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の下で認められる各種の訴訟類型が実体法上の請求権を実現するものと理解さ

( 8 8 )  

れていることとも対応すると考えられるのである

③それに対して︑わが国の場合︑義務付け訴訟が法定された趣旨は﹁裁判実務による活用を図るためには訴訟要

( 8 9 )  

件•本案勝訴要件を明記した方が使い勝手が良い、という『政策的見地

』に依拠したものと考えられる」と説明され、

義務付け訴訟の性質について改正行訴法は特に答えを出していないと言われてい矩︒つまり︑ドイツの場合と対比さ

せて

えば︑義務付け訴訟が実体法上の請求権を実現するものとしての性質を有するか否かに関して︑改正行訴法は

( 9 1 )  

解答を留保しているということであるが︑そのことは差止訴訟の場合にも当てはまると考えられる

︒そして︑そのよ

うな説明を前提にすると︑仮の義務付け・仮の差止め制度の目的としては︑義務付け判決・差止判決の実効性確保に 加えて︑実体法上の請求権の保全を挙げることはできず︑また︑本案要件についても︑それはまさに義務付け訴訟や

止訴訟の本案勝訴要件を充足する見込みを審理するものと言えるに止まるであろう

︒言

い換えれば︑仮命令の勝訴

(2) 

政事件訴法における

仮の

の研究

( )

のような相違は存在しないのであろうか

(1

0

異は見出せないことになるであろう︒

第五九巻五号

(1

0

見込み要件のように︑実体法上の請求権が存在する見込みを審理するものとまでは言えないのである︒

さらに︑第一

章第二節で見たように︑仮の義務付け・仮の差止め制度に関しては︑検討会において一時期︑両者を包含するものと

して仮処分になぞらえた制度が構想されたものの︑最終的には義務付け訴訟と差止訴訟のそれぞれに対応する別個の 仮の救済制度として創設されたという経緯があったが︑そのような転換の理論的要因としては︑次のことも挙げられ

るのではないか︒すなわち︑義務付け訴訟と差止訴訟の性質の問題が棚上げされたため︑それぞれの訴訟に対応する

仮の救済が︑請求権の保全という共通の基盤を持つと考えることができなかったということである︒

もっとも︑改正行訴法で義務付け訴訟と差止訴訟が法定された趣旨が上述の通りであるとしても︑今後それらの訴

(9 2

訟を実体法上の請求権を実現するものとして理論的に構成することまで否定されているわけではない︒

そう

する

と︑

仮の義務付け・仮の差止め制度も︑義務付け訴訟と差止訴訟の性質の捉え方によっては︑実体法上の請求権の保全が

目的となる可能性を有していることになる︒そして︑そのような可能性が具体化した場合︑仮命令制度との質的な差

(4 9

)山本和彦﹁行政

訴訟法学者から見た感﹂ジュリスト七七号

︵ 二 0

0

0

また︑山本隆﹁仮の救済﹂公法研究七

︵ 二 0

0九年

も参照なお︑小早川光郎

1 1阿部泰隆

1 1芝池義

︹鼎談︺行政訴訟検討会の﹃考え方

︵ 二 0

0

ー三頁︵芝池義

言 ︶ によると︑改正行訴法の立案過程では︑﹁重大な損害﹂と﹁償うことのできない損害﹂の間に置くことのできる適切な文言

がなかたと考えられたようである

(5 0

)ちなみに︑本文で述べたことと類似の関係はドイツの制度でも見られるドイツにおいても︑わが国の差止訴訟を包含す

防的不作為訴訟に関して︑訴えの適法性要件として予防的な権利保護を求める特別な︹

qu al if iz ie rt

︺必要性が求められ 関法

( 5 5 )

行政事件訴訟法における仮の義務付け・仮の差止め制度の研究  

(

)

ているが︑支配的見解が挙げる仮命令の要件の

つである命令の根拠︹

An or dn un gs gr un

d

仮命令自体による権利保護を 求める利益ないし必要性に関する要件と説明されている︶は︑それよりも厳格な要件であると考えられているのである

g l .  

Fr ie dh el m  H uf

  e n

V e r w a l t u n g s p r o z e s s r e c h

7t

A u

f l

(2

00

8)

§ 1 6

R 

n17 ~j稿「佃公叩今P出公疋の宰)苺既利E理楳涅逗(- 益の比較衡量︑並びに行政裁量との関係に着目して﹂民商法雑誌

四巻四・五号︵

0

六年︶六五九頁注0

( 5 4 )

(5 1 )

五九回国会衆議院法務委

会会議録二二号九頁

山崎潮政府参考人発言︶︑小林久起﹃司法制度改革概説3・行政事

件訴訟法

商事法務︑二

0 0

八六頁︑福井秀夫

1 1村田斉志

1 1

Q

&

A

﹄︵新日本法規︑二

0

0四

年 ︶

( 5 2 )

野呂・前掲注

( 4 5 )

二六

0頁︒さらに︑植村・前掲注

( 4 4 )

二四二頁以下も参照︒

なお︑本文で述べた点に関しては︑ドイツの仮命令制度において︑本案先取り禁止の原則を

てる通説に対して︑停止的

効果の制度︵わが国の執行停止制度に相当するもの

による仮の権利保護も

時的に取消判決を下すに等しい内容を持つに も拘らず︑そこでは何ら本案先取り禁止の原則が説かれていないことを

つの論拠として︑そのような原則自体を破棄すべ

きとする見解が︑以前から有力に主張されてきたことが注目される

参照︑拙稿・前掲注

( 5 0 )

