2.3 Sci-Fi トラッカー試作器の開発
2.3.2 MAPMT とクリアーファイバーの位置合わせ
ビームテストを行うに先立って、MAPMTとクリアーファイバーの位置合わせ を行う必要がある。この接続精度は前述のクロストークの測定で得た100μmの精 度で行う。
Sci-Fiとクリアーファイバーの接続に関しても同様だが、10∼100μmのオーダー で合わせるので、できるだけずれる可能性を減らすため、この位置合わせはビー ムテストの直前に行った。図28に概略図を示す。
この測定も以前の実験と同様、暗箱内で行った。この段階ではクリアーファイ バーは図のように層を形成しているので、LEDをそのまま光らせると全てのファ
図 26: Sci-Fiトラッカー作成時の写真。(上) 2層のファイバー一本一本にテンショ ンを掛けて並べた。(下)並べたファイバーをプレートで固定、接着した。
32×Sci-Fi φ0.3 32×Clear Fiber
5
5
端面ブロック調整ネジ
基準ブロック(SUS304)
A-5 462 1.0mm 5
’02-10-16 1 近 野
Sci-Fi Detector 接続図
図 27: Sci-Fiトラッカー図面。図はSci-Fiとクリアーファイバーの接続部である。
Sci-Fiはフレームで固定する。
イバーに入ってしまい、1番目のファイバーからの光が、本来入るべきMAPMT のチャンネルとは別のチャンネルに入ってしまう恐れがある。この場合、正しく 位置を合わせることができない。また、仮に最大値を得たとしても、例えば1本 分ずれて位置を合わせてしまう可能性がある。
そこでクリアーファイバーの端面を、MAPMTの一番端に来るべきファイバー を除いて全てブラックテープで塞いだ(ただしサポート用ファイバーを除く)。こ れによって、光が放出されるファイバーを1本だけに減らし、目的のMAPMTの 光電面に位置を合わせることが可能となる。図28にこの測定の概略図を示す。
位置を合わせるための微調節は、MAPMTを固定する台座についているネジ(1回
転500μmのピッチ)で調整した。アクリル板は台座に固定しているので、MAPMT
のみ動く。データは、位置合わせ用の微調ネジ90度回転させる毎に取った。90度 回転させるとMAPMTは約130μm進む。これは第4章で求めた、クリアーファイ バーとMAPMTの接続精度が100μmの要請による。
測定では、まず目的の光電面、これを1番目のチャンネルとすると、1∼3チャン ネルのパルスを見て、3番目のチャンネルにはほとんど来ていない(正しく遮光さ れている)ことと、1番目が2番目の波高より高い(最初の位置が1番目のチャンネ ルを過ぎていないか)を確認した後データを取った。
位置合わせは使用する可能性のあるMAPMT全てについて行った。図29はそ の結果である。全てのMAPMTについて横軸に移動距離、縦軸にADCの平均値 を取った。
図 28: 位置合わせの測定方法。クリアーファイバー端面を1チャンネル残してブ ラックテープで塞ぎ、それのみから光が出るようにした。また、アクリル板を台 座に固定し、微調用ネジで位置を調節した。
図 29: あるMAPMTについて、位置によるADCの平均値の変化をプロットした もの。*印が1、白丸が2チャンネル。全てのMAPMTについて最大値になるよう 位置を合わせた。
このデータをもとに、それぞれADC値が最大になるところにMAPMTの位置 を合わせた。なお、合わせた後再測定を行い、再現性を確認した。
3 ビームテスト実験及び結果
われわれは今回作成したトラッカー試作機の性能を評価すべく、高エネルギー 加速器研究機構(KEK)においてビームテスト実験を行った。この章では、実験 の概要及び収集したデータを解析したので、その結果を報告する。