• 検索結果がありません。

KISHINE, “Signature of the Staggered Flux State around a Superconducting Vortex,” Workshop on Defects in Correlated Electron Systems, Dresden (Germany), July 2001

ドキュメント内 「分子研リポート2001」 (ページ 95-106)

K. YONEMITSU, “Correlation-Induced Dimensional Crossovers of Charge-Transfer Excitations in Quasi-One-Dimensional Organic Conductors,” 56th Yamada Conference “The Fourth International Symposium on Crystalline Organic Metals, Superconductors and Ferromagnets,” Hokkaido (Japan), September 2001.

K. YONEMITSU, M. KUWABARA and N. MIYASHITA, “Variation Mechanisms of Ground-State and Optical Excitation Properties in Quasi-One-Dimensional Two-Band Electron Systems,” International Symposium on Cooperative Phenomena of Assembled Metal Complexes, Osaka (Japan), November 2001.

K. YONEMITSU, “Correlation and Lattice Effects on Charge Ordering and Dynamics in Quasi-One-Dimensional π and p-d Electron Systems,” 7th China-Japan Joint Symposium on Conduction and Photoconduction in Organic Solids and Related Phenomena, Guangzhou (China), November 2001.

米満賢治, 「低次元金属錯体で競合する相互作用、有限温度相図、励起ダイナミクス」, 集積型金属錯体平成13年度公開 シンポジウム, 仙台 , 2001年 12月 .

B -6) 学会および社会的活動 学協会役員、委員

日本物理学会名古屋支部委員 (1996-97, 98-2000).

日本物理学会第 56期代議員 (2000-01).

学会誌編集委員

日本物理学会誌 , 編集委員 (1998-99).

C ) 研究活動の課題と展望

有機導体や金属錯体には異なる軌道の電子や格子振動モードがあり,プレーヤーが多く,舞台も様々で,現れる電子状態も 多様性に富んでいる。理論的には電子相関の扱いが特に低次元電子系で注意を要するが,基底状態に関して言えば,か なりの現象が整理できたように思う。しかし量子多体系の励起状態は未開拓の分野である。ひとつは量子臨界点近傍の励 起スペクトルで,研究が盛んなところでもある。ほかに分子性物質においてよく観測されるにもかかわらず,研究が進んでい ないことも多い。例えば非平衡の現象でもある光誘起相転移では,現象の理解がある時間領域あるいはエネルギー領域に 偏っている。短時間スケールでは量子化学的な詳細がみえているが,長時間スケールでは相転移の統計力学的性質が支

配的で量子性も熱浴に乱されてしまう。その中間には量子多体問題特有の競合問題や非線型問題が様々なスケールで現 れている。ダイナミクスを理論的に記述するのにこれまでは古典変数と確率論に基づくことが多かった。しかし電子物性理 論は新たな視点を与え,複雑な現象がより少ないパラメタで記述されることもある。これは多体問題が本質的な非線形問題 であるからである。さらにこれは量子統計力学的な研究が,微視的な詳細を追う少数電子系の量子化学と,巨視的な現象 を普遍的に扱う古典統計力学を,橋渡しする上でも有用なことを意味する。ダイナミックな現象は応用との関連もあり,よく話 題にされる。しかし学術的なことがまだたくさん埋もれており,今後も研究を進める。

3-3 分子構造研究系

分子構造学第一研究部門

岡 本 裕 巳(教授)

A -1)専門領域:分子分光学

A -2)研究課題:

a) 超高速赤外分光法による分子内電荷移動励起種の構造・ダイナミクスに関する研究 b)近接場光学的手法による超高時間空間分解分光システムの構築

A -3)研究活動の概略と主な成果

a) 光励起によって生成した短寿命励起種の分子構造を探るには,現時点では過渡振動スペクトル(赤外・ラマン)が最 も有効と考えられる。我々はピコ秒領域の指紋領域(波数1700-900 cm

-1

)の赤外吸収分光法を用いて,4-ジメチルア ミノベンゾニトリル(D MA B N)を典型例とする分子内電荷移動(IC T )励起状態に関して,構造とダイナミクスの研 究を行った。またそれと密接 な関りを持つ局在励起( L E )状態および基底電子状態に 関しても詳細に検討した。

