(1)実用化・事業化に向けた戦略
自動車向け複合材料に関しては実用化・事業化計画は特になし。
本プログラムで開発した技術のうち、可能なものについては航空エンジンに展開す ることを想定している。
(2)市場動向と売上損益見通し(市場規模・成長性、経済効果)
民間航空機は全世界でおよそ 20,000 機運航されており、今後も年間 5%の増加が予 想されている。
近年は軽量化・高性能化のために複合材の適用が進んでおり、航空機向け複合材の 市場も拡大すると考えられる。
(3)実用化・事業化に向けた具体的取り組み(実施体制、計画、マイルストーン)
2025 年ごろに実用化を想定している次世代航空機エンジンへの適用を検討している。
(4)実用化・事業化に向けた課題と解決方針
自動車向け技術を航空機向けに適用する場合は、航空機の品質保証への対応が追加 で必要となる。
(5)実用化・事業化の見通し(市場ニーズ、ユーザーニーズ)
自動車向け技術はコスト競争力に優れているため、航空機分野に適用された場合は 大きく展開することを期待している。
(6)競合する技術・事業との比較(性能面、コスト面での優位性)
航空機向け複合材料技術は、自動車向けよりも実績があり、品質保証のための技術 も確立しているが、製造コストの観点で課題があり、自動車向け複合材料技術が優位 と考えられる。
(7)波及効果(技術的・経済的・社会的効果、人材育成等)
弊社は世界に先駆けて航空機エンジン用の熱可塑ファン構造案内翼を開発・実用化
Ⅳ-2.6-38
するなど、熱可塑性複合材料の優れた生産性に着目して、熱可塑性複合材料分野の技 術開発を 20 年以上にわたり独自で進めてきた。但し航空機向けでは熱可塑性複合材 は熱硬化性複合材料と比較して素材・成形方法・設備のいずれの分野においても産業 としての規模が小さく、結果として技術シーズの数も少なく、継続的に技術開発して いく上での課題となっている。
一方、現在は航空機向けの需要が複合材料の技術開発動向をリードしているが、今 後は航空機以上に低コストが要求される自動車向けの分野において、熱可塑性の低コ スト材料・低コスト成形法が発展すると予想される。自動車向け熱可塑複合材料は量 産適用事例が少ないという実用化に向けた課題があるが、この点では弊社の培った航 空機向け複合材料技術、特に評価技術を応用することで本事業に貢献できる。
以上より、今後の熱可塑性複合材料の発展においては自動車向け航空機向けなどの 適用用途を越えた協力が非常に効果的と考えられる。弊社としては本事業を通じて、
自動車向け熱可塑性複合材料の開発に参加することで、航空機向けにも適用可能な技 術・企業に関する知見を多く得ることができ、今後の航空機向けの熱可塑性複合材料 開発において大きな相乗効果・波及効果が得られると期待している。
Ⅳ-2.7-1 2.7「接合技術開発」
[テーマ番号 01] アルミニウム/CFRP接合技術の開発
[テーマ番号 02] 残留γ相制御中高炭素鋼板の接合技術の開発
[テーマ番号 03] 中高炭素鋼の革新的接合技術の開発
[テーマ番号 04] 中高炭素鋼板のPHMによる実用FSW 技術の開発
[テーマ番号 05] アルミニウム/異種材料の点接合技術
[テーマ番号 06] 中高炭素鋼/中高炭素鋼のフリクションスポット接合技術の開発
[テーマ番号 07] 鋼材/CFRP等樹脂材料の接合技術開発
[テーマ番号 08] 難接合性材料の線接合技術の開発
[テーマ番号 09] 水和物架橋低温接合技術の開発
[テーマ番号 46] 中高炭素鋼/中高炭素鋼の摩擦接合共通基盤研究
[テーマ番号 53] 構造材料用接着技術の開発
2.7.1 テーマ全体の取り組み及び見通し
(1)実用化・事業化に向けた戦略
本プロジェクトで開発する革新的構造材料(鉄鋼、アルミニウム、マグネシウム、
チタン、CFRP)によ る同種・異種材料 接合 技術を確立するた め、 被接合材料に適 し
た新規接合方法の開発とその有効性の検証を進める。実用化に際しては、本技術開発 成果の主な適用先である輸送機器メーカー、特に自動車メーカーなどとの連携の下、
実用化の具体的な指標を明確にし、生産ラインへの適合性等も考慮しつつ実部材への 適用検討を推進する。
(2)市場動向と売上損益見通し(市場規模・成長性、経済効果)
