や
IFA
でも明らかにされたように︑投資家が直接的投資をする場合とビークルを媒介として
間接的投資をする場合の税法上の扱いをできるだけ同列におくということである︒各国のファンドがそれぞれ国内法
上及び条約上バラバラに取り扱われているということに照らせば︑このコンセプトにしたがって論点を整理したうえ
で︑望ましい制度設計を構築するほかない︒今やグローバルなファンド投資が行われていることを考えれば︑国際的
な整合性という視点を離れて︑投資ファンド課税を制度設計することは困難である︒その反面︑自国の国内租税政策 除︶のいずれかが考えられる︒ 一定の条約便益を制限する方法︵個別的濫用排
投資
ファ
ンド
課税
の国
際的
側面
につ
いて
問題が起こりうる︒
③
を無視することは容易ではないので︑漸進的に進めていくほかないであろう︒我が国は金融改革後︑集団投資スキームの法と税制の整備を積極的に進めつつあるが︑その際︑海外の非居住者に
対してオープンポリシーをとるかどうか︑もしもとるとすればそれはどのようなものとなるかが重要である︒もし非
居住者によるこのような対日投資を積極的に進めるという政策をとるとすれば︑我が国のこの問題に関する租税条約
政策を明確にする必要がある︒そのような視点から︑具体的な制度の粋組みを示すとほぼ次の三つの考え方になろう︒
パススルー型ファンドには条約アクセスは認めないが︑投資家の代行を認める︒一方︑ペイスルー型ファンド
については条約アクセスを有するものとして扱う︒この扱いは︑概ね我が国が従来から採用してきた私法形式を
尊重する考え方を基準とする︒ただこの場合︑両者の租税中立性の問題が残る︒
パススルー型ファンド︑ペイスルー型ファンドとも条約アクセスを認める︒この場合︑国内法上も両タイプの
ファンドを同列に扱うのが望ましいが︑ここでは必ずしも国内法上も同じ扱いを条件とする必要はないと考える︒
ただし︑すべてのファンドに条約アクセスを認めると︑第三国の居住者にまで条約便益が及ぶことになり︑本来
条約の対象に予定していない第三国の居住者にまでトリーティ・ショッピングの手段としてファンドが利用され
るおそれがあるため︑それに対する防止規定を予め設けるべきである︒
条約適格者としたうえで︑投資家に代わってファンドの運用者又は受託者に条約適用の申請代行を認める︒ただ
し︑この方式をとると第三国の居住者のスクリーニングが可能となる反面︑条約申請数が多くなると︑執行上の
② ①
パススルー型ファンド︑ペイスルー型ファンド両者ともファンド段階で条約アクセスを認めず︑投資家自身を
三二九
︵一 五ニ
︱)
一国の努力ではこれを実現することはできない︒した
三三
〇
がファンドに投資するというファンド・オプ・ファンズという投資形態が認められており︑
きないからである︒そのため︑③の類型をとれば︑重複課税の恐れがあるという欠点がある︒
︵一
五二
二︶
私見は︑このうち②の類型を我が国の租税条約政策として選択するのが︑望ましいと考える︒なぜなら︑ファンド
ファンド投資の複雑化︑
プーリングの可能性があるとすれば︑その場合は実際上③の類型は②の類型に比べ︑実行可能性を担保することがで
この三つの方式の選択にあたっては︑相手国の事情も考慮する必要があろう︒なぜなら︑租税条約は相互主義をと
るからである︒さらに︑この問題は各国がどのような法人税を採用し︑法人税︑所得税の統合をどのように取扱うか
によっても︑ある程度左右されることは否めない︒本来租税条約の締結は︑締約国それぞれの事情を掛酌した妥協の
産物ではあるが︑しかし今後は我が国でも投資ファンド課税について明確な租税条約政策を打ち出すことが重要と思
われる︒また︑このような国際課税問題を解決するためには︑
がっ
て︑
OECDレベル等において国際的に調和のとれた望ましい制度的枠組み作りを期待したい︒
※本稿の基礎となった研究の一部は︑拙稿﹁土地の流動化・証券化スキームに関する課税問題﹂平成︱一年度土地関係研究支援事業報告書・翻土地総合研究所・一ー五
0
頁︵
二
000
年三月︶をおおむねベースとするものである︒なお︑このテーマについては
︑残
され
た課
題が
余り
にも
多い
ので
︑別
稿で
取り
あげ
てい
きた
い︒
(1)SPCとは︑特定目的会社をいう︒SPC法については︑以下の文献を参照した︒片山さつき﹃SPC法とは何か
i
産の
証券
化と
流動
化に
向け
て│
│﹄
︵一
九九
八年
︶︑
黒崎
浩︑
根本
忠宣
︑波
田野
桂﹃
SP
C法
J
(一
九九
九年
