CLPによる致死は細菌負荷と強く関連している(28)(29)。SOCS5Tgマウス
がCLPに抵抗する機序を同定する為に、まず最初にCLP後の腹腔内細菌負 荷を調べた。CLP6時間後両者の間で細菌負荷に差は無かったが(図無し)、
SOCS5TgマウスはCLP24時間後の細菌除去が増幅されて、腹腔内のCFUが
少なかった(図3.10)。この時点での末梢血中細菌数は有意ではないが、WT
に比べSOCS5Tgの方が23倍少なかった(図3.10)。
好中球やマクロフアージの様な食細胞は細菌を除去する細胞である(45,47,
48)。次に好中球とマクロフアージの殺菌活性を調べた。この目的の為に、WT、
SOCS5Tgマウスの好中球、マクロファージに、CLP後のWTの腹腔内から
起こした細菌を感染させた。図3.11Aに示すように、SOCS5TgマウスからのマクロファージはWTに比べ殺菌活性が高く、好中球でも同じような傾向だ った。次に好中球、マクロファージのLPS刺激後培養上清における殺菌の効
果的分子であるスーパーオキサイド(45)の発生を調べた。SOCS5Tgマウスか
らの好中球、マクロファージはWTに比べ高いレベルのスーパーオキサイド
41
図3.9
100
君屋旨皀の津
50
§
○-○一○一○
WT
0
0 1 2 3 4 5 6 7
DayafterCLP
SOCS5TgマウスのCLP後の生存率改善
CLP後7日間、SOCS5Tgマウス(29匹)とWTマウス(30匹)の 生存率を観察した。§p<0001。
42
図3.10
blood
peritoneum
108 ○○○
○○回
105
、己自室君のロ◎名①昌一二三一〔岸出〕 107 で。。『二 ○の
○ 戸酉の二口恒①ニーユC三[岸出〕 104
●
106 00
口* の
|●
103
○⑪
●の
105 ●●●●
102 ⑭ ●●
小01 l〈U〈U■1
○ ●
WTSOCSSTg WTSOCS5Tg
SOCS5Tgマウスにおける細菌除去能の増幅
CLP24時間後(WTマウス14匹、SOCS5Tgマウス10匹)
CLP24時間後(WTマウス14匹、SOCS5Tgマウス10匹)、マウス
を屠殺し腹腔洗浄液と末梢血を回収した。腹腔洗浄液と末梢血 それぞれ1011を段階的に希釈しTSA血液培地に撒いた。横線は平均CFU数を表している。#p<0.05。
43
図3.11
A neutrophils macrophages
50 50
(ざ)&日蝕日[[。
25 25
0 0
WTSOCSsTg WTSOCS5Tg
B neutrophils macrophages
40000 6000
①○口の○m⑪閂○.回
20000 3000
0 0
WTSOCSSTg WTSOCSSTg
SOCS5Tgマウスにおける白血球の殺菌活性
WT、SOCSSTgマウスから好中球、マクロフ
WT、SOCSSTgマウスから好中球、マクロファージを回収した。
(A)細胞(3xlO9ml)に細菌(1xlO6CFU)を感染させ、殺 活性を調べた。
(B)細胞(ZxlO9ml)をLPS(100,2/ml)で24時間APFの存花 殺菌
(B)細胞(ZxlO9ml)をLPS(100,9/ml)で24時間APFの存在下
に刺激した。培養上清中のスーパーオキサイド産生を分光分析 で測定した。幼く005,*p<001。
44
を産生した(図3.11B)。このように、SOCS5TgマウスはWTマウスに比べ
より効果的に細菌を除去した。この事はおそらく食細胞の殺菌活性の増幅に よるものと思われる。III-2-3SOCS5Tgマウスにおける増幅された局所炎症
次にCLP後の腹腔内への白血球浸入を調査した結果、WTに比べSOCS5Tg
マウスにおいて好中球は24時間後で1.5倍、マクロフアージは6時間で2.1 倍と有意に増加していた(図3.12A)。それ故、CLP後の腹腔内サイトカインレベルを測定した。図3.12Bに示すようにIL-12、IFNYはWTに比べ増加し
ていた。加えて、TNFαもSOCS5Tgマウスにおいて、WTより有意に増加していた。敗血症」性腹膜炎を含む様々な感染モデルにおいて、これらのサイト
カインは細菌除去を増幅するという事が知られている(17)(49,50)。抗炎症サ
イトカインも測定したが、WTとSOCS5TgマウスのCLP後の腹腔内から感
