5 HAPD の量産と性能評価
5.1 HAPD の生産状況
5.2.5 QE 測定
光検出器の性能で重要なのが光電面の量子効率(Quantum efficiency : QE)である。量 産版HAPDは前述したように光電面にスーパーバイアルカリを蒸着させており、QEは平 均で28%程度となっている。HPKでもQEの測定は行われているが、KEKでも同様の セットアップを組み、測定結果とHPK結果を比較した上で合格品の選定を行う。
QE測定のセットアップを図5.17に示す。光源としてゼノンランプ(HPK製:L2195)を 使用し、特定の波長を取り出すためにモノクロメータを通している。取り出す波長400 nm である。レファレンスとしてQEが既知のPhoto Diode(PD)を用いる。照射光をピンホー ルで 1 mm×1 mm まで絞り、2 mm間隔でHAPDの有効面積(64 mm×64 mm)をス キャンする。1つの測定点で50回光を入射させQEを測定している。以下にQEの算出方 法を示す。図5.18のようにミラーを用い、HAPDとPDに同じ光が入射させ、レファレ ンスのPDのQEとHAPDとPDの光電面に流れる電流値を計算で用いる。ここでϵPD は既知のPDのQE値、IHAPD及びIPDはピコアンメータでの測定値である。
ϵHAPD = IHAPD IPD
×ϵPD (5.3)
図5.17: QE測定のセットアップ
図5.18: QE算出方法概念図
典型的な量産版HAPDの光電面での面一様性の結果を図5.19に示す。同図に示すよう に中心部がQEが高くなっており、外側に行くほど下がる傾向がある。本サンプルでの全 スポットのQE値平均は32.6% であり、良品の要求である24% 以上を満たしている。ま た、KPK結果の32.8% とほぼ同値であることから再現性も確認された。しかし、測定し た一部のサンプルで図5.20(a)に示すような、対角線上にQE値が低くなっているような サンプルが見つかった。HPKでの光電面の一様性の結果(図5.20(b))も同様にQEが低く なる領域が確認された。しかし、このような構造になる原因については今後調査を進める。
図5.19: QE測定結果。
図5.20: 対角線上にQEが低い領域があるサンプル。サンプル番号KA0217。(a)KEK結 果、(b)HPK結果。
図5.21にKEKで測定した277個のHAPDの平均QE値における、KEK結果とHPK 結果の比較図を示す。同図の各プロットが対角線上にあれば、KEK結果とHPK結果が一 致することになる。結果は、ほぼHPK結果と一致することが分かった。しかし、一部で HPKでQE値24% 以上と判定されたがKEKでは24 % 以下となるサンプルが見つかっ た。図5.22にKEK,HPK毎の各測定でのQE測定結果の相関を示す。
図5.21: KEK測定とHPK測定でのQE測定値の相関
図 5.22: (a)KEK測定及び(b)HPK測定でのHAPDのQE分布。赤線はKEKでの選別 条件、黒線は典型的なQE値を示す。
5.3 結果
2015年1月までに365個のHAPDがKEKに届いた。KEKでは到着したHAPDの電 流測定、ノイズ測定、2次元ヒット分布測定、総増幅率測定、量子効率測定を行い、測定 の結果から、改めて良品の判定を行っている。KEKの判定結果を表5.7に示す。KEKで Bランクとなった個体の中には、電流流れ込み、安定性、高レートが組み合わさった症状 を持つHAPDも確認された。
Bランクの中でも『Bランク(安定性)』に関してはノイズ安定に時間を十分にかけるこ とで使用可能であることから、実際に使用可能数は合格の217個、Bランク(安定性)の5 個の計222個となり、全体の75 %程度となった。現在のペースでは実機使用の420個を良 品で選定できない状況であるため、今後、不良となったサンプルの交換やHAPDの増産 を視野に入れる必要がある。また、KEKでBランクとなったサンプルの詳細な測定・理 解を行うことで、実機で使用できるか判断していく必要がある。
表5.7: 量産版判定結果
HAPD個数
合格 217
Bランク(電流流れ込み) 19
Bランク(安定性) 5
Bランク(電流流れ込み + 安定性) 2 Bランク(電流流れ込み +高レート) 1
不合格 21
合計 245