5. プラットフォーム型の事例
5.2. Socrata
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51 図 21 SocrataのFinancial Transparency Apps
出所:
http://discover.socrata.com/SocrataInsightsCampaignEmail2_thank-you.html?mkt_tok
=3RkMMJWWfF9wsRoisqzNZKXonjHpfsX57u4sX6+1lMI/0ER3fOvrPUfGjI4FT8NiI+S LDwEYGJlv6SgFQrXEMbNp07gLXxA= (2015/10)
Open Expendituresは、膨大な政府予算を市民感覚で把握できるレベルまで詳細にドリ
ルダウンできる機能を持ったアプリケーションである。市民が予算を肌感覚で理解できる ようになれば、政府の活動への理解は深まり、市民参画が促される。Open Expenditures の主な機能は以下の通りである。
時間の経過に伴う支出の傾向の変化を調べたり、市民が最も関心の高い分野のデータを ドリルダウンして詳細に調べたりできる
公園とパブリックアートのどちらにお金が支出されているのかなど、市民が関心のある 分野を自ら選んで、支出額を比較することができる
支出先の業者を名前で検索したり、どの業者に対してどの予算が使われたのかを調べた りすることができる
Financial Transparency Appsが想定している利用者は、政府職員と市民の両方である。
政府職員と市民が同じツールで同じデータを見る環境を整えることによって、予算や支出 に関する透明性は格段に向上し、相互理解を深めることが可能となる。
Financial Transparency Appsは、発表からわずか9ヶ月の間に50を超える公的機関に
導入された。カリフォルニア州やハワイ州などの大規模な自治体だけでなく、ダベンポー ト市やローレンス市のような規模の小さな自治体もFinancial Transparency Appsを採用 した。予算や支出の透明化は規模の大小を問わず、地方政府にとって大きな課題となって
52 いることがわかる。
2015年6月、Socrata は「オープンデータの価値はポータルではなくプラットフォーム が生み出す」という考えの下、Data-as-a-Utility(DaaU)プラットフォームを発表した。
DaaUが対象とするデータはオープンもクローズドも、パブリックもプライベートもすべて 含まれており、市民や外部の利害集団、政府の職員、アドボカシーグループ、メディア、
コンテンツ事業者、開発者、科学者、統計学者など、あらゆるデータ利用者に対して、デ ータ利用環境や目的に応じた、最適なデータの収集、分類、共有、公開、発信を可能にす るというものである。
2015年9月、SocrataはDaaU構想に沿ったサービスとして、Socrata for Financeとい
う新製品を発表した。Socrata for Financeには、Financial Transparency AppsのOpen
BudgetとOpen Expenditureの他に、Open Payrollが含まれている。Open Payrollは政
府職員の給与を、部門、仕事の種類、役割などで調べることができるサービスである。
DaaUの全体像はまだ明らかではないが、Socrataは従来のオープンデータポータルによ る「データを公開する場の提供」というビジネスから、DaaUによる「データ活用の場の提 供」へと大きく舵を切った。Socrataが目指しているのは、ユーザーフレンドリーで、且つ、
データドリブンなDaaUプラットフォームである。
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