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Theorem 4.2 の証明の概略

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3 Floer ホモロジーと張り合わせ公式

4.3 Theorem 4.2 の証明の概略

X=CP2#CP2,Y =L(7,3)とおく。XTheorem 4.2で述べたような 分解X=X1YX2を許したと仮定する。[9]の中で、ある[Σ]∈H2(X;Z) があって

ΨuX1([Σ])≡1 mod 2

となることが示されている。次の3つの場合がある。(i) Σ ⊂ X1, (ii) Σ2 ⊂X2, (iii) Σ∩Y =∅.

張り合わせ公式から

(i) =⇒ΨuX1([Σ]) =<ΨuX1([Σ]),ΨuX1

2 >, ΨuX1

1([Σ])∈I1(Y) (ii) =⇒ΨuX1([Σ]) =<ΨuX1

1uX1

2([Σ])>, ΨuX1

1 ∈I2(Y), (iii) =⇒ΨuX1([Σ]) =<ΨuX1

1([Σ1]),ΨuX1

2([Σ2])>, ΨuX1

1([Σ1])∈I2(Y, γ) となる。ここで、I(Y)[7]で構成されたFloerホモロジーである。

I(Y), I(Y, γ)Y×R上のインスタントンを用いて定義される。L(p, q)× R上のインスタントンは、Austin [1], Furuta-Hashimoto [8]によって調べ られている。これらの結果を用いると、I1(Y) = 0, I2(Y) = 0, I2(Y, γ) = 0 が分かる。したがって、ΨuX1([Σ]) = 0となり、矛盾が得られる。

参考文献

[1] D. M. Austin, SO(3)-instantons onL(p, q)×R, J. Differential Geom.

32(1990), 383–413.

[2] D. M. Austin and P. J. Braam,Equivariant Floer theory and gluing Donaldson polynomials, Topology 35 (1996), 167–200.

[3] S. K. Donaldson,Floer homology groups in Yang-Mills theory, With the assistance of M. Furuta and D. Kotschick. Cambridge Tracts in Mathematics, 147. Cambridge University Press, Cambridge, 2002

[4] A. Floer, An instanton-invariant for 3-manifolds, Comm. Math.

Phys. 118(1988), 215–240.

[5] K. Fukaya, Floer homology for oriented 3-manifolds, Aspects of low-dimensional manifolds, 1–92, Adv. Stud. Pure Math., 20, Ki-nokuniya, Tokyo, 1992.

[6] K. Fukaya, M. Furuta and H. Ohta, unpublished manuscript.

[7] M. Furuta,Za-invariantSU(2)instantons over the four sphere, Ge-ometry of low-dimensional manifolds, 1 (Durham, 1989), 161–174, London Math. Soc. Lecture Note Ser., 150, Cambridge Univ. Press, Cambridge, 1990.

[8] M. Furuta and Y. Hashimoto, Invariant instantons on S4, J. Fac.

Sci. Univ. Tokyo Sect. IA Math. 37(1990), 585–600.

[9] H. Sasahira, Floer homology for 2-torsion instanton invariant, preprint.

[10] H. Sasahira, Instanton Floer homology for lens spaces, preprint.

Toric degenerations of polygon spaces and bending flows

野原 雄一

香川大学 教育学部

1

(X, ω) 2N 次元シンプレクティック多様体としたとき,X 上の完全可積分系と

N 個の関数の組Φ = (f1, . . . , fN) :X −→RN で,次の二つの条件 (i) 互いにPoisson可換,つまり{fi, fj}= 0, i, j= 1, . . . , N, (ii) df1, . . . , dfN はある稠密な開集合上で一次独立

を満たすもののことをいう. f1, . . . , fN からひとつ(例えば f1)を選んでそれを Hamiltonianだと思ったとき, (i)の条件はfi たちがf1Hamilton系の第一積

(保存量)だということを意味している. つまり独立な第一積分が可能な限りた

くさん(= N個)あるという状況であり, その意味でこれを完全可積分系と呼ぶ.

ただしこの話ではどれがHamiltonianであるかという指定はしない.

以下で考えるのはX がコンパクトな場合であるが,このときΦの一般のファ イバーΦ1(u) (の連結成分)Lagrangeトーラスである(Arnold-Liouville 定理). すなわちΦ1(u) N 次元トーラス(の和集合)ω|Φ−1(u)= 0 を満た す. このようなLagrange 部分多様体によるファイブレーションの構造は幾何学 的量子化やミラー対称性などで重要となる.

典型的な例はX がトーリック多様体の場合で,自然なトーラス作用の運動量 写像

Φ :X −→RN = (LieTN)

が完全可積分系である. このときΦによるX の像Δ := Φ(X)RN は運動量 多面体と呼ばれる凸多面体になる. X の構造の多くはΔ の組み合わせ論的情報 を用いて具体的に記述することができる. このことはトーリック多様体の場合に ミラー対称性がよく理解されている理由のひとつである(特にシンプレクティック

(正則円盤の数え上げ)では具体的な記述を本質的に使っている議論がある([1],

[3]を参照)).

トーリック多様体の場合以外にはこのように具体的な記述があることはほと んど期待できない(例えば正則円盤を具体的に記述するのは旗多様体の場合でさ え困難である). そこで,多様体を完全可積分系の構造もこめてトーリック多様体 に退化させること(完全可積分系のトーリック退化)を考える.

