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こういうタイトルで,これは今日1回で終わる予定です.

notationから改めてやると,

Mg0Diff+Σg,

向きを保つΣg のdiffeomorphismのisotopy classの全体,mapping class group ofΣg. Σgはclosed oriented surface of genusg. これが3章の主役です.古典的な表現,homologyへの作用を通してSp(2g,Z),これは 由緒正しい行列の群,Siegel modular群と呼ばれる整数論や保型形式でも重要な群,ここに全射があって,

homologyへの作用がわかる部分です.homologyへの作用が自明な部分がTorelli群Ig. 1→ Ig→ MgSp(2g,Z)→1

Dennis Johnson, 彼のnotationに従ってIg と書きます(Tg と書くとTeichm¨uller空間になるので).後で Torelli spaceも出てきます.topologyの課題として大きな問題があります.それをご紹介します.Torelliとい うのは代数幾何の古典的な仕事をした人の名前です.Igのcohomologyについてtopologyの課題として大き な問題があります.それをご紹介します.

種数g=1の場合,torusの微分同相なので, homologyへの作用だけでわかって,

M1Sp(2,Z)=SL(2,Z)

これは同型です.こうなります.種数1の場合の微分同相はhomologyへの作用だけでわかる.したがって,

Torelli群は

I1={1} となり,自明になります.

g≥2ではこれは非常に大きな群になります.g=2,種数2の場合,これはよく知られた結果で,種数2の Torelli群,I2はfree group of rank∞.これはG. Messという人の有名な仕事です.これは群論的には∞rank ではありますが,自由群だというので抽象的な群の構造は完全にわかっています.これで全部にわかったかと いうとSp(4,Z)の作用は簡単ではありません.

Theorem 3.12(Johnson). Ig(g≥3)はfinitely generated

g≥3では,Igはfinitely generated.D. Johnsonの基本的な仕事の一つで,Annals of Math.に出ました.こ の論文を読んだこと感銘を受けたことが,すでに始めていた写像類群に関する仕事をさらに進めて,Torelli群 の構造にまで踏み込むきっかけになりました.こういう論文があるよと教えてくれたのは吉田朋好さんです.

この流れ,つまりgeneratorを書くという流れでいうと,最近ではDennis Johnsonの仕事と並んで,A. Putman の仕事があって,もう少し詳しくgeneratorsを調べています.

この流れで大きな問題,大問題,Torelli群に関する大問題はまず,有限生成なら有限表示可能か,というも のです.

大問題:Ig(g≥3)はfinitely presentedか?

g=2では無限生成ですから違います.これは大問題です.Dennis Johnsonの仕事は1980年代前半ですか らそれから30年経っています.いろいろな人がtryしていますが,本質的な進展はほとんどないと言ってもよ いでしょう.有限表示かそうではないか,人によって予想は違いますが.こういう問題があります.homology については最近,代数幾何の方から少し進展はありました.あと(次回の11月19日になりました)で出てき ますが,Torelli群の部分群でJohnson Kernelというものがあって,そのJohnson Kernelのable化が無限rank かという問題がありましたが,それがmod torsionで決定されました.

写像類群と並んで自由群のautomorphsimにparallelな問題があります.これは写像類群よりも古くて,

対応する問題としては自由群のautomorphismでhomologyに作用しないTorelli群の元に対応するものを

IA-automorphismと呼び,その全体をIAn と表します.このIAn は,n≥3で有限生成というのは古典的な

Magnusの仕事です.有限生成なら,これがn≥4でfinitely presented ?これは大きな問題です.

n=3のときはnot finitely presented.これはこの方面では有名な仕事であって,Krsti´c-McCool.この人たち の仕事があります.これは有限表示ではない.またIA2F2ですから,4以上で有限表示可能かというのは 大問題です.これは群の表示に関する大問題です.

今日のタイトル,Torelli群のhomology, cohomologyに関して大問題というのは,一般的にいうと,Torelli 群のhomology, integral homologyがわかれば一番良いですが,その前にrational homology,Q上でわかるか.

大問題:

H(Ig;Z)=?

H(Ig;Q)=?

cohomologyの方も問題がparallelにあります.

H(Ig;Z)=?

H(Ig;Q)=?

さらにTorelli群にはshort exact sequence 1→ Ig → MgSp(2g,Z)→1からSiegel modular群が作用し ますから,cohomologyのSp-invariant part, homologyにしたときはco-invariant partが問題です.

H(Ig;Z)Sp(2g;Z)=?

H(Ig;Q)Sp(2g;Z)=?

これは難しい問題です.これがわかるか.これに関して問題を詳しく書くというのが今日の目標です.abel化 の次に重要なのはH2です.特に

H2(Ig;Q)Sp(2g;Z)=?

Sp(2g;Z),これがなくてH2(Ig;Q)がわかればよいのですが,まずSp-invariant part,さらにSp-modlueとして の構造を知りたい.

