apparatusを用いて培養した場合は、TNFαレベルの増幅は見られなかった
(WTCD4+T細胞106±0.03、SOCS5Tg-CD4+T細胞1.09±003,9/ml、、=5,
有意差無し)。加えて、マクロファージをWTもしくはSOCS5Tg-CD4+T細胞
のLPS刺激培養上漬とともにマクロファージを培養した時、両者の間のTNFαレベルに差は無かった(WTCD4+T細胞099±001、SOCS5Tg-CD4+T細胞
0.95±0.04,9/m1,,=5,有意差無し)。TNFα増幅の背景にある分子機序を調 べるために、WTマクロフアージをWTもしくはSOCS5TgのCD4+T細胞存 在下でLPSで刺激する際、抗IFNYIgGを加えた結果、SOCS5Tg-CD4+T細胞 によるTNFαレベルの増幅は完全に打ち消された。このように、SOCS5Tg‐CD4+T細胞はIFNY産生を通じてTNFα産生に影響するように思われる。
に示すように、CLP24時間後の血清BUN、CrはSOCS5Tgマウスの方が低く、
WTマウスより腎障害が弱かった。SOCS5Tg-CD4+T細胞を移入したRAG2-/‐
マウスもまたWTCD4+T細胞移入群に比べCLP24時間後のBUN、クレアチ
ニンレベルは減少していた(BUN:42.9±42対625±6.6mg/dL、クレアチニ
ン:0.21±0.03対038±0.06mg/dL、各10匹、p<0.05)。組織学的には、WT
の近位尿細管上皮細胞は核崩壊し粒状ピンクの細胞質であり、急性尿細管壊死の状態だった。対照的にSOCS5Tgマウスでは組織学的変化はほとんど起
こらなかった(図3.16B)。WTマウスに比べSOCS5Tgマウスでは、好中球浸入のマーカーである腎MPOもまた減少しており、TNFα、MIP-2、KCレ
ベルも有意に減少していた(図3.17)。このように、SOCS5TgマウスはCLP による腎障害をうまく逃れ、CLP後の生存率が改善したものと思われる。
55
図3.17
MPO(ng/mgprotein)
300
A
600
ユ戸
WT
SOCSSTg
Cytokines(、g/mg)
B 1020 30
WT
SOCS5Tg TNFa
0.5 1.0 1.s
WT
SOCS5Tg MIP-2
3 6
W丁
SOCSSTg KC
SOCS5Tgマウスにおける腎MPO、サイトカインレベル
CLP24時間後、マウスを屠殺。腎抽出液中のMPO(A)、サイトカイン、ケモカイン(B)レベルをELISAで定量[
サイトカイン、ケモカイン(B)レベルをELISAで定量した。
*p<0.05,*p<0.01。
56
Ⅳ考察
Iv-1研究1の考察
研究1で我々は、LPSもしくはMALP-2刺激によりBALB/cマクロファー ジに比べC57BL/6マクロフアージは多くのTNFα、IL-12を産生するが、抗 炎症サイトカインIL-10産生に差は無い事を示した。この結果はこれまでの
報告(26,27)と共に、C57BL/6マクロフアージがBALB/cマクロフアージに比
べ炎症促進に傾きやすい事を示している。より重要な事に、マクロファージ の違いは獲得免疫にも影響を与えているようにも思われる。すなわちC57BL/6 マクロファージによる高いIL-12産生がT細胞のThlサイトカイン産生を促 進している。IL-1Zは感染や炎症の早期に主に単球、マクロファージで産生
2
毛一■..ハー■
ユ リ奴
44)。このようにマクロフアージ由来のIL-12は旱
WlH句へ0
期非特異的自然免疫と次に起こる獲得免疫の機能的掛け橋の役割を持つ。
我々のこの研究のデータは、Thl/Th2応答分化におけるマクロファージの重
要|性に焦点を当てた。B 31 答
の差は、BALB/cマークロフZ-ジにおいてThl応答を抑制するPGE2産生増加、
