5.
目的のサイズのDNA
断片が挿入されていることを確認するため、プ ラスミドをEcoRI
処理した。Plasmid 5µl 10×H buffer 1µl EcoRI 0.3µl SDW 3.7µl Total 10µl
29
37℃で 30
分間インキュベートした。6. 2%アガロースゲルで電気泳動し、エチジウムブロマイドにより染色し
た。UVを照射し、ゲルを撮影した。
7.
目的のサイズのDNA
断片が挿入されていたクローンを用いて、BigDye Terminator Cycle Sequencing Kit
を用いてシークエンス反応を 行った。Ready Reaction Premix 2µl 5×BigDye Sequencing buffer 4µl T7 or SP6 primer (1.6pmol) 1.6µl Plasmid (80-150ng) 1µl SDW 11.4µl Total 20µl
96℃ 1m
↓ 96℃ 10s
50℃ 5s 25cycles 60℃ 2m
↓ 4℃ ∞
8.
各サンプルに100%エタノール 50µl
と3M
酢酸ナトリウム (pH5.2) 2µl を加え、よく混合し、氷上で5
分静置した。14,500rpmで15
分間遠心 し、上清を除去後、70%
エタノールを200µl
加えた。5
分間遠心し、上 清を除いて、よく乾燥させた。これをHi-Di Formamide
に溶解し、95℃
で
2
分インキュベートし、氷上に静置した。これらのサンプルをABI
PRISM 3130 Genetic Analyzer
にて解析し、塩基配列を決定した。30
3-2)凍結融解受精卵を用いた Platinum TALEN
による遺伝子破壊マウスの作製
基本的に、前述の
eGFP
遺伝子の破壊と同様の手順により、実験を行っ た。TALEN mRNA の合成や受精卵へのマイクロインジェクション、DNA シーケンシングなど重複する部分については、ここでは記載しない。3-2-1)Platinum TALEN
プラスミド作製とSSA
アッセイeGFP Platinum TALEN
プラスミドと同様にbL
またはClec4b1
のPlatinum TALEN
プラスミドを作製した。今回、使用したdestination vector
は、ptCMV-153/47-VR
である。bL
およびClec4b1 Platinum TALEN
の模式図を図10
に示す。SSA
アッセイでは、bLおよびClec4b1 TALEN
の標的配列を含むオリゴ ヌクレオチドを作製し、アニールさせた2
本鎖のオリゴヌクレオチドをそ れぞれpGL4-SSA vector
内のTALEN
標的配列クローニングサイトに組み込んだ。
HEK293T
細胞へのトランスフェクションおよびルシフェラーゼアッセイは、前述と同様の方法で行った。
3-2-2)Ayu8104
マウス受精卵の準備Ayu8104
マウスはbL
外来遺伝子をもつジーントラップマウスである(Imaizumi
et al. 1999)
。このマウスは1
コピーのトラップベクターがゲノ ム中に挿入されていることが確認されており、変異アレルをホモで維持し ても正常に生育し、異常な表現型はみられなかった。そこで、遺伝的背景 をICR
にしたAyu8104
マウスを用いてTALEN
によるbL
遺伝子の破壊を 行った。31
A)交配による受精卵の作製
1. 10
週齢のICR
雌マウスにPMSG
とhCG
を各7.5
単位ずつ48
時間間 隔で腹腔内投与した。2.
過排卵処理を行った雌マウスと個飼いにしたAyu8104
ホモの雄マウ スを交配し、翌日、膣栓が確認できた雌マウスから採卵を行った。3.
採卵した受精卵の半数をPBS
にて150ng/µl
に希釈したbL TALEN mRNA
のインジェクションに使用した(コントロール)。4.
