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図表110 石油製品卸売価格変動と原油価格変動転嫁分[日本、2013-2015年]
米国では、原油価格のガソリン、軽油いずれの卸売(スポット)価格への転嫁も、完全転嫁に 近い状況であった。社会が時に期待・想像するような、原油価格変動の石油製品価格へのス トレートな反映という意味においては、日本よりも米国の方が透明性が高いということになる。し かし、スポット価格の実際の価格変動が原油価格変動と近しかったのかという問いに対しては、
PADD Vにおけるガソリンを例外扱いにしたとしても、必ずしもそうであったとは言い切れない。
図表111 石油製品スポット価格変動と原油価格変動転嫁分[米国、2013-2015年]
ところで、本「石油製品需給適正化調査(石油製品価格モニタリング事業(石油製品の価格 形成及び取引実態と石油産業の収益構造に関する調査))」の仕様書には、以下のような記 載がある。
60 77
65 67 78
64 66 76
56 62
-89 -106 -96 -69
-104 -88 -57
-112 -94 -58
27 37 39 42 28 32 42 35 24
-99 -99 -83 -97 -108 -72 -87 -98 -70
-150 -100 -50 0 50 100
RIM 海上
RIM 陸上
仕切 RIM 海上
RIM 陸上
仕切 RIM 海上
RIM 陸上
仕切
原油 ガソリン 軽油 灯油
下落分累積¥/L上昇分累積
実績
うち 原油価格 転嫁分
2.6
3.6 4.2
3.3 2.9 3.5
-3.9
-5.2 -5.7 -5.3 -4.9
-5.4
2.9 2.5 3.0 2.3 2.3 2.9
-3.9 -3.9
-5.7 -4.2 -4.2 -4.0
-6 -4 -2 0 2 4 6
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...2014年7月頃から2015年1月頃にかけて、また、2015年7月以降の原油価格の下 落時において、石油製品のスポット市況は石油元売の仕切価格よりも早いスピードで 下落したことから系列販売店の小売価格にも影響が及び、石油元売各社は事後的な 仕切価格の調整を行わざるを得なくなった。他方で、こうした事後調整や系列販売店 への仕切価格の決定方式には不透明さが伴い、...
しかしながら、原油価格の各種転嫁関係の分析結果から浮かび上がるのは、「不透明さ」を 醸成したのは、スポット価格が結果として仕切価格よりも速いスピードで下落したのもさることな がら、仕切価格が見せた他の価格より顕著な下方硬直性とその結果の上振れではないかと いうことである。それは、石油元売各社が採算改善を図ったことの表れであるとも言える。とも あれ、そうであれば、上記の文は例えば以下の方が、より実情を反映したものになるのではな かろうか。
...2014年7月頃から2015年1月頃にかけて、また、2015年7月以降の原油価格の下 落時において、石油元売の仕切価格は原油価格ほどは下落しなかった一方で石油製 品のスポット市況は原油価格より大きく下落したことから系列販売店の小売価格にも影 響が及び、石油元売各社は事後的な仕切価格の調整を行わざるを得なくなった。他 方で、こうした事後調整や系列販売店への仕切価格の決定方式には不透明さが伴 い、...
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Ⅵ.透明性の高い価格指標を確立する為の方策
Ⅵ1.日本の価格指標の現状
図表 112 各価格指標の評価点と問題点
評価点 問題点
【陸上RIM】
元売会社 ・認知度が高く、現状、指標価格の中心になっている ・スポットマーケット(業転玉)であり、系列を対象にしていない
・カバーする油種、範囲が広い ・社名、取引数量、ヒアリング数が不明であり、根拠が不明確
・どの流通段階での価格なのか、不明確
・現時点(2016年3月)でIOSCO審査基準が満たされていない
・理屈上有り得ない海陸価格の逆転が見られることがある 中間(商社等)及び ・認知度が高く、現状、指標価格の中心になっている ・価格の根拠が不明確
小売事業者等 ・(コストを考慮せずに良い立場から)実勢の価格である ・(小規模の小売事業者が)実際に購入できる価格ではない
・元売が仕切調整(事後調整)を行う際の指標となっている
【海上RIM】
元売会社 ・需要家の認知度が高い ・陸上RIMと連動しない
・陸上よりも元売りの動向に反応する(需給を反映) ・海陸価格の逆転が見られることがある
・TOCOMとの連動性が見られる
