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5. プラットフォーム型の事例

5.3. Thingful

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54 図 22 Thingfulによるセンサーデータの検索結果

出所:https://thingful.net/ (2015/10)

テキスト検索では世界最大級の検索エンジンであるGoogleでも、これらのセンサーデー タを検索することはできない。例えば、Googleで"London temparature"と検索すると、気 象予報サイトの一覧が表示されるだけである。ロンドンの気温を測定している温度センサ ーのデータをGoogleで検索することはできない。Thingfulは、インターネットに接続され ている世界中の装置やセンサーが発するデータをプラットフォームに集めて検索できるよ うにすることで、センサーデータの価値を高めるために開発された IoT の検索エンジンで ある。

実際にセンサーデータを活用できる環境がないことによって、社会的な問題も生じてい る。ロンドン交通局(TfL)のある地下鉄路線は、気温があらかじめ定められた制限値を超 えると運転を停止しなければならないため、常にリアルタイムの気温データを必要として いる。しかし TfL には自前でリアルタイムの気温データを入手する設備はなく、しかもロ ンドンの道路にはもともと温度センサーが設置されていないため、データを入手するすべ がない。そこでThingfulは、すでにセンサーを搭載している自動車などから気温データを 集めてプラットフォーム化し、TfLなどのようにリアルタイムなセンサーデータを必要とし ている企業が利用できるようにすることを計画している。

Thingfulは、多くのデータを著名なIoTネットワークから取得している。それぞれのネ

55 ットワークは特定の目的のためにセンサーデータを集めて公開しているが、ネットワーク 自体は独立しており、お互いに連携することはこれまでなかった。Thingful はこうした孤 立したネットワークをつなぐことによって、ネットワークのネットワーク、世界規模の広 範囲なIoTネットワークを作り上げた。

Thigfulではオープンデータをはじめとする公的なデータだけではなく、私的なデバイス

が発するデータも扱うことができる。ThingfulはIoTデータに対して所有権を主張するメ カニズムとして、データの所有者がデータに対する他者のアクセスを制御し、検索可能に するかどうかをコントロールするツールを提供している。センサーなどのデバイスの所有 者は自分のデバイスが発するデータだけを1つのWebページでまとめて見ることもできる。

Thingfulは現在ベータ段階であるが、誰でも使えるIoTの検索エンジンという第1段階

を経て、第2段階としては企業が私的なIoTデータを共有できるプラットフォームに発展 させていく計画である。

表 8 Thingfulが利用しているIoTネットワーク

出所:https://thingful.net/ (2015/10)

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ドキュメント内 Microsoft Word - opendata_business_usecases.docx (ページ 57-60)

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