事後調査(3月)
生徒の個別得点 4名合計得点 t検定
X21×22×23×24MSD
学習 合計 !.学習態度 (学校)
(家庭)
2.学習意欲 3,学習自信 情緒 合計 4.安心感 5.肯定感 6,外向性
社会 合計
7.積極性 8.誠実性 9,家庭適応 10.学校適応 11.教師信頼 12.学級適応 13.生活評価 全領域合計
52.4 18.5 29.6 50.7 37.8 51.3 5.1 20.5 38.5 28.8 54.4 10.3 39.7 44.1 37.1 46.6 0.O l3.8 32.8 23.3 63.0 7.4 27.8 51.9 37.5 42.9 429 40.5 61,9 47.0
30.6 65,8 16.9 51.4 41.2 35.4 62.5 10.4 52.1 40.1 32,3 67,7 16.1 67.7 46.0 24.1 67.2 24.1 34.5 37.5
57.6 29.7 45.8 49.3 45,6 79.2 91.7 37.5 25.0 58.3 68.8 0.0 563 68,8 48.4 27.1 20.0 37.1 51.4 33,9 53.6 19.0 45.2 56.0 43.5 7&8 212 48.1 48。1 49.0 44.6 35.7 44.6 44.6 42.4 51.4 20.0 51.4 51.4 43.6
16,5 52.6 32.8 40.9 53.8 45.0 20.2 38.5 179 48.7 41.0 36.5
!8.9 412 20.6 58.8 42.6 40.8 20.5 41.4 10.3 43.1 39.7 33,6 249 57.4 18.5 57.4 53.7 46.8 10.0 61.9 61,9 16.7 66.7 51,8 21.7 45.1 78.6 42.1 55.4 55.3 22.7 52.! 89.6 37.5 62.5 60.4 26.0 41.9 80.6 61.3 69.4 63.3 20.4 41.4 65.5 27。6 34.5 42.2 11.7 59.8 44.9 54.1 52.8 529 321 66.7 87.5 45.8 25.0 56.3 32.8 75.0 18.8 81.3 56.3 57.8 13.6 41,4 50.0 62.9 52.9 51。8 16.9 53.6 29.8 47,6 52.4 45.8 23.6 67.3 44.2 53.8 65.4 57.7
4.5 57.1 50.0 16.1 66.1 47.3 15,7 57,1 34.3 71.4 51.4 53,6
10,0 13.1 15,7 15,6 18.9 23,5
}ili l
16.5
6,1 26.9 28,1 8,8 11.0 10.8 21.8 15,4
46.9 38.0 30.ブ 50.5 41.5 8.9 52.5 52.1 45.7 54.0 51.1 3.7 *
*P<.05
表の最下行触領域合計を見ると,4名の全領域合計の平均値は,事前調査の41.5か ら事後調査の5L1と有意な上昇を示している。この上昇傾向が顕著に見られるのが,
情緒領域である。Σ得点は,41.2から55.3と事後調査において顕著な上昇を示してい る。この傾向は下位要素の「4,安心感」で見られる。Σ得点は,40.1から60.4と事後 調査において約20の上昇が確認される。
153
情緒領域での安定性の向上は,SSTによるシステマティックな個別援助によって意 識的に各教師が声をかけ,注目し,社会的承認を行い,個別の学習援助を実施したこと
による心理的効果だと考えられる。学習領域並びに社会領域においては,有意差は見 られないものの明らかに領域合計の平均値に上昇傾向が確認される。したがって,全 体的には,SSTの教育効果は,短期間であっても高いといえる。
6.2.2 学習成績の変容
SSTによる個別援助の教育効果を対象生徒の学習成績から考察する。 Table51は,2 学期期末テストの国語・社会・数学・理科・英語並びに5教科合計点のそれぞれの 校内偏差値を母数にしβ学期期末テストの同教科・合計の校内偏差値を除したテス
ト成績に関する特化係数値である!55。
この特化係数から,係数値1の場合は変化なし,1を越える場合は上昇変化,1を下ま わる場合は下降変化ということになる。
Table 511999年度X校1年生対象生徒の成績特化係数
教科 X21 ×22 ×23 ×24 国語 0.99 1.30 0.84 1.02 社会 1.00 0.98 1.12 1.03 数学 1.08 1.34 1.36 1.05 理科 0.97 0.98 0,77 0.91 英語 1.17 1.27 L10 0.89 全体 1.04 n4 LOO O.98
表中立下行の5教科全体をみると,X21男・X22男では上昇傾向が,X23男では無変 動,X24子では若干下降傾向が確認される。教科別で上昇傾向を示している教科は,X21 男は数学・英語,X22男は国語・数学・英語,X23男は社会・数学・英語,X24子は国語・