残りの半数は簡易ガラス化法(Nakagata et al. 2013; Nakaoet al. 1997)
により凍結保存した。後日、受精卵を融解し、
150ng/µl
に希釈したbL
TALEN mRNA
のインジェクションに使用した。受精卵の凍結融解は以下の手順により行った。
・受精卵を
1M DMSO
溶液のドロップへ導入後、5µl の1M DMSO
溶 液とともに受精卵を吸引し、クライオチューブへうつす。・受精卵を入れたクライオチューブを0℃で5分間静置し、そこへ予め
0℃に保冷したDAP213 溶液を45µl加え、0℃で5分間静置した。
・クライオチューブをケーンに装着し、液体窒素に浸漬して保存した。
・後日、クライオチューブを液体窒素から取り出し、室温で
30
秒間静置 後、予め37℃に加温した0.25M sucrose 溶液を900µl加え、ピペッティ ング後、胚を溶液とともにdish
へうつし、実体顕微鏡下で胚を回収し た。32
・回収した胚を100µlのKSOM-AAドロップで3回洗浄後、インジェク ションに使用した。
B)体外受精による受精卵の作製
1. 10
週齢のICR
雌マウスにPMSG
とhCG
を各7.5
単位ずつ48
時間間 隔で腹腔内投与した。2. 4
か月齢のAyu8104
ホモ雄マウス2
匹を用いて新鮮精子および凍結融解精子による体外受精を行った。雄の個体差により、体外受精率 や産仔への発生率へ影響がでないよう、頸椎脱臼にて安楽死させた 雄マウス
2
匹から1
つずつ精巣および精巣上体をとりだし、各個体 から採取した2
つの精巣上体尾部を使用して新鮮精子による体外受 精を行った。残り2
つの精巣上体尾部を用いて精子の凍結保存を行 った。新鮮精子の前培養や精子の凍結融解およびその後の前培養手 順は中潟研究室のプロトコールに従い行った(Nakagata et al. 2013)。3. hCG
の投与から16
時間後、雌マウスを頸椎脱臼にて安楽死させ、子宮、卵管、卵巣をとりだした。予め準備した体外受精用 dish の
CARD MEDIUM
ドロップへ、卵管膨大部から卵子塊を導入した。採卵後の
dish
は媒精までの間37℃、5% CO
2インキュベーター内に静 置した。4.
前培養後の精子懸濁液を採卵後のCARD MEDIUM
ドロップへ媒精 した。33
5.
媒精から5-6
時間後、卵をHTF
ドロップで3
回洗浄した。この時、雌性前核と雄性前核が確認された受精卵を簡易ガラス化法により凍 結保存した。
6.
後日、融解し、150ng/µlに希釈したbL TALEN mRNA
のインジェク ションに使用した。3-2-3)C57BL/6N
マウス受精卵の準備1. 8-12
週齢のC57BL/6N
雌マウスにPMSG
とhCG
を各7.5
単位ずつ、5
週齢のC57BL/6N
雌マウスには各々5 単位ずつ、48 時間間隔で腹腔内投与した。
2.
ホルモン投与後の雌マウスを個飼いにしたC57BL/6N
雄マウスと交 配し、翌日、膣栓が確認できた雌マウスから採卵を行った。3.
新鮮受精卵あるいは凍結融解後の受精卵へ、PBSにて150ng/µl
に希 釈したClec4b1 TALEN mRNA
をインジェクションした。3-2-4)変異個体スクリーニングのための解析
HMA
およびRFLP
解析、DNA シーケンシングは前述と同様の手順 にて行った。以下にHMA
のためのゲノミックPCR
について記載する。PCR
反応液の組成については基本的に前述のeGFP
遺伝子のPCR
時と 同様である。34
1. bL TALEN
の標的配列を含むDNA
断片を増幅するためのPCR
をbL –F
とbL-R
プライマーを用いて行った。95℃ 2m
↓
95℃ 30s
66℃ 30s 35cycles 72℃ 20s
↓ 72℃ 5m ↓
4℃ ∞
2. PCR
産物3µl
を3%アガロースゲルで電気泳動し、エチジウムブロマ
イドにより染色した。UV を照射し、ゲルを撮影した。残りの
PCR
産物はRFLP
解析と塩基配列の決定に使用した。RFLP
解析にはHphI
を使用した。3. Clec4b1 TALEN
の標的配列を含むDNA