D MA B N については中垣良一教授(金沢大),K laas Z achariasse 博士(マックスプランク研究所)の協力を得て種々の 同位体置換体の測定を行った。その結果から,DMA B NがIC T 状態でベンゼノイド型とキノイド型の両方の電子構造 の寄与を含むこと,Ph−NMe2結合は単結合的であることを示した。またL E 状態についても赤外吸収スペクトルを 測定し,他の研究グループによって以前に報告されていたスペクトルの誤りや,量子化学計算結果の問題点等が明 らかとなった。また D MA B N とベンゾニトリル部位の構造は同一で,電子供与性基が異なる 4- ピロロベンゾニトリ ル( PB N )の IC T 状態についても測定を行った。PB N と D MA B N の IC T 状態のスペクトルは,ベンゾニトリル部位の 振動バンドについて共通性が高いことが明らかとなった。これらの結果は,数十年間未解決の問題となっているIC T 状態の構造を議論する上でのマイルストーンとなるものと考えている。

b)分子・分子集団におけるナノメートルスケールの空間的挙動と(超)高速ダイナミクスを探るための,近接場時間分 解分光装置の製作を行った。近接場光学顕微鏡は光ファイバプローブを用いたシアーフォース制御方式の市販装置 のパーツを購入して利用し,これにフェムト秒T i:Sapphireレーザーおよび分光器,光学系等を追加した。現在装置の 基本性能を知るためにテスト試料の測定を行っている。測定モードは近接場光による照射・集光が保証されるイル ミネーション・コレクション(IC )モードを基本としているが,他のモードが可能なように改造することは容易であ る。空間分解能については,100 nmオーダーの空間分解能が近接場光学像により得られている。時間分解測定は,蛍 光検出2光子吸収を用いた時間分解吸収相関法で行った。半導体(GaA s)結晶試料を用いて,200 fs程度の時間分解 能で測定が可能であることを確認しており,また実際に 50 ps 程度の緩和を観測した。

B -1) 学術論文

H. OKAMOTO, H. INISHI, Y. NAKAMURA, S. KOHTANI and R. NAKAGAKI, “Picosecond infrared spectra of isotope-substituted 4-(dimethylamino)benzonitriles and molecular structure of the charge-transfer singlet excited state,” J. Phys. Chem.

A 105, 4182 (2001).

B -4) 招待講演

H. OKAMOTO, “Picosecond infrared spectra (1700–900 cm–1) and structures of intramolecular charge-transfer excited states:

4-(dimethylamino)benzonitrile and related compounds,” The Tenth International Conference on Time-Resolved Vibrational Spectroscopy, Okazaki (Japan), May 2001.

B -5) 受賞、表彰

岡本裕巳 , 光科学技術研究振興財団研究者表彰 (1994).

岡本裕巳 , 分子科学研究奨励森野基金 (1999).

B -6) 学会および社会的活動 学協会役員、委員

日本化学会トピックス小委員会委員 (1993-1996).

日本分光学会編集委員 (1993-2001).

日本分光学会東海支部幹事 (2001- ).

学会の組織委員

The International Symposium on New Developments in Ultrafast Time-Resolved Vibrational Spectroscopy (Tokyo), Organizing Committee (1995).

The Tenth International Conference on Time-Resolved Vibrational Spectroscopy (Okazaki), Local Executive Committee (2001).

B -7) 他大学での講義、客員

お茶の水女子大学大学院理学系研究科 , 「構造化学」, 1996年 12月 . 立教大学大学院理学系研究科 , 「構造化学特論1」, 1997 年 4月 -9 月 .

お茶の水女子大学大学院理学系研究科 , 「分子集合体物性論」, 1999年 6 月 -7 月 . 立教大学大学院理学系研究科 , 「構造化学特論1」, 1999 年 4月 -9 月 .

東京大学教養学部 , 「物性化学」, 2000年 4 月 -9月 .

立教大学大学院理学系研究科 , 「構造化学特論1」, 2001 年 4月 -9 月 .

