(1)実用化・事業化に向けた戦略
船舶上部構造は桁構造、柱構造、パネル構造が主な構造要素となる。これまでの研 究によって桁構造と柱構造の基本的な設計思想とその妥当性の確認は完了した。次の 段階として桁構造と皮板によって構成するパネル構造の開発を行う。構造要素(桁、
柱、パネル)の開発に目途をつけた段階で、実用化・事業化に必要となる認証取得を 検討する。
(2)市場動向と売上損益見通し(市場規模・成長性、経済効果)
コンテナ船は大型化が進んでおり船体強度維持の観点から重要構造部際の厚板化が不 可 欠 と な る 。 こ の た め 船 体 重 量 の 増 加 お よ び そ れ に 伴 う 燃 料 消 費 量 の 増 加 が 課 題 と なっている。上部構造複合部材化による軽量化は、燃費向上、船体性能向上によりこ れらの課題を改善するものであり、国際競争力強化が期待できる。大きな経済効果を 有すると考えられる。
(3)実用化・事業化に向けた具体的取り組み(実施体制、計画、マイルストーン)
・船舶上部構造小物部材への適用:
~H29年度:構造要素レベルでの性能検証完了
H30年度~:船級を交えた実用化検討開始
H31年度~:部分適用→実用化
・ドアパネル、デッキ等への適用:
~H30年度:構造部材での性能検証完了
H31年度~:船級を交えた実用化検討開始
H33年度~:部分適用→実用化
・上部構造への適用:
~H33年度:大型構造部材での性能検証完了
H34年度~:船級を交えた実用化検討開始
H36年度~:モックアップ部分適用→実用化
(4)実用化・事業化に向けた課題と解決方針
・新構造に対する船級承認取得:
開発の後半段階から船級協会と協議しながら進めることで、理解を得る。
・製作コストの低減:
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鋼板の製造・加工コストと比較して、CFRP の製造・加工コストは現状では非常 に高く、また大型化における課題もある。この点に関しては、必要とされる CFRP の性能を維持しつつ選択が可能な繊維、樹脂および成形方法も含めて検討を行うと 共に、船舶の燃費低減から得られるライフサイクルコストも含めたトータルのコス トで評価してもらう。
(5)実用化・事業化の見通し(市場ニーズ、ユーザーニーズ)
本研究開発にて開発した異種材料複合構造部材は、例えば船舶の上部構造に適用 することで重量低減が可能であり、それにより燃費向上のみならず低重心化、振動 の低減などの性能向上見込まれる。燃費向上による燃料費削減の効果は大きく、船 舶 の ラ イ フ サ イ ク ル コ ス ト を 考 え る と 、CFRP適 用 に よ る コ ス ト ア ッ プ を あ る 程 度 回 収 す る こ と が 可 能 と 考 え ら れ る 。 ま た 、CO2排 出 量 の 削 減 は 国 際 海 事 機 関 (IM O)の 新設計 基準 にお いて新造 船に おける 段 階的な削 減が 義務付 け られてお り、本 技術の適用によりこの点も達成できると考えられる。
(6)競合する技術・事業との比較(性能面、コスト面での優位性)
競合技術として鋼板のさらなる高強度化による軽量化がある。しかし現時点では、
耐食性と強度、じん性を両立が難しい。
(7)波及効果(技術的・経済的・社会的効果、人材育成等)
構造 複 合 化に よ る 部材 の軽 量 化 、構 造 最 適化 技術 は 輸 送機 器 の みな らず 、 海 洋構 造 物 、 橋 梁 部 材 等 、 イ ン フ ラ 分 野 に お い て も 利 用 価 値 が 高 く 、 波 及 効 果 は 大 き い と 考えられる。
2.7.2.11日立パワーソリューションズ(日立分室会瀬)
(1)実用化・事業化に向けた戦略
今回のプロジェクトにおける開発 FSW 装置をベースに、自動車分野を中心とした 接合ニーズの更なる深耕を継続するとともに、開発技術を応用した FSW 装置の高付 加価値化による接合品質向上を図り、実用化を見据えた小型・軽量・低価格化をめざ して行く。さらには、将来的に接合条件やツール条件を計測、データベース化して、
高効率生産システム製品としてソリューションビジネスへの展開を目指して行く。
(2)市場動向と売上損益見通し(市場規模・成長性、経済効果)
米国の民間調査機関による調査によると、FSW 装置の世界市場は、自動車産業、航 空宇宙分野を中心として、2015年約 1300 億円に対し、2020 年には約 2000 億円と 1.5 倍の伸びを示すと予測している。
中でも自動車の燃費向上や CO2削減による耐環境性の向上には、重量の低減が必須 の条件となる。現在でも自動車メーカ、部品メーカにおいては部品のアルミ化、高張 力鋼板化、一部部品の樹脂化が進展しており、それら材料接合のための FSW 装置の ニーズは今回のプロジェクト推進によりさらに加速されるものと予想され、FSW 装置
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あるいは接合システムのニーズは飛躍的に拡大していくものと推測する。
これら地球環境への影響改善は、日本国内のみにとどまらず全世界的な改革として 進展するため、FSW 装置拡販の舞台も欧米をはじめ、中国、東南アジアとグローバル に展開して行くものと予測する。
(3)実用化・事業化に向けた具体的取り組み(実施体制、計画、マイルストーン)