︶︒
(2
)
証券
投資
信託
及び
証券
投資
法人
に関
する
法律
︵平
成︱
二年
法律
第九
七号
︶
(3
)
集団投資スキームについては︑田邊昴﹁集団投資スキーム﹂フィナンシャル・レビュー第五六号︵二
00
一年
三月
刊行
予
定 ︶ 関
法 第 五
0巻第六号
投資ファンド課税の国際的側面について
(4)REIT
とは︑合衆国の不動産投資信託
( Re a E s l t at e ln v e s
g
e nt T ru s t ) をい う︒
(5
)
日経新聞二
000
年︱ 一月 一
0
日号︒
(6)日経新聞•前掲注(5)。
(7)RIC
とは︑合衆国の規制的投資会社
( Re g u la t I e d nv es tm en t C om pa ny ) をい う︒
(8
)
OE CD , T he Taxation
f o C ol l e ct i v e l n ve s
日1 e
n t I n s t i t u t i o n s (
19 77 ).
(9
)
OE CD , T ax at io n o f C r o ss ‑ b or d e r P o r t f o l i o ln v e s
g
e n t ,
ー
Mu tu al Fu nd s a nd Po s s ib l e T ax Di s t o r t i o n s
ー
(1 99 9) .
(1 0) Id ( 1 1 ) Ly nn e
J.
Ed and r . D Pa ul J. M. Bo n g aa r t s, IF A, h T e Taxation
of In ve st me nt Funds,
a h C i er s de dr o i t f i s c a l i n t e r n a t i o n a l , V ol . LX XX Il b, at
38
(1 99 7) .
なお
︑ E
uにおけるユーシッツ税制を比較したものとして︑田邊昴﹁証券課税と
O E C
D政
策調整の主要問題Iとくに証券投資信託など集団投資スキームの本質とその内外課税の問題点ーー﹂金子宏・永尾正章編
﹃グローバル戦略と国際課税国際課税京都フォーラム第一回シンポジウムより﹄一五一頁︵二
000
年 ︶ ︒
( 1 2 ) OE CD , H ar mf ul ta x Co mp et it io n:
An
Em er gi ng l G ob al Is s u e (
19 98 ).
その邦文訳としては︑水野忠恒監修高木由利子
訳﹃有害な税の競争起こりつつある国際問題﹄(‑九九八年︶︒
( 1 3 ) OE CD , s u pr a o t n e 1 2, a t 42
, 4
3.
( 1 4 ) De pa rt me nt f o t he T r e as u r y, Th e P ro bl em of Corporate
a T x S h e l t e r s , D is c u ss i o n, A na l y si s n a d L e g i s l a t i v e P r op o s al s , a t
31
(1 99 9)
・
( 1 5 ) OE CD , s u pr a o t n e 1 2, p a r a .
97 ,
a t
4 1・
( 1 6 ) I d . p a r a
17 , .
18 ,
a t
11 .
( 1 7 ) I d . a t
73
, 7
8.
( 1 8 )
行動要綱グループについては︑次の文献を参照せよ︒
An ge lo Ma rc el lo Ca r d an i , E ur op ea n t a xa t i on p o l ic y
ーA
ch an ge of t a c k S t , e ue r r ec h t u nd eu r o p i i i s c h e I n t eg r a ti o n ( F e s t s c h r i f t f i i r A lb e r t J
.
Ra dl er zu
m
65 . G e b ur t s ta g ) , a
t 122
, 124 (
19 99 ).
( 1 9 ) Co un ci l o f t h e E
ur op ea n U ni on , SN 4901ヽ
99 ,p a r a .
28
(1 99 9) .
( 2 0 ) I d .
ANNEX
A .
