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でも人気のない利用率の低い遊具でも,各遊具における各条件をど の学年の児童も同じ観点でとらえていることが認められた.以上の ような結果は,A群・B群・C群のみならず, D群であっても,児 童が一般に,遊ぶ,遊ばないに関わらず同じような観点で遊具をと

らえていることを示唆しているものと考えられる.

 従って,今回の面接調査及び遊びの調査で得られた結果は,どの ような児童でも同じ観点で遊具をとらえていることから,一般化さ れた児童の結果としてとらえられるものと考えられる.換言すれば 今回の面接調査や遊びの調査から求められる各遊具の備えるべき条

件項目は,A群・B群・C群・D群いずれの児童にとっても満足い

くものであると考えられる.

 そのため,ここでは,面接法,及び利用率の高い場合(以降,

100 80 60 40 20

o

O低宇年高さ 口中掌隼高さ

△高学年高さ

●低学年二書目

■中学年二爵目

▲高掌年二爵日

  o

A

口 O  [二△

   o

  口△

       o

  ロ 

ロム      ロ   ロ

 O△O△O   

「高利用率の場合」,と表す)と低い場合(以降, 「低利用率の場 合」,と表す)の条件比較を基に,各遊具が備えるべき条件につい て学年別に考察した.

①雲梯

 低学年,中学年,高学年の場合, 「面接調査」では,児童の求め る条件としては「高さ」と「長さ」が得られた,

 これらをはじめ,各条件について「高利用率の場合」と「低利用 率の場合」を比較すれば, 「長さ」は前者で長く,また「希望条件」

より長かったが, 「高さ」や「棒の長さ」は両者でほぼ同様であっ た.また, 「高利用率の場・合」の「棒の巾」は「低利用率の場合」

より広く, 「棒の太さ」は「低利用率の場合」より細かった.これ らの結果からすれば, 「高利用率の場合」の「棒の長さ」「棒の巾」

が高い利用率につながったと推察されるが,この点についてさらに

「遊び方」から考察した.

 「高利用率の場合」と「低利用率の場合」の遊び(表4−1,4−

2,4一一 3)を比較すれば,異なる点として, 「高利用率の場合」に 遊び集団の人数の多いことやゲーム形式がみられることであった.

子どもは高いところでの動作を好むと言われており16},実際に雲梯 の上での遊びが多くみられたが, 「高利用率の場合」のように,大 きな集団がゲーム形式で楽しもうとすれば. 「棒の巾」や「棒の長 さ」は主要な条件になると考えられる.従って,これらの条件が

「希望条件」に近かったために利用率が高くなったと考えられ,雲 梯の備えるべき条件としては,学年にほとんど関係なく,これらの 条件や元来好むとされている16,「高さ」「長さ」であろうと推察さ れる.しかし,遊びが変化すれば,条件も変わってくる可能性は十

分に考えられなければならない.

②鉄棒

 低学年,中学年,高学年の場合, 「面接調査」では,児童の求め る条件は「高さ」が得られた.

 この「高さ」をはじめ,各条件について「高利用率の場合」と

「低利用率の場合」を比較すれば,各学年において両者でほぼ同様 である「高さ」は, 「希望条件」を満たしており, 「高利用率の場 合」の「数量」は「低利用率の場合」より多かったが,これら以外 の条件には差はほとんどみられなかった.従って, 「高利用率の場 合」の「数量」が高い利用率につながったと考えられるが,この点

について「遊び方」から考察した.

 「高利用率の場合」と「低利用率の場合」の遊びの違いは「高利 用率の場合」では一般に遊び集団の人数が多く,遊びの種類が多か った.また,前述したように,鉄棒の利用率は他の遊具に比して高 いことが認められた.これらのことを踏まえれば,例えば,眼前で 行われている逆上がり以外に振り跳びを楽しもうとするにしても,

眼前の集団に独占されていれば,ある集団は使えない状態になるこ とは十分予想される.従って,このような場合には,数があればあ る程利用率は高くなると考えられ, 「数量」が多かったために「高 利用率の場合」の利用率は高くなったものと考えられる.その結果,

鉄棒の備えるべき条件は,学年に関係なく, 「数量」や学年別の

「高さ」であろうと推察される.

③ジャングルジム

 低学年児童の求める条件としては「高さ」 「長さ」 「わくの広さ」

であったが,中学年の場合には「長さ」はみられなかった.

 これらをはじめ,他の条件についても「高利用率の場合」と「低 利用率の場合」を比較したが,低,中学年ともにいずれの条件にお いても差はみられなかった.

