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MDCK細胞を用いたワクチンの優位性の検証

ドキュメント内 噌 樋 (ページ 129-132)

4−1 はじめに

 現在世界中で使用されているインフルエンザワクチンは、流行が予測される株と同 じ抗原性を持つウイルス株を用いて作製される。北半球においては、前年のインフル エンザ流行株、前年の7月から8月にかけて南半球で流行した株、世界各国から分離

される最新のウイルス株の解析よりワクチン株がWHOより推奨される。

ほとんどのインフルエンザワクチンはウイルスを発育鶏卵で培養することで、製造さ れる。従って、実際にワクチン株として培養されるウイルスは、卵での増殖性が良い 必要がある。しかし時として、臨床分離株は卵での増殖性が悪い場合がある。そのよ うな場合、卵での増殖性を改善するために、1−IA, NA遺伝子は流行株から、他のinternal genesは卵での増殖性が良いA/PuertoRico/8/34(以下PR−8)株からなるリアソータン

トが使用される1)。

 最近では、リバースジェネティックス(RG)法により簡便にワクチン用ウイルスを作 出することも出来るようになって来たが2)、RG法で作出したウイルスはGenetically Modified Organism(GMO、遺伝子組み換え生物)と解釈する国も多く、ワクチン製造面

での封じ込めの問題から現行の通常期用インフルエンザワクチン製造施設を使用する ことができず、今日通常期のワクチンには応用されていない。一方、PR−8をベースと するリアソ愚心ント株を作製するには期間を要し、更に時として目的とする流行予想 株と抗原性の一致するリアソートメント株がワクチン製造開始時期までに得られない

こともある。

 2003年春に冊0において、2003/2004シーズンの北半球のワクチン株の推奨につい ての議論がされた。その際、H3N2株は、前シーズンに用いられたA/Moscow−like株と は抗原性がずれたA/Fujian−like株の流行の可能性も指摘されたが、最終的には、

A/Moscow−like株が推奨された。

この背景には、A/Fuj ian/411/2002株と同じ抗原性を持ち、且つ卵での増殖性が良い ワクチン株が入手できなかったことが最大の原因である3)。

 不幸にも、2003年冬季から2004年春季にかけて流行したインフルエンザウイルス はH3N2型が主流であり、その多くがA/Fujian−1ikeであった4)。この年は、ワクチン株

と流行株との問にミスマッチがおきてしまった5・ 6)。

 2002年1月前熊本でH3N2型のウイルス(A/Kumamoto/102/2002)が分離され、

A/Fujian/411/2002と同じ抗原性を持つことが確認された。この株はワクチン株とし て期待されたが、卵で継代しても卵での増殖性を上げることが出来なかったため、ワ クチン株候補になり得なかった。その後この株をオリジンとしてリアソータント株が 作製され、A/Fujian−like株が引き続き流行すると予測された2004/2005シーズン用

ワクチンの候補となった。2002年に分離されたこのA/Kumamoto株は丸2年を経てよ うやくワクチン株として使用可能となったと言える。

 現在、MDCK細胞を用いたインフルエンザワクチンの開発を行っている。 MDCK細胞は 卵に比べ、インフルエンザウイルスに対する選択圧が低いため、ワクチン株のリアソ ータント化は必要ないと言われるが7)、実際のワクチン製造用細胞を用いて証明した報 告は少ない。今回、熊本株の臨床検体からの分離株ならびに卵での継代株、およびリ アソータント株を入手することが出来た。本研究では、それらのウイルス株とMDCK細 胞を用いて、発育鶏卵を用いる場合より早く且つ流行予測株にマッチした抗原性を持 つワクチンの供給が可能か検討した。

4−2材料と方法

4−2−1 ウイルスと、ウイルス培養

124

 検討に用いたウイルスはA/Kumamoto/102/2002株4種(A/Kumamoto origina l:2002 0759, MDCK, IG, 15.1.7. A/Kumamoto/102/2002 E3, A/Kumamoto/102/2002 E5.

A/Kumamoto/102/20021VR−135)と、 A/Wybming/3/20031VR−134とA/Wyoming/3/2003

X−147株である。

A/Kumamoto/102/2002の履歴は以下の通りである。概略を図4−1.に示した。

 A/Kumamoto/102/2002株は2002年1月に熊本の保健環境科学研究所に於いて、患者 検体よりMDCK(ATCC CCL−34)細胞で分離された。当初は20020759, MDCK,1G,

15.1.7(以下A/KuM1と略する)と命名された。

 2003年3月6日に同じ患者検体(咽頭ぬぐい液)からのウイルスが紅血研により発 育鶏卵で再分離された。

 分離されたウイルスは、卵で3代継代され同年3月17日にA/Kumamoto/102/2002 E3(以下A/KuE3と略す)として感染研へ送付された。化皿盛では、更に2代、発育鶏 卵で継代し、A/Kumamoto/102/2002 E5(以下A/Ku E5)株を得た。この、 A/Ku E3と E5の発育鶏卵での増殖性はワクチン製造には不十分であった。

 その後、A/Ku E3よりリアソータント化されたA/Kumamoto/102/20021VR−135(以下 A/Ku IVR−135と略す)株が作製され、2004年のワクチン株の候補の一つとなった。

/ AXKu Ml/Ml 一

MDCK−CCL34で最初に分離 2002 0758 MDCK 1G 15.1.7

(A/Ku Ml) 一..

       

   1

        A/Ku Ml/El

患者検体

(咽頭ぬぐい液)

    :     , 発育鶏卵で再分離 AIKu mamoto/102/2002

(A/Ku El)

A/Ku Ml IM2 一 A/Ku Ml IM3

  A/Ku E3/M3

 /

 AIKu E31M2

AIKu E3/Ml

    A/Ku E51M3

   /

  A/Ku E51M2

  /

A/Ku E5/Ml

一 一 一一黶@A/Ku E3 一一 一一一一一一一+ A/Ku E5

1 5N

l xl  A/KuE31E1

:::

N NN

 ss

A/KuE5/E1

 A/Ku IVR−135 E121E2/M3

M

2 E2121

35

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