Sm4【1コ表示の低下などで説明され得る(26,27)。STm4欠損マクロフアージは---
WTマクロファージに比べ、TNFα、IL-12を含む炎症'性サイトカイン産生レ
ベルが低かった(我々の未発表データ)。正確な機序を明らかにするために更
なる研究が必要である。
この研究で我々は、BALB/c、C57BL/6の間でマクロフアージのサイトカイ
ン応答に加え自然免疫応答にも違いがある事を証明した。第一にC57BL/6マ クロフアージはLPS、MALP-2刺激により殺菌分子であるライソゾーム酵素、
NO(45)を産生したがBALB/cマクロフアージでは産生されなかった。LmSら
もまたBALB/cマクロファージはLPS刺激でNOが産生されない事を証明し
57
ている(23)。第2に、vitroでのマクロフアージの殺菌活性はBALB/cに比べ
C57BL/6が秀でていた。最後に、敗血症性腹膜炎モデルにおいてC57BL/6マ ウスはBALB/cマウスよりも効率的に菌を除去した。この関連で、CLPに対 する細菌除去の違いは、好中球の差がある事も一つの要因と考えられたが、
vitroでのBALB/c、C57BL/6好中球の殺菌活性に差は無かった。加えて、LPS、
---- ̄ ̄戸一一一一一
MALP-Z東リ激によるライソゾーム酵素放出、NO産生も両系統の好中球で差
がなかった(我々の未公表データ)。このように好中球は両系統の細菌除去に
差がある事に直接は関係していないようである。腹腔マクロファージは腹腔 で最初に細菌を迎え撃つ細胞である。我々はCLPにおいて、細菌を除去する
のにマクロファージは必要不可欠な役割を果たしている事を示してきた(28, 29)。C57BL/6マウスが効果的に自然免疫を発揮するCLPにおいて、マクロ
ファージは好中球の殺菌活性に影響を与えるであろうが、今回の我々のデー タではこれらのマウスの自然免疫はマクロファージの殺菌活性の差により運 命づけられている事が示唆された。BALB/cマクロファージの殺菌活』性が損 なわれる正確な機序はよく分かっていない。この機序を十分解明するために、
更なる研究を続ける必要がある。
CLPによる敗血症は、腹腔内で菌を除去するために白血球が侵入する事に
より始まる(5)。上に述べたようにBALB/cマウスのマクロフアージの殺菌活
性は損なわれているため、CLPによる腹腔内の細菌負荷が増えた。この研究 と以前の研究のデータで、BALB/cマクロフアージ自体はLPS、MALP-2刺 激でC57BL/6マクロファージほどサイトカインを産生しなかった。BALB/c マウスの腹腔内に細菌が持続して存在した事が炎症`性サイトカイン、ケモカ イン増幅を導き強い局所炎症が引き起こされたのだろう。あるいはC57BL/6 マウスよりもBALB/Cマウスに強く影響を与えるような他の細菌の構成物や 産生物質があったのだろう。細菌を局所から除去できなかったため、サイト カイン、ケモカインの産生が増幅され全身の過剰な炎症反応を来たし、SlRS
の状態に導かれる(14)。BALB/cマウスのCLPへの感受`性の増加にはこの機
序があったのだろう。CLP施行後のBALB/cの血漿、肝において炎症性サイ
58
トカイン、ケモカインレベルはC57BL/6に比べ増加し、全身炎症の指標であ る急性期蛋白もBALB/cはC57BL/6に比べ有意に上昇した。C57BL/6マウス はCLPにおいて正しい局所宿主応答を行い全身の炎症反応を抑えたため生存 率が良くなったのであろうから、感染において局所の自然免疫がいかに重要 かという事が分かる。
このような研究は重要である。強力な抗生剤の進歩やICUにおける患者管 理の進歩にもかかわらず、敗血症の致死率はこの30年の間、あまり改善し
ていない(1,51,52)。敗血症の発症率には人種差がある(53)。この研究で我々
