• 検索結果がありません。

α30

判定

 表23に示すように,第8因子の「スポーツ観」は,高的中率大学では上位 25%の(評価度が高い)人数が下位25%の(評価度が低い)人数よりも多く,

低的中率大学は下位25%の(評価度の低い)人数が上位25%の(評価度の高い)

人数よりも多かったが,z2検定の結果,グループ間における人数の偏りは認 められなかった.

5.スポーツ価値志向尺度によるグループ間の比較

 方法で述べた通り,広く一般化しうる「スポーツ観」に弓道実践者の価値観 を位置づけて捉えるために,永木ら87が作成した「スポーツ価値志向尺度」を 用いて大学生グループと高校生グループおよび指導者グループとの比較をおこ なった.スポーツ活動を行う際に重要と考えるものを,「楽しみ」,「自己鍛錬」,

「勝利」の3つから順位をつけていくものであり,各尺度について第1位にラ ンク付けした回答者をグループ毎に抽出し,κ2検定によってグループ間にお ける人数の偏りがあるかどうかを判断することにした.Z2の結果5%水準以下 でグループ間における人数の偏りが認められた場合,どのグループにおける人 数の多少が影響したのかということを判断するために残差分析をおこなった.

 図4は各グループにおいて,第1位として選択した各尺度の割合を示したも のである.「楽しみ」,「自己鍛錬」,「勝利」の各尺度の詳細結果は以下に示す.

スポーツ価値志向尺度

 70%

 60%

 50%

(40%

)30%

 20%

 10%

 0%

65.6%

52.3覧

38.5瓢 31.3弘

9.2瓢 3.1瓢

楽しみ 自己鍛錬 勝利

隠大学 ロ高校生 ロ指導者

図4.各尺度において第1位にランク付けした割合

5−1.スポーツ価値志向尺度「楽しみ」についての結果

表24. スポーツ価値志向尺度「楽しみ」におけるZ2検定の結果 大学 高校生 指導者 合計人数

礫しみ」を第位として選択 172 67 10 249

それ以外を第位として選択 200 107 22 329 合計人数 372 174 32 578

独立性の検定  **:1%有意*15%有意 2乗値

482

自由度 2

P値

α09

判定

 表24,図4に示すように,「楽しみ」を第1位として選択する者は大学生グ ループで172名(46.2%),高校生グループで67名(38.5%),指導者グループ で10名(31.3%)という値が得られた.z2検定の結果,グルー・プ間における 人数の偏りは認められなかった.なお,大学生グループは「楽しみ」を選択す

る者が最も多かった.

5−2.スポーツ価値志向尺度「自己鍛錬」についての結果

表25.スポーツ価値志向尺度「自己鍛錬」におけるz2検定・残差分析の結果 大学 高校生 指導者 合計人数

「自己鍛錬」を第1位として選択 136 91 21 248

それ以外を第1位として選択 236 83 11 330

合計人数 372 174 32 578

独立性の検定  **:1%有意*=5%有意 2

1913 2

P

000

覧1

**

クロス集計表の残差分析ボールド=1%有意色付のみ:5%有意

大学 高校生 指導者 合計人数

「自己鍛錬」を第1位として選択 54.8% 36.7% 8.5% 248 それ以外を第1位として選択 71.5% 25.2% 3.3% 330

全体 64.4% 30.1% 5.5% 578

 表25,図4に示すように,「自己鍛錬」を第1位として選択する者は大学生 グループで136名(36.6%),高校生グループで91名(52.3%),指導者グルー プで21名(65.6%)という値が得られた.Z2検定の結果,グループ間におけ る人数の偏りが認められた(P<0.01).さらに,残差分析の結果から,大学生 グループで「自己鍛錬」を第1位として選択しなかった者が多く,逆に高校生 グループと指導者グループで「自己鍛錬」を第1位として選択する者が多かっ たことが1%水準で関係している.このことがグループ間における人数の偏り が認められた原因であると特定できる.

 このことから,大学生グループは,高校生グループや指導者グループよりも スポーツ活動を行う際の価値である,「自己鍛錬」への関心が低い傾向にあると 判断できる.

  なお,高校生グループならびに指導者グループでは「自己鍛錬」を選択す る者が最も多かった.

5−3.スポーツ価値志向尺度「勝利」についての結果

表26.スポーツ価値志向尺度「勝利」におけるz2検定・残差分析の結果 高的中率大学 低的中率大学 合計人数

「勝利」を第1位に選択 40 9 49

それ以外を第1位に選択 102 86 188

合計人数 142 95 237

独立性の検定  **:1%有意*=5%有意 2

1213 1 P

000

**

クロス集計表の残差分析 ボールド=1%有意色付のみ=5%有意

高的中率大学 低的中率大学 合計人数

「勝利」を第1位に選択 81.6% 18.4% 49 それ以外を第1位に選択 54.3% 45.7% 188

全体 59.9% 40.1% 237

 表26,図4に示すように,「勝利」を第1位として選択する者は大学生グル ープで64名(17.2%),高校生グループで16名(9.2%),指導者グループで1 名(3.1%)という値が得られた.κ2検定の結果,グループ間における人数の 偏りが認められた(P<0.01).さらに,残差分析の結果,大学生グループで「勝 利」を第1位として選択した者が多いことが1%水準で関係している.また,

高校生グループで「勝利」を第1位として選択する者が少なかったことは5%

水準で関係している.このことがグループ間における人数の偏りが認められた 原因であると特定できる.

 このことから,大学生グループはスポーツ活動を行う際の価値である,「勝利」

への関心が高い傾向にあると判断できる.

