MAPMAPMAP
2. SPECT の基礎 の基礎 の基礎 の基礎
3.臓器別画像解析の注意事項 3.臓器別画像解析の注意事項 3.臓器別画像解析の注意事項 3.臓器別画像解析の注意事項
Index
摂取率法による腎機能定量解析の技術的な問題点を示します。最初は、静注前の シリンジの収集で問題になる数え落しについてです。
アンガー型ガンマカメラでは正確な位置信号、エネルギー信号を得るためには各フ ォトマルの出力を積分する900nsec程度の時間が必要になります。この時間を不感 時間と言いますが、検出器に入射するガンマ線が多くなると、この不感時間のため に数え落としが発生します。最新のシステムでも185MBq、5mCiで約3%の数え落と しがあると言われています。
よく勘違いすることですが、数え落としの問題は波高分析器の前で発生するので、
Window幅を狭めることでは解決しません。また、テクネとヨード123の数え落としが極 端に違う原因もWindowには入ってこないガンマ線の数の差によるものです。
3-1.腎機能定量解析 3-1.腎機能定量解析 3-1.腎機能定量解析 3-1.腎機能定量解析
3 33
3- - -1 - 11 1- - - -1 11 1.数え落とし .数え落とし .数え落とし .数え落とし
実測値実測値実測値 実測値 予測値予測値予測値 予測値
0
co unt ra te ( c ps )
activity
( MBq )提供:山形大学 提供:山形大学 提供:山形大学 提供:山形大学
左の図は画素当たり8Bit、つまり最大255カウントのシステムで点線源のオーバーフ ローを見ています。
右の図のように収集時間を伸ばしていくとオーバーフローを起こす画素が増えること により全収集カウントも低下してきます。最近の主流である16Bitマシンでも370MBq
、10mCi以上のシリンジを1分間収集するとマトリックスによってはオーバーフローを 起こします。
オーバーフローの問題で躓いているのはこの問題を普段気にしていないせいか、
8Bitマシンのユーザではなく、16Bitマシンのユーザに多いようです。この問題はマト リクスサイズを細かくするか収集時間を短くすることで回避できます。
3-1.腎機能定量解析 3-1.腎機能定量解析 3-1.腎機能定量解析 3-1.腎機能定量解析
3 33
3- - -1 - 11 1- - - -2 22 2.オーバーフロー .オーバーフロー .オーバーフロー .オーバーフロー
8bit : max pixel count = 255
実測値 実測値 実測値 実測値 予測値 予測値 予測値 予測値
0
coun t
Sampling Time
提供:山形大学 提供:山形大学提供:山形大学 提供:山形大学
摂取率法による腎機能定量解析を行う場合、症例によってはバックグラウンドROIの 設定位置が結果に大きな影響を及ぼすことがあります。
スライドは、腎機能低下例での2コンパートメント解析で求めたTERと2種類のバック グラウンドROIで求めた摂取率との相関を見ています。右のバックグラウンドROIで の結果の方が相関が良く、バラツキが少なくなっていることが分かります。
左の図は、Gatesの提案以来一般化したバックグラウンドROIの位置です。腎機能低 下例では、腎臓の上部にオーバーラップする肝臓や脾臓のカウントが相対的に高く なるために、その影響が無視できなくなります。従って、こういう症例でも摂取率の算 出精度を維持するために、右の図のようなROI設定が提案されています。
3-1.腎機能定量解析 3-1.腎機能定量解析 3-1.腎機能定量解析 3-1.腎機能定量解析
3 33
3-
- -1 -
111-- - -3
333.バックグラウンド.バックグラウンド .バックグラウンド .バックグラウンド
ROIの設定 (腎機能低下例での影響) の設定 (腎機能低下例での影響) の設定 (腎機能低下例での影響) の設定 (腎機能低下例での影響)
0 50 100 150 200 250
0 5 10 15 20 25
y = -0.14+0.075x r = 0.95
