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解析関数

ドキュメント内 exp z = (ページ 173-178)

第 7 章 有名な道具達の箱 147

C.4.2 解析関数

例えば、対数関数 z 7→ logz をきちんと理解することが目標 (あるいは必要事項を理解したことの チェック) になる。

解析接続

関数要素の曲線に沿う解析接続、Weierstarss の解析関数 一般論として書いてあるが、次の対 数関数の場合を念頭に読むと良い。

収束冪級数h(z) が与えられたとして、その収束円をD=D(c;R) とする。∀a∈Dにおいて、h は 冪級数展開できる:

h(z) =

n=0

an(z−a)n.

この収束円を D =D(a;r) とすると、rr ≥R− |a−c|を満たす数である。特に r >0.

しばしばDDをはみ出す(D\D̸=)。そのとき、

f(z) :=





h(z) (z∈D),

n=0

an(z−a)n (z∈D\D) は、hD∪D への解析接続となる。

同じことをD1\Dの別の1点で実行する。この手順を繰り返すことで、定義域を少しずつ広げてい ける可能性がある。

Weierstrassは、収束冪級数 h(z) と、その収束円 D=D(c;R) の組 (h(z), D) を、c を中心とする 関数要素と呼んだ。

特にある曲線上の点を辿って関数要素を解析接続していくことを、曲線に沿う解析接続と言う。

曲線Cz=φ(t) (t∈[0,1]) で与えられるとする。各t∈[0,1]に対して、φ(t) を中心とする関数 要素 (ht(z), Dt)があって、条件

∀t∈[0,1], ∃δ >0,∀s∈[0,1],|t−s|< δ= Ds∩Dt̸=∅ かつhs(z) =ht(z) (z∈Ds∩Dt).

を満たすとき、(h1(z), D1) は(h0(z), D0) の C に沿う解析接続であるという。1つの関数要素から出 発して、あらゆる曲線に沿って可能な限り解析接続を行って得られる「関数」をWeierstrass の解析 関数と呼ぶ。

2つの曲線 CCe が共通の始点 a と終点 b を持つとき、a を中心とする関数要素を、CCe に 沿ってbまで解析接続したとき、得られる関数要素をそれぞれ(h1(z), D1),

(eh1(z),De1 )

とすると、こ れらは異なる可能性がある。そのとき、1つの点b に複数の値h1(b),eh1(b)が対応しうるので、考えて いる解析関数は多価関数になる。

対数関数の解析接続 実関数 logxx= 1 で Taylor展開すると logx=

n=0

(1)n

n (x1)n

= (x1)(x1)2

2 +(x1)3

3 − · · · (1< x−1<1) となる1。そこで

h0(z) :=

n=0

(1)n

n (z1)n

とおくと、これは収束冪級数で、収束円は D0 :=D(1; 1) ={z∈C;|z−1|<1}. また明らかに

∀x∈(0,2) h0(x) = logx.

(h0(z), D0) から出発して、Weierstrass の解析関数を作ろう。

h0(z) = 1

z であることに注意すると、

h0(z) =

γ

ζ (γ はD0 内で 1 とz を結ぶ区分的に滑らかな曲線)

が成り立つことが分かる。γ の取り方は色々あるが、0 を含まない円盤D0 内にあることから、どれを 選んでも線積分の値は変わらないことに注意しよう (積分路変形の原理)。このような場合、以下では、

単に

γ

z

1

と書く。

さて、z C\ {0} とし、C :z=φ(t) (t∈[0,1])を、C\ {0} 内で 1とz を結ぶ区分的に滑らか な任意の曲線とする。(h0(z), D0)を C に沿って解析接続した (h1(z), D1) は、

D1 :={z∈C;|z−z|<|z|}, h1(z) :=

C

ζ +

z

z

ζ (z∈D1), 特に h1(z) =

C

ζ で与えられることを証明しよう(h1(z)の定義式の右辺第2項は、z からzに向う D1 内の区分的に滑 らかな曲線に沿う線積分である)。そのため、各 t∈(0,1] に対して、ht(z) とDt

Dt:={z∈C;|z−φ(t)|<|φ(t)|}, ht(z) :=

Ct

ζ +

z

φ(t)

ζ

とおく。ただし Ct は、C の、パラメーターが [0, t]の範囲の(1が始点、φ(t) が終点の) 部分曲線 [0, t]∋s7→φ(s)∈C

1この等式が成り立つこと自体の証明は、(logx) = 1

x から得られるlogx=

x 1

dt

t を使うのが簡単である。

これが実はTaylor展開であることを確めるのも容易である。

のことであり、

z

φ(t)

は、Dt 内でφ(t)zと結ぶ区分的に滑らかな曲線(例えば有向線分でも良い)で ある。t= 1 のとき、既に定義してあるD1,h1 に一致することに注意しよう。

ht(z) は、φ(t) を中心に羃級数展開できることを確めよう2。1/ζ は、Dt において、

1

ζ = 1

φ(t) +ζ−φ(t) = 1 φ(t)

1 1 +ζ−φ(t)

φ(t)

= 1

φ(t)

n=0

(1)n

(ζ−φ(t) φ(t)

)n

と広義一様収束する羃級数に展開できる。ゆえに項別積分によって、

z

φ(t)

ζ = 1

φ(t)

z

φ(t)

n=0

(1)n

(ζ−φ(t) φ(t)

)n

= 1 φ(t)

n=0

z

φ(t)

(1)n

φ(t)n−φ(t))n

=

n=0

(1)n n+ 1

(z−φ(t))n+1

φ(t)n+1 (z∈Dt).