社会・数学となっており,数学に関しては対象生徒全員の得点が上昇している。これ らの上昇傾向が見られる教科は,前述のSST援助シートで示したように,援助過程に おいて,教師が意識的,個別的にかかわった教科である。4名が,SST実施前の評価に おいて,いずれも学力不振傾向とされていたことから考えると,学習面においても教 育効果は高いといえる。
学年チームによるSST実践は,システマティックな援助サイクルを学年会で行った ものであるが,こうした学習面,進路面,生活面等における形成的評価は,たんに援助
155対象校では校内偏差値は算出していない。本研究で,素点から筆者が算出したものである。また,
個入情報保護の観点から,本研究では特化係数を用いている。
対象生徒の心理的な安定をもたらすだけでなく,学習成績の向上という実質的な効果 をもっていることが確認された。
6.2.3 他生徒の変容との比較
次に,学年チームによるSST実施期間の前後で,生徒集団全体がどのように変容し たのかをΣ得点から検証する。分析対象は,167名(男子75名,女子92名)である。
Table52は,Σ得点の平均値の変化を示したものである。表中右端は,事前調査と 事後調査の平均値に対して,対応のあるt検定を行った結果である。
なお,サンプル数が100名を越えているために有意な結果が得られやすいが,全要 素で有意差が確認されなかったため,t検定の結果を提示している。
Table 521999年度X校1年生Σ得点平均値の変化
領 域 10月 3月
M SD M SD t検定
学習 合計 1.学習態度 (学校)
(家庭)
2.学習意欲 3.学習自信 情緒 合計 4.安心感 5.肯定感 6.外向性 社会 合計 7.積極性 8.誠実性 9.家庭適応 10.学校適応 11.教師信頼 12.学級適応 13.生活評価 全領域合計
61.8 60.5 64.6 58.4 63.7
6L2
66.5 71.1 76,1 52.3
672
48.9 70.4 74.0 68。3 69.3 70.6 68.9
15ユ 58.9 15.5 18.2 57.6 18.8 17.8 61.3 18.1 19ユ 55.3 20.1 18.5 63.6 18.8 17.0 55.3 19.6 15.4 65.1 15.9 18.0 67.5 17.5 16.5 74.6 18.4 22.7 53,3 21.4 11.3 64。9 11.4 26.4 54.5 26.0 18.3 68.4 19.6 19.6 69.8 19.7 15.5 63.7 17。9 19.8 63.9 22.8 16.9 68.0 18.5 16.2 66.0 15.7 65.2 11。1 63.0 10.7
**
**
**
**
**
**
**
**
**
**
**
**
**
P<.01
表中景下行の全領域合計では2.3の下降であり,主要素では,情緒領域の1.4,社会 領域の2.3の下降傾向に比べて,学習領域では2。9と下降傾向が顕著である。
下降傾向が著しい学習領域の中で,特に著しく下降しているのは「3.学習自信」(学 155
習に対する自信)である。この理由として,中学校1年生の後半は,学習内容が高度に なり苦手意識をもつようになったとも考えられる。
次に,情緒領域では,SST対象生徒に見られた顕著な「4.安心感」,「5.肯定感」の 上昇は認められなかった。また,社会領域では「7.積極性」のみが向上し,その他の 下位要素は下降している。
したがって,SST実践は,対象生徒に対して情緒領域での安定や,学習成績の向上とい う実質的効果をもつことが確認される一方,富山県立総合教育センター(1998)の実 践で報告された他の生徒に対する波及効果は確認されなかった。これには以下のよ
うな理由が考えられる。
・富山県立総合教育センターの実践は,全職員を対象に,インシデント・プロセ ス法による校内研修を行った後,学年会を中心としたチーム援助を行っている が,本研究の学年協働モデルでは,学年研修のみを行ったため,生徒に関わる全 職員がSSTに関する理解をしたわけではない
・年度当初からの実践ではなかったことや,個別援助期間が実質3か.月であった ために,対象生徒のみの援助になり,援助会議で創出される援助策が,他生徒に 対する援助の活用には至らなかった。
これらの結果をふまえて,X校学校協働モデルでは,年度始めから全職員を対象と した校内研修を実施した。
参考文献
[1]八三光俊・細見博文(2000)「包括的カウンセリングガイダンスシステムの構築に関す る研究一中学校におけるシステマティックな二次的援助サービス司『目本堂ウンセリ ング学会 第33回大会発表論文集』,pp.114−115
[21八並光俊(2000)「バランスのとれた学校教育相談を目指して教師チームによる生徒 の問題解決のためのシステマティソクな援助(SST)の試み」『月刊学校教育相談』(12 ,月号)ほんの森出版,pp.42−47
7 X校学校協働モデルの数量分析
この章では,X校で2000年4,月から7月まで実施された生徒指導部会を基盤とす るSST実践に関する教育効果の分析を行う。
7.1 対象生徒の援助事例
SST対象生徒を各学年から3名ずつ抽出し,さらに,そのうちから各学年1名ずつ を選び,SST実践のコーディネーターを務める教育相談係を対象としてリーダー研修
