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5. プラットフォーム型の事例

5.1. OpenGov

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5. プラットフォーム型の事例

48 できるようになり、何百時間も節約することができるようになる。

(2)データ分析に関する問題

財務データや予算データは何百ページにも上るレポートの形で公開されたり、非常に複 雑なスプレッドシートで公開されたりすることが多い。たとえこれらの財務データがオー プンデータとして公開されていたとしても、ほとんどの市民は理解できず、財務状況を把 握することは不可能である。政府の職員にとっても、膨大なデータの中から特定の数字を 見つけ出すことは極めて難しい。OpenGovは直観的なナビゲーションとビジュアライゼー ションによって、部門やファンド、あるいは領域ごとの収入や支出情報を、わずか数クリ ックするだけで、だれでも簡単に見つけ出し、分析することを可能にする。

(3)データ共有に関する問題

予算や財務のデータについて、市民とコミュニケーションすることは多くの政府機関に とっては頭の痛い問題である。情報公開請求に応えるために毎年何百、あるいは何千時間 人時ものコストを要している。OpenGovによってデータをグラフや表で共有することによ り、こうした情報公開や開示請求に関わるコストを削減することができる。

図 20 OpenGovによるパロアルト市の財務データ

出所:https://paloalto.opengov.com/transparency/ (2015/10)

49 政府機関がOpenGovに提出するのは過去4年分の総勘定元帳(General Ledger , GL)であ る。勘定科目一覧表(Chart of Accounts)や予算書があればOpenGovのサイト作成に役立つ。

データをCSVやExcelで提供すればサイト制作期間が短縮されるが、それ以外のフォーマ

ットでも受け付けている。データの粒度をどこまで細かくするかはデータ提供者である自 治体が決めることが可能である。

OpenGovのCurrent Year Reportingサービスでは、毎月あるいは4半期ごとに予算や

支出が確定するたびにデータを更新することができる。Annual Reportingサービスではデ ータの更新は年に1回となる。いずれのサービスにおいても、OpenGovがデータを受け取 ってから、1営業日内にデータはサイトに反映される。

OpenGovはパロアルト市から専門的なアドバイスなどの支援を受けるかわりに、開発費

を取らず無償で開発した。OpenGovの年間利用料は地方自治体の予算書のコピー代を参考 に決定されており、OpenGov導入による費用削減効果が自治体にアピールし、採用する自 治体が急増した。現在は、43州で500以上の公的機関がOpenGovを採用している。OpenGov のプラットフォームには、1,250億を超える財務データが分析可能な形で蓄積されている。

2015年9月、OpenGovは新サービスOpenGov Intelligenceを発表した。政府職員によ る意思決定を支援するためのサービスであり、財務データだけでなく、政府の業務で扱う 様々なデータを加えて分析することができる。分析結果をもとに各種分析レポートを作成 し、政府内で共有することも可能である。従来の財務データ可視化サービスは OpenGov

Transparencyして継続提供されている。

OpenGov は OpenGov Transparency によってプラットフォームに集めた膨大な財務デ

ータを元にして、さらに付加価値の高いサービスOpenGov Intelligenceを生み出した。集 約したデータから新たな価値を次々と生み出すという点で、OpenGovはプラットフォーム 型ビジネスの典型的な事例となっている。

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ドキュメント内 Microsoft Word - opendata_business_usecases.docx (ページ 51-54)

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