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ドキュメント内 雑誌名 関西大学社会学部紀要 (ページ 35-49)

. ク ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑

出力

I)勤向結合の相互抑制場 図

2 ‑ 3

ニューロンの相互抑制結合

s(x)  z(x) 

X  X 

(a)

入力分布

(b)

出力分布

2 ‑ 4

マッハ効果

力に対応する部分には興奮信号を,その周りには抑制信号を送るというものである。このような 相互抑制結合の場に図

2 ‑ 4 a

のような信号を入力すると図

2 ‑ 4 b

の出力信号となって現れる。

これは知覚心理学においてよく知られているマッハ効果であり,境界領域でのコントラストが 強調されることを示している。ソシオスにおいても内部状態の分布,あるいは下位ソシオス間に おいてこのようなコントラストが起こりうると考えられる。

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ソシオンの理論(木村•藤沢•雨宮)

③  興奮パクーン

神経場において弧立した局在興奮

a

は,チャンネル荷重

W(a)

によって, 時間と共に, 全体 へ広がっていったり, 消滅したりする。 このような興奮パクーンは

W(a)

の時間による微分値 が負であるとき元の状態に集束し(図

2 ‑ 5 a ) ,

ゼロである時にはある一定値に漸近し(図

2 ‑ 5 b ) ,

正であるときには発散する(図

2 ‑ 5 c )

。 このようなことがソシオスにおいても起こりうると考え られるが,これをなんらかの計数値として扱うことは非常に困難であると思われる。また,甘利

( 1 9 7 8 )

の検討にもあるように,興奮のリバーベレーションについても連立微分積分方程式を解 くという現実上困難なことになるであろう。

しかし,これについては,あるいは内部状態(興奮)のソシオン間の共変動分類問題に帰すこ

w(x) 

S3 

S2 

工c, 

S1 

82 

a  b 

w(x) 

2 ‑ 5

一様入力に対する場の解

(b,c

の上部グラフは興奮パターン,

下部のグラフはそれに対応した状態関数),甘利

( 1 9 7 8 )より

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とができるかも知れないと思われる。

以上,ソシオスの指標として考えられるものを,これまでの研究から拾い上げてみた。もちろ ん,これで全てではなく,これ以外にも簡単なところでは平均や分散が考えられるし,確率密度 ゃ,状態間の推移確率(マルコフ連鎖モデル)などが考えられよう。

ソシオンの基本モジュール

全体であるソシオスの指標について考えてきたが,ここでは,個であるソシオンについて考え てみよう。ソシオンは図

2 ‑ 6

のようなプロック図として書き表せる。すなわち,外部からの入力 情報は,まず,ネットワーク荷重によって重みづけられ情報統合される。情報統合された外部入 力はそれまでの内部状態との関係で変換され,新たな内部状態を形成する。この内部状態は,チ ャンネル選択情報によって,外部への出力情報に変換され,出力される。それと同時に,ネット ワーク荷重は内部状態とチャンネル選択情報,および,それまでのネットワーク荷重との関係に よって変化する。これ自身の仮定は決して特殊なものではなく,外部からの入力を加工し外部に 出力すると言う開放システムの基本に,外部に対する傾性を合わせ持っているというものであ る。そこで,これらのプロック毎に検討を加えてみよう。

1)情報統合過程

外部からの入力情報が二つ以上ある時,それらの情報は統合され,一つの全体となることが多 い。

A n d e r s o n ,N .  ( 1 9 6 7 )

にはじまる印象の統合過程や,

F i s h b e i n ,M, ( 1 9 6 4 )

の態度概念な ど,情報統合に関する検討がなされてきた。それには入力情報を,

①  総和したもの

③  平均したもの

③  重み付総和したもの

④  重み付平均したもの

⑥  冗長性を差し引いて総和したもの

などが考えられている。ソシオンにおける情報統合過程では入力情報が単一次元,すなわち,肯 定から否定までの態度や,好き嫌い,神経パスルの強弱などを想定することから,冗長性がない ので,総和,平均,重み付平均を考えることになる。重み付平均の重みは次に述べるネットワー ク荷重である。