ゆえに

ht(z) =

φ(t)

1

ζ +

n=0

(1)n n+ 1

(z−φ(t))n+1

φ(t)n+1 (z∈Dt).

これは (複雑だが) 確かに冪級数展開である。

φの連続性から (ε−δ 論法の ε=|φ(t)|として)、

∃δ >0,∀s∈[0,1],|s−t| ≤δ=⇒ |φ(t)−φ(s)|<|φ(t)|.

ゆえにこのとき φ(s) ∈Dt. ゆえに Ds∩Dt ̸= (少なくとも φ(s) を含むから). ∀z ∈Dt∩Ds に対 して、

hs(z)−ht(z) =

φ(s) 0

ζ +

z φ(s)

ζ

(∫ φ(t) 0

ζ +

z φ(t)

ζ

)

=

φ(s) φ(t)

ζ +

z φ(s)

ζ +

φ(t) z

ζ . これは、関数 1/ζ の、Dt 内の閉曲線に沿う線積分であるから、0に等しい。ゆえにht(z) =hs(z). 以 上から、(h1(z), D1) は、(h0(z), D0) の曲線 C に沿う解析接続である。

誤解を招く恐れがないわけではないが、(h0(z), D0) から得られる Weierstrassの解析関数は f(z) :=

z

1

ζ (zC\ {0}) である。ただし

z

1

は、C\ {0}内で、1 とz を結ぶ区分的に滑らかな曲線C に沿う線積分を意味す る。z を固定したときも、C の取り方は色々あり、またC の取り方によって、線積分の値は異なる。

2正則性は明らかだから、冪級数展開出来るのは当たり前、とも言えるが、ここでは具体的に冪級数展開して みる。

参考文献表

[1] E. T.ベル:数学をつくった人びと I, II, III, 早川書店(2003), 1976年に東京図書から出版された ものの文庫化.

[2] 高木貞治:近世数学史談及雑談,共立出版(1946), 1996年に「近世数学史談・数学雑談復刻版」と して復刻されている。また1995年に岩波文庫に「近世数学史談」が入った。

[3] L.シュヴァルツ:シュヴァルツ解析学1 集合・位相,東京図書(1970).

[4]

じんぼう

神保道夫:複素関数入門,現代数学への入門,岩波書店(2003).

[5] Ahlfors, K.: Complex Analysis, McGraw Hill (1953),笠原 乾吉 訳,複素解析,現代数学社(1982).

[6] 一松信:微分積分学入門第四課,近代科学社(1991).

[7] 梶原壌二:関数論入門— 複素変数の微分積分学 —, 森北出版(1980).

[8]

ひとつまつ

一 松

しん

信:留数解析 — 留数による定積分と級数の計算,共立出版 (1979).

[9] 森正武,杉原正顯:複素関数論,岩波書店 (2003).

[10] Bak, J. and Newman, D. J.: Complex Analysis, Second Edition, Springer (1999).

[11] 吉田洋一:函数論 第2版,岩波書店(1965).

[12] 梶原壌二:新修線形代数学,現代数学社 (1980).

[13] 志賀浩二:複素数30講,朝倉書店(1989).

[14] 鹿野健:リーマン予想,日本評論社(1991).

[15] 高橋礼司:複素解析,東京大学出版会 (1990),最初、筑摩書房から出版された。

[16] 桂田祐史:微分方程式2講義ノート(旧「応用解析II」),http://nalab.mind.meiji.ac.jp/~mk/

pde/pde-2013.pdf(1997年〜).

[17] 辻正次,小松勇作:大学演習函数論,裳華房 (1959),辻・小松は編著者で、執筆はそれ以外に田村 二郎、小沢満、祐乗坊瑞満、 水本久夫。

索 引

Abel’s continuity theorem, 22 absolutely convergent, 12 analytic, 171

analytic continuation, 172 annulus,44

Cauchy-Riemann differential equations, 30 Cauchy-Riemann equations, 30

circle of convergence, 18 conformal mapping, 140 dominant series, 13 dominating series, 13 entire function, 37 isolated singularity, 43 Laurent series,48 Liouville’s theorem, 37 majorant, 13

majorant series, 13 meromorphic, 111 multifunction, 56 pole, 50

power series,17 principal part, 50

radius of convergence, 18 rational function, 110 removable singularity, 50 residue,62

Riemann sphere, 102

stereographic projection, 102 maximum principle, 35

maximum-modulus principle, 35 mean value property,34

univalent function, 140 Weierstrass M-test, 16

Abelの級数変形法,19 Abelの連続性定理,22 一様収束(関数列),14 円環領域(annulus), 44

解析関数(Weierstrassの),173 解析接続,172

解析接続(曲線に沿う),172 解析的,171

関数要素,172 極,50

曲線に沿う解析接続,172 Cauchyの評価式,37

Cauchy-Riemannの関係式,30 Cauchy-Riemannの微分方程式,30 Cauchy-Riemann方程式,30 孤立真性特異点,50

孤立特異点(isolated singularity),43 最大値原理,35

収束 (関数列の),13 収束円,18

収束半径,18

主部 (ローラン展開の),50

主要部(のまわりのローラン展開の), 112 主要部(ローラン展開の) (principal part of

Lau-rent expansion),50 除去可能特異点,50

真性特異点,50 整関数,37

ゼータ関数,134,169 絶対収束,12

素数定理,134,170 代数学の基本定理,37 単葉関数,140

等角写像,140

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