(Management研修)を行い,創出された援助計画をモデルとして,各学年会で残りの 生徒の援助計画を策定した。これらの援助計画は,さらに生徒指導部会で検討・修正
され援助者の指名が行われた。これらを概念化したものが:Fig.39である。
【リーダー研彦】
國 團 團
各学年教育相談係
【各学年会】
圖 圖 囲
【生徒指導部会】
画 圃 圖
謡
生徒指導主事 各学年生徒指導担当 教育相談係 養護教諭
Fig.3g x校における対象生徒の援助
次に,これらの生徒に行われた援助を匿名性確保の点から援助シートによって示 す。主な課題と関連する援助シートの番号を示したものが,Table53である156。
Table 53 X校対象生徒の関連資料一覧表
重 事よ課質 美運 るTable
Xll
X12子 X13子
X21男X25男X26子
X31男 X32男X33子
壬立ヒロ 孤立傾向
学力不振,場面絨目 学力不振,手の障害 学力不振,反社会的行動 孤立傾向
学力不振,反社会的行動 反社会的行動
孤立傾向
Table54−60 Table75 Table76 Table61−67 Table77 Table78 Table68−74 Table79 Table80
pp 158−164
(ppユ65−171)
膿1 Ipp.172−178)
P.183)
(P.184)
156リーダー研修の内容を示すため,研修が行われたSST対象生徒は「SST援助シート」及びrSST 援助記録」のすべてを提示し,他のSST対象生徒は,「SST援助の概要」を提示する。
157
αド GO
Table 54 SST援助シート(X11男一1)
目標(1)個別ノート指導を通じて,系統的な学習をさせるとともに授業場面での賞賛をふや凱 (2)体格に関して他の生徒の理解を深めさせる。
(3)定期的に家庭との連携を行う。
生徒名:X、、男 会議日:2000年5月15目 参加者:1年学年会
領域
!.今までに行った援助
A.生徒の実態の概要
2.援助の効果及び課題 3.課題解決に役立つ点(資源)
B.援助(対応策)の概要
4.援助内容(対応策) 5.援助者 6.期間
学習
進路
生活
家庭他
・個別ノート指導を継続して いる。
・家庭訪問時に学校の様子を 伝え,将来の考えを確認し
た。
噛●体格のことで,いじめられ やすい傾向があり,背が低 いことを言われると人にあ たることができず,自分の 気持ちの中におさめてしま う。反面,被害者意識が強 い。いやな仕事でも引き受 けてしまうことを関連機関 及び小学校より連絡を受け た。
●高所恐怖症であるため階段 の上り下りなどで配慮をし てきた。
●部活は剣道部に入部した。
●昨年夏から関連機関と連携 している。母親と本人の関 係がうまくいかないために 現在も関連機関のカウンセ ラーにより母親のカウンセ リングが継続している。
●家庭訪問時に本人のがんば っている様子を伝えた。
●個別の学習ノートを継続し て提出しているが,計画し て取り組むことはできな い。言われたことは提出で きる。漢字ノートも継続し て取り組んでいる。
。将来のことは家庭では考え ていない。
●低身長であることを本人か ら言われると母親は自分が 攻められていると感じてい
る。
●体育委員に立候補した後,
無理であると訴えるなど,
限界をこえる仕事をひきう ける傾向は見られるが,級 友及び部活動の先輩の支え で,現在は前向きに取り組 んでいる。他の生徒との差 が開いてきたときのいきづ まり感を支えるのが課題で ある
●歯をみがかない等身辺整理 ができない傾向がある。
・学校でがんばっている様子 を伝えても,母は学校で無 理をする反動が家庭で出る と肯定的にとらえない傾向 がある。
●妹から口で攻撃を受けるこ とが多い。
●歴史に興味をもっている。
●ごつごつするのはできるが 早くするのは苦手である。
・小学校の時は発表など人前 で意見を言うのは苦手であ るが,テストで評価しても らえるのが救いになってい たと連絡を受けている。
・家庭での趣味はプラモデル を作ることである。
●学級では学級委員の五,/2 らがよくかかわり,学級の 中でおもしろい発言をする 場面も見られるようになつ てきている。
●部活動の3年生が,励まし ながらかかわっている。
●関連機関と学校の連絡が定 期的にはかれている。
a−1系統的に個別ノート指導を行う。
b−1小テスト及び定期テストで達成点について 賞賛をするとともに,間違いについて助言を 与える。
・学級担任
・教科担当
・教科担当
a−1低身長に関する情報収集と経過の観察を行 ●養護教諭 う。 ●学級担任
a−1社会見学旅行をきっかけとして,∫1,∫2以 外の生徒との関係を深めさせる。
b−1学級及び学年生徒のX11男に関する関わ り方を観察する。
c−1×11男のがんばっている点を学級通信等を 活用し他の生徒及び家庭へ紹介する。
d−1部活動の3年生に援助を依頼する。
e−1身辺整理に関する観察を行い指導する。
a−1関連機関との連携を継続する。
b−1定期的に母親と相談をもてるように働きか ける。
●学級担任
●全教師
・学級担任
・部活顧問
・全教師
・学級担任
・教育相談
●学級担任
.教育相談
5/15〜5/29 5/15〜5/29
1学期
5/15〜5/29 1学期 1学期 1学期1学期
1学期 5/15〜5/29