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M. Woodward

ドキュメント内 untitled (ページ 97-112)

地域に基づいたプログラムの実施

S.  M. Woodward

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緒 言

 1980 年代中ごろまでに,臨床研究からの有望な結果を報告した多くの出版物ととも に,フッ化物添加ミルクの地域レベルでの利用可能性への関心が増え始めた.しかしそ のプログラムの実施を考慮することは未知であった.すなわち経験したことのない技術 的な課題,特に先例のない形でフッ化物を公衆衛生手段として提案するための避けられ ない政治的な障害に直面していた.大きな進展が 1988 年に訪れた.その年,フッ化物 添加ミルクがブルガリアの都市のプロブディフと隣接した町のアセノフグラードで導入 された(Pakhomov ら,1995).これはブルガリアと世界の他の地域で,さらなる事業 計画を遂行しようとする者にきわめて重要な経験と刺激を与えることとなった.

 1990 年代初期に国際ミルクフロリデーションプログラムが形を成し始め,ロシア連 邦,中国,チリ,イギリスで事業計画が導入された.その後プログラムはペルーとタイ を含み拡大した.ブルガリアと同様にそれぞれの国においてプロジェクトをさらに他の 地区や地域へ拡大するため,証拠を確立することや,モデルを提供するための試験的な 事業計画が試みられた.これは大部分達成されたが,中国においては北京の海淀区での 試験研究が成功したにもかかわらず,今までにミルクフロリデーションは地域レベルで 適用されていない.他の例外はペルーであり,そこではトルヒーヨでの事業計画が地域 のフッ化物状況の変化により中止された.

 国際プログラムの発展により,ミルクが特に水道水や食塩のフロリデーションの導入 が不可能な地域に適したフッ化物の媒体の代用になり得ることが証明された.この章の 目的は事業計画の実施で得られた知識を集積すること,そしてそうすることでこの方法 によるフッ化物投与を考えている人々の手引きを提供することである.

2

ミルク配達システム

 ミルクフロリデーションの実施を成功させるには相当数の不可欠な「要素」がある が,現存するミルク配達システムは疑うことなく大きな因子である.それは実現の可能 性と持続の可能性を決定するときの基本となることが立証されているだけでなく,計画 の補助因子を大きく決定する.

1)ミルクの供給

 多くの国でミルクは,教育システムを通じ組織化されて子どもたちに供給されてい る.したがって,今日まで実施されたミルクフロリデーション計画の大部分が,学校と 幼稚園を通じて確立されたのは偶然ではない.これらの計画ではフッ化物は対象に応じ て供給を管理している.また,学校の職員によって監督されるという利点があり,その ため,特に社会的にはく奪された地域(貧困地域等)の人々を対象とした介入に関連す るいくつかの複雑な問題を回避している.

 またその事業計画は学校の中での口腔保健の問題を強く認識し必要性を受けとめさせ ることで,健康増進に関する活動を全教科科目の中に統合することとなる.この価値は Kwan ら(2005)に認められ,彼らは「学校は健康増進のための重要な環境を提供す る,なぜなら子どもの数は世界で 10 億人以上に達し,彼らを通じて学校関係者や家族 や地域全体(にまでその影響は波及するからである)」と述べている.

 学校でのミルクには最大の可能性があるが,また国の栄養プログラムもフッ化物の供 給媒体となっている.たとえばペルーでは政府が出資する一杯の牛乳プログラムで「母 親クラブ」として知られる地域コミュニティーセンターを通じて新鮮なミルクが配給さ れている.チリでもコデグアという田舎の自治体で国家補完食事プログラム(PNAC)

のもとに試験プロジェクトが実施された.このプログラムでは,地域のコミュニティー ヘルスセンターの栄養士によって 0〜6 歳までの子どもに粉末の乳製品が提供されてい る.これら 2 つの計画の重要な点は,子どもたちによるフッ化物添加ミルクの消費が,

教育システムにおいては典型的な場合で年間 200 日位に制限されるのに対して,毎日,

実質的に年間 365 日,可能にしたことである.