中間(商社等)及び ・輸入、販売時の指標として活用 元売りの市中買いの影響を受けやすい
小売事業者等 ・陸上RIMと連動しない
・SS事業者とは直接関係がない価格である
【TOCOM】
元売会社 ・公設市場であり、透明性に問題はない ・当業者の参加が少なく、流動性は高くない
・主要油種を取り扱っている ・ビッドとオファが同一方向を向く場合が多い
・期近物と現物の取引価格との間に大きな乖離がみられる
・期近取引に比べて期先取引が圧倒的に多い 中間(商社等)及び
小売事業者等 ・認知度が高く、(以前は)指標価格の一部になっていた ・当業者の参加が少なく、流動性が高くない
・公設市場であり、透明性に問題はない ・現物受渡しの自由度が制限される(元売系のタンクが多い)
その他投資家 ・純粋なデリバティブではないため、現物受渡の制限がある
・円建てであり海外マーケットとの連携が取りにくい(投資家)
【MOPS】
元売会社 ・現物取引の参考指標として活用 ・TOCOM,RIMよりも需要家の認知度が低い
・IOSCOの審査を取得しており、公正さをもつ ・国内需給の反映をしていない
・別途、フレートの反映が必要 中間(商社等)及び ・輸入時の参考指標として活用 ・国内取引で使用されるケースは少ない 小売事業者等
【JOX】 ・参加している当業者33社の現物取引に限定される ・取引量が多くない
元売・大手商社等 ・需要家の認知度が低い
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前述したとおり、多数の石油元売り各社は事後調整が前提であった 2008 年以前の値決め 方式から脱却し、市場連動による新仕切価格方体系を導入、事後調整撤廃による価格の完 全決着定着に移行していった。市場連動方式はその後、世界的不況による石油製品の需要 減退、あるいはアラブの春以降の原油高騰の中で、原油コストと価格指標の乖離が大きくなり、
元売りの収益を悪化させていった。元売りはベースとする指標を変更や販売コストの見直しを 重ね、現在ではより原油コストを概ね反映する方式に切り替えている。
図表 112 に見るとおり、各価格指標には評価点がある反面、問題点も少なくなく、元売側 の大前提である原油コストがある程度反映できること、すなわち、原油との連動性が高い指標 は既存の価格指標の中には見当たらない。
一方、全石連が実施した販売事業者(組合員)向けの理想的な価格指標のアンケートにお いて、「原油 CIF 連動」、「原油卸指標連動」、「小売市況連動」、あるいは「新仕切体系以前 の月決方式を望む」等、幅広く多様な回答結果が出されており、万人が納得する価格指標を 絞り込むことの困難さが伺える。
今回の調査で明らかになった日欧の環境の大きな違いとして、メジャー(日本では元売)の 小売事業に対する関与の差、すなわち、日本においてはシェアの確保や効率の追求のために 製油所から SS までのサプライチェーンが系列ごとに確立されており、この維持のために必要な コスト(販売関連コスト)が発生せざるを得ないこと、そして長期間にわたる特約店契約が継続 していった結果、特約店には収益が悪化(特に業転格差に起因した場合)した際には元売に 補填を求め、元売もまた応じるといった日本独自の慣習が自然と出来あがっていった。
それに対し、米国では分離法による制限などもあり、また欧州では、コストと手間が発生する 小売事業の充実を求めるより、まずは製油所で生産した製品を完全に売り切ってしまうことが 優先されており、この差が小売市場においてシェア獲得を図る目的で一体化している日本と 欧米の大きな認識の違いだと思われる。本来は、販売が完了しているにも関わらず、遡及を する“事後調整”のシステムは今回、欧州のヒアリング先には理解し難いようであった。
また、日本では誤解が多いものと思われるが、欧米で使われる「Platts リンク」、「Argus リン ク」について、それぞれの絶対値がそのままリンクしていくわけではなく、ベースの部分の
「Platts」、「Argus」価格にそれぞれ「プレミアム」部分が付帯しており、この「プレミアム」は取引 条件その他個々の取り決めで決定している。従って日本の場合に当てはめると「RIM 価格」+
「プレミアム」となり単一な「価格指標」ではないということとなる。その取引価格情報提供につ いても、欧州が積極的に提供を行い、自ら指標形成を望んでいることに対して、日本では問わ れればやむなく答えるが、出来れば自社の取引内容は隠匿しておきたい、さりとて他社情報に は関心が高い、といった傾向が見られるものと思われる。
現在の「RIM 価格」はいまだに欧米の価格調査会社ほどには IOSCO 監査に対応しておらず、
利用者にすれば情報(取引実態)の公開も不充分との不満も強い。そもそも RIM は 2 割程度