2)

ネットワーク荷重

ネットワーク荷重は,いわば,入力情報を担っているネットワークが,内部状態を変化させるた めの潜在的力を,どれほど持っているかということである。それは,さまざまな分野において,言 葉を替えて用いられてきた。ニューロンにおけるシナップス結合荷重,概念間における整合性,

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ソシオンの理論(木村・藤沢・雨宮)

入 力 梢 報

内部変換過程

チャンネル荷咽

(自分から見た1

外部変換過程

チャンネル選択

( i ! t

界から見た自分)

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ソシオンのブロック図

社会的相互作用における関係性,社会的コミュニケーションにおける信憑性などである。その他 にも,信念,信頼性,依存性のように受け手の側からみた用語や,訴求力,魅力,勢力のように 送り手の側からみたもの,あるいは,

u n i t .s e n t i m e n t ,  

親密性のように受け手と送り手の関係に

よってみたものなど,あつかう現象によって異なる用語が使われている。

しかし,これらの変数に共通しているのは,変数が,

①  たび重なる作用によって強度が高まる

R 内部状態と外部入力との関係が協和する方向へ変化する

と考えられる。ソシオンにおいても,チャンネル荷重は,チャンネルの活性と内部状態との関係 によって同様の機能を持つと考えられる。

3)

内部への変換過程

外部入力情報がチャンネル荷重によって重み付され統合されても,それが即ち内部状態になる わけではない。いままでの内部状態との摺合わせが必要である。社会心理学ではこれまで,認知 的不協和や心理的反発,あるいは免疫理論から,態度変容として扱われてきた。しかし,態度変 容に関する統一な理論はな<, 一般的に,態度の強さと方向性によって異なる法則性が存在する

と思われる。すなわち,外部入力と内部状態のあいだに,

①  逆方向で,強度差が大きいとき,内部状態は外部入力状態に近づく(不協和低減)

③  逆方向で,強度差が小さいとき,内部状態は外部入力状態から遠ざかる(コントラスト)

⑧  順方向で,強度差が大きいとき,内部状態は外部入力状態から遠ざかる(心理的反発)

④  順方向で,強度差が小さいとき,内部状態は外部入力状態に近づく(整合)

⑥  強度は限界効用低減の法則にしたがう

と思われる。ソシオンでは,これらの法則が適用され,強度差の程度については,設定可能にし

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た。

4)

内 部 状 態

内部状態は膜電位や,態度のように,基本的に連続変量であると思われるが,問題によって は, しきい値関係によって離散変量と考えられるものもある。また,ある程度のファジ一幅を持 った変量であると考えることもできよう。

5)

チャンネル選択

ニューロンはその内部状態が,ある域値に達したとき,爆発し,次のニューロンに情報を伝え る。しかし,人は,どんなに好意的な態度を持っていたとしても,必ず他者にそれを伝えるとは 限らない。ある場合には,他者の自分に対する態度を推論したうえで,伝達するか,しないかを 決めることもある。また,ニューロンにおいて結合相手が常に近傍であるとは限らないように,

相手の選択は,いわば,個がとる方略と密接に関わっている。個の選択肢と,選択された相手へ の伝達量には限界があり,結合定量の法則が支配することもある。そこで,ソシオンにおいて は,結合定量の法則のもとで,選択数や選択相手を決定することになる。

6)

外部への変換過程

外部への変換仮定は,内部状態と同じでない限り,いわゆる,嘘をつくことと同義になる。し かし,人は相手によって,自分の意見を強調したり,逆に弱めたりする。ここでは,ソシオンの ふるまいを正直者であるとしたい。なぜなら,これはソシオンの目的によって左右される問題で あり,後に明確にしなければならない問題として,ここでは保留しようとするからである。