6.スポーツ価値志向尺度による大学間の比較

 第1因子から第8因子まで大学間における弓道観の違いを確認したものと同 様に,スポーツ価値志向尺度においても大学間で比較を行った.グループ間で の比較と同様の方法を用い,各尺度について第1位にランク付けした回答者を グループ毎に抽出し,z2検定によってグループ間における人数の偏りがある かどうかを判断することにした.Z2の結果5%水準以下でグループ間における 人数の偏りが認められた場合,どのグループにおける人数の多少が影響したの かということを判断するために残差分析をおこなった.

 図5は各グループにおいて,第1位として選択した各尺度の割合を示したも のである.「楽しみ」,「自己鍛錬」,「勝利」の各尺度の詳細結果は以下に示す.

スポーツ価値志向尺度

 60%

 50%

 40%

9630%

 20%

 10%

 0%

49.5弘

40.1瓢41.1瓢 31.7弘

9.5%

楽しみ 自己鍛錬 勝利

0高的中率大学 ロ低的中率大学

図5.各尺度において第1位にランク付けした割合

6−1.大学間におけるスポーツ価値志向尺度「楽しみ」についての結果

表27.スポーツ価値志向尺度「楽しみ」におけるZ2検定・残差分析の結果 高的中率大学 低的中率大学 合計人数

「楽しみ」を第1位に選択 45 47 92

それ以外を第1位に選択 97 48 145

合計人数 142 95 237

独立性の検定  **:1%有意*:5%有意 2

758

1 P

001

P

**

クロス集計表の残差分析 ボールド:1%有意色付のみ:5%有意 高的中率大学 低的中率大学 合計人数

「楽しみ」を第1位に選択 48.9% 51.1% 92 それ以外を第1位に選択 66.9% 33.1% 145

全体 59.9% 40.1% 237

 表27,図5に示すように,「楽しみ」を第1位として選択する者は高的中率 大学45名(31.7%),低的中率大学47名(49.5%)という値が得られた.κ2 検定の結果,グループ間における人数の偏りが認められた(P<0.01).さらに,

残差分析の結果から,高的中率大学で「楽しみ」を第1位として選択しなかっ た者が多く,逆に低的中率大学で「楽しみ」を第1位として選択する者が多か ったことが1%水準で関係している.このことがグループ間における人数の偏

りが認められた原因であると特定できる.

 このことから,高的中率大学は低的中率大学よりも,スポーツ活動を行う際 の価値である,「楽しみ」への関心が低い傾向にあると判断できる.

6−2.大学間におけるスポーツ価値志向尺度「自己鍛錬」についての結果

表28.スポーツ価値志向尺度「自己鍛錬」におけるz2検定の結果 高的中率大学 低的中率大学 合計人数

「自己鍛錬」を第1位に選択 57 39 96

それ以外を第1位に選択 85 56 141

合計人数 142 95 237

独立性の検定  **=1%有意*15%有意 2乗値

0.02

自由度

1

P値

0.89

判定

 表28,図5に示すように,「自己鍛錬」を第1位として選択する者は高的中 率大学57名(40.1%),低的中率大学39名(41.1%)という値が得られた.Z 2検定の結果,グループ間における人数の偏りは認められなかった.

6−3.大学間におけるスポーツ価値志向尺度「勝利」についての結果

表29.スポーツ価値志向尺度「勝利」におけるZ2検定・残差分析の結果 高的 噺 幽 氏的 馬大凸 ム計人

「   1立に◎ 40 9 49

れ以外  1位に悔 102 86 188

ム昔人 142 95 237

独立性の検定  **=1%有意*:5%有意

2乗値 1213

自由度

.1

P値

000

**

クロス集計表の残差分析 ボールド:1%有意色付のみ=5%有意 目的  大嵩 氏的 価大嵩 △昔人

「    1・に 81.6% 18.4% 4則 れ以外  1位に選 54.3% 45.7% 188

599% 401% 237

  表29,図5に示すように,「勝利」を第1位として選択する者は高的中率 大学40名(28.2%),低的中率大学9名(9.5%)という値が得られた.z2検 定の結果,グループ間における人数の偏りが認められた(P<0.01).さらに,

残差分析の結果から,勝利を選択した中で,高的中率大学「勝利」を第1位と して選択しなかった者が多く,逆に低的中率大学で「楽しみ」を第1位として 選択する者が多かったことが1%水準で関係している.このことがグループ間

における人数の偏りが認められた原因であると特定できる.

 このことから,高的中率大学は低的中率大学よりも,スポーツ活動を行う際 の価値である,「楽しみ」への関心が低い傾向にあると判断できる.

7.Kenyonのスポーツ態度尺度についての結果

 本研究では方法で述べた通り,Kenyonによってスポーツ活動が「何の役に 立つか」という手段的価値(inst㎜en搬l value)における特徴をスポーツへの参加 動機を測る尺度として構成された「スポーツ態度尺度」を用いた.回答者には 現在重視している参加動機と,将来重視したい参加動機を「社会的経験」,「体 力維持・健康」, 「スリルの追求」, 「美しさの追求」, 「ストレス発散」,

「禁欲鍛錬」の中から,各々第1位から第3位まで選択させた.選択した参加 動機において,大学生グループと,高校生グループおよび指導者グループの各 グループにκ2検定によってグループ間における人数の偏りがあるかどうかを 判断することにした.Z2の結果5%水準以下でグループ間における人数の偏り が認められた場合,どのグループにおける人数の多少が影響したのかというこ

とを判断するために残差分析をおこなった.

 第1位選択のみの結果から,以下に示す.

7−1.スポーツ態度尺度 現在の参加動機・第1位選択のみの結果

       Kenyonのスポーツ態度尺度(現在重視している参加動機)

一iil

讐iii

図6.スポーツ態度尺度 現在の参加動機を各々選択した割合(第1位のみ)

□大学

□高校

□指導者

関連したドキュメント