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結論

ドキュメント内 untitled (ページ 137-165)

 ミルクフロリデーションの歴史は,今では 50 年以上ある.この間に,フッ化物添加 ミルクに関する実験ならびに臨床で多くの研究報告がなされてきた.そのことは,ミル クフロリデーションがう蝕予防において重要な役割をしていることと,十分に研究され てきた他のフッ化物による予防法と並んでいることを明らかにしている.この世界保健 機関マニュアルはミルクフロリデーションの多くの局面について説明している.そのた め,読者はミルクフロリデーションの科学的な根拠や,どのように実行し評価されるの かに精通することができる.提供された多くの文献は,この研究の聖書であり,より深 く探究したい者がさらに読み込むための貴重な資料となるものである.

 第 1 章では,食品としてのミルクの価値に焦点をあてた.多くの保健衛生当局は,子 どもたちのミルクの供給に助成金を支給している.そして,学校ミルク供給プログラム は,WHO と FAO の支援により多くの国で実施されている.ミルクの世界的消費量は 増加が見込まれ,中でも,いくつかの国では劇的な増加が予測されている.ミルクの口 腔保健への効果(フッ化物添加なしの)は詳細にわたって議論されており,このテーマ に関する文献は豊富である.牛乳はう蝕原生ではないと結論付けられている.約 4%の 砂糖を含んでいるにもかかわらず,ミルク中の他の要素も口腔の健康にとって脅威に なっていないと保証している.実際には,予防の傾向にある.

 第 2 章では,フッ化物添加ミルクの臨床調査の長い歴史を示した.スイス,日本,ア メリカでの初期の研究に続き,スコットランド,ハンガリー,イスラエル,ブルガリ ア,チリ,ロシア,イギリスそして中国において 15 の臨床評価が実施された.8 つの 研究で,乳歯に対するう蝕予防効果が示され,10 の研究で,永久歯のう蝕予防効果が 示されている.2 つの研究では乳歯,永久歯ともに効果を示さなかった.もう 1 つの研 究では,フッ化物添加ミルクの飲用プログラムの中断による影響が調査され,ここでは フッ化物添加ミルクの飲用を中止した子どものう蝕の増加が示された.この時点では成 人に対するフッ化物添加ミルクの効果についての研究は行われていない.

 第 3 章では,フッ化物のミルク添加に関する多くの非臨床的研究についてまとめられ た.実験室から動物実験の研究範囲では, による研究で,歯垢中,唾液そして エナメル質中に蓄積したフッ化物の再石灰化に関する研究に及んだ.この多くの研究に よって,フッ化物添加ミルクの生物学的妥当性が認められた.ミルクの中のフッ化物の 化学性の説明がなされ,同様に,ミルクに添加されたフッ化物の吸収,代謝および排泄 についても示された.

 第 4 章と第 5 章では,ミルクフロリデーションに関する実用面が検討された.第 4 章 では,フッ化物をミルクに添加する機序や,フッ化物添加ミルクの安定性と保管につい てふれた.フッ素化合物はフッ化ナトリウムとモノフルオロリン酸ナトリウム,そし て,ミルクのタイプでは低温殺菌,超高温(瞬間)殺菌,殺菌そして粉ミルクがそれぞ れ検討された.ミルクへのフッ化物利用能と長期安定性は高いと報告された.第 5 章で は,地域でのミルクフロリデーションの実施に関する多くの状況が検討された.既存の ミルク供給システムの存在は,計画の成功と拡大を確実にするのに大変重要であること が示された.この章では,WHO が運営しているブルガリア,チリ,ロシア,タイ,お よびイギリスにおけるミルクフロリデーション計画についての情報を提供した.チリと タイのプログラムの計画は国策決定と良好なミルク供給システムにより,急速に拡大し ていると報告された.ミルク業者,学校,公衆衛生関係当局によってそれぞれ異なった 役割が果たされている状況について定期的に検討された.トレーニングの必要性が強調 された.

 最後の第 6 章と第 7 章では,計画の監視と評価がこの順番で示された.添加ミルクの 品質の監視,そして,ミルク中と尿中フッ化物濃度の確定について詳細に述べられた.

計画の監視の必要性については,第 7 章で強調された.もっとも新しく紹介された公衆 衛生計画は評価されるべきである.計画の評価内容としては臨床的有効性,コストの有 効性,安全性,過程評価などがあげられるが,地域の状況によってそれぞれの必要性は 異なってくる.評価のために可能な形式が検討され,研究計画書の内容が詳細にわたっ て説明された.これらの章で示された情報はさまざまな分野の読者にとって有益であ る.すでに実施しているミルクフロリデーションプログラムに関係している人には,計 画の評価や計画の拡大の可能性に役立つ情報を見つけるであろう.ミルクフロリデー ションプログラムの開始を検討している者には,このマニュアルにある情報がそれぞれ の段階から全実行まで順番に導いてくれるはずである.科学的観点からミルク中のフッ 化物についてさらに研究をしたい者には,人々の口腔保健に関する豊富な情報がみつけ られるであろう.

訳 者:阿部  智(神奈川歯科大学社会歯科学講座歯科医療社会学分野助教)

    荒川 浩久(神奈川歯科大学健康科学講座口腔保健学分野教授)

    瀧口  徹(神奈川歯科大学社会歯科学講座歯科医療社会学分野客員教授)

    平田 幸夫(神奈川歯科大学社会歯科学講座歯科医療社会学分野教授)

    山本 龍生(神奈川歯科大学社会歯科学講座歯科医療社会学分野准教授)

協力者:今村 嘉宣(今村歯科医院院長)

   (敬称略・五十音順)

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乱丁・落丁の際はお取り替えいたします.  印刷・製本/壮光舎印刷

Ⓒ Yukio Hirata, et al. 2011.  Printed in Japan〔検印廃止〕

ISBN978─4─89605─269─5 C3047

監修 平田 幸夫

発行 財団法人 口腔保健協会

  〒 170 0003 東京都豊島区駒込 1 43 9 振替 00130 6 9297 Tel. 03 3947 8301 ㈹   Fax. 03 3947 8073    http://www.kokuhoken.or.jp 2011 年 2 月 10 日 第 1 版・第 1 刷発行

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