第 9 章 : ネットワーク監視
11.2 STP(スパニングツリープロトコル)
11.2.1 システムのスパニングツリーの設定 [書式]
spanning-tree shutdown no spanning-tree shutdown [初期設定]
no spanning-tree shutdown [入力モード]
グローバルコンフィグレーションモード [説明]
システム全体のスパニングツリーを無効にする。
no形式で実行した場合は、システム全体のスパニングツリーを有効にする。
[ノート]
システム全体でスパニングツリー機能とループ検出機能を併用できる。スパニングツリーを有効にしてもno
loop-detectコマンドは設定されない。
スパニングツリーを有効にするためには、本コマンドに加えてインターフェースでもスパニングツリーを有効にす る必要がある。
[設定例]
システム全体でスパニングツリーを無効にする。
SWX2300(config)#spanning-tree shutdown 11.2.2 転送遅延時間の設定
[書式]
spanning-tree forward-time time no spanning-tree forward-time [パラメーター]
time : <4-30>
転送遅延時間(秒) [初期設定]
spanning-tree forward-time 15 [入力モード]
グローバルコンフィグレーションモード [説明]
転送遅延時間を設定する。
no形式で実行した場合は初期設定に戻る。
[ノート]
本コマンドの設定は以下の条件を満たす必要がある。
2 × (ハロータイム + 1) ≦ 最大エージング時間 ≦ 2 × (転送遅延時間 - 1) 最大エージング時間は、spanning-tree max-ageコマンドで設定できる。
ハロータイムは常に2秒で、変更することはできない。
[設定例]
転送遅延時間を10秒に設定する。
SWX2300(config)#spanning-tree forward-time 10
11.2.3 最大エージング時間の設定
[書式]
spanning-tree max-age time no spanning-tree max-age [パラメーター]
time : <6-40>
最大エージング時間(秒) [初期設定]
spanning-tree max-age 20 [入力モード]
グローバルコンフィグレーションモード [説明]
最大エージング時間を設定する。
no形式で実行した場合は初期設定に戻る。
[ノート]
最大エージング時間とは、再構成を試行するまでにL2スイッチがスパニングツリーコンフィギュレーションメッセ ージを受信せずに待機する時間である。
本コマンドの設定は以下の条件を満たす必要がある。
2 × (ハロータイム + 1) ≦最大エージング時間≦ 2 × (転送遅延時間 - 1)
転送遅延時間は、spanning-tree forward-timeコマンドで設定できる。
ハロータイムは常に2秒で、変更することはできない。
[設定例]
最大エージング時間を25秒に設定する。
SWX2300(config)#spanning-tree max-age 25
11.2.4 ブリッジプライオリティの設定
[書式]
spanning-tree priority priority no spanning-tree priority [パラメーター]
priority : <0-61440> (4096の倍数) プライオリティ値 [初期設定]
spanning-tree priority 32768 [入力モード]
グローバルコンフィグレーションモード [説明]
ブリッジプライオリティを設定する。数値が小さいほど優先度が高い。
no形式で実行した場合は初期設定に戻る。
[ノート]
MSTPの場合はCIST(インスタンス #0)に対する設定となる。
[設定例]
ブリッジプライオリティを4096に設定する
SWX2300(config)#spanning-tree priority 4096 11.2.5 インターフェースのスパニングツリーの設定
[書式]
spanning-tree switch [パラメーター]
switch : スパニングツリーの動作
設定値 説明
enable スパニングツリーを有効にする
disable スパニングツリーを無効にする
[初期設定]
spanning-tree enable [入力モード]
インターフェースモード [説明]
対象インターフェースのスパニングツリーの動作を設定する。
[ノート]
本コマンドはLAN/SFPポートおよび論理インターフェースにのみ設定可能。
論理インターフェースに所属しているLAN/SFPポートに対して本コマンドを設定することはできない。
本コマンドでスパニングツリーを有効にすると、対象インターフェースでループ検出機能が無効になる。
[設定例]
LANポート #1でスパニングツリーを無効にする。
SWX2300(config)#interface ge1
SWX2300(config-if)#spanning-tree disable 11.2.6 インターフェースのリンクタイプの設定
[書式]
spanning-tree link-type type no spanning-tree link-type [パラメーター]
type : リンクタイプ
設定値 説明
point-to-point ポイントツーポイントリンク
shared 共有リンク
[初期設定]
spanning-tree link-type point-to-point [入力モード]
インターフェースモード [説明]
対象インターフェースのリンクタイプを設定する。
no形式で実行した場合は初期設定に戻る。
[ノート]
本コマンドはLAN/SFPポートおよび論理インターフェースにのみ設定可能。