 (1)現存するミルク供給システム

 ミルクプログラムのタイプに関係なく,現存する供給システムが利用できフッ化物を 簡単に源(ミルク)に添加できるところでは,はるかに事業計画が実行可能で継続可能 である.これは単に明らかな費用便益をもたらすだけでなく,比較的簡単に適用できる 論理的管理システムの確立というさらなる利点もある.ミルクとフッ化物の両方の導入 を伴う全く新たな事業計画を実施することは大きな組織の問題を引き起こす.しかし,

ブルガリアとロシアではこれが達成され,多くの都市で地方の権威者がフッ化物添加ミ ルクの供給に対して費用を出すように説得された.全体としてプログラムはよく組み込 まれるようになったが,独立した事業計画の進行は地域の経済状態やさらに一般的には 国の経済に強く依存する.

 既存のミルク配給システムがない場合には特に形成期での事業計画の実行が不確実に なることは疑いの余地がなく,ときには発展の障害になる.それとは対照的に既存のミ ルクプログラムを通じて導入された事業計画はさらに早く進展する.たとえばチリやタ イでは増加率が特に印象的であった.

 チリの計画は,1999 年に Junta Nacional de Auxilio Escolar y Becas(JUNAEB)に よって運営される国家学校食事援助プログラムのもとに国の 9 番目の地域に導入され た.これは農村の学童を目的としたプログラムによって,それ以降さらに 6 地域に導入 されるモデルとなった.同様にタイの全国学校ミルクプログラムは事業計画発展の媒体 となった.最初に 2000 年に 14,000 人の子どもたちに導入され,これが 400,000 人の子 どもへと拡大した.

 (2)制約と実現性

 現存するミルク供給システムの利用はかなり利点があり,事業計画の大部分の実施に 必要である.しかしそのようなプログラムの実施はその制約の中で実施することを意味 する.これは事業計画の範囲を大きく規定し,特に以下に影響する.

地理的な境界

対象とする年齢群,そしてその結果としてのフッ化物添加ミルクの消費される年数 フッ化物添加ミルクが消費される 1 年のうちの日数

対象となる子どもの数

 ミルクプログラムが使われる適用範囲,もっといえばフッ化物による介入がもっとも 必要な地域に届くかどうかが考慮されなければならない.しかしそのようなプログラム はしばしば社会的にはく奪された(貧困等の)地域を対象とし,重要なことにはそのよ うな地域での理解が一般的に高い.

 同様にミルクを供給される子どもの年齢群は,介入する子どもの年齢とその結果とし てフッ化物添加ミルクが消費される期間を決定するために慎重に判断される必要があ る.表 5‑1に示したように,これは 3 歳から 6/7 歳までの子どもに限った幼稚園ベー スの事業計画から,離乳期から 14 歳までの子どもに届けるペルーの広い地域ベースの プログラムまでさまざまである.同じ国の中でも事業計画によって対象となる年齢群が 異なっている.たとえばイギリスではいくつかの地区では,保育所でのみミルクが供給 されるが他の地区では 11 歳の小学生まで延長して供給される.タイではチュムポンと コーンケーンという都市では,国のミルクプログラムに従い 6〜10 歳の子どもにフッ化 物添加ミルクが供給されるが,バンコクでは大都市行政部の政策により学校での無料の ミルクが 4〜12 歳のすべての子どもに供給される年齢がより広い.

 その他の重要な因子は,現存するプログラムでのミルクの供給が年間何日であるかで ある.一般的に学校は年間約 200 日であるので,これが学校でのプログラムの制約であ る.事業計画のこの状況を評価するとき,たとえば,長期欠席のような可能な曝露に影 響するその他の因子を考慮することが重要である.すでに述べたようにチリのコデグア やペルーのトルヒーヨで行われている国の栄養プログラムの利点はミルクが毎日,実質 年間 365 日供給されることである.

 ミルク生産者の観点から事業計画を実行可能にする子どもの数を考慮することは非常

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