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ドキュメント内 研究成果報告書 (ページ 172-175)

1.6 × 10

16

He/m

2

s

2.照射時間増加に伴う 300-600K

における

He

放出量

Mixed-material

堆積層の厚さの関係

タングステンの水素吸蔵に対する表面改質効果に関する研究

筑波大学数理物質系 坂本瑞樹

1.はじめに

プラズマに照射される材料の表面状態は、照射損傷、スパッタリング、再堆積、バブル形成等の 様々なプラズマ・壁相互作用(

PWI

)現象に起因して変化する。この表面改質が壁の水素吸蔵・放 出特性に与える影響の理解は、材料の特性を理解する上で重要である。本研究では、低損耗、高融 点、低水素吸蔵率という特長から現在注目を集めているタングステン材料に着目し、小型の直線型 プラズマ生成装置

APSEDAS

を用いた低エネルギー・高フラックスプラズマのタングステンへの 照射及びタンデムミラー型プラズマ閉じ込め装置

GAMMA10

を用いた高イオン温度プラズマのタ ングステンへの照射実験を行い、極限環境下におけるタングステン中の水素吸蔵、材料損傷に関す る基礎過程の理解を深めることを目的としている。本報告では、ヘリウムバブルの効果を中心に報 告する。

2.実験結果及び考察

タングステン表面へのヘリウムバブル生成は

APSEDAS

を用いて行われた。通常は試料を冷却 ステージにしっかりと固定するが、今回は冷却が効かないようにステージの上に設置した。このタ ングステン試料(ニラコ社製、厚さ

0.1mm

)に対して、フルエンス

4~8 x 10

25

He/m

2程度ヘリウ ムプラズマを照射した。ヘリウムのフラックスは約

2 x 10

22

He/m

2

s

であり、エネルギーは約

30 eV

であった。また、タングステンの表面温度は、

1700 K ~ 1900 K

であった。このようなヘリウムプ ラズマにより生成されたタングステン表面の

SEM

画像を図1に示す。表面に数μ

m

以下の凹凸や 筋模様ができていることが分かる。また、

FIB

加工と

TEM

観測を組み合わせた試料の断面画像を 図2に示す。表面直下に約

10nm

から

200nm

以下のヘリウムバブルが形成されていることが分か る。

ヘリウムプラズマを照射して、表面にヘリウムバブルを形成したタングステン試料に対して、昇 温脱離装置を用いた加熱(昇温速度

1 K/s

、最高温度

1173 K

)により試料内部のヘリウムの脱離を 3回実施した。これにより、

800 K

以下でのヘリウムの脱離は観測されなくなった。この試料に対 して、

APSEDAS

を用いて重水素プラズマ照射を行い、そ

の後昇温脱離スペクトル(

TDS

)測定を行った。

今回の実験では、同一のヘリウム予照射試料に対し、フ ルエンスを変えて重水素プラズマ照射とその後の

TDS

解析 を繰り返し行った。ヘリウム予照射試料に用いた重水素プ ラズマパラメータは、電子密度が

2~3

×

10

17

m

-3、電子温度 が

6

8 eV

、空間電位が

20~30 V

、フラックスが

2.6~3.0

×

10

21

D/m

2

s

であり、プラズマ照射中の試料温度は約

500K

であった。重水素プラズマの照射時間は、

600

秒~約

14000

秒であり、重水素フルエンスは

1.6

×

10

24

4

×

10

25

D/m

2

図1 ヘリウムプラズマ照射された タングステン試料表面の

SEM

画像

図2 ヘリウムプラズマ照射されたタングステン表面の断面

TEM

画像

である。

TDS

の条件は昇温速度

1 K/s

、最高温 度は

750 K

である。図

3

に重水素プラズマ照 射

(

フルエンス

1.8

×

10

24

D/m

2

)

を行ったヘリウ ム予照射試料の高分解能

QMS

解析による昇温 脱離スペクトル(昇温速度

1K/s

)を示す。重 水素の脱離が約

600 K

以下で起きているのに 対し、ヘリウムの脱離は

1000K

以上で主に観 測されている。

TDS

中の最高温度が高い場合、

材料内におけるバブルの移動

(>1300K)

や高温 側に捕捉されているヘリウムの脱離による特 性の変化が考えられるため、実際の

TDS

測定 では最高温度を低く設定(

773K

)した。

図4にヘリウム予照射タングステン試料と ヘリウム未照射試料に対する重水素リテンシ ョンのフルエンス依存性を示す。ヘリウムプラ ズマを照射していない未照射タングステンの 重水素リテンションはフルエンスの約

0.5

乗で 増加するが、ヘリウム予照射試料では、低フル エンス側ではリテンションが未照射タングス テンよりも1桁以上高いのに対し、高フルエン ス側ではリテンションが飽和傾向にあり、未照 射タングステンとほぼ同じ値になっているこ とが分かる。この現象は、ヘリウムバブル層が、

重水素の捕捉サイトになっていることと同時 に材料中の重水素の放出も促進していること を示唆していると考えられる。6番目と7番目 のリテンションが低いのは、それまでの重水素 プラズマ照射と