論理インターフェースに所属しているLAN/SFPポートに対して本コマンドを設定することはできない。
LAN/SFPポートを論理インターフェースに所属させた場合は、当該LAN/SFPポートに対する本コマンドの設定が、
初期設定に戻る。
[設定例]
LANポート #1のリンクタイプをsharedに設定する。
SWX2300(config)#interface ge1
SWX2300(config-if)#spanning-tree link-type shared
11.2.7 インターフェースのBPDUフィルタリングの設定
[書式]
spanning-tree bpdu-filter filter no spanning-tree bpdu-filter [パラメーター]
filter : BPDUフィルタリングの動作
設定値 説明
enable BPDUフィルタリングを有効にする
disable BPDUフィルタリングを無効にする
[初期設定]
spanning-tree bpdu-filter disable [入力モード]
インターフェースモード [説明]
対象インターフェースのBPDUフィルタリングを設定する。
no形式で実行した場合は初期設定に戻る。
[ノート]
本コマンドはLAN/SFPポートおよび論理インターフェースにのみ設定可能。
論理インターフェースに所属しているLAN/SFPポートに対して本コマンドを設定することはできない。
LAN/SFPポートを論理インターフェースに所属させた場合は、当該LAN/SFPポートに対する本コマンドの設定が、
初期設定に戻る。
[設定例]
LANポート #1のBPDUフィルタリングを有効にする。
SWX2300(config)#interface ge1
SWX2300(config-if)#spanning-tree bpdu-filter enable
11.2.8 インターフェースのBPDUガードの設定
[書式]
spanning-tree bpdu-guard guard no spanning-tree bpdu-guard [パラメーター]
guard : BPDUガードの動作
設定値 説明
enable BPDUガードを有効にする
disable BPDUガードを無効にする
[初期設定]
spanning-tree bpdu-guard disable [入力モード]
インターフェースモード [説明]
対象インターフェースのBPDUガードを設定する。
no形式で実行した場合は初期設定に戻る。
[ノート]
本コマンドはLAN/SFPポートおよび論理インターフェースにのみ設定可能。
論理インターフェースに所属しているLAN/SFPポートに対して本コマンドを設定することはできない。
LAN/SFPポートを論理インターフェースに所属させた場合は、当該LAN/SFPポートに対する本コマンドの設定が、
初期設定に戻る。
LAN/SFPポートがBPDUガードによってshutdownされた場合は、当該インターフェースに対してno shutdownコ
マンドを実行することで復旧できる。
論理インターフェースがBPDUガードによってshutdownされた場合は、当該インターフェースに対してshutdown コマンドを実行した後にno shutdownコマンドを実行することで復旧できる。
[設定例]
LANポート #1のBPDUガードを有効にする。
SWX2300(config)#interface ge1
SWX2300(config-if)#spanning-tree bpdu-guard enable
11.2.9 インターフェースのパスコストの設定
[書式]
spanning-tree path-cost path-cost no spanning-tree path-cost [パラメーター]
path-cost : <1-200000000>
パスコスト値 [初期設定]
インターフェースのリンク速度に応じて、以下の値を使用する。
リンク速度 パスコスト値
1000Mbps 20000
100Mbps 200000
10Mbps 2000000
論理インターフェースは、所属しているLAN/SFPポートのリンク速度を合計した値を元に、パスコスト値が決ま る。
[入力モード]
インターフェースモード [説明]
対象インターフェースのパスコストを設定する。
no形式で実行した場合は初期設定に戻る。
[ノート]
MSTPの場合はCIST(インスタンス #0)に対する設定となる。
本コマンドはLAN/SFPポートおよび論理インターフェースにのみ設定可能。
論理インターフェースに所属しているLAN/SFPポートに対して本コマンドを設定することはできない。
LAN/SFPポートを論理インターフェースに所属させた場合は、当該LAN/SFPポートに対する本コマンドの設定が、
初期設定に戻る。
[設定例]
LANポート #1のパスコストを100000に設定する。
SWX2300(config)#interface ge1
SWX2300(config-if)#spanning-tree path-cost 100000 11.2.10 インターフェースのプライオリティの設定
[書式]
spanning-tree priority priority no spanning-tree priority [パラメーター]
priority : <0-240> (16の倍数) プライオリティ値 [初期設定]
spanning-tree priority 128 [入力モード]
インターフェースモード [説明]
対象インターフェースのプライオリティを設定する。
no形式で実行した場合は初期設定に戻る。
数値が小さいほど優先度が高く、対向インターフェースがルートポートになる可能性が高くなる。
[ノート]
