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ORD(I)=CVI(ORD$)

ドキュメント内 雑誌名 関西大学社会学部紀要 (ページ 55-62)

6910 

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ソシオンの理論(木村•藤沢・雨宮)

][  ~ ノシオン理論の位置づけ

I

I I

では,ソシオン理論の基本的特徴とその社会学的解釈,そして,ソシオン理論と集団心 理学における諸指標の対応についてのべ,

I I

の後半では,ソシオンモデルにもとづくコンピュー ク・シミュレーションの例をしめした。これによって,ソシオン理論の基本的概念と方向性につ いては,ある程度まで,あきらかになったとおもう。

ここで提示されたのは,かなり射程のおおきな研究プロジェクトとなるかもしれない,ソシオ ン理論のコアにあたる部分である。具体的なさまざまなモデルの構成は今後の課題だし,ソシオ ンモデルから何がみちびきだされるかについても,その一端がしめされたにとどまる。また,ソ シオン理論は,ソシオンという用語自体,ニューラルネットワークがニューロンから構成される ならば,ソーシャルネットワークが構成される単位として,ソシオンなる素子が想定できるだろ うというアナロジーで命名されているように,従来の社会学や社会心理学の諸理論とは,思考方 法やアプローチに異質なところがある。こうした理論の未完成性と異質性のため,ソシオン理論 の輪郭を把握することは,かなりむずかしくなる。

そこで,

m

ではより外側の視点から理論の位置づけについて考察し,ソシオン理論の輪郭を,

よりあきらかにすることをこころみてみたい。

1

では,理論の構成とその特徴,

2

では,ニュー ラルネットワークモデルとの比較, 3では,モデルの意味するところとその周辺について,それ ぞれ考察する。

1 ソシオン理論の構成とその特徴 1) ソシオン理論の構成と研究方法

①  コンビュータ・シミュレーション

ソシオン ゲーム

コンピュータ シミュレーション

ソシオン モデル

調査実験データ

ソシオン理論

思考実験

ソシオン 解釈

社会学、心理学などの学説 図

3 ‑ 1

ソシオン理論の構成と研究方法

‑121‑

関西大学「社会学部紀要」第

2 1

巻第

2

ソシオンモデルは,

I

で基本的概念が説明され,

I I

でコンビュータ・シミュレーションがしめ されたように,ニューラルネットワークとにかよった道具だてのモデルである。モデルの基本部 分は,コンビュータ・シミュレーションにのるように,細部まですべて定式化しうる。

コンビュータ・シミュレーションは,現象をそれと同型的なモデルでプログラム化することを 目的とする。これがうまくいけば,

I I

でしめされたように,さまざまな指標をとりだしながら,

プログラムのうえで,自由に実験できる。プログラム化するためには,現象の各側面の細部まで モデル化,定式化しなければならない。これは,プログラム化がこころみられるまで,見落とさ れてきた要因に照明があてられるなど,コンビュータ・シミュレーションが発見的になりうると ころだが,同時に,研究遂行上の制約ともなる。とくに,ソシオンモデルの場合,一般的には,

モデルがかなり複雑で,すべて細部までプログラム化することはむずかしい場合が多い。'したが って,研究方法として,コンビュータ・シミュレーションを基準として参照しながら,その周辺 をさらにひろげるため,思考実験やソシオンゲームなど,より厳格でない研究方法も併用してい

く必要がある。

②  思 考 実 験

I

の後半では,ソシオンモデルの種々の側面について,それが心理学的,社会学的にどんな意 味をもつのか,これまでの諸学説をふまえて考察されている。また,現時点ではシミュレーショ

ンがむずかしいような問題についてもソシオンモデルの基本的前提を思考をみちびく際の拘束条 件として組み込んで,ソシオンとソシオスに何がおこるのか,また,それはどういう意味をもつ のか検討されている。こうしたモデルの意味解釈を中心にした,場合によっては,モデルのある 部分は空白にしても可能なような,思考実験は,一方では,ソシオンモデルの理論的な意味づけ の収穫の場であり,またもう一方では,研究のフロンティアにおけるソシオンモデルの投げ網と