 他方, 「高利用率の場合」と「低利用率の場合」の遊び(表3−

1, 2, 3)をみれば,低,中学年の場合には,前者で遊び集団の 人数が多く,  ジャングル鬼 等の ごっこ遊び がみられた.前 述のように,ジャングルジムの備えているべき条件には両者間に差 がみられないことからすれば,これら ごっこ遊び の おもしろ さ が条件の不備を凌駕したものと考えざるを得ない。そうすれば,

低,中学年におけるジャングルジムの「高さ」「長さ」 「わくの広 さ」が児童の「希望」に近づけば,さらに利用率は高くなるものと

予想される.

 高学年の場合の求める条件は「高さ」であったが,各条件につい ての「高利用率の場合」と「低利用率の場合」の比較では,差異は ほとんどみられず,ただ, 「わくの広さ」は「高利用率の場合」に 広かった. 「高利用率の場合」の遊びは.  ボール当て鬼   高鬼

等がみられたが,これらの遊びには, 「わくの広さ」が大きく影 響するとは考えられず,そのため,これが高い利用率につながると は考えられない.しかし,これ以外の条件には「高利用率の場合」

と「低利用率の場合」の差異は認められなかった.従って,この場 合も遊びの鱒おもしろさ が条件の不備を凌駕したと考えざるを得 ない.しかし,高学年の望む「高さ」の条件が備われば,さらに遊 びの促進される可能性が期待できるものと考えられる.

④登り棒

 学年にほとんど関係なく,児童の求める条件は「高さ」が得られ

た.

 各条件についての「高利用率の場合」と「低利用率の場合」の比 較では, 「高利用率の場合」の「数量」が多かった以外には,両者 間の差異はみられなかった.これらの結果からすると, 「高利用率 の場合」の「数量」が高い利用率につながったと考えられるが,こ の点についてさらに「遊び方」から考察した.

 「高利用率の場合」と「低利用率の場合」の遊びで異なる点は,

遊び集団の人数や遊びの種類が前者で多く,また,前者ではゲーム 形式がみられることであった.子どもは高いところへ登ることを好 み1 ] t,大きな集団が 登りリレー 等ゲーム形式で遊んだり,ひと つの集団が独占してしまえば他の集団が使用し難い状態になり,

「数量」は主要な条件になると考えられる.従って,児童の求める

「高さ」の他に,登り棒の備えるべき条件は,学年にほとんど関係 なく, 「数量」であろうと推察される.しかし,遊びが変化すれば,

条件も変わってくる可能性は十分に考えられる.

⑤すべり台

 低学年,中学年,高学年いずれも,児童の求める条件は, 「高さ」

が得られた。

 「高利用率の場合」の「高さ」 「数量」 「スロープの数」は「低 利用率の場合」より上回ったが,これら以外の条件には両者間に差 異はほとんど認められなかった.

 「高利用率の場合」の遊びとしては,低学年では,多くの人数に よる すべり台車 等のごっこ遊びが多くみられ,中学年,高学年 ではスリルやスピードを競う競争的な要素がみられた.このような 遊びからみれば,低学年の場合には,大きな集団が滑って逃げると

いう 鬼ごっこ遊び を楽しもうとすれば, 「スロープの数」や

「数量」は主要な条件になると考えられる.また,すべり台は滑り 降りるスリルと快感を味わうという特性があり1 3 ,また「高利用率 の場合」と「低利用率の場合」の「高さ」の差が約1mであったこと からすれば,いずれの学年でも「高さ」が高い利用率につながった

ものと考えられる.従って,すべり台の備えるべき条件は,中,高 学年では「高さ」であり,低学年ではこの「高さ」に「スロープの 数」 「数量」が加わると考えられる.

⑥ぶらんこ

 いずれの学年でも,児童の求める条件としては「高さ」が得られ

た.

 「高利用率の場合」の「高さ」や「数量」は「低利用率の場合」

より上回ったが,これら以外の条件にはほとんど差異はみられなか った.他方, 「高利用率の場合」の遊びは, 「低利用率の場合」に 比べて,遊び集団の人数や遊びの種類の多いことがみられた.前述 のように,このぶらんこの利用率は鉄棒とともに高いことが認めら れた.  とびおり や くつとばし のゲーム的な遊びをしている 集団に独占されてしまうと他の集団は使用したくても使えない状態 になることは十分予想され,数量があればある程利用率は高くなる と考えられる.また,ぶらんこは遊具そのものが動くことによりス リルを味わうことができ,子どもは安定性のないスリル感を味わう ことを好むと言われている1)が,今回の調査でも大きく振って靴を とばしたり,とびおりたりする遊びが多くみられた。このような遊 びの中で,よりスリルを楽しもうとすれば, 「高さ」は主要な条件 になると考えられる.以上のように考えれば,ぶらんこの備えるべ

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