D es c r ip t i on s f o L is t e d M e a s u r e s ・
村井正・岩田一政﹃
E
u通貨統合と税制・資本市場への影響﹄二三五
冒
︵一 五二 三︶
関 法 第 五
0
巻第 六 号
~
︵ 一五 二四︶
ーニ四五頁︵二
000
年 ︶ ︒
( 2 1 ) I d. AN NE X
A .
( 2 2 ) OE CD , s u pr a o t n e 1 2, p a r a
1.
01 ,
a t
42 .
( 2 3 ) I d . p a r a
100.
疇a t
41 ,
42 .
( 2 4 ) I d . p a r a
1.
01 ,
a t
42 .
~ お︑オフショア・ファンドの方が国内ファンドよりも有利とされている︒
OE CD ,s u p ra n ot e
9 .
(2 5) Id (2 6) I4
例えば︑アメリカ・イギリスなどのように︑
A n t i
‑ d e f e r r a l r u 法」を導入する必要性をとく。田邊舜•前掲注(3)。 l e や時価評価基準などを適用する﹁外国ファンドの対策 (2 7) Id ( 2 8 ) I d . p a r a
1.
02 ,
a t
42 .
~
お︑ 出
n哉5ルールは基本的には繰延による租税回避を防止する性格を有するが︑それ以上の広範な
役割を有する国もある︒占部裕典﹁タックス・ヘイプン対策税制の現状と課題﹂ジュリスト一0七五号三二頁(‑九九五
年 ︶ ︒
( 2 9 ) OE CD , s u pr a o t n e 9 ,
a t
94 .
( 3 0 ) OE CD , supra n
o te
12 ,
p a r a
1.
65 ,
a t
61 .
( 3 1 ) I d . a t
49
, 5
0.
( 3 2 )
租税条約の目的は︑国際的な二重課税の排除︑締約国間の課税権の分配︑国際的な租税回避・脱税の防止を目的として締
結されるが租税条約ネットワークの整備は一方で国際的な租税回避・脱税を引き起こしうる︒竹内洋﹃改訂版国際課税の
理論と課題﹂一九ーニ
0
頁(‑九九九年︶参照︒( 3 3 ) OE CD , s u pr a o t n e 1 2,
a t
47 ,
48 .
( 3 4 ) IF A, h T e T ax at io n o f I nv es tm en t
F
g
d s , C ah i e rs de dr o i t f i s c a l i n t e r n a t i o n a l , o l V . L XX XI Ib (
19 97 ).
( 3 5 ) Ly nn e J . Ed an d D r . P au l
J . M .
B on g a ar t s , s u pr a o t n e
1 1 ,
a t
42 .
( 3 6 ) I d . a t
38 .
なお︑この類型化は必ずしも適切に行われているかについては疑問が残る︒日本のように源泉徴収制度による
処理方式について︑﹁その特徴をとらえきれていない感がある﹂として︑この類型化に若干の疑問を示すものもある︒増井
投資ファンド課税の国際的側面について 良啓﹁証券投資ファンド税制の比較﹂日税研論集
V o l .
41
一九 三頁 (‑ 九九 九年
︶︒ ( 3 7 ) I d . a t
52 .
( 3 8 ) I d . a t
50 .
( 3 9 ) I d. a t
50 ,
51 .
( 4 0 ) I d. a t
52 .
( 4 1 )
金子宏﹃租税法第七版補正版﹄二三五頁︵二
000
年 ︶ ︒
( 4 2 )
法人税と所得税の統合については︑金子宏﹁法人税と所得税の統合ーー統合の諸類型の検討﹂﹃所得課税の法と政策﹄四
三一 ー四 三二 頁(
‑九 九六 年︶
︒ ( 4 3 )
佐藤英明﹁投資信託の日米比較アメリカ法研究ノート﹂ジュリスト︳
o ‑
︱‑五 号一
六0
頁(
‑九 九三 年︶
︒ ( 4 4 ) M or r i ss e y v . C om m i ss i o ne r
296 ,
U .
S .
3 4 4
(
19 35 ).
モリゼイ判決については︑次の文献を参照せよ︒占部裕典﹁企業課税
における法人概念︵一︶﹂民商法雑誌九五巻二号二四六頁(‑九八六年︶︑佐藤英明・前掲注
( 4 3 )
一六
0頁︑佐藤英明﹃信託
と課税﹂五ー七頁︵二
000
年 ︶ ︒
(4 5) RI
C︑
R E I
Tについては︑以下の文献を参照した︒
Ja
me
E• s H i l l m a n , Re g u la t e d I n ve s t me n
t Companies•
1995
Ed
i ,
t i o n
(
19 95
) ;
W il l i am
A .