C ) 研究活動の課題と展望

上記の研究活動の内 a)は,主として着任前の研究課題の継続である。これについては,個別の問題にはまだ十分解決でき ていない点(IC T 状態のD MA B Nの構造を現時点で完全に明らかにできていないこと等)もあるものの,所期の目的を達す ることはできたと考えている。この研究活動には本年度前半をもって一旦区切りをつけることとしたい。本年度からはこれまで の超高速分光の蓄積の上に,新しい研究の方向 b),即ち時間と空間の双方を分解した分子分光法を開発し,より直接的に ミクロスコピック・メソスコピックな挙動を観測するプロジェクトを開始した。これについては,漸く基本装置の開発が開始で きた段階であり,次年度からの課題は当然のことながら山積している。ここでその詳細を述べることはできないが,大きな研 究の方向づけとしては例えば以下のような計画を持っている。装置の上では,現在開発中のものを発展させていくこと以外 に,将来的にはプローブの絶対位置再現性を高めた装置等を開発し,現有の装置では直接的な観測が不可能な現象の観

測を行いたい。またファーフィールドの新たな利用法も視野に入れて行きたい。研究対象としては,構造の制御された分子集 団におけるエネルギー・物質移動を直接的にとらえる試み等を行いたい。また液相の分子科学に顕微の考えを持ち込むこ とを計画している。

森 田 紀 夫(助教授)

A -1)専門領域:レーザー分光学、量子エレクトロニクス

A -2)研究課題:

 a)ヘリウム原子のレーザー冷却・トラップの研究  b) 液体ヘリウム中の原子・イオンのレーザー分光

A -3)研究活動の概略と主な成果

a) ヘリウム原子のレーザー冷却・トラップの研究:三重項準安定励起状態のヘリウム原子のボーズ・アインシュタイン 凝縮の実現に向けて,よりいっそう多くのヘリウム原子をより低温で蓄積することを目的とした装置の設計・製作 に全力を注いだ。また,レーザートラップ中により多くのヘリウム原子を捕獲する方法としてビーム断面強度分布 がドーナツ型のレーザー光を用いることを提案しその計算機シミュレーションを行った結果,この方法が有効であ ることが予測された。これらの装置や方法による来年以降の成果が期待される。

b)液体ヘリウム中の原子・イオンのレーザー分光:液体ヘリウム中に置かれた原子やイオンは泡や氷球を作ってその 中に納まっていると考えられるが,それらの原子やイオンのスペクトルを測定することによって泡や氷球の状態さ らには液体ヘリウムそのものの性質を微視的に調べることが出来る。本年は,液体ヘリウム中のユーロピウム原子 のスペクトルのフォノンとロトンによるサイドバンドの観測を試み,現在までにフォノンサイドバンドが観測され ている。ロトンサイドバンドについては未だ観測には至っていないが,さらにより低温における観測を引き続き試 みている。また,前年に行った気相のカルシウムイオンとストロンチウムイオンのヘリウム原子との衝突における 超微細構造間の遷移断面積を求める実験をさらにバリウムイオンについても行ない,このデータのイオン種の範囲 を広げた。一方,これらのイオン(カルシウム,ストロンチウム,バリウム)と水素分子との衝突における超微細構造 間の遷移断面積を求める実験をも行い,衝突相手がヘリウム原子の場合とは全く異なる振る舞いを示すことも見出 した。

B -1) 学術論文

Y. MORIWAKI and N. MORITA, “Spectroscopic studies on Yb+ ions in liquid helium,” Eur. Phys. J. D 13, 11 (2001).

B. KETZER, T. VON EGIDY, F. J. HARTMANN, C. MAIERL, R. POHL, J. EADES, E. WIDMANN, T. YAMAZAKI, M. KUMAKURA, N. MORITA, R. S. HAYANO, M. HORI, T. ISHIKAWA, H. A. TORII, I. SUGAI and D. HORVATH,

“Collisional quenching of metastable states of antiprotonic helium by hydrogen and deuterium molecules,” Eur. Phys. J. D 13, 305 (2001).

B -5) 受賞、表彰

森田紀夫 , 松尾学術賞 (1998).

ドキュメント内 「分子研リポート2001」 (ページ 95-106)

Outline

関連したドキュメント