これに関連してIAnについてDay-Putman, 2014年,今年arXivに論文が出ました.これは非常によい結果 だと思います.PutmanはBenson Farbの弟子,FarbはThursonの最後の方の弟子ですから,Thurstonの孫弟 子になります.Torelli群に対応する自由群の場合ですね,H2(IAn;Z)はfinitely generated asGL(n;Z)-module.

残念ながらZ-moduleではなく,GL(n;Z)-moduleとしてです.finitely generatedかどうかはまだわからない.

orbitが生成することはわかりました.去年の6月にPutmanが日本に来た時にアナウンスはしていたようで

す.さらにco-invariantも計算していて,これは自明である.

H2(IAn;Z)GL(n;Z)=0 (n≥6).

ここまで計算しています.これは非常によい結果です.これのmapping class group version, Torelli群version がどうなるかというのは大問題です.私はこれを詳しく読んだわけではありませんが,この定理をTorelli群 に適用できるかというとなかなか難しい感じがします.

これに関連して,Torelli群に関する重要な定理は次の定理です.Bestvinaは組み合わせ群論の大家です.

MargalitはやはりFarbの弟子でPutmanの少し先輩です.2009年のInventionesの論文です.これは非常に 大きな定理です.Torelli群のcohomology次元を完全に決定しました.Torelli群はtorsion freeなのは古典的 に知られているので,cohomology次元はvirtual cohomology次元と同じです.

Theorem 3.13(Bestvina-Bux-Margalit).

cd(Ig)=3g−5 (g≥2). rankH3g5(Ig;Z)=∞.

仮にg = 1を代入してみると-2となってしまいますが,このときI1 は自明な群です.さらにトップ

のhomology,そのrankが無限大.これも証明しました.cohomology次元があったとすると,そのトップ

のhomologyがどうなるかというのは問題です.mapping class groupの場合は4g−5次元でそのrational

homologyは自明ですが,Torelli群の場合はトップの次元でconstant係数でちゃんと出てきます.

多分co-invariantは自明だと思われるのですが,この論文には何にも書いてありません.彼らがこの問題を

知らないはずはないので,コメントも何も書いてないので,何か微妙な所があるのかもしれません.

そしてこれと並んでKgというJohnson Kernel,これはDennis Johnsonの有名な,名前の残った一番大きな 仕事,のちにJohnson準同型と呼ばれるようになった基本的な準同型写像

τ1 :Ig→Λ3H/H

があります.ここでH =H1g;Z). そのKernelをKgと書いて,Johnson自身はそう呼んではいませんが,

Johnson Kernelと呼びます.多分Farbのスクールの人たちが呼びだしたんだと思います.最近はこの名前が

定着しています.

Kg =Ker(τ1:Ig →Λ3H/H)

Johnson Kernelの定義です. Johnsonのもう一つの定理は,これがBSCC-map, bounding simple closed curve, separatingなsimple closed curveに沿ったDehn twistで生成される部分群と一致している.これがもう一つの Dennis Johnsonの定理です.

Theorem 3.14(Johnson).

Kg=⟨BSCCmaps⟩.

これはCasson不変量とも絡んで,写像類群の構造だけではなく3次元多様体,Torelli群はhomology球

面の全体,その前にもちろん写像類群全体がmapping torusを取ることによって,3次元多様体とも関係して いますが,Kgはもっとよりknot theoryに関係しています.Bestvina-Bux-MargalitはこのJohnson Kernelの

cohomology次元も完全に決定しています.

Theorem 3.15(Bestvina-Bux-Margalit).

cd(Kg)=2g−3 (g≥2). これはBestvina-Bux-MargalitのInventionesの論文です.

それでですね,特性類との絡みで問題をあげようと思います.写像類群の表現,Torelli群上のJohnson準同 型があって,

τ1:Ig→Λ3H/H=U

Λ3H/H=Uとおきます.これはSp-moduleです.これがTorelli群のmod torsionのable化になるというの

が,Johnsonのさらにもう一つ有名な結果です.これを拡張した仕事があって,分母に2を許して,

ρ:Mg→ 1

2USp(2g,Z)

こういうものを構成しました.これはZ上では拡張しません.これのcohomology, rational cohomologyへの 作用を考えます.UQSp(2g,Q)の既約表現になります.そうすると,これはspectral系列が安定域で退化す るので,

ρ:H(UQ)Sp(2g;Q)H(Sp(2g;Z);Q)→H(Mg;Q).

こういう準同型が得られます.H(UQ)Sp(2g;Q),これはstableにはどうなるかというと,trivalent graph without loopsの生成する多項式代数です.またH(Sp(2g;Z);Q),これはBorelの定理で多項式代数で,Sp(2g,R)の maximal compact群がU(g)で,Chern classesが出てきますが,odd classが生成する多項式代数になります.

いわゆるHodge bundleのChern classでこのimageがodd MMM-classになる.