K e l l e y , J r . R e , a l E s t a t e I n v es t m en t Tr u s ts
Handbook•
s ec o n d e d i t i
o n
(1 99 8)
R i ;
c ha r d T . Ga r r ig a n
Jo
hn
F . C . P a r s o n s R e , a l e s t a t i n e v es t m en t t r u s t s ,
s t r u c t u r e , a n a l y s i s , n a d s t r a t e g y (1997)·止i#犀盆4阻バ『匡g芸iレJ呻咋珀~J~則坦四注i
( 4 4 )
五七ー八0頁︑植松守雄﹁講座所得税法の諸問題第一納税義務者・源泉徴収義務者﹂第七二回・税経通信四九巻七号以下、G.T·ヘイト、D.A・フォード著i脇山俊監訳i大和銀総合研究所訳『新金融商品・不動産投資信託の基礎~
REITS
の仕組みと実践J(一九八九年︶︑鴻常夫絹﹃商事信託法制﹄三五四ー三六五頁(‑九九八年︶︑平野嘉秋﹃不動
産の証券化・流動化と税務﹄二︳
o
│ニニ四頁(‑九九九年︶︑平野嘉秋﹃不動産証券化の法務と税務﹂三四三ー三五七頁
︵ 二
000
年 ︶ ︒
(4 6) RI Cは ︑ I . R .
C .
§851 , 855で
REIT
は
I . R .
C .
§856 , 859
で規 定さ れて おり
︑ R . I . C .
§860
は双 方が 適用 され る︒ ( 4 7 )
佐藤英明﹃信託と課税﹄・前掲注
( 4 4 ) 五八 ー六 四頁
︒ ( 4 8 )
I. R .
C . §851
( a ) .
>
︵一 五二 五︶
関 法 第 五
0巻第六号
︳ ︱ ‑ 三 四 ( 4 9 )
I .
R .
C .
§851
( b ) ( 3 )
( A ) ・
( 5 0 )
I .
R .
C .
§851
( b ) ( 3 )
( B )
・ ( 5 1 )
I .
R .
C .
§851
( b ) ( 2 ) ・
( 5 2 )
I. R .
C .
§856
( a ) . ( 5 3 )
I .
R .
C .
§856
( a ) .
( 5 4 )
I .
R .
C .
§856
( c ) ( 4) .
( 5 5 )
I .
R .
C .
§856
( c ) (3).
( 5 6 )
I .
R .
C .
§856
( c ) ( 2) .
なお
︑
RIC
及び
REITの粗所得については︑投機的な取引を行うことを防ぐために︑それぞれ
次の三
0
%テストを満たさなければならなかったが︑一九九七年八月以降それは廃止された︒•RICの粗所得の三0%未満が保有期間三ヶ月以内の短期所有の有価証券の売却により生じた所得であること。(RIC
の﹁ 三
0%
テス ト﹂
︶
•REITの粗所得の三0%未満が短期保有の有価証券、棚卸資産である不動産、保有期間四年以内の不動産の売却により
生じた所得であること︒
(R
EI
Tの ﹁
︱ ︱
10
%テ スト
﹂︶ ( 5 7 )
I .
R .
C .
§851
( b ) ( 3 ) ( A
) ,
§856
( c ) ( 4) ( B ) ・ ( 5 8 )
I .
R .
C . §852
( a ) .
( 5 9 )
I .
R .
C .
§4982.
( 6 0 )
I .
R .
C .
§857
( a ) . ( 6 1 )
I .
R .
C . §
4981.
( 6 2 )
I .
R .
C . §852
( b ) ( 2) ( D) ,
§857
( b ) ( 2) ( B ) . ( 6 3 )
I .
R .
C .
§852
( b ) ( 3 ) ( B ) ,
§857
( b ) ( 3 ) ( B ) . ( 6 4 )
I. R .
C .
§852
( b ) ( 3 ) ( D
) ,
§857
( b ) ( 3 ) ( D
) .
(6 5) Id ( 6 6 ) Un it ed St a
t es , Be
lg iu m P r ot o c ol , 1 98 7,
A r
t .
1 .
︵一 五二 六︶