個と全体,ソシオンとソシオスの関係

個は全体の要素である。しかし,個が全体に対して単に要素として働くばかりでなく,全体も また,個に対して一つの要素として働くとき,個と全体は有機的関連のもとに,個のみでは起こ り得ない振舞いをし,ひいては全体もまた,異なる振舞いをする。いわば,階層システムにおけ る,階層間相互作用を問題にしなければ,個だけでなく全体も見失うことになろう。

藤沢

( 1 9 8 8 )

において階層間相互作用として,

①  下位階層の情報圧縮が十分なされたとき,上位階層の表象ができること

②  上位階層の表象は,下位階層の表象として再現可能であること が必要であるとしている。

ソシオンにおいて,個と全体を最も端的に現しているのは,ネットワーク荷重とチャンネル選 択である。ネットワーク荷重は個の側からみた全体であり,チャンネル選択は全体からみた個で ある。ネットワーク荷重は,自らの内部状態を通して見た外的世界であり,チャンネル選択は推

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ソシオンの理論(木村•藤沢・雨宮)

論を通して見た外的世界による自らの位置づけである。

これらがソシオンの中で,あるまとまりを持たないとき,ソシオスを捕らえることはできない のであり, したがって,ソシオスによって影響されることもない。しかし,一度,ソシオスが成 立するとソシオンは他のソシオンに影響されるだけでなく,ソシオスによっても影響を受けるこ

とになる。たとえば,集団成員となる個人の行動が,あるまとまりを持ったとき,初めて集団は 成立し,その集団表象が個人の中に生じ,個人の行動に影響を与える,と考えられるのである。

ソシオンモデルの中で,これを実現するには,ソシオスの指標として,ソシオンのネットワーク 荷重やチャンネル選択が,あるまとまりを持ったとき,それが内部状態に,なんらかの変化を起

こすことであろう。あるまとまりとは,たとえば,ネットワーク荷重の分類問題に帰すことがで きようし,なんらかの変化とは,所属,非所属によるソシオスヘの同調傾向であってもよい。

ソシオンモデルのシミュレーション

以上のようなソシオンモデルは,ソシオンという下位システムと,ソシオスという上位システ ムを持つ,複雑なシステムである。ソシオンとソシオスは再帰的であり,ソシオンの振舞いは他 のソシオンによって影響される。

1)'. 

ノシオシミュレーションモデルの意義

ソシオンモデルは,要素の構造が一様であるネットワークモデルである。できる限りの抽象 化,単純化を計っても,なお複雑なシステムである。しかも,各ソシオンが,いっ,どれだけの 数のソシオンに情報伝達するのかについては,明らかに不確定要素を含むのであり,時間的推移 の中でモデルの振舞いが決定されるものである。その意味で,決定的モデルを構成することは不 可能である。すなわち,動的不確定モデル,あるいはダイナミックモデルとしてソシオンデモル を考えなくてはならない。

しかも,ソシオンのほとんど全てのプロックにおいて,前述したように,さまざまな選択が可 能な関数が存在する。たとえば,情報統合において,総和が適切なのか,平均が適切なのか,ぁ るいはそれ以外なのか,分からないし,全てのソシオンが同一の関数を持っているのか,あるい は,あるソシオンは平均で,別のソシオンは重み付平均なのかも分からない。したがって,ソシ オンモデルは,一様なソシオンの構造と,各構造が持ついくつかの機能を明らかにして,それら の動的で不確定なネットワークのシュミレーションモデルを構築することになる。

シミュレーションモデルの重要性は,単に,現実に似せてモデルを構成し,その将来を占おう とするのではなく, 現実の中に隠されている各要素の振舞いを明らかにすることである。つま り,ソシオンモデルにおいて,われわれは,現実の諸事象の中にある法則性を,現実の諸事象と の対応において見つけ出していこうとするものである。実験科学において取られてきた方法であ る,他の要因を一定にして,ある要因の影響過程を見るように,ソシオンの各ブロックの全ての

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