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Schwarz の鏡像の原理 (Schwarz reflection principle)

ドキュメント内 exp z = (ページ 143-147)

第 6 章 有名どころの定理 140

6.6 Schwarz の鏡像の原理 (Schwarz reflection principle)

Functions on One Complex Variables I, II, John B. Conway, Springer.

6.6.1 実軸を超えての拡張

この項では、A⊂Cに対して、

A:={z∈C;z∈A}

とおく。すなわち、AA を実軸に関して折り返した集合である。

A=Aであるとき、A は実軸に関して対称である、と言うことにする。

命題 6.6.1 ΩはCの開集合、f: ΩCは正則とするとき、

:={z∈C;z∈}, とおき、f: Ω C

f(z) :=e f(z) (z) で定めると、f は正則である。

証明 c∈ とすると、c∈Ω. f はΩで正則だから、∃ε >0,∃{an}n0 s.t f(z) =

n=0

an(z−c)n (z∈D(c;ε)).

このとき、∀z∈D(c;ε) に対して、z∈D(c;ε) であるから、

f(z) =

n=0

an(z−c)n. ゆえに

f(z) =f(z) =

n=0

an(z−c)n=

n=0

an(z−c)n. ゆえに fD(c;ε) で正則である。ゆえに f はΩ で正則である。

同様にu がΩ で調和ならば、u(z) :=u(z) はΩ で調和である。

補題 6.6.2 ΩはCの領域で、Ω̸=, Ω = Ω (Ωは実軸に関して対称) とするとき、Ωは実軸の 開区間を含む。

証明 ΩR̸=である。実際、もしもR= ならば、

+:= Ω∩H+,:= Ω∩H, H+:={z∈C; Imz >0}, H:={z∈C; Imz <0} とするとき、

Ω = Ω+,+=∅. これは Ωの連結性に矛盾する。ゆえにΩR̸=.

x R とすると、Ω が開集合であることから、∃ε > 0 s.t. D(x;ε) Ω. このとき、I :=

(x−ε, x+ε) ={t∈R;x−ε < t < x+ε} とおくと、I Ω.

命題 6.6.3 ΩはCの領域で、Ω̸=, Ω = Ω (Ωは実軸に関して対称),f: ΩCは正則、実軸 上のある開区間でf は実数値を取るとする。このとき

f(z) =f(z) (zΩ).

証明 補題から、開区間I R が存在して、f(x)R (x∈I).

g(z) :=f(z)−f(z) (zΩ) とおくと、g はΩで正則であり、

g(x) = 0 (x∈I).

一致の定理から、g≡0 in Ω. ゆえに f(z) =f(z).

定理 6.6.4 (調和関数の鏡像の原理) Ω はCの領域で、Ω̸=, Ω = Ω (Ω は実軸に関して対称) とする。

+:= Ω∩H+,:= Ω∩H, H+:={z∈C; Imz >0}, H:={z∈C; Imz <0}, σ:= ΩR

とおき、v: Ω∪σ={z∈Ω; Imz≥0} →Rは連続で、

△v= 0 in Ω+, v= 0 onσ とするとき、

V(z) :=

{ v(z) (z+∪σ)

−v(z) (z)

とおくと△V = 0 in Ω. すなわち実軸上で0 である調和関数は奇関数拡張で調和に拡張できる。

証明 △V = 0 in Ω は明らかである。x0 ∈σ として、△V(x0) = 0 を示そう。D(x0;ε)⊂Ωとな るε >0 が取れる。

PV(z) := 1 2π

|zx0|

PV|z−x0|< εで調和であるから、V −PV はその円盤の上半分、下半分のそれぞれで調和である。

V −PV は円周上で0 である。円盤内の実軸上(⊂σ)では V =v= 0,また積分の対称性から PV = 0 であるから、V −PV = 0. 調和関数の最大値原理から V −PV は円盤の上半分、下半分で0に等しい。

ゆえに V =PV. 特に △V(x0) =△PV(x0) = 0.

