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0 2 4 6 8 10 0

0.1

0.2

0.3

0.4

0 2 4 6 8 10 0

0.1 0.2 0.3 0.4

J

mag

(P

z

)[ a .u .

-1

]

P

z

[a.u.]

○ Co(0.8nm)/Pd(1.6nm) substrate SiN menbrane

▲ Co(0.8nm)/Pd(1.6nm) substrate PET film

Fig. 5.6 Co(0.8nm)/Pd(1.6nm)SiN400nm、Co(0.8nm)/Pd(1.6nm)PET1µmの 磁気コンプトンプロファイル

5.25.2 5.25.2検討検討検討検討 5.2.1 5.2.1 5.2.1

5.2.1統計精度統計精度統計精度統計精度のののの比較比較比較比較

本実験の統計精度を以前行われた実験と比較する。本実験では、SiN メンブレン基板

(100nm)上に作製したCo(0.8nm)/Pd(1.6nm)多層膜(トータルの厚さ400nm)の磁気コ ンプトンプロファイルを測定した。これを、以前、群馬大学生産システム工学科櫻井等の グ ル ー プ が 行 っ た polyethylene terephthalate (PET) 基 板 上 に 作 製 し た

Co(0.8nm)/Pd(1.6nm)多層膜(トータルの厚さ 1µm)の磁気コンプトンプロファイルと比

較した。その結果をFig. 5.7に示す。Fig. 5.7 (a)は、pz=0~3[a.u.]の範囲、(b)は、 pz=5~ 10[a.u.]の範囲を示す。

pzの値がそれぞれ、pz=0,2,5,7[a.u.]のときのエラーバーの大きさの値を比較した。その 結果をTable. 5.1 に示す。

pz[a.u.] [Co0.8nm/Pd1.6nm] 400nm [a.u.-1] [Co0.8nm/Pd1.6nm] 1.0µm [a.u.-1]

0 0.036 0.044 0.83

2 0.017 0.017 1.03

5 0.011 0.012 0.88

7 0.0087 0.011 0.79

Fig. 5.7 (a)Co(0.8nm)/Pd(1.6nm)SiN400nm、(b)Co(0.8nm)/Pd(1.6nm)PET1µmの 磁気コンプトンプロファイルの一部拡大図

Table. 5.1 Co(0.8nm)/Pd(1.6nm)SiN400nm、Co(0.8nm)/Pd(1.6nm)PET1µm のエラーバーの比較

0 1 2 3

0.1 0.2 0.3 0.4 0.5

Jmag(pz)[a.u.-1 ]

pz[a.u.]

Co/Pd SiN membrane Co/Pd PET

5 6 7 8 9 10

-0.05 0 0.05 0.1

Jmag(pz)[a.u.-1 ]

pz[a.u.]

Co/Pd SiN membrane Co/Pd PET

(a) (b)

Table. 5.1 から、Co(0.8nm)/Pd(1.6nm)SiN400nmの磁気コンプトン散乱実験(測定時間 13時間)と以前行われた測定Co(0.8nm)/Pd(1.6nm)PET1µm(測定時間24時間)では、厚さ、

測定時間が少ないにもかかわらず、同じ統計精度で測定できることがわかった。これは、

試料からの散乱が減ったとしても基板およびバックグラウンドが低減した効果が現れ ている。

5.2.2 5.2.2 5.2.2

5.2.2基板散乱基板散乱基板散乱基板散乱のののの比較比較比較比較

次に基板からの散乱の比較を行う。

Fig. 5.8に測定時間1分、磁場無し、散乱角度178º、入射X線のエネルギー115keV、SiN メンブレン基板(100nm)とバックグラウンド測定、PET film4µm(4回折りたたんで有効厚

さ64µm)とバックグラウンド測定の結果[28]を示す。Table. 5.2 にそれぞれの基板の密度、

質量吸収係数、吸収係数、透過と入射の比を示し、基板からの散乱を比較する。

式(3-3)を変形して

e

t

I

I

=

µ

0

(5-1)

