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第1章 固定系通信に関する電気通信事業者の業務の状況等の確認結果

第2節 サービス卸の卸先事業者におけるサービスの提供状況等の確認結果

2 サービス卸の卸先事業者におけるサービスの提供状況等の確認結果等(概要)

MNOを除く各卸先事業者(再卸事業者を含む。)における「競争阻害的な料金の設定等」

への対応及び支配的な電気通信事業者(NTT ドコモ)における「排他的な割引サービス」

及び「関係事業者と一体となって行う排他的な業務」への対応について、サービス卸ガイ ドラインに規定する電気通信事業法上問題となり得る行為は直ちに確認されなかった。

また、「消費者保護の充実等の観点から望ましい行為」への対応について、各卸先事業 者において、一定の取組を行っていることを確認した。

さらに、「サービス提供に当たっての課題等」について、一部の卸先事業者から、NTT東 西における開通工事の日程調整等に関する意見があったが、当該意見に関して、電気通信 事業法上問題となり得る行為は直ちに確認されなかった。

一方、以下のとおり更なる確認・対応を要すると考えられる事項が明らかになった。

(1)MNOが提供する携帯電話とFTTHのセット割引(MNOの「競争阻害的な料金設定等」

への対応)

(2)MNOが行う他社サービスの違約金等を負担するキャッシュバックサービス(MNOの

「競争阻害的な料金設定等」への対応)

(3)NTT東西のサービス卸の提供料金及びNTT西日本の利用者料金(「サービス提供に 当たっての課題等」)

(4)利用者が事業者変更する際にIP電話番号の継続使用を可能とする手法を用いた営 業活動(「サービス提供に当たっての課題等」)

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上記(1)~(4)の事項に係る確認結果及び対応方針は、以下のとおり。

(確認結果等の詳細については、参考5参照。)

【確認結果及び対応方針・対応状況】

確認結果 対応方針・対応状況

(1)MNOが提供する携帯電話とFTTHのセット割引

・MNO 以外の事業者から、MNO が提供する携帯電話 と FTTH のセット割引は割引額が大きく、同じ土 俵で競争することは困難との指摘があった。

・この点、MNOが、自社の携帯電話の利用者に対し、

FTTHのセット提供を行うに当たり、携帯電話料金 又はセット料金の割引サービスを行っているが、

当該セット割引の額を考慮した実質的な FTTH の 料金をみると、適正なコストを下回り、他のFTTH の提供事業者を排除又は弱体化させる競争阻害 的な料金設定となっている可能性がある。

➢ MNOが提供している携帯電話とFTTHのセット割引の適用例

NTTドコモ:ウルトラシェアパック100+ドコモ光(戸建て)

の組合せで▲3,200円/月(1家族当たり)

ソフトバンク:データ定額30GB+ソフトバンク光(戸建て)の

組合せで▲2,000円/月(1回線当たり※1

※1 1家族当たり最大10回線まで適用可

○MNO が提供している携帯電話 とのセット割引については、

サービス卸ガイドラインに規 定する「競争阻害的な料金の 設定等」に該当する可能性が あ る こ と か ら 、 携 帯 電 話 と FTTH 事業の収支の状況や割引 額の設定方法等について、調 査を行う。

(2)MNOが行う他社サービスの違約金等を負担す るキャッシュバックサービス

・MNO が実施する他社サービスからの乗り換えの際 の違約金及び撤去工事費を還元するキャッシュ バックサービスについて、自社サービスに乗り換 える利用者に対し、他社サービスの解約により生 じる違約金や撤去工事費をほぼ全額負担するよ うなサービスは、移動系通信サービスによる利益 を原資として、MNO だからこそ実施できるもので あり、MNO 以外の事業者は、他社からの乗り換え 費用を負担できる状況にはなく、追随できないと の指摘があった。

ヒアリング対象とした14社のうち、同様のキャッシュバックサ ービス※2を行っている事業者は、ISP1社のみであった(他社ISP から乗り換える際の違約金負担)

※2 他社違約金の請求書等の送付を適用条件として、違約金、撤去工事 費又はその両方に相当する額の一部又は全部を還元するキャッシュ バックサービス。

還元額は、NTTドコモが最大3万円、ソフトバンクが最大10万円と なっている(平成29年3月末時点、各社ウェブサイト情報)。

○違約金等を還元するキャッシ ュ バ ッ ク サ ー ビ ス に つ い て は、利用者がサービスを乗り 換える際のスイッチングコス トを低下させる側面もあり、

また、必ずしも他社が対抗で きない営業手法とは認められ ない※3ことから、直ちに問題 がある営業手法とまでは言う こ と が で き な い と 考 え ら れ る。

