1 (
1
11
θ ω
ω ω
−
= +
(4-10) ここで、m=511.0034(keV)である。この式より散乱角θを求めると、θ=178°であった。3)乱断面積依存に対する補正
磁気コンプトン散乱の散乱断面積には式()のようなエネルギー依存性があるので、その影 響を補正する必要がある。
mag mag mag
J d C
d
d =
Ω
ω σ
2
(4-11)
ω2は散乱X線のエネルギー[keV]であり、以下の式()でCmag(ω2)を計算し、補正を行った。
ω1は入射X線のエネルギー[keV]、θは散乱角である。
( )
− +
+ +
= −
θ ω
ω ω
ω ω
θ ω
ω ω
θ ω
θ ω
2 2 1 2
2 2 1 1
2 2 1 2
2 2
2 1 2
cos 2
cos 2
cos 1
cos
Cmag (4-12)
4)エネルギー軸から運動量軸への変換
磁気コンプトンプロファイルは運動量空間での磁性電子密度を表わすので、横軸をエネ ルギーから運動量へと換算する必要がある。換算の式はで示した式()を用いた。
( )
θ ω ω ω ω
θ ω
ω ω ω
cos 2
cos 03604 1
. 137
2 1 2 2 2 1
2 1 1 2
− +
− +
× −
=
m
p
z (4-13)5)統計精度の向上
磁気コンプトンプロファイルは pz=0(a.u.)を軸として左右対称であるため、統計精度を 上げるためにpz=0 (a.u.)を中心に折り返し、足し合わせた。
6)磁気モーメントによる規格化
磁気コンプトンプロファイルは、運動量空間での磁性電子密度を表わす。よって、各原 子での平均磁気モーメントをneとすると、次式のように表される。
e z
mag
p
zdp n
J =
∫
−∞∞( )
(4-14) よってグラフの縦軸をこの式を用いて規格化した。本研究では、面直配置での磁気コンプ トンプロファイルの形について議論するので、全ての試料について、ne=1 として規格化を 行った。第五章
結果と考察
5.1 5.1
5.1 5.1 磁気磁気磁気磁気コンプトンプロファイルコンプトンプロファイルコンプトンプロファイルコンプトンプロファイル 5.1.1 Fe
5.1.1 Fe 5.1.1 Fe
5.1.1 Feのののの磁気磁気磁気コンプトンプロファイル磁気コンプトンプロファイルコンプトンプロファイルコンプトンプロファイル
磁気コンプトンプロファイル(MCP)測定は、SPring-8のBL08Wで行った。入射X線 の エ ネ ル ギ ー は 115keV、 散 乱 角 は 178° で測 定 を 行 っ た 。 測 定 は試 料 面 直 方 向
(out-of-plane)で行い、磁気コンプトンプロファイルを観測した。
Fig. 5.1 に Fe400nm/SiN100nm の単層膜試料の磁場方向+と-のコンプトンプロファイ ルについて示す。測定時間は18時間。磁場は2.5T、-2.5T、を一分毎に反転、温度は室温 で行った。さらに、Fig. 5.2 には、Fe400nm/SiN100nmとFe板0.1mmの磁気コンプト ンプロファイルを示す。前者については、Fig. 5.1 と同じ測定条件で、後者については、
10分の測定時間である。
Fig. 5.2 から、Fe400nm/SiN100nmとFe板0.1mmはほとんど同じプロファイルを示 していることがわかる。このことから、SiNメンブレン基板に成膜したFe単層膜ができい ることがわかり、ナノメートルオーダーでの測定が有効であることがわかった。
Fig. 5.1 Fe400nm/SiN100nmの単層膜試料の磁場+, - のコンプトンプロファイル
70 80
0 1 2 [×106]
Energy [keV]
I
-70 80
Intensity [counts]
I+
0 50 100 150
0 1 2 [×107]
Energy [keV]
I
-Pb kβ1 Pb kα2
Pb kβ2
Compton peak Compton peak
Pb kβ1 Pb kβ2 Pb kα2
0 50 100 150
Intensity [counts]
I+
Pb kα1 Pb kα1
5.1.2 Co(0.8nm)/Pd(1.6nm) 5.1.2 Co(0.8nm)/Pd(1.6nm) 5.1.2 Co(0.8nm)/Pd(1.6nm)
5.1.2 Co(0.8nm)/Pd(1.6nm)のの磁気のの磁気磁気コンプトンプロファイル磁気コンプトンプロファイルコンプトンプロファイルコンプトンプロファイル
Fig. 5.3にCo(0.8nm)/Pd(1.6nm)多層膜試料の磁場方向+と-のコンプトンプロファイルに ついて示す。測定時間は13時間。磁場は2.5T、-2.5T、を一分毎に反転、温度は室温で行 った。
Fig. 5.4にCo(0.8nm)/Pd(1.6nm)多層膜試料トータルの厚さ400nm、基板にSiNメンブ レン基板(100nm)を用いたナノ薄膜試料の磁気コンプトンプロファイル測定の結果を示 す。これは、試料厚さをナノメートルオーダーにした磁性薄膜の初めて観測した磁気コン プトンプロファイルである。
Fig. 5.5 にCo(0.8nm)/Pd(1.6nm)多層膜試料トータルの厚さ400nm、基板にSiNメンブ レン基板(100nm)を用いたナノ薄膜試料の磁気コンプトンプロファイル測定の結果と以 前、群馬大学生産システム工学科櫻井等のグループが行った Co(0.8nm)/Pd(1.6nm)多層膜 試料トータルの厚さ1µm、基板にpolyethylene terephthalate (PET)基板を用いた薄膜試 料の結果を示す。測定時間24時間、実験条件は同じ。さらに、Fig. 5.6に両者を重ねた結 果を示す。
なお前者については、10 枚重ねることで散乱強度をかせいでいる、合計の厚さは 4µm/
基板1µmとなっている。後者については、試料を4回折りたたむことで散乱強度を稼いで いる、試料16µm/基板64µmである。
Fig. 5.2 Fe400nm/SiN100nmとFe0.1mmの磁気コンプトンプロファイル
0 2 4 6 8 10
-0.1 0 0.1 0.2 0.3 0.4
Jmag(pz)[a.u.-1 ]
pz[a.u.]
Fe0.1mm
Fe400nm/SiN100nm
Fig. 5.3 Co(0.8nm)/Pd(1.6nm)多層膜試料の磁場方向+と-のコンプトンプロファイル
0 50 100 150
0 1 2 3 [×10
7] 4
I
+I
-Pd kα
Pd kβ
Compton peak
Pd kα
Pd kβ
Compton peak
0 50 100 150
Energy [keV]
Intensity [counts]
70 80
0 1 2 3 [×106]4
I+ I
-Compton peak Compton peak
70 80
Energy [keV]
Intensity [counts]