I:入射X線強度、I0:透過X線強度 ここでI /I0は1より少しだけ小さな値なので、1-I /I0でTableには示す。

Fig. 5.8 (a)SiN メンブレン基板(100 nm)とバックグラウン ド、(b)PETfilm4µm(折りたたんで有効厚さ 64µm)とバック グラウンドのコンプトンプロファイル

70 80 90 100 110 120 0

1000 2000

Energy [keV]

Intensity [counts]

PETfilm 4um(折りたたんで有効厚さ64um) バックグラウンド

70 80

10 20

Energy [keV]

Intensity [counts]

SiNメンブレン100nm バックグラウンド

(a) (b)

厚さ 密度g/cm2 質量吸収係数cm2/g 吸収係数1/cm 1-I /I0

SiN 100nm 3.2 0.15 0.48 4.5×10-6

PET 1µm

(4 回折りたたんで 有効厚さ64µm)

1.4 0.15 0.21 1×10-3 222

Table. 5.2の見積もりから、SiNメンブレン基板からの散乱がPET基板の約1/222とな

ることがわかった。Fig. 5.8で、基板からの散乱のピークカウントを読み取ると、SiNメン ブレン基板からの散乱のピークカウントが約5 counts(測定時間1分、バックグラウンドは 差し引いた)、であるのに対しPETfilm基板からの散乱ピークカウントが約1000 counts(測 定時間1分、バックグラウンドは差し引いた)であった。計算による見積もりと実測による

実際のcountsも1/200であることがわかった。すなわち計算による見積もりと実測による

結果が一致した。

5.2.3 5.2.3 5.2.3

5.2.3試料試料試料試料からのからのからの散乱からの散乱散乱散乱のののの比較比較比較比較

Fig. 5.9(a)にバックグラウンド低減後のFe400nm/SiN100nmの試料、SiNメンブレン基 板のコンプトンプロファイル、バックグラウンドプロファイルのそれぞれの測定結果を示 す。Fig. 5.9(b)にバックグラウンド低減前のFe400nm/SiN100nmの試料、SiNメンブレン 基板のコンプトンプロファイル、バックグラウンドプロファイルのそれぞれの測定結果を 示す。Fig. 5.9(a),(b)ともに、測定時間1分、入射X線エネルギー115keV、磁場無し、散乱 角178ºで行った結果である。測定結果から、コンプトンピーク値をそれぞれ読み取り、SiN メンブレン基板からの散乱強度に対してバックグラウンド散乱強度がどのくらいか見積も った。その結果をTable. 5.3に示す。

Table. 5.2 SiNメンブレン基板とPETfilm の散乱の比

バックグラウンド対策により、バックグラウンド散乱が約1/20となったことがわかる。

Table. 5.3でバックグラウンド対策後に、試料からの散乱強度が約10倍に増えているこ

とがわかる。これを立体角から検討する。(5-2)式に立体角の式を示す。

r

2

= s

ω

(5-2)

(5-2)式で、立体角:ω、面積:s、試料-SSD 間距離:r である。バックグラウンド対策と

同時に試料-SSD間距離を100cm → 67cmと短縮した。これにともないSSD受光部が試 料を見込む立体角が増大する。その立体角の増大は、(5-2)式からバックグラウンド対策後 では約3倍と見積もられる。しかし、Table. 5.3で試料からの散乱は約10倍に増えている ので、この立体角の増大だけでは説明できない。さらに原因を検討する必要がある。

5.2.4 5.2.4 5.2.4

5.2.4測定時間測定時間測定時間測定時間のののの検討検討検討検討

今回得られた、Co(0.8nm)/Pd(1.6nm)SiN400nm の測定データから、S/N を見積もる。

S/N は(3-1)式で定義される。(3-1)式の分子は磁気コンプトンシグナル、分母はコンプトン

試料(counts) 基板(counts) バックグラウンド(counts)

バックグラウンド対策前 7 4 122

バックグラウンド対策後 67 6 5

Fig. 5.9 (a)バックグラウンド低減前の試料、基板、バックグラウンド、

(b)バックグラウンド低減後の基板、バックグラウンドの散乱強度測定結果

Table. 5.3 バックグラウンド対策前後のコンプトンピークカウント比

70 75 80 85

20 40 60 80 100

Energy [keV]

Intensity [counts]

Fe400nm/SiN100nm SiN100nm バックグラウンド.