余談 6.6.1 (調和関数の 偶関数拡張”, “奇関数拡張”) 上の話を実関数として見てみよう。良くやる ように、正則関数 f に対して、実部、虚部をそれぞれ u,v とおく。つまり

f(x+iy) =u(x, y) +iv(x, y), x, y, u(x, y), v(x, y)∈R.

このとき

f(x+iy) =f(x−iy) =u(x,−y)−iv(x,−y).

uv が調和ならば、u(x,−y)−v(x,−y) も調和である。確かにそれは明らかだ。

u,v がΩ+∪σ で調和であるとするとき、

U(x, y) :=

{ u(x, y) ((x, y)+∪σ) u(x,−y) ((x, y)), V(x, y) :=

{ v(x, y) ((x, y)+∪σ)

−v(x,−y) ((x, y))

とおく。まずU はΩで調和である。V は不連続かもしれない。連続であるためには V = 0 on σ

である必要がある。逆にこの条件が成り立っているとき、V はΩ で調和である。1変数実関数の偶関 数拡張、奇関数拡張の滑らかさの話に良く似ている。

上の定理の正則関数版。系としての証明と、Morera の定理を用いる証明と。

6.6.2 円弧を超えての拡張

円に関する鏡像

複素平面内の円C: |z−a|=r を固定する。

C に関して、z∈Cの鏡像 (鏡像点,鏡映点) がwであるとは、a,z,wが一直線上に並び、

|z−a| · |w−a|=r2

を満たすことを言う。z の鏡像wz から一意的に定まる。以下、これをz と書くことにする。

(z) =z が成り立つ。また、

zlimaz =∞, lim

z→∞z =a

が成り立つ。(気分的には「だから」)a の鏡像は, の鏡像は aと定義する: a =∞, =a.

Cb :=C∪ {∞}とする。R(z) :=z により、R:Cb Cb が定まる。これは同相写像であり、R1=R.

=aであれば、

(z−a) (z−a) =r2 が成り立つ。これから

z∈C z=z がすぐに分かる。

A⊂Cb が円 C に関して対称であるとは、

R(A) =A が成り立つことをいう。

命題 6.6.5 a∈C, r >0 とするとき、R:Cb Cb を円C: |z−a|=r に関する鏡像とする。こ のとき、

S(z) :=a+ r2

z−a, T(z) :=a+ r2 z−a とおくと、SC\ {a}で、TC\ {a} で正則で、

R(z) =S(z) =T(z) (zC\ {a}).

円に関する Schwarz の鏡像の原理

前項の結果を、領域Ωが上半平面内に含まれ、実軸上の開区間σ が境界∂Ωの一部となっていると き、Ω で定義された正則関数の、下半平面への正則な拡張を保証する定理ととらえ、上半平面の代わ りに円 C の内部で置き換えた定理を考えよう。

C1 :={z∈C;|z−a1|=r1}, D1:={z∈C;|z−a1|< r1}, C2 :={z∈C;|z−a2|=r2}, D2:={z∈C;|z−a2|< r2},⊂D1, σ :=∂Ω∩C1 =C1 or

{

a+r1e;θ∈(α, β) }

, β−α≤f: ΩC,

f(Ω)⊂D2, f(σ)⊂C2

とする。

f(z) :=e

{ f(z) (zΩ) R2(f(R1(z))) (z∈R1(Ω))

Ω := Ωe ∪σ∪R1(Ω)はC1に関して対称な領域で、feはΩeで正則である。実際、正則関数S1:C\{a1} → C,T2:C\ {a2} →Cで、

R1(z) =S1(z), R2(z) =T2(z) を満たすものが存在する。

R2(f(R1(z))) =T2(f(S1(z))) であるから、fe|R1(Ω) は正則である。

ドキュメント内 exp z = (ページ 143-147)