• 検索結果がありません。

Lenovo のバリュー・チェーン分析

ドキュメント内 スマートフォンのバリュー・チェーン分析 (ページ 88-91)

第 6 章 Lenovo のバリュー・チェーン分析

6.3 Lenovo のバリュー・チェーン分析

81

リュー・チェーンへの参入は必ずしも高付加価値の活動(ブランド、ソフトウェア)から 参入するというわけでもない(Bamber,2014,p.7)。

そのような背景で、中国のスマートフォン市場は国内および海外メーカーの参入で、競 争が激しくなっている。それに対応するために、各メーカーがスマートフォンのバリュー・

チェーンを常にアップグレードしている。

Gereffi et al(2010) & Kaplinksy et al(2001)によると、バリュー・チェーンのアップ グレードは、おおむね 4 つの方法があるとされる。①生産プロセスのアップグレード、つ まり、生産システムや生産技術等の向上。②完成品のアップグレード、つまり、新製品の 開発や既存品の改善等のこと。③機能上のアップグレード、たとえば、生産を担う工場が 物流やアカウンティングなどの機能を追加すること、あるいは、既存の機能を放棄するこ と。④チェーンのアップグレード、すなわち、新しいチェーンに移ること、つまり、現在 と違う産業に参入することである。中国のスマートフォンメーカーを見渡せば、前述の 4 つの方法をすべて利用している。そこで、本章での研究対象である Lenovo は具体的にどう いう方法を利用したのかを第 3 節で考察する。

82 デザイン

•レノボ

サプライヤー

•クアルコム

•シャープ

•インテル

•レノボ

組立

•レノボ

ブランド企業

•レノボ

顧客

•消費者

キャリア

•中国移

•中国連 ォンを中心に考察していく153

Lenovo のスマートフォンのバリュー・チェーンを示したのは図 24 である。最初のデザ インから、サプライヤー、組立およびブランド企業まですべての活動を Lenovo に支配され ている。Lenovo のバリュー・チェーンと異なり、アップル社あるいは Xiaomi のバリュー・

チェーンではモノづくりの部分の活動をアウトソーシングしている154。なぜこのような形 になったのか、原因は Lenovo のパソコン事業が数多くの工場および成功したサプライヤ ー・チェーンの管理にあることである。2013 年に、Lenovo のパソコン事業が HP を抜き世 界出荷シェアの 16.9%で世界一のパソコンメーカーになった155。Lenovo のスマートフォン

図 24 Lenovo のスマートフォンのバリュー・チェーン

出所:IHS を参照のうえ、筆者作成。

事業は Lenovo のパソコン事業に大きく影響されている156。現在、Lenovo のスマートフォ ンは3つのブランドに分けて世界に進出している。1 つは Lenovo のスマートフォンであり、

もう 1 つはモトローラであり、3つ目は Zuk である。それに関する議論は第 4 節で行う。

6.3.2 Lenovoのスマートフォンの原価分析

Lenovo のスマートフォンは中国市場での多様なニーズに対応し、幅広く機種を販売して いる。さらに、ブランドを 3 つ(Lenovo のスマートフォン、モトローラおよび Zuk)まで 増やし、多ブランドという戦略で海外にも本格的に進出している。本節では、2012 年にリ

153 2005年、レノボがすでにスマートフォンを研究していた。当時、レノボの研究開発部

門を最大限に統合し、スマートフォンの開発に動きを出した。2006年に「Beacon灯塔」

というプロジェクトができて、本格的にスマートフォンの開発を進めた。しかし、研究 能力および当時の生産技術が遅れていて、さらに2007年iPhoneの誕生によって、結局 失敗という結末に終わってしまった。

154 詳細は程(2015)135頁を参照。

155 Gartner,Jan.9,2014

(http://www.gartner.com/it/products/research/asset_129157_2395.jsp 2015年9月4 日閲覧)参照。

156 本研究では、スマートフォン事業を中心に考察していく。パソコン事業に関しては、

李鸿谷(2015)参照。

83

リースされた LenovoA765e という機種を取り上げ157、具体的に Lenovo のスマートフォンの バリュー・チェーンを考察する。

表 14 が示しているように、Lenovo のスマートフォンの原材料は、中国から調達した部 品が大勢である。しかし、スマートフォンにとって、最も重要な部品であるプロセッサー、

ワイヤレスセクション、コネクティビティはアメリカのサプライヤーから提供されている。

表 14 Lenovo A764e のコア部品の原価

Key component(コア部品) Cost Country of Origin(原産国) Assembly/Enclosure

(組立&梱包)

$6.57 China

Main PCB(メイン PCB) $52.47 China,Korea,USA Display/Touchscreen

(ディスプレイ&タッチスクリーン)

$26.49

China

Camera(カメラ) $8.48 China Others(Box and so on)

(金属ボックスなど)

$12.19 China

Total Cost(トータルコスト) $106.20 Retail Price(販売価格) $180.00 Profit(利益) $73.80 Profit Rate(利益率) 69.49%

注 1:32GB の機種を取り上げた。

2: メイン PCB には、メモリ(韓国)、プロセッサー(アメリカ)、ワイヤレスセクショ ン(アメリカ)、コネクティビティ(アメリカ)、パワーマネージメント(アメリカ)

といった部品がある。

出所:IHS を参照のうえ、筆者作成。

157 レノボのスマートフォンの機種が大勢であり、すべて取り上げるのは困難である。本 論文では、メインの機種の中で、代表的な A764e を取り上げ、レノボのスマートフォン を考察する。また、機種によって、原材料が異なるので、レノボのスマートフォンの原 材料原産国およびコストが必ずしも表 14 と同じであるというわけでもない。例としては、

レノボ K800 のディスプレイとタッチスクリーンを提供しているサプライヤーは日本の シャープである。

84 2.91%

10.68%

86.41%

2000~3000元 1000~2000元 1000元以下

11機種 3機種

89機種

Lenovo はスマートフォンのコスト削減のために、中国製の部品を多く使用している。な ぜなら、中国のスマートフォン市場において、Lenovo のスマートフォンは、ハイエンドで はなく、ローエンドに位置づけられているので、コストの削減に迫られているからである。

ZDC のデータによると158、千元(約 18,762円)159以下の Lenovo のスマートフォンの割合は Lenovo のスマートフォン全機種(合計:103 機種160)の 86.41%を圧倒的に占めている(図 25)。ローエンド機種がメインである Lenovo は優れた生産製造ラインおよび部品調達・物 流をうまく利用し、ハードウェアのコストを最大限に圧縮することを実現し、7 割近くの 高い利益率を維持している。

図 25 Lenovo のスマートフォンの販売価格

注1 モトローラの出荷量が含まらない。

出所:ZDC データを参照のうえ、筆者作成。

ドキュメント内 スマートフォンのバリュー・チェーン分析 (ページ 88-91)