォークである. 同様の議論がボトムクォークでも出来る.
スピン1/2, 3/2のΩbバリオンとスピン0, 1のテトラクォークudsbが5表現を組む. この後これ
らのテトラクォークの質量に対して議論していく. テトラクォークu¯dcb¯ に対してRef. [28]で議論 されている.
Ψの励起を許すとΨΨに対して4表現を取ることが出来る. cクォークを混ぜることによって, スピン1/2のcss,スピン0と1のudsc,スピン1/2のペンタクォークududcが組める.
Baryonic representation
バリオニック表現は基本表現3つΨΨΨから構成される. カラー白色であるハドロンは完全反対 称である. 軌道角運動量を対称に組み,基底状態を用意すると,それら状態に7表現が対応する. こ の表現ではsssで構成されるスピン3/2のΩ粒子とスピン1のテトラクォークudssが表現の中に 入る.
ここで,Ψの軌道角運動量を反対称に組むと, 8表現も取ることが可能になる. この表現では励起 されたスピン1/2のΩバリオンと,スピン0, 1のテトラクォークudssと,スピンの1/2のペンタ クォークududsが縮退する.
軌道角運動量を2つ励起させてみると, 4表現も取ることが出来る. ここには励起されたスピン0 のテトラクォークudss,励起されたスピン1/2のペンタクォークududs,スピン0のダイバリオン udududが入る.