• 検索結果がありません。

X 線吸収微細構造の解析

ドキュメント内 JAIST Repository https://dspace.jaist.ac.jp/ (ページ 81-85)

第 5 章 シリコンヘテロ接合太陽電池モジュールの電圧誘起劣化 63

5.3 結果

5.3.2 X 線吸収微細構造の解析

(a) (b)

(d) (c)

1.2 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2

0.00 10 20 30 40 50 60

PID-stress duration (day)

1.2 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2

0.00 10 20 30 40 50 60

PID-stress duration (day) 1.2

1.0 0.8 0.6 0.4 0.2

0.00 10 20 30 40 50 60

PID-stress duration (day)

1.2 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2

0.00 10 20 30 40 50 60

PID-stress duration (day)

Normalized FF, FF/FF0Normalized Jsc, Jsc/Jsc,0 Normalized Voc, Voc/Voc,0Normalized Pmax, Pmax/Pmax,0

5.7 2000 V85 Cの条件で行った長時間のPID 試験によるSHJ 陽電池モジュールの(a)Jsc/Jsc,0(b) Voc/Voc,0(c) FF/FF0,およ

(d)Pmax/Pmax,0の変化のバイアス依存性.同じシンボルのデータ

は,それらが同じモジュールから得られた結果であることを示す.

方の低下によって特徴づけられる別の劣化モードを示す場合があることを示し ている.一方で,FFに関しては,わずかな上昇が確認される.これらの追加の Jscの低下およびVocの低下は飽和電流密度の増大を伴う(図5.6b).このこと は,Jscの追加の低下およびVocの低下が,c-Siのバルク中あるいはc-Si表面に おける再結合の増大に起因することを示す.

5.3 結果 73

EXAFSの結果を,劣化していないセルのIWO膜および参照用のIn金属やW

金属の結果と比較することで詳細に解析した.

図5.8には,2000 V,53 dのPID試験によって劣化したSHJセルのIWO膜 から得たIn K端およびW L3 端におけるXANESスペクトルを示す.測定に使 用したモジュールは顕著なJscの低下とVocの低下を示したものである.劣化し ていないセルのIWOに関しては,In K端はノンドープのIn2O3 標準試料の結 果と同等であった.このことは,劣化前のIWO膜中に存在する大半のIn の化 学結合状態はIn2O3 膜中のそれと同じであることを示している.劣化したIWO

膜のIn K端のXANESスペクトルの解析において,劣化前の化学結合状態のIn

と化学的に還元された金属Inが混在していると仮定する.劣化後のIWO 膜か

ら得たIn K端のXANESスペクトルが,劣化前のIWO膜のスペクトルと金属

Inの標準試料のスペクトルを用いてうまくフィッティングできることから,こ の仮定が有効であることがわかる.また,このフィッティングの結果から,初 期状態から還元されてInへと変化した原子数比がわかる.最適なフィッティン グ(図5.8aの黒の実線で示した)は,24%の In金属成分を仮定することで得 られた.このことは,IWO膜中のIn原子のうちの24%が化学的に還元された ことを示唆している.劣化したIWO膜中に初期の化学状態のWと還元して金 属として存在するWが共存するという状況を仮定することで,W L3 端に関し ても同様の解析を行った.劣化していないW L3 端のXANESスペクトルは酸 化タングステン(WO3)標準試料に類似したスペクトルを示した.このことは,

IWO膜中のW 原子がWO3 中のそれと同等な化学結合状態にあることを示唆 する.しかしながら,IWO膜から得られたスペクトルとWO3 試料から得られ たスペクトルの間にはそのピーク強度には差が見られた.このことは,IWO中 のWの化学結合状態がわずかに変化していることを示唆している.これはおそ らく,IWO膜中のWO3 成分が数at%と非常に小さく,W原子が他のW原子 から孤立していることに起因すると考えられる.劣化したIWO膜のW L3 端の

XANESスペクトルは劣化していないIWO膜のそれとほとんど同様であり,こ

れはWの化学結合状態がPID試験前後でほとんど変化していないことを示し ている.最適なフィッティングは,図5.8bに示されるように,Wの成分がゼロ とした場合に得られた.このことはIWO中のW 原子が全く還元されていない ことを示唆する.

図5.9は,劣化したIWO 膜から得られたIn K端およびW L3 端のEXAFS 振動曲線を示す.用いた試料はEXAFSの解析において,XANESスペクトル の解析の際に用いたものと同様の仮定を行うことにより,良好なフィッティン グ結果が得られた.In K端のEXAFS振動曲線に関しても,IWO膜の測定結果

Absorption (arb. units)

27950 27940

27930 27920

Energy (eV) (a) In K-edge

Pristine IWO

In

Absorption (arb. units)

10230 10220

10210 10200

10190

Energy (eV) (b) W L3-edge

Pristine IWO

5.8 2000 V85 C53 dの条件で行ったPID試験によって劣化した SHJセルのIWO 膜から得られた(a) In K端および(b) W L3 端の

XANESスペクトル.実験データを白抜きの丸印で示しており,未

劣化のIWO 膜,およびInWの標準試料のデータを用いて行った フィッティングの結果を実線で示している.“Pristine IWO”および

“In”と表示した曲線は,それぞれフィッティング曲線における未劣化 IWO膜および金属In成分を表している.(b)においては,W成分 がゼロの際に最適なフィッティング結果が得られたため,フィッティ ング曲線のW成分は示していない.フィッティングの結果は,全In 原子の内のおよそ24%が金属Inへと還元したことを示唆している.

5.3 結果 75

-6 -4 -2 0 2 4 6

k3 (3 )

10 8

6 4

2

0 k ( 1)

(a) In K-edge

-2 -1 0 1 2

k2 (2 )

6 5

4 3

2 1

0 k ( 1)

(b) W L3-edge

Pristine IWO

In

Pristine IWO

5.9 2000 V85C53 dの条件で行ったPID試験によって劣化した SHJセルの IWO膜から得られた(a) In K端および (b) W L3端の

EXAFS振動曲線.実験データを白抜きの丸印で示しており,未劣化

IWO膜,およびInWの標準試料のデータを用いて行ったフィッ ティングの結果を実線で示している.“Pristine IWO”および“In” 表示した曲線は,それぞれフィッティング曲線における未劣化のIWO 膜および金属In成分を表している.(b)においては,W成分がゼロ の際に最適なフィッティング結果が得られたため,フィッティング曲 線のW成分は示していない.フィッティングの結果は,全In原子の 内のおよそ33%が金属Inへと還元したことを示唆している.

はIn2O3 標準試料の結果とほとんど同じであった.図5.9aについては,最適な フィッティング結果は,金属In成分がおよそ33%である際に得られた.このこ とは,IWO膜中のIn原子のうちの33%が金属Inへと還元されたことを示唆す

る.W L3 端のEXAFS振動曲線に関しては,劣化したIWO膜の結果は劣化し

ていないIWO膜の結果と非常によく似ている.これはW L3端のXANESスペ クトルと同様の観察結果である.最適なフィッティングはW成分がゼロの際に 得られた.このことは,WがPID負荷を受けた後でも還元されていないことを 示唆している.

ドキュメント内 JAIST Repository https://dspace.jaist.ac.jp/ (ページ 81-85)