n = 18
TER by 2 comp. analysis
Renal uptake (%)
0 50 100 150 200 250
0 5 10 15 20 25
y = 3.79+0.069x r = 0.89
n = 18
Renal uptake (%)
TER by 2 comp. analysis
提供:山形大学 提供:山形大学提供:山形大学 提供:山形大学
従来の摂取率法の原理は摂取率と腎機能指標(GFR,ERPF,TER)との相関から直接 回帰式を求めていましたが、この方法ではスライド左側のように体格の小さい小児 に対しては、別の回帰式が必要になるなどの問題がありました。
この問題は体格の違いを補正した参照値との間で作成した回帰式を使用することで 解決します。通常、体格の違いを補正するために体表面積(Body Surface Area:
BSA)が使用されています。
3-1.腎機能定量解析 3-1.腎機能定量解析 3-1.腎機能定量解析 3-1.腎機能定量解析
3 33
3-
- -1 -
111-- - -4
444.小児への応用.小児への応用 .小児への応用 .小児への応用
mL/min250
従来法 従来法 従来法 従来法
摂取率 摂取率 摂取率 摂取率 腎機能指標
腎機能指標 腎機能指標
腎機能指標 mL/min
:成人
:成人
:成人
:成人
:小児
:小児
:小児
:小児 mL/min200
摂取率 摂取率摂取率 摂取率 腎機能指標
腎機能指標 腎機能指標
腎機能指標 mL/min/1.73mmmm2222
mL/min/200 1.73m2
体表面積補正法 体表面積補正法 体表面積補正法 体表面積補正法
:成人
:成人
:成人
:成人
:小児
:小児
:小児
:小児
提供:山形大学 提供:山形大学提供:山形大学 提供:山形大学
採血法のようにSPECT値自身が定量解析に使用される場合には、いくつかの注意 事項があります。
再構成条件について、
まず、再構成時に使用するフィルタ・吸収補正法・散乱補正法はファントムや患者間 で統一しておく必要があります。このことは、特に、画質を合わせる目的でフィルタ条 件を個々の患者で変えている施設で問題になることがあります。
次に、IMPのSplit Dose法やECDのRVR法のようなDiamox負荷検査の定量解析を行 う場合のように、同じ患者の複数のデータから定量画像を作成する場合には、それ ぞれの再構成において同じ吸収補正用の体輪郭を設定することが重要になります。
SPECT値のサイズ依存について、
先ほど紹介したように、SPECT値にサイズ依存がある場合には、CCF測定を複数の サイズのファントムで行い、患者の頭部サイズにあったCCF値を用いる必要がありま す。
3-2.脳血流定量解析 3-2.脳血流定量解析 3-2.脳血流定量解析 3-2.脳血流定量解析
3 33
3- - -2 - 22 2- - - -1 11 1. . . .
SPECT値の信頼性 値の信頼性 値の信頼性 値の信頼性
SPECT値に影響を及ぼす要因 値に影響を及ぼす要因 値に影響を及ぼす要因 値に影響を及ぼす要因
◆
◆◆
◆
再構成条件 再構成条件 再構成条件 再構成条件
•
フィルタ・吸収補正法・散乱補正法は フィルタ・吸収補正法・散乱補正法は フィルタ・吸収補正法・散乱補正法は フィルタ・吸収補正法・散乱補正法は
CCFと患者データ、及び、 と患者データ、及び、 と患者データ、及び、 と患者データ、及び、
患者データ間で同一とする 患者データ間で同一とする 患者データ間で同一とする 患者データ間で同一とする
•Diamox
負荷サブトラクションでの定量解析を行う場合には、同一 負荷サブトラクションでの定量解析を行う場合には、同一 負荷サブトラクションでの定量解析を行う場合には、同一 負荷サブトラクションでの定量解析を行う場合には、同一 の体輪郭を使用して吸収補正を行う
の体輪郭を使用して吸収補正を行う の体輪郭を使用して吸収補正を行う の体輪郭を使用して吸収補正を行う
◆
◆◆
◆ SPECT
値のサイズ依存 値のサイズ依存 値のサイズ依存 値のサイズ依存