H(UQ)Sp(2g;Q)H(Sp(2g;Q);Q)stablyQ[trivalent graphs without loops]⊗Q[c1,c3,· · ·]→H(Mg;Q) これをTorelli群に制限するとどうなるか.Sp(2g,Z)から来るものはzeroで

ρ:Q[trivalent graphs wothout loops]→H(Ig;Q), こういう準同型があって,そして前の仕事でTorelli群IgからMgへのinclusionを

i:Ig→ Mg

とおくと,このimageは

Imρ=i(Q[e2,e4,e6,· · ·]),

と, even MMM classesたちのTorelli群上のimageになります. そうして大問題は何かというと,こうして 得られる写像について,

大問題:

Φ:Q[e2,e4,e6,· · ·]→H(Ig;Q)Sp(2g;Z) のimageは何か?

genusが増えていくとimageは大きくなることが想定されていますが,何もわかっていません.極端な場

合,0-mapかもしれません.大問題です.私は楽観的にstableにはgenusを大きくしていくとこれはinjective

だろうと思っています. ただ今日はこのevidenceというべきものを後半で紹介します.若い人たちの結果で,

この問題にattackすることがmotivationの1つで,そしてこれから述べることがそのevidenceだと書いて くれています.conjectureと書きますが,最近Thurstonが亡くなって,さっき言ったようにBenson Farbは

Thurstonの最後の方の弟子ですが,AMSのNoticeに書いた文章があって,Thurstonの思い出などを書いてい ます.その中で,いろんなえらい数学者がいるけれども,Thurstonがその中で際立っていたことと思うのは,

彼が述べた予想やprospectで1つとして,のちに間違っていたとわかったものはない,と書いています.

その最たるものがvirtual fibration予想といわれたものです.双曲的3次元多様体は有限coverを取るとS1

上のsurface bundleの構造を持つ.最初は予想とは書いていませんでしたが,ある時期からThurstonの予想

といわれるようになりました.これはみなさんご存知のように2年前に証明されました.これは最たる例です

が,Benson Farbによればこれだけではなく間違っていたものは1つもないと.

また,foliatedS1-bundleがreal analyticなmonodormyを持つと,e3はzero,これはlost theorem,これは証 明がわからない,Ghysさんの講演にありました.なかなか難しい,しかし,非常に面白い問題です.一時期 私は何乗してもzeroではないと思って,いろいろとtryしました.もちろん全然証明できませんでした.e3 の前に,e2がzeroでないこともまだわかっていないと思います.これはThurstonもGhysも何も言っていま せん.あとでこれに関連する逆井さんのtryにも触れます.

さてconjectureと言いますが,

Conjecture:Φstably injective ?

詳しくいうと,任意のcohomologyの次数kを取ると,genusがそれに比べて非常に大きいとk次までΦ

injectiveだろう.これは楽観的すぎるかもしれません.0-mapかもしれませんから.これについての若い人達

の仕事,evidenceを紹介します.

その前にそもそもこのeven classは何か,Grothendieck-Riemann-Roch theorem,あるいは,我々にとって

は,Atiyah Singerのfamily index theoremの方がわかりやすいですが,このどちらかを使うとわかります.

Teichm¨uller spaceをTorelli群で割る,これをmapping class groupで割るとRiemann面のmoduli空間,部分

群,Torelli群で割るとtorsionがないので複素多様体になります.

Tg=Tg/Ig

これはTorelli spaceとよばれています.複素多様体,特異点がない,だからChern classとか,特にunderlying smooth manifoldの構造を考えると,Pontrjagin classを考える事ができます.Grothendieck-Riemann-Rochか Atiyah Singer family index theorem,そのどちらかを使うと,Grothendieck-Riemann-Rochは代数幾何的,一番 一般化された形のRiemann-Roch,これは個人的には20世紀最大の定理の一つだと思います.または,Atiyah Singer family index theorem,これもtopologyとglobal analysisをつなぐ大定理です.これらを使うとeven

classというのは,大雑把に言っていますが,

eevenの幾何的意味”=”Tgのreal manifoldとしてのPontrjagin class.

イコールです.どちらかを適用して,正確にはHodge bundleのdualに対して適用するのですが,これがも ろに出て来ます.even MMM-classがPontrjagin classに対応します.しかもgによらないという所が面白い 所です.この証明はKirby festaのsurvey論文の最初の方に書いてあります.幾何的にはこういう意味がある ので,Torelli spaceは,もしこの予想, stableにはinjective,これが正しいとすると,Pontrjagin classesがzero でないので,実多様体としては曲がっています.もし0-mapだとすると特性類が全部消える,ということは flatに近い,全く違う様相になるということです.今の所全く何もわかっていません.これはなかなか難しい.

Riemann面のmoduliについてはいろいろな立場から研究があります.Torelli spaceは特異点がないのである

意味研究しやすいのですが,代数幾何的にはこれは非常に難しい.compact化があからさまにはわからない.

algebraicではないのでHainさんの研究はありますが,代数幾何が使えない.しかし幾何学的にはPontrjagin

class,特性類ですから,これがzeroかzeroでないか.Johnson Kernelのcohomology, secondary classは後に

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