70 80

0 100 200 300

FeSiN400nm/100nm SiNメンブレン バックグラウンド

Intensity [counts]

Energy [keV]

散乱強度(トータルコンプトン強度)のエラーバーである。トータルコンプトン強度とは、

I++Iである。ここで、I+ (I)は散乱ベクトルと磁場が平行(反平行)となる場合のコンプトン 散乱X線強度を表す。S/Nは(3-2)式のMeとCt(トータルコンプトンカウント)の平方根の 積で求められる、それを(5-3)式に示す。

Ct N

S / = Me

(5-3) 測定データから試料厚さ400nmのS/Nを見積もった結果をTable. 5.5に示す。

次にCo(0.8nm)/Pd(1.6nm)SiN400nmの測定データから、試料厚さ100nmのMeを見積 もる。(3-2)式は

B.G.

SiN (sample) (sample)

(sample) (sample)

I I I

I

I I

I I

I Me I

+ + +

= − +

= −

+

+

+

+ (5-3)

と書き直せる。分子は磁気コンプトンシグナル、分母は、コンプトン散乱強度である。試 料からの散乱(I+sample,Isample)と基板からの散乱(ISiN)とバックグラウンドからの散乱(IB.G.)を 含んだ式で表される。試料厚さを1/4と仮定すると試料からの散乱強度が減る。しかし、基 板からの散乱とバックグラウンドは変わらない(測定条件が同じであることを仮定する)。こ れより試料厚さ100nmのMeを見積もった。次に、試料厚さ100nmの測定の場合、S/N が7になるときのCtを見積もった。その結果をTable. 5.5に示す。

Co/Pd試料厚さ Me Ct S/N

400nm 0.17% 1.7×107counts 7

100nm 0.13% 2.9×107counts 7

最後に試料100nmで、S/Nが7になるときの、測定時間の見積もりをする。Table. 5.5か ら必要なCtはわかったので、測定データである測定時間13時間のCtから見積もる。その 結果、測定時間は約90時間であることがわかる。

Co/Pd試料厚さ Me Ct S/N

400nm 0.17% 1.7×107 counts 7

Table. 5.5 試料厚さの違いによるMeとCtの見積もり Table. 5.4 試料厚さ400nmのS/Nの見積もり

第六章

本研究のまとめ

Ⅰ)SiNメンブレン基板(100nm厚)を新たに導入し、標準試料としてFe単層膜の成膜条件 の 模 索 を 行 い 、 最 適 な Ar 圧 2.5Pa が わ か っ た 。 そ の 条 件 に お い て 、

Fe[400nm/200nm/100nm]を SiN メンブレン基板上に成膜することに成功した。さらに、

PET基板との散乱の比較を行い、SiNメンブレン基板が有用であることがわかった。

Ⅱ)SPring-8 のコンプトン散乱ビームラインBL08Wにおいてバックグラウンド低減策を

行った。具体的には、真空パイプを延長し、カプトン膜を半導体検出器の後方から前方へ 移動することにより、バックグラウンド散乱を1/30に低減することに成功した。

Ⅲ)SiN メンブレン基板(100nm 厚)上に[Co(0.8nm)/Pd(1.6)]SiN100nm トータルの厚さ

400nm の作製に成功した。磁気コンプトン散乱実験を行い、測定時間 13時間にて磁気コ

ンプトンプロファイルを得ることに成功した。以前行われた、PET 基板を用いた [Co(0.8nm)/Pd(1.6)]SiN100nmトータルの厚さ1µmの試料の磁気コンプトン散乱実験[28]

の測定時間24時間の半分に短縮することに成功した。

Ⅳ)Co/Pd多層膜の磁気コンプトンプロファイルのS/Nの検討を行った。以前のPET基板

の測定(試料厚さ1µm×16)[28]は、測定時間24時間でS/N=6、本実験のSiNメンブレン基

板の測定(試料厚さ400nm×10)は測定時間13時間でS/N=7であった。将来予定している測

定(試料厚さ100nm×10)のS/N=7と仮定して測定時間の検討を行ったところ、約90時間

と見積もられた。

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