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TES 膜厚比と転移温度の関係

ドキュメント内 小坂 健吾 (ページ 104-109)

第 7 章 膜厚比と転移温度の研究

7.3 TES 膜厚比と転移温度の関係

90 第7. 膜厚比と転移温度の研究 ある。

一方でスパッタのターゲット残量に対する懸念は、今のところそのような兆候は見られていない。た だし、唐突にスパッタできなくなる可能性は否めない。

7.3. TES膜厚比と転移温度の関係 91

図7.17: 膜厚比-Tcの相関関係(2016小泉)。 2). Au 20nmで成膜

の条件で以下の表7.2ような検証用基板を製作した。

表 7.2: 膜厚比-転移温度検証用基板一覧。

素子名 使用基板 膜厚(Ti/Au) 膜厚比

ベア140 ベアシリコン 100/40nm 0.4 ベア180 ベアシリコン 100/80nm 0.8 TMU500 CMP基板 100/40nm 0.4 TMU501 CMP基板 100/80nm 0.8

これらの基板をR-T測定を行い、それぞれのTcを調べる。基本的にはTiの膜厚が100nmで固定さ れているため、Au膜が厚くなる程、Tcが下がることが予想される。次にCMP基板のRT測定は本来、

パターニング後に行う。しかし今回は前述のAu穴あき問題に対する検証が十分にはなされていないた め、まずはベタ膜の状態で測定を行った。

7.3.3 ベア140,180結果

まず、ベアシリコン基板上のTES膜の測定を行い、正常な転移が見られるか、Tcはどの程度かを確 認する。

ベアシリコン上のTESは正常な転移が確認できた。ただし、Auとの薄膜効果でTcが下がる見込み であったが、ベア140はTc=500mKとかなり大きな値となった。バルクTiがTc=390mKであるため それを100mK程超えている。また常伝導抵抗は550mΩであった。

ベア180についても正常な転移が確認できたが、こちらもTc=400mKとバルクTiを超える結果と なった。しかしながら、常伝導抵抗については225mΩとAu膜が厚い分それなりに低くなっている。

ベアシリコンの結果をみて、CMP基板のTES膜についてもTcを予想するつもりでいたが、存外こ れが高かったため、難しくなった。Tcは高かったが、一応転移は確認できたので、CMP基板での測定 に進むことにした。

92 第7. 膜厚比と転移温度の研究

図7.18: ベア140のR-Tプロット図)。

図7.19: ベア180のR-Tプロット図)。

7.3. TES膜厚比と転移温度の関係 93 7.3.4 TMU500,501結果

ベアシリコンでの転移確認に成功したので、Tcの予想はつけられなかったものの当初の予定通り、そ れぞれ同じ膜厚でCMP基板上に成膜し、R-T測定にかけた。

図7.20: TMU500のR-Tプロット図)。

TMU500の結果はベアシリコンの結果と全く異なり、Tc=320mKであった。こちらの結果はTMU459 のTc=360mKという結果と比較し、Auを厚くしている分の近接効果によるTcの下降をよく観察するこ とが出来ていると言える。またベタ膜測定とはいえ、前節で失敗したTMU459再現実験、つまり積層配 線基板上でのTES膜の正常な超伝導転移の確認も取ることが出来た。常伝導抵抗は400mΩ程であった。

こちらのTMU501の結果もTMU500に続き、Tc=250mKでの正常なTES膜の転移及び、CMP基 板上での近接効果によるTcの下降がよく現れている。常伝導抵抗は120mΩであった。

7.3.5 まとめ・先攻研究との比較

前2小節の結果をまとめると、図7.22のように表される。

図7.22から先攻研究ではTi=40nmで固定し、本研究においてはTi=100nmで固定し、更に膜厚比 も違う領域で比較を行うため多少分かりにくいかもしれない。しかしながら、図7.22から、どの基板に おいても膜厚比が大きくなる程、Tcが下がるという結果が得られた。基板情報の差異を鑑みても、今 回の結果を参考にTi/Auの膜厚比を決定することで、Tcを予測し制御することが可能であると言える だろう。とはいえ現状、まだまだデータ量としては不足している。今後の実験の中で、様々な膜厚比を 成膜していきながら、理論的な計算も交え、より正確な膜厚比-Tcの研究、ひいては安定した膜厚比で Tc=100〜150mKを目指せると良いのではないだろうか。

94 第7. 膜厚比と転移温度の研究

図7.21: TMU501のR-Tプロット図)。

図7.22: 膜厚比-Tcの相関関係の照合。

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