しての役割をはたすものである。

⑧  ソシオンゲーム

また,学習)レールや発信戦略など,単純な数式による定式化がむずかしい場合もある。各ソシ オンに人工知能を組み込んだコンピュータ・シミュレーションもかんがえうるが,人工知能の開 発自体がむずかしく,おそろしく複雑なプログラムになってしまう。ここで,シミュレーション と人間の被験者による実験の接合形態として,各ソシオンの学習や発信戦略を被験者に選択させ る方法がかんがえられる。これを,ソシオンゲームとよぶことにする。

ソシオンゲームでは,各ソシオンやソシオスの状態をコンビュータが計算し,そのある部分を ソシオンにあたる被験者に提示し,被験者は状況を判断し,他のソシオンや自己からの入力に対 する荷重や,どのソシオンに発信するかなどを,選択し,その結果コンビュータが計算し,つぎ の状態に移行する。ここで,被験者に提示されるソシオンとソシオスの情報と,被験者が何を選 択できるかは,研究の目的におうじて設定される。

被験者に提示される情報の制限は,個人のふるまいが限られた部分的情報にもとづいて選択さ

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ソシオンの理論(木村•藤沢•雨宮)

れ,ソシオスの挙動が生成されることに対応している。また,被験者による選択の範囲について は,自己の内部状態や,自己の出力に対する他者による荷重(私II)などは,ふつう,直接には 選択できないものとする。これらは,他者からの入力に対する荷重やどのソシオンは発信するか の選択によって,ソシオス全体の挙動のなかで,間接的に決定される。さらに,荷重や発信の選 択にも一定の制約をもうけるなど(たとえば,非対称性を一定の範囲内とするなど)さまざまな 制約条件の設定がかんがえられる。これらの,被験者の選択の範囲の制限と制約は,

I

でのべた ように,ソシオンの内部状態が非決定性は高いが自己選択性の弱いことや,拘束としてのソシオ スロジックスの存在に,対応している。

このような,提示情報とふるまいの選択の制約のもとにおかれ,変動するソシオスの挙動のな かで,被験者は,一連の決定をおこなっていく。被験者の目的としては,すでに, I,  IIの学習 ルールのところで議論したように,他のソシオンヘの影響力(具体的には,私

1 1

の荷重などの指 標がかんがえられる),他のソシオンとの内部状態の一致, 他のソシオンとの対称性, などの目 的変数の最大化が,かんがえられる。具体的には,被験者にゲームの目的を教示し,これらの目 的変数の値をその都度表示し,あるいは,部分的な情報から推測させるなどの方法によって,被 験者の方略を記録していく。さらに,全体として満足のいくようにといったあいまいな教示をあ たえたり,複数の目的変数を説明し,どの変数を重視するかを,調べることも可能である。

ソシオンゲームは, コンビュークの制御するソシオス的制約のもとでの目的追求のゲームだ が,すべてのソシオンを被験者がそれぞれ担当する集団ソシオンゲームと,一つのソシオンだけ を被験者が担当し,残りはコンビュークが担当する一人ソシオンゲーム,そして,その中間の混 合ソシオンゲームの三つの形態が,かんがえられる。一人ソシオンゲームは,シミュレーション の延長の実験として,比較的純粋に一人の被験者の反応を,分析できるだろう。集団ソシオンゲ ームは,ソシオンとソシオスの指標の表示と状態の計算にコンビュークが介在した,集団の相互 作用の実験の延長として位置づけられる。混合ソシオンゲームは,両者の中間である。

すこし長くなってしまった。ソシオンゲームには,被験者の数,情報の表示,制約条件,目的 の設定,ソシオスロジックの計算法,などにかんして,さまざまなバリエーションがありうる が,以上が,ソシオンゲームの基本コンセプトである。いずれにせよ,ソシオンゲームでは,単 なる数式や論理計算による方略ではなく,ソシオスロジックのなかでの被験者のとる選択や方略 が知りたいわけなので,情報の表示の形態や教示などによる状況設定がクリティカルになる。こ れは,集団行動における実験的研究全般に共通する問題であり,他の研究方法との比較で,

2) 

で検討する。

④  調査・実験データとの比較

ソシオン理論の研究方法として,他に,ソシオンモデルにおけるソシオンやソシオスの種々の 指標とその挙動を実際に集団の調査データや実験的にえられたデークと比較する研究が,かんが えられる。これは,ソシオンモデルに対する,もっとも実証性のつよいアプローチである。集団

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ドキュメント内 雑誌名 関西大学社会学部紀要 (ページ 55-62)

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