MSTPの場合はCIST(インスタンス #0)に対する設定となる。
本コマンドはLAN/SFPポートおよび論理インターフェースにのみ設定可能。
論理インターフェースに所属しているLAN/SFPポートに対して本コマンドを設定することはできない。
LAN/SFPポートを論理インターフェースに所属させた場合は、当該LAN/SFPポートに対する本コマンドの設定が、
初期設定に戻る。
[設定例]
LANポート #1のプライオリティを64に設定する SWX2300(config)#interface ge1
SWX2300(config-if)#spanning-tree priority 64
11.2.11 インターフェースのエッジポートの設定
[書式]
spanning-tree edgeport no spanning-tree edgeport [初期設定]
no spanning-tree edgeport [入力モード]
インターフェースモード [説明]
対象インターフェースのエッジポートを設定する。
no形式で実行した場合は初期設定に戻る。
[ノート]
本コマンドはLAN/SFPポートおよび論理インターフェースにのみ設定可能。
論理インターフェースに所属しているLAN/SFPポートに対して本コマンドを設定することはできない。
LAN/SFPポートを論理インターフェースに所属させた場合は、当該LAN/SFPポートに対する本コマンドの設定が、
初期設定に戻る。
spanning-tree portfast、no spanning-tree portfastは廃止された。
config上にspanning-tree portfastがある場合は、spanning-tree edgeportに変更される。
[設定例]
LANポート #1をエッジポートにする。
SWX2300(config)#interface ge1
SWX2300(config-if)#spanning-tree edgeport 11.2.12 スパニングツリーの状態表示
[書式]
show spanning-tree [interface ifname]
[キーワード]
interface : 表示するインターフェースを指定する
[パラメーター]
ifname : LAN/SFPポートまたは論理インターフェースの名前
表示するインターフェース [入力モード]
非特権EXECモード、特権EXECモード [説明]
スパニングツリーの状態を表示する。
interfaceを省略した場合は、全てのインターフェースの状態が表示される。
MSTPの場合はCIST(インスタンス #0)の情報を表示する。
以下の項目が表示される。
項目 説明
Bridge up スパニングツリープロトコルの有効/無効
Root Path Cost ルートブリッジのパスコスト
項目 説明
Root Port
ルートポートのインターフェースインデックス番号。
ルートブリッジのときは 0 と表示される。論理インタ ーフェースの場合は論理インターフェースのインター フェースインデックス番号で表示される。
Bridge Priority ブリッジプライオリティ
Forward Delay ルートブリッジの転送遅延時間設定値
Hello Time ルートブリッジのハロータイム設定値
Max Age ルートブリッジの最大エージング時間設定値
Root Id ルートのブリッジ識別子。ルートのブリッジプライオ
リティ(16進数先頭4桁)とMACアドレスで構成される
Bridge Id ブリッジ識別子。ブリッジプライオリティ(16進数先頭
4桁)とMACアドレスで構成される
topology change(s) トポロジーチェンジが発生した回数(厳密にはTCフラ
グの付いたBPDUの数を示す)
last topology change 最後にトポロジーチェンジが発生した日時
Ifindex インターフェースインデックス番号
Port Id インターフェースのポートID
Role インターフェースの役割。Disabled、Designated、
Rootport、Alternateのいずれか
State インターフェースの状態。Listening、Learning、
Forwarding、Discardingのいずれか
Designated Path Cost パスコスト
Configured Path Cost インターフェースのパスコスト設定値
Add type Explicit ref count インターフェースが所属するSTPドメインの数
Designated Port Id DesignatedポートのID
Priority インターフェースのプライオリティ
Root ルートのブリッジ識別子。ルートのブリッジプライオ
リティ(16進数先頭4桁)とMACアドレスで構成される
Designated Bridge ブリッジ識別子。ブリッジプライオリティ(16進数先頭
4桁)とMACアドレスで構成される
Message Age メッセージ経過時間
Hello Time ハロータイム設定値
Forward Delay 転送遅延時間設定値
Forward Timer 実際の転送遅延タイマー
Msg Age Timer
インターフェースがBPDUの情報を破棄するタイマー。
初期設定の場合、STPは20秒から、RSTP/MSTPは Hello
Time×3の時間をカウントダウンする
Hello Timer ハローの送信に使用するタイマー。0になった時点でハ
ローパケットを送信する
topo change timer トポロジーチェンジタイマー
forward-transitions インターフェースがForward Stateになった回数
Version スパニングツリープロトコルの動作モード(バージョン)
Received 受信したBPDUのタイプ
Send 送信するBPDUのタイプ