はBALB/cとC57BL/6のマクロフアージの自然免疫の能力に違いがある事を 証明した。BALB/cマクロフアージの殺菌活性はC57BL/6マクロフアージに 比べ障害されているため、BALB/cの敗血症性腹膜炎に対する致死率は増加 した。その上、これらのマウスのマクロフアージのIL-12応答の違いがT細 胞応答に影響し、下流の獲得免疫に影響を与えている。違う系統のマウスの 自然免疫の機能的な差を理解する事は敗血症の潜在的な見識を明らかにする だろう。
IV-2研究2の考察
研究2において、我々は敗血症中の宿主防御におけるT細胞中のSOCS5 の役割を探求しようと試みた。SOCS5はTh2分化を阻害するThl特異的タ
ンパクであり(40)、ヒトのリンパ組織で高く発現されている(54)。Th2に偏っ た炎症のモデルであるアレルギー性結膜炎は、SOCS5Tgマウスで弱められた
(55)。このように、SOCS5はThl応答を優先して、獲得免疫を歪める。最近
の我々のデータでは、敗血症中の宿主防御において、ST(Tに制御されたThl/Th2応答のバランスが重要である事を示した(15)(34)(35)。そこで、我々
は敗血症においてSOCS5が有益な役割を果たしていると仮定した。期待し た通り、T細胞特異的にSOCS5が過表示されたマウスはCLPによる致死に
抵抗した。59
自然免疫応答は感染に対し最初に働く宿主防御線であり、好中球、マクロ
ファージがその責任を背負い、浸入してきた細菌を効果的に除去している(5, 6)。一方、エピデンスが示すようにT細胞もまた感染に対する宿主防御に関
わっている。リンパ球欠損マウス(ヌードマウス、RAGKOマウス)は様々
な細菌感染に対し死にやすい(56)(57)(58)。HotchkissらはRAG-1KOマウス がCLPに対し、血中細菌数の増加を伴って死にやすい事を証明した(59)。T 細胞機能が障害された免疫不全宿主の日和見感染のリスクは高い(60)(61)。
このように、T細胞は感染中の自然免疫において保護的に働いている。今回 の我々のデータは、T細胞、特にCD4+T細胞が、細胞内でSOCS5が強く発 現された場合、自然免疫を増幅させ、宿主の細菌負荷を軽減させ、続いて起 こる敗血症の主な死因である腎障害を緩和させる、という新たな側面を照ら
し出した。
この事はT細胞の免疫応答が歪められThl応答を優先させたせいであった。
T細胞におけるSOCS5の過表示により、IL-4によるSMT6活性化の経路が
抑制され、IL-12を介したSm。【T4の活`性化は阻害されず、IFNYは多く産生さ
れる(40)。INFYはマクロファージを刺激し、TLR4表示を増幅させたり抗菌メデイエータであるNOやIL-12、TNFα産生を導いたりする事により、マクロ
フアージのLPSなどの微生物産生物への応答力を高めている(62-64)。この研
究で我々は、SOCS5Tgマウスから得た食細胞は、殺菌活性が強くIL-12、TNFα
産生が増加している事を示した。WTの食細胞はSOCS5Tg-CD4+T細胞とともに培養すると殺菌活`性が強くなった。T細胞は生理的条件下で腹腔内に存
在している(我々のデータではThyl2陽性細胞は11-16%)事を考えると、
これらの所見はSOCS5Tgマウスの腹腔在住T細胞が自然免疫応答に影響を
与えているであろうという事を示唆している。この研究で我々は、マクロフ アージをSOCS5Tg-CD4+T細胞とともに培養した時の方がWTCD4+T細胞と ともに培養した時よりも、LPS刺激でのTNFα産生が増加する事を示した。しかしtranswellapparatusを用いてマクロフアージとCD4+T細胞を別々に培
養した場合、そのような産生増幅は見られず、またCD4+T細胞の培養上清に
60