今回のプロジェクトを通して日立分室としてチタン合金、高張力鋼板用ツール開発 を行なっており、高炭素鋼用ツールとして供給を開始している。今後もプロジェクト 参加の日立グループフォーメーションを強化してツールの長寿命化、低価格化を目指 し、技術開発を推進していく。
さらに、難接合材としての異種金属接合、金属と樹脂接合、アルミ・マグネシウム 等の低融点金属接合までも視野に入れ、平成 29 年度以降は、生産効率向上と接合品 質向上を目的とした高機能・高剛性 FSW ロボットシステムの構築に力を入れて行きた い。
(4)実用化・事業化に向けた課題と解決方針
現状のロボット FSW 装置においては、6自由度以上の多関節構造であるため、剛性 不足による接合品質の低下が懸念される。このため FSW 専用ロボットの開発までも 含めた高品質 FSW 接合を達成するロボットFSW 装置開発が必要となる。
合わせて、従来型のマシニングタイプの FSW 装置においても、研究用途の高機能 汎用装置の開発と、量産システムに対応した自動化、インライン化対応専用 FSW 装 置の開発も並行して推進して行く必要がある。
固相接合の為の高剛性化と、生産性のための小型化軽量化と、相反する機能を満足 し、かつ高品質な FSW 接合の実現の為、接合部温度計測による接合温度自動制御技 術等の、高機能接合技術の実製品適用レベルへの展開を行なって行くことが必要であ る。
(5)実用化・事業化の見通し(市場ニーズ、ユーザーニーズ)
2015 年度の世界の自動車産業におけるロボット使用台数は約 10 万台であり、1 万 台/年以上の使用数増加を示しており、溶接用途には約 28%が使用されている。
一方アルミ化の伸びは 5%/年以上の伸び率を示しており、溶接用途ロボットの 5%
以上が FSW 用に置き換わるとして、2020 年には年間 1000~2000 台/年以上の FSW ロ ボットの需要があるものと考えられる。
以上の予測はアルミ化の進展を前提とした予測であり、高張力鋼板化、異材接合の 進展を考えるとさらに大幅な需要の増加が期待できる。
プロジェクトのテーマとして FSW 装置を対象製品別に区分けし、高剛性高機能ロ ボット化、マシニングタイプ FSW 装置の専用機化、インライン化を推進することに より、自動車産業を中心とした自動化対応高品質接合ニーズに対応した装置実現が可 能となる。
また、接合部温度計測による接合温度自動制御技術等を、FSW 装置へ機能付加する
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ことにより、特にこれから増加していくことが予想される異種材料接合や、高張力鋼 板接合を高品質に実現することが可能となる。
(6)競合する技術・事業との比較(性能面、コスト面での優位性)
FSW 接合の温度管理技術として、レーザー加熱、誘導加熱等のハイブリッド FSW 接合技術が知られているが、従来方式では一定温度に加熱を行なう方式であり、リア ルタイムの温度制御は行っていない。これに対し、本プロジェクトで推進している接 合温度自動制御技術等の技術は、高品質 FSW 接合の実現、接合品質の安定化を図る ためには有効な制御方法となると考える。
(7)波及効果(技術的・経済的・社会的効果、人材育成等)
アルミ化、高張力鋼板化、さらにはマルチマテリアル化の拡大により、特に軽量 化を推進する自動車分野を中心に接合法の一つとして優れた特長を持つ FSW 接合法 の採用が進展することにより、従来接合が困難であった難接合材の接合が容易となり、
製品のトータルコスト低減を図るとともに、ガソリン消費量や CO2排出量の削減が可 能となって、対象製品の耐環境性向上を図ることができる。
また、本プロジェクトに参画することにより、研究者を通じた最先端技術の吸収によ り、グローバル化するための技術者総合技術レベルの向上を図ることができる。
2.7.2.12日立製作所(日立分室大みか)
(1)実用化・事業化に向けた戦略
本プロジェクトで得られたチタン合金やハイテン鋼の知見をベースに、社内および グループ会社を中心に溶接部材のニーズ調査をする。その中から FSW の適用が有効 と判断される部材に対して、試作と評価を実施する。これにより、チタンまたはその 他の高融点材料の FSWの有用性を実証して、事業化の突破口を切り開く。
(2)市場動向と売上損益見通し(市場規模・成長性、経済効果)
開発技術である FSW の直接的な事業は FSW 装置および FSW ツールとなる。FSW は製造技術の一つである、溶接・接合技術となるが、アーク溶接やレーザ溶接等が競 合技術となる。事業規模の定量的な予測は難しいが、FSW 装置の価格を勘案すると、
レーザ溶接装置の市場規模が参考になると考えている。FSW 関連の市場は今後成長す ると見込んでいるが、市場規模よりも製造技術革新による、従来は作れなかった製品 が製造可能となり、これに伴う経済効果が期待できる。
(3)実用化・事業化に向けた具体的取り組み(実施体制、計画、マイルストーン)
日立分室の開発内容を大別すると、FSW 装置、FSW ツール、接合技術の三つとな る。FSW 装置、FSW ツールは独立して事業可能であり、それぞれの営業チャネルを 活用して、事業化に向けた活動を既に開始している。事業は独立していても、顧客は 共通している場合も少なくないことが判ってきたため、顧客のニーズに従い、技術的 な