※3 MNO 以外の卸先事業者においても、1,000 円~40,000 円程度のキャッシュバックサー ビス(事業者や時期(商戦期等)によって変 動。ギフトカードやポイント等で提供する場 合を含む。)を実施していることを確認。

○しかしながら、過度なキャッ シュバック等により、サービス 卸ガイドラインに規定する「競 争阻害的な料金の設定等」に該 当する場合は、電気通信事業法 上問題となり得ることから、引 き続き、料金の適正性等が実質 的に損なわれ、公正な競争環境 が歪められていないか、注視し ていく。

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(3)NTT東西のサービス卸の提供料金及びNTT西 日本の利用者料金

・NTT 東西のサービス卸の提供料金(卸料金)が高 いため、利益を確保して事業を運営することが難 しいとの指摘があった。

・また、割引適用後のNTT西日本の FTTH の利用者 料金(小売料金)が低いため、競争が困難との指摘 が多数の事業者からあった。

➢ NTT西日本が提供している割引サービスの例

「光もっと割」(平成2412月提供開始)

:5,400 円の利用料金が利用期間に応じて割り引かれ、利用期 間が長期になるほど割引額が大きくなるサービス。8年目以 降の利用料金は3,610円となる。

「Web光もっと割」(平成25年5月提供開始(期間限定割引)

:NTT西日本の公式Webサイトから申し込みをした利用者を対

象に、利用開始当初から、5,400円の利用料金を「光もっと 割」における6年目の利用料金水準と同額の3,810円まで割 引くサービス。

○NTT 東西のサービス卸の提供 料金(卸料金)については、サ ービス卸ガイドラインに規定 する「利用者に対する料金よ りも高い料金」とはなってい ない。

○しかしながら、NTT西日本が提 供する割引サービスを適用し た場合の利用者料金(小売料 金)は、利用期間に応じて低廉 となることから、卸料金の水 準に鑑みて、特にNTT西日本か らサービス卸の提供を受けて サービスを提供する事業者の 事業運営に影響を及ぼしてい る可能性も考えられる。この ため、NTT西日本における割引 プランごとの契約状況や割引 額の設定方法等について、調 査を行う。

(4)利用者が事業者変更する際に IP 電話番号の 継続利用を可能とする手法を用いた営業活動

・一部のMNOが、他の卸先事業者のサービスから自 社サービスに移行しようとする利用者の IP 電話 番号の継続利用を可能とする手法※4を用いた営 業活動を行っているところ、当該手法は複雑な手 続を経る必要があり、利用者に負担を生じさせて いるとの指摘や、利用者が他の卸先事業者のサー ビスに変更する際のIP電話※5番号の継続利用が 可能となることが望ましいとの指摘があった。

※4 現在、他の卸先事業者のサービスに変更する際のIP電話番号の継 続利用は実現されていない(FTTH事業者を変更した場合には、新規契 約となり、IP電話の電話番号や顧客IDは変更となる)が、FTTH事業 者を変更する際に、利用者の電話番号がNTT東西の加入電話による発 番である場合は、一旦、電話契約をNTT東西の加入電話に戻した上で FTTH事業者を変更することにより、現状では実現されていないIP 話番号の継続利用が可能となる。

※5 卸先事業者がNTT東西から卸電気通信役務の提供を受けてFTTH 併せて提供するひかり電話(光IP電話)

○左記の手法により自社サービ スへの移行を促す営業活動に ついては、FTTH 事業者の変更 を希望する利用者において、

自分の電話番号を継続利用し たいというニーズに応えるも のであり、当該手法自体が直 ちに問題となるものではない と考えられる。

○一方、卸先事業者が行う左記 の手法は複雑な手続を経る必 要があり、利用者に負担を生 じさせるものであること、ま た、IP 電話番号の継続利用が 可能となることで利用者利便 の向上並びに卸先事業者間の 競 争 の 促 進 に 資 す る こ と か ら、総務省は、平成29年6月 20日、NTT東西も参加する業界 団体の委員会に対し、他の卸 先事業者のサービスに変更す る際のIP電話番号の継続利用 の実現に向けた検討が行われ るよう要請をしたところであ る。

○総務省において、当該要請を 受けた検討状況を注視してい く。

第2章 移動系通信に関する電気通信事業者の