知できるレベルのIL-4、IL-13は検出されず、IL-10は検出されたものの統計
学的な差は無かった(CLP6時間後:WT1.0±0.3、SOCS5Tgl3±03,9/cavity、
CLP24時間後:WT2.1±0.5、SOCS5TgL1±0.3,9/cavity、それぞれ8匹ずつ、
有意差無し)。LPS刺激によりSOCS5Tgマウスからの腹腔マクロファージは
コントロールに比べ高いレベルのTNFα、IL-12を産生したがIFNYは差が無
かった(表3.3)。IL-4、IL-13は検出されず(図無し)、IL-10レベルは両者の 間に有意差は無かった(表3.3)。次にCLP24時間後の腹腔浸出細胞におけるSTAT6活性を調べた。その結果、pSTAT6表示はWTに比べSOCS5Tgマウス で減少していた(図3.13A)。STAT4活'性は差が無かった(図無し)。STAT6
活性化が見られた細胞は好中球とマクロファージであり、抗pSTmlgGによ り染色された(図3.13B)。このようにSOCS5Tgマウスはタイプ1サイトカ イン優勢のサイトカインバランス変化を示し、SOCS5Tgマウスにおける殺菌
能増幅に貢献しているのであろう。
45
図3.1Z
A neulrophils
macrophages
、
0- *(ご宮⑤。}も[×)m[一①。
 ̄E戸
0624(h)
 ̄ ̄F
O624(h)
B
IFNY
1.0 10 TNFa
* ↑
(ら「烏○瓦ロ)m○日雪e【。 つ
0.5 5
6 24 624
TimeafterCLP(h)
24 6
SOCS5Tgマウスにおける白血球浸入とサイトカイン産生
CLP6、24時間後マウスを屠殺し、血液、腹腔洗浄液を回‘CLP6,24時間後マウスを屠殺し、血液、腹腔洗浄液を回収した。
(A)腹腔内に浸入した白血球数を数えた。○:WTマウス、●
SOCSSTgマウス。
(B)腹腔内IL-12、IFNY、TNFαレベルをELISAで測定した。□
WTマウス、■:SOCSSTgマウス。
:i:p<0.05,*p<0.01。
46
表33腹腔マクロファージによるサイトカイン産生
IL-10
IL-12 lFNg TNHl
0.38±0.04 2.28±0.09 0.20±0.02 0.09±0.00
medium
2.29±0.08 339±0.19 0.46±0.02
0.62±003 0.21±0.01
2.37±0.24
0.10±0.00 0.10±0.00
LPS 3.72±0.20* 0.11±0.00 0.83±004* 2.93±0.09
ピLPS刺激(100,9/ml)で刺激。6,24時間後
イトカインレベルを測定。ピーク時のサイトカ
を示す(IL-12JFNY、TNFαは24時間後、IL-
まWTマクロフアージ、下はSOCS5TEマクロ 腹腔マクロファージを
培養上清を回収しサイ
インレベル(、g/ml)を
10は6時間後)。上1コ ファージ。*p<0.01。
上はWT 、下はSOCS5Tgマクロ
や<0.01。
 ̄ ̄、/○
47
III-2-4CD4+T細胞移入による自然免疫応答増幅
これらの結果、敗血症性腹膜炎における自然免疫応答に、T細胞内SOCS5 過表示が影響を与えている事が示唆された。そこで我々は、CD4T細胞が
SOCS5Tgマウスの自然免疫応答増幅に役立っているかどうか調べた。この為 に、WTマウスから得た食細胞をSOCS5Tg、WTマウスから得たCD4+T細胞
とともに培養し、CLP後マウスから起こした細菌を感染させ、食細胞の殺菌 活性を調べた。図3.14Aのデータのように、好中球、マクロフアージともにSOCS5TgマウスからのCD4T細胞の存在下で、コントロールよりも殺菌活
`性が増幅された。さらにCLP中のCD4+T細胞の役割を調べる為に、SOCS5Tg、
WTマウスから得たCD4+T細胞をリンパ球欠損マウスであるRAG2KOマウ
スに移入し、CLPを行った。その結果、SOCS5TgのCD4T細胞移入群の方
がWT移入群に比べより効率的に細菌を除去した(図3.14B)。腹腔内鯵出細胞数はコントロールに比べSOCS5TgのCD4+T細胞移入群の方が増加してい た(図314C)。SOCS5TgのCD4T細胞移入したRAG2KOマウスの方がコ ントロールに比べ、有意にIL-1Z、IFNYの腹腔内産生レベルが高かった。TNFα 産生レベルも有意差は無いものの増加していた(p=0.12)(図314,)。腹腔