TDS

の繰り返しにより、ヘリ ウムバブル層の特性が変化したものであると 考えられる。

3.研究組織

氏名 所属 職名等 役割分担

坂本 瑞樹 筑波大学・数理物質系 教授 代表者

大木 健輔 筑波大学・プラズマ研究センター 研究員 プラズマ計測 吉川 基輝 筑波大学・数理物質科学研究科 大学院生(M2) 表面計測 野原 涼 筑波大学・数理物質科学研究科 大学院生(M2) プラズマ計測 寺門 明紘 筑波大学・数理物質科学研究科 大学院生(M1) 表面計測 野尻 訓平 筑波大学・数理物質科学研究科 大学院生(M1) プラズマ計測 宮本 光貴 島根大学・大学院総合理工学研究科 准教授 水素吸蔵解析

時谷 政行 核融合科学研究所 助教 微細組織解析

渡邉 英雄 九州大学・応用力学研究所 准教授 所内世話人 吉田 直亮 九州大学・応用力学研究所 名誉教授 微細組織解析

図3 重水素プラズマ照射を行ったヘリウム 予照射試料の高分解能

QMS

解析による昇温 脱離スペクトル

図4 ヘリウム予照射タングステン試料と未 照射試料に対する重水素リテンションのフル エンス依存性。図中の数字は重水素プラズマ 照射の順番を示している。

10-11 10-10 10-9 10-8 10-7 10-6 10-5

200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 HeD2

Ion current(A)

Temperature(K)

1020 1021 1022

1024 1025 1026

He­pre W Anneal W

R e ten tio n ( D /m

2

)

Fluence (D/m

2

)

1 2

4 5

3 6 7

輸送コードに導入するためのジャイロ運動論解析を用いた熱拡散係数のモデリング

核融合科学研究所 登田慎一郎 磁気核融合装置におけるプラズマ閉じ込めを行うには,乱流輸送は最も重要な課題のひとつである。

最近では,トロイダルプラズマにおいて多数のジャイロ運動論シミュレーションが行われている。

LHD

における

ITG

モードや帯状流を研究するのにジャイロ運動論方程式を解く

GKV-X

コードが使 われている。LHDでの高イオン温度放電

(#88343)

のときに,簡約化モデル

χ

i

ρ

2ti

v

ti

f ( L , τ ˜

ZF

)/R

が提唱されている。

L

は混合長概算

˜ γ

˜ky

/ ˜ k

y2

˜ k

y空間で積分したものである。ここで,

γ ˜

˜ky

ITG

モー ドを規格化した線形成長率で,˜

τ

ZF は規格化した帯状流崩壊時間である。しかしながら,

TASK3D

のような動的な輸送コードで時間ステップごとにジャイロ運動論線形シミュレーションを行うのは コストがかかる。なぜならヘリカルプラズマを対象とする輸送解析は,径電場や磁場配位を正確 に評価するために径方向に高解像度が必要だからである。本研究では,低計算コストでの,ジャイ ロ運動論シミュレーションから導かれた

ITG

モードの乱流熱拡散係数に関する簡約化モデルの適 用方法を示す。簡約化モデルの中の項

L

は,動的な輸送コードでのプラズマ不安定性のパラメー ター依存性を含むことが必要である。イオン温度勾配の典型長

L

Ti

(= T

i

/(∂T

i

/∂r))

L

を,輸送 コードで適用するパラメーターとして選ばれる。磁場配位は輸送シミュレーションの初期状態で固 定される。項

L

に対する式を

L

Ti に関してモデル化した。帯状流の崩壊時間は磁場配位にのみ依 存し,プラズマ分布には依存しない。従って,帯状流崩壊時間の式は初期状態でのみ計算する必 要がある。項

L

τ ˜

ZF の式を簡約化モデルに代入した計算は,簡約化モデルの値を許容できる誤 差の範囲内で再現できる。輸送シミュレーションでの時間ステップごとで乱流イオン熱拡散係数 の値を得るためのコストは,本研究でのモデリングによれば,線形ジャイロ運動論シミュレーショ ンによるものよりも大きく削減できる。本研究で示すモデリングは輸送コードに適用され,シミュ レーション結果を

LHD

における実験結果と比較研究することができる。

初めに,LHD での高イオン温度放電

(#88343)

における

ITG

不安定性について考察した。

1: (a) R/L

Tc

(b) a(ρ)

の径方向依存性 まず,乱流イオン熱拡散係数

χ

(1)i

GBi の値は関数

L

(

γ

˜ky

/ k ˜

2y

)d k ˜

y)だけで,χ(1)i

GBi

= C

0

(C

T

L )

δ のように近似されている。ここで

χ

GBi はジャイロ ボーム因子であり,規格化は

γ ˜ = γ/(v

ti

/R)

k ˜

y

= k

y

ρ

ti である。また

L

τ ˜

ZF

(= τ

ZF

/(R/v

ti

))

の関 数である

ITG

乱流熱拡散係数の簡約化モデルは,

χ

(2)i

GBi

= A

1

L

α

/(A

2

+ ˜ τ

ZF

/ L

1/2

)

のように得られ ている。C0

, C

T

, A

1

, A

2

, α

δ

は数値因子である。

イオン温度勾配の特性長が

ITG

不安定性に重要なパ

ラメーターであると考えられている。LTiの関数として, パラメーター

L

は以下のようにモデル化 される。

L = a(ρ)

(

R L

Ti

R L

Tc

)

(1)

ドキュメント内 研究成果報告書 (ページ 172-175)