六五八頁︑六六二頁注

( 7 4 )

(5 3 )

野呂・前掲注

( 4 5

)

0頁 ︒

( 5 4 )

さらに︑建築主に対する建築中止命令の仮の義務付け決定を考えた場合︑当該決定は︑行政庁による規制権限行使の有無 に着目すれば︑現状を変更する裁判と言えるが︑他方で建築工事の進展状況に注目すれば︑むしろ現状を保全する裁判であ

なくもない

うすると︑現状の変更を内容とする裁判か否かは︑視点の置き方によって変わってくる余地がある

と思われる︒実際

︑ドイツにおいて︑仮命令は現状の保全を内容とする保全命令と︑現状の変更を内容とする規律命令に分 類されているが(拙稿•前掲注

(50)

六五六頁以下)、論者の中には、建築主に対する建築中止命令の発付を義務付ける仮命 令を︑保全命令に分類する者もいるのである︒

F r i e d r i c h Sc ho ch   ¥  Eb er ha rd   Sc hm id t  AB ma nn  ¥  Ra in er   Pi e t z n e r   (H rs

g).

Ve

r  , 

w a l t u n g s g e r i c h t s o r d n u n g   K om me nt ar   (S ta nd   : 

20

08

)

§ 1 2 3

Rn 

54 

F

er di na nd

 0

Ko pp

 ¥ 

Wo lf

  ,  R

ud ig e r c   S he nk

e

e r w a

l   , 

t u n g s g e r i c h t s o r d n u n g o  K mm en ta

r15

A u f l

(

20

07

)

§ 1 2 3

Rn 7

小林・前掲注

( 5 1 )

二八六頁︑小早川光郎ほか﹁

︿研究会改正行政事件訴訟法﹂

T

小早川光郎編改正行政事件訴訟法研

(1 0

関法

第五九巻五号

10

0

八四頁

( 5 6 )

 

F r i t z   B au

r

St ud ie

n  z

um i   e ns tw ei li ge n  R ec ht ss ch ut z  (

19 67

S)

f f ~it、加いの枠坪利但匹護制叩面g#J(ア)弁処抑切所人はた竹政芹リ

がすでに行った裁判又は決定に対して︑それらの執行を可能にしたり︑逆に執行を停止したりする

次的又は後行的

n

ac hg es ch al te

t︺仮の権利保護制度と︑イ︶仮の権利保護の決定自体によってある権利状態︹

Re ch ts la ge

︺に初めて規律

を加えることにより︑終局的な裁判に至るまでの権利保全を図る次的又は先行的︹

vo rg es ch al te

t︺仮の権利保護制度に区

分をした上で︑停止的効果の制度を前者に︑仮命令制度を後者に分類していたのである︒(57)参照、野呂•前掲注(45)二五九頁。ただし、山本隆司・前掲注(49)は、仮の義務付け・仮の差止めの損害要件は、

本節ー②で言及した直接型義務付け訴訟と差止訴訟の訴訟要件よりも限定されていることを含意するに止まると解すべきで

あり︑執行停止の要件よりも厳しいといった比較自体︑無意味ではないかと述ぺる

( 5 8 )

 

g l .   Fr ie dr ic h  S ch oc

h

Vo rl au fi ge r  R ec ht ss ch ut z  u nd   Ris ik ov er te il un g  i m  V er wa lt un gs re ch t 

(1 98 8) S

15 67

( 5 9 )

むろん︑要件厳格化の理由を本文で述べたように説明できるとしても︑それに対してはなお批判が可能である︒例えば︑

検討会の中でも主張されたように︵第章第二節4②参照︶︑公共施設の使用許可取消処分が行われた場合と使用不許可処

分が下された場合︑あるいは生活保護の廃止処分が下された場合と保護申請拒否処分が行われた場合などを比較して︑紛争

状況にそれほど差はないと考えるのであれば︑仮の義務付け制度と執行停止制度の間で︑改正行訴法が規定するほど要件に

を設ける必要はあったのか︑という批判ができる

︒そ

のような批判を行うものとして︑阿部泰隆﹃行政法解釈学

I I

斐閣︑二

0

二頁など︒また︑差止訴訟が時期を早めた取消訴訟と言えることからすると︑取消訴訟において執0九年︶三0

行停止が必要となるような場合には︑差止訴訟でも仮の差止めを認めてよいとして︑仮の差止めの要件が厳格なことに疑問

する見解もある小早川ほか・前掲注

( 5 5 )

八四頁小早川光郎発言

︶ ︒

さらに︑仮の差止めの損害要件が︑差止訴訟の加重された訴訟要件︵行訴法三七条の四第項︶よりもさらに厳格なもの

とされている点に関しては︑次のような問題も考えられるすなわち︑これら二つの要件の間にが設けられたことにより︑

差止訴訟の提起は適法とされたが︑仮の差止めの申立は損害要件の欠如を理由に退けられたという事態が起こりうる︒その

場合︑行政庁は差止訴訟の係属中に争いの対象である行政処分を行うことを禁止されていないので︑行政処分の発付により︑

差止訴訟の訴えの利益が消滅してしまう可能性がある︒しかしながら︑差止訴訟が取消訴訟と執行停止では救済を欠く場合

(1

0

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