自動車需要は今後もアジアなどの新興国中心に拡大することが予想され、さらに環 境問題に起因する更なる燃費向上(CO2排出量の低減)の必要性や今後の HV・EV 車 の台頭による搭載機器の重量増に伴う車体の軽量化へのニーズは、今後ますます高ま るものと予想される。車体の軽量化に対しては、鉄鋼材料の高強度化および構造部材 へ適材適所に各種材料を配置したマルチマテリアル化が拡大するものと予測され、そ れに伴い、超高張力鋼板同士の接合や CFRP と鋼板やアルミとの接合等従来にない新 しい接合技術が必要不可欠となる。本技術開発は、上記のように新たな材料の適用に 際して必須な技術であり、新規構造材料の開発と同様に市場規模の拡大・成長が見込 まれる。また、本技術開発は、新たな接合技術の開発に止まらず、ロボット等装置開 発やそれを構成する部品開発に展開され、市場拡大による経済効果は大きい。
(3)実用化・事業化に向けた具体的取り組み(実施体制、計画、マイルストーン)
実用化に向けては、要素技術開発、実部品を想定した適用化開発、実用化開発とス テージを設けて取組む。要素技術開発では、適用候補技術についてそれぞれのポテン シャル分析を進め、適用技術の可能性検証と絞込みを行う。適用化開発では、実部材 を想定したモデル部材を試作・評価し性能検証を行い、課題の抽出を進める。実用化
Ⅳ-2.7-2
開発では、実用化に向けた課題の解決を行う。適用化開発以降は、自動車メーカー、
装置メーカー、部品メーカー等との協調体制を構築し、ニーズ・シーズ情報や検討課 題の情報共有を密に行い効率的な研究開発を進める。
(4)実用化・事業化に向けた課題と解決方針
新規接合技術の開発と並行して、接合部の信頼性評価(評価技術も含む)、構造体 としての品質/性能等の評価技術の確立が必要不可欠であり、且つ相互の情報が円滑に フィードバックされる研究開発体制の構築が必須である。現状プロジェクトで運用し ている技術分科会の活用等に止まらず、新たな研究開発体制作りを進めていく。
(5)実用化・事業化の見通し(市場ニーズ、ユーザーニーズ)
今後、鉄鋼材料の高強度化および車体軽量化に向けたマルチマテリアル化はかなり 加速されると予測され、素材開発だけでなくそれに対応した新規接合技術も装置化も 含めて大きな市場ニーズが予想される。マルチマテリアル化に際しては、軽量化のみ ならず、ユーザーニーズにおいて付加価値となり得る機能の付加も考慮した開発を指 向することでさらなる適用拡大が期待できる。一方、自動車用途における高張力鋼板 のニーズは、軽量化ニーズと相まって増大しており、中高炭素ハイテン鋼板自体の開 発とともに、優れた継手特性が得られ信頼性の高い接合技術が求められる。
(6)競合する技術・事業との比較(性能面、コスト面での優位性)
プロジェクトで開発している新規構造材料(超高強度鋼板、高強度アルミニウム、
難燃性高強度マグネシウム、熱可塑性 CFRP 等)では、同種・異種材料の接合に関し てその殆どが、継手強度確保およびコスト面から従来技術をそのままで適用するのは 困難である。各種被接合材料において、新規材料との適合性、継手強度の確保(信頼 性を含む)、生産ラインへの適合性、コスト等に関するベンチマーキングを行い、性 能面、コスト面で優位な技術を選択し適用化を進める。
(7)波及効果(技術的・経済的・社会的効果、人材育成等)
本技術開発は、素材産業の活性化はもとより各種輸送機器(自動車、航空機、鉄道 車両、船舶等)の軽量化による CO2 削減や省電力化に貢献できるだけではなく、家 電・重電分野やインフラ分野等他産業へ展開可能であり、技術的・経済的波及効果は 極めて大きい。また、本技術開発を通して異業種企業、アカデミア等との間で多様な 人材交流が可能であり、特に若手技術者や学生等の技術開発力向上等人材育成上非常 に有意義である。さらに、接合技術開発では大阪大学を中心に基礎研究が精力的に行 われており、最先端の研究を通じて材料工学分野の人材育成に貢献している。
2.7.2 各社の取り組み及び見通し
2.7.2.1 東レ(伊予分室)
(1)実用化・事業化に向けた戦略
まずは熱可塑 CFRP および熱硬化 CFRP に対して FLJ プロセスのポテンシャルを見