断片を増幅するためのPCR
をClec4b1–F
とClec4b1–R
プライマーを用いて行った。94℃ 2m
↓
94℃ 30s
59℃ 30s 35cycles 72℃ 20s
↓ 72℃ 5m ↓
4℃ ∞
35
4. PCR
産物を前述と同様に電気泳動した。残りのPCR
産物はRFLP
解 析と塩基配列の決定に使用した。RFLP
解析にはHpy188III
を使用し た。36
第4章 結果
4-1) 新鮮受精卵を用いた Platinum TALEN
による遺伝子破壊マウスの作製 と変異個体スクリーニング法の検討TALEN
によるノックアウトマウス作製と変異個体のスクリーニング法について検討するため、全身で
eGFP
遺伝子を発現しているpCAG-eGFP
マウ スの受精卵を用いてTALEN
によるeGFP
遺伝子の破壊を試みた。 実験の概要を図
2、マイクロインジェクション用装置とその方法を図 3
に示す。本研究では、マウスにおける
Platinum TALEN
の毒性と活性を評価するため、はじめに
TALEN mRNA
の使用濃度の検討、前核内あるいは卵細胞質へのインジェクションによる産仔への発生率や
eGFP
の蛍光消失産仔率について の比較検討を行った。これらの条件検討により、産仔への発生率や産仔の 蛍光消失率が最良であった実験区の産仔を用いて、eGFP
遺伝子が破壊され たマウスの解析法を包括的に検討した。前核内へのインジェクションでは、注入後に前核がわずかに膨らむため、
一定量の注入を確実に行える利点がある。そのため、前核内へのインジェ クションにて、使用する
mRNA
の濃度を検討した。4-1-1) TALEN mRNA
使用濃度の検討(前核内インジェクション)受精卵への
TALEN
インジェクションにより、ノックアウトラット作製に 成功したTesson
らの論文を参考に、10ng/µl
濃度のTALEN mRNA
を受精卵 の前核へ注入し、生存卵を偽妊娠雌マウスへ移植した(Tesson et al. 2011)。 胎生12.5
日に28
胚の蛍光観察を行ったところ、TALEN
を注入していない コントロールの12.5
日胚に比べ、蛍光が弱くなっている胚は観察されたが、37
完全なノックアウト胚、すなわち、蛍光を発しない胚は観察されなかった
(図
4A)
。そのため、10倍濃度(100ng/µl)のTALEN mRNA
を前核内へイ ンジェクションし、偽妊娠雌マウスへ移植した。胎生12.5
日に蛍光観察を 行ったところ、57
胚中2
胚の蛍光消失胚と2
胚の弱蛍光胚が観察された(図4B)
。これらの胚では、DNA シーケンシングにより、塩基の欠失が確認さ れた(図4C)
。そこで、100ng/µl とさらに高濃度にした
150 ng/µl
の2
種類の濃度でTALEN mRNA
を前核内へ注入後、生存卵を偽妊娠雌マウスへ移植し、出産させた。インジェクション後の卵の生存率は
100ng/µl
では92.2 % (130/141)
、150 ng/µl
では90.6 % (116/128)
であった(表1)
。移植後の産仔への発生率 は100ng/µl
では39.2 % (51/130)
、150 ng/µl
では27.6 % (32/116)
であった(表1)。コントロールとして、インジェクションを行わず、受精卵を偽妊娠雌
マウスへ移植した場合、産仔への発生率は38.1 % (8/21)であった(表 1)
。 出産日あるいはその翌日に産仔の蛍光を観察したところ、蛍光が消失し ていた個体は、100ng/µlでは5.9 % (3/51)
、150 ng/µlでは12.5 % (4/32)
で あった(図5A、表 1)
。100ng/µl、150 ng/µlどちらの濃度のTALEN mRNA
を使用したインジェクションにおいても、モザイク状に蛍光を発する個体 も観察された(図5C)
。ヘテロ二重鎖移動度アッセイ(HMA)は各個体のゲノム
DNA
を鋳型として
TALEN
標的配列を含むDNA
断片を増幅するPCR
を行い、電気泳動するだけで変異個体の判定が可能な最も簡便な変異個体スクリーニング法で ある。そのため、上記