定義1.1. (X, ω)は射影的なahler多様体とし, X 上の完全可積分系Φ :X RN は像が凸多面体Δ となるように関数を取り直しておくものとする(つまり作 用変数をとっておく). このときΦのトーリック退化とは,

射影的ahler多様体の平坦な族f :XB,

区分的に滑らかな底空間の道γ: [0,1]B,

γ に制限した族の全空間上の連続写像Φ : X|γ([0,1])RN,

X|γ([0,1]) (の稠密な開集合)上のベクトル場ξγ の速度ベクトルの持ち上

げとなっているもの

の組で次の条件を満たすもののことをいう.

t[0,1]に対し, Φt:=Φ|Xt Xt=f1(γ(t))上の完全可積分系,

X1 ahler多様体としてX と同型であり,その同一視のもとでΦ1= Φ,

X0 Δから決まるトーリック多様体で, Φ0はトーラス作用の運動量写像 を与える,

(稠密な開集合上で)φt= exp(tξ)は完全可積分系の構造を保ったままファ

イバーXt を別のファイバーXttに移す:

Xt

ΦCtCCCCCC!!

C

φt //Xtt

Φt−t

||xxxxxxxx

RN

[10]ではGelfand-Cetlin系と呼ばれる旗多様体上の完全可積分系に対してそ

のトーリック退化を構成し,それを正則円盤の数え上げ問題に応用している.

この講演では

R3内の多角形のモジュライ空間1 上のbending Hamiltonian と呼ばれる関 数たちからなる完全可積分系,

射影直線CP1 上の放物的SU(2)束のモジュライ空間上に定まる完全可積

分系(Goldman系と呼ぶことにする)

がトーリック退化を持つことをお話したい. なお,これらの場合にも Floer理論 への応用は重要な問題だと思われるが,それは今後の課題である.

1R3内の多角形と聞いて何が面白いのだろうと思われる方もいらっしゃるかもしれないが,実は次 の項目の放物的ベクトル束のモジュライやGrassmann多様体,射影直線上の点配置([2], [5]参照) などと関係していて,意外に(?)深い例である.

2 R

3

内の多角形のモジュライ空間

2.1 多角形のモジュライ空間と Grassmann 多様体

n個の正の実数の組r= (r1, . . . , rn)を固定し,|r|=

iri と書くことにする. のとき多角形のモジュライ空間Pr =Pr(R3)とは,R3内の辺の長さがr1, . . . , rn

であるn角形の Euclid等長変換群による同値類の集合のことである. 言い換え

ると Pr =

x= (x1, . . . , xn) n i=1

S2(ri) x1+· · ·+xn= 0

SO(3)

である(x1, . . . , xn n 角形の辺). ただし S2(ri)R3 は原点中心, 半径 ri 球面であり, SO(3) 作用は対角作用を考える. r を一般にとると Pr は滑らかな 2(n3)次元多様体となる.

さらにPr は以下のようにしてシンプレクティック多様体(より強く ahler 多様体)となる. R3 SU(2) Lie 環の双対 su(2) と同一視すると, S2(ri) はある余随伴軌道 Ori と同一視される. ここには自然なシンプレクティック形 (Kostant-Kirillov形式)があることに注意する.2 またR3 へのSO(3)作用は SU(2) su(2) への余随伴作用から得られる. このときOr1× · · · × Orn への SU(2)の対角作用はHamiltonianで,その運動量写像は

μ:Or1× · · · × Orn−→su(2), (x1, . . . , xn)−→x1+· · ·+xn

で与えられる. したがってPr Or1× · · · × Orn SU(2)作用によるシンプレ クティック簡約である:

Pr=μ1(0)/SU(2).

誘導されるシンプレクティック形式をωrsu(2) であらわすことにする.

Pr Grassmann 多様体のシンプレクティック簡約としても得られる([6]).

Gr(2, n) Cn 2次元部分空間のなす Grassmann 多様体とすると, これは

n×2 行列全体Cn×2 U(2) 作用によるシンプレクティック簡約として得られ る. μU(2):Cn×2u(2)=

1u(2)U(2)作用の運動量写像とすると,

z1 w1

... ... zn wn

μU(2)1

|r|/2 0 0 |r|/2

i

|zi|2=

i

|wi|2= 1

2|r|,

i

ziwi= 0 (1)

を満たす. ここでSU(2)の自然なC2 への作用を考えると, その運動量写像は νSU(2):C2−→su(2)=

1su(2), (z, w)−→ 1 2

|z|2− |w|2 2zw 2zw |w|2− |z|2

2適当に正規化したS2(ri)の面積要素といってもよい.

で与えられる. (νSU(2))n:Cn×2 (su(2))n という写像を考えると, (1) の条件

のもとで

νSU(2)(z1, w1), . . . , νSU(2)(zn, wn) su(2) =R3 n 角形を与える(すなわち

iνSU(2)(zi, wi) = 0 を満たす).

U(n)の対角行列のなす極大トーラスをT としたとき,Gr(2, n)へのT 作用の運 動量写像μT :Gr(2, n)Rn

z1 w1

... ... zn wn

−→(|z1|2+|w1|2, . . . ,|zn|2+|wn|2)

で与えられることに注意すると,

Pr =μT1(r)/T となることが分かる.

ドキュメント内 abstract-body.pdf (ページ 31-36)