•
複数サイズの円柱ファントムで 複数サイズの円柱ファントムで 複数サイズの円柱ファントムで 複数サイズの円柱ファントムで
CCFを測定し、サイズ依存がある を測定し、サイズ依存がある を測定し、サイズ依存がある を測定し、サイズ依存がある 場合には、患者の頭部サイズに合った
場合には、患者の頭部サイズに合った 場合には、患者の頭部サイズに合った
場合には、患者の頭部サイズに合った
CCF値を使用する 値を使用する 値を使用する 値を使用する
Patlak Plot解析で設定するAortaのROIはそのサイズも解析式に使用されています。
従って、ROI内は全てAortaである必要があります。 Aortaをはみ出しすことでの入力 関数の過小評価、肺や肺動脈を含むことでの入力関数の過大評価が問題になる。
スライドの右側は肺動脈を含んだ場合の特徴的なTime Activity Curveを示していま す。このような場合には再度ROIを取り直す必要があります。
Patlak Plot解析によってmCBF値を算出した後、Lassenの補正を行い定量画像を作 成しますが、この時のmSPECT値を求めるための参照領域の設定も定量画像に大 きな影響を及ぼします。一般的には、基底核スライスを対象としてのThreshold法を 用いていますが、各施設で常に一定の条件(Threshold値)にすることが重要です。
3-2.脳血流定量解析 3-2.脳血流定量解析 3-2.脳血流定量解析 3-2.脳血流定量解析
3 33
3-
- - -2
222-- - -2
222.. . .
Patlak Plot解析での 解析での 解析での 解析での
ROI設定 設定 設定 設定
3-2.脳血流定量解析 3-2.脳血流定量解析 3-2.脳血流定量解析 3-2.脳血流定量解析
3 33
3-
- -2 -
222-- - -3
333.統計学的な手法を用いた画像解析.統計学的な手法を用いた画像解析 .統計学的な手法を用いた画像解析 .統計学的な手法を用いた画像解析
ECD-SPECTを用いたを用いたを用いたを用いたSPM解析の一例解析の一例解析の一例解析の一例
(
((
( ボリュームボリュームボリュームボリューム レンダーレンダーレンダーレンダー ))))
複数名ボランティアでの右手指運動負荷 複数名ボランティアでの右手指運動負荷 複数名ボランティアでの右手指運動負荷 複数名ボランティアでの右手指運動負荷
SPM 3D-SSP
S.
S.
S.
S.MinoshimaMinoshimaMinoshimaMinoshima----JNMJNMJNMJNM vol.36,no.7,1995vol.36,no.7,1995vol.36,no.7,1995vol.36,no.7,1995 アルツハイマー病
アルツハイマー病 アルツハイマー病 アルツハイマー病
脳血流定量解析の最後に局所の脳血流を統計的手法を用いて解析するソフトウェ アであるSPM(Statistical Parametric Mapping)と3D-SSP(Three Dimensional Stereotactic Surface Projections)を見てみます。
SPMはロンドンのハマースミス病院で開発されたMATLABという数値解析ソフト上で 動作するソフトウェアです。これをWindow上で動作するように移植したものがロシア で開発されました。一方、3D-SSPはミシガン大学の箕島先生(現、ワシントン大学)
が開発したソフトウェアで、Unixの他、MacやWindows(MS-DOS)上で動作します。
これらのソフトは、異なるデータ群(多:多 あるいは 多:1)を比較して統計処理を行 い、結果を表示します。脳の形は個人により異なりますが、これらのソフトでは基準 脳に合わせ込む処理を施してから統計的な比較を行いますので、客観的な評価が 可能です。もともとはPET画像の解析用に開発されたものですが、理論的には SPECTにも応用が可能であり、現在複数の施設で検討が進められています。当面 の課題として機種ごとのノーマルデータベースの蓄積が必要になっています。