内IL-4、IL-13は検出されなかった(図無し)。腹腔内IL-10レベルは両者の間で統計学的な差は無かった(WTLCD4+T細胞移入群0.62±014、SOCS5Tg‐
CD4+T細胞移入群0.87±016/cavity、各10匹、有意差無し)。これらの結果、
この特殊なモデルにおいてT細胞内のSOCS5が自然免疫応答を変化させて いる事がはっきりと示された。
SOCS5Tg-CD4T細胞が自然免疫応答に影響を与える機序を理解するため
に、WTマクロフアージをWTもしくはSOCS5TgのCD4+T細胞存在下でLPSで刺激し、その培養上清中の炎症促進サイトカインTNFαレベルを測定した。
図3.14Eに示すようにTNFαレベルはSOCS5Tg-CD4+T細胞存在下での方が WTCD4+T細胞存在下に比べ増幅されていた。この事はSOCS5Tg-CD4+T細
胞がTNFα産生を増幅させているのだろうという事を示唆している。transwel]
49
囚凶』▲
己国lOl4ISamPIes>CytokineO1g/cavity)CFU/
①。③
■■■■■ 19KiUingrate(兜)
-----  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ し、ユリU□、、」
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】●
3
諄『『⑫on⑫い『脂
S●
鈩弓 鋺○、⑫m『媚 で⑤ユー。■ね唇『弓
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夛弓 韓○の⑫い『鹿 再句皀百。ご三富
。+・卜  ̄  ̄。 ̄
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 ̄  ̄し、
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 ̄ ● ふし
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爵。.
妻『『⑫○句いい『殖
8.
夛弓⑫on践弓、
Killingrate(兜)
ご一c○二
弓写
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斜0.-】◎
②①
こつ 孫
目口践【『ご己。鯵瞬伶韓
二「『 ⑫○、晩い『媚
、」= NeutrophiIs (XW/cavity) UU
Macrophages (xlO5/cavi呼) U、
R、、  ̄  ̄
 ̄ 。●・
夛弓 ⑫on⑫い『、
『Z田負
夛三’、○nmい『、
図3.14
E
* *
08
(「ロn口)己」z伊
0.4
controlanti-IFNYcontrolanti-IFNY
SOCS5TgマウスのCD4+T細胞は自然免疫応答を増幅する
(A)食細胞(好中球とマクロフアージ、3xlO6/ml)とW
(A)食細胞(好中球とマクロファージ、3xlO6/ml)とWT、SOCSSTgマウ
スのCD4+T細胞(lxlO6/ml)をともに培養し、そこにCLP施行後マウスから得た生菌1xlO6CFUを感染させ、食細胞の殺菌活性を調べた。
(B-D)WT、SOCSSTgマウスのCD4+T細胞をRAG2-/-マウスに移入(3xlO6
細胞/腹腔)し、そのマウスにCLPを施行した。CLP24時間後マウスを 殺し腹腔洗浄液と末梢血を回収した。(B)腹腔洗浄液と血液それぞれ10u]を段階的に希釈しTSA血液培地に撒い
た。横線は平均CFU数を示している。(C)好中球、マクロファージの数を数えた。
(D)腹腔サイトカインレベルを測定した。
(E)WTマクロファージ(1xlO6/ml)とWT(□)、SOCSSTg(■)マウス
のCD4+T細胞(OSxlO6/ml)をともに培養し、そこにコントロールIgGもしくは抗IFNYIgG中和抗体(10Ug/ml)の存在下にLPS刺激(100,9/ml)
を加えた。24時間後培養上清を回収しTNFαレベルを測定した。
:|:p<005,*p<001、§p<0001,1p<00001。
51
apparatusを用いて培養した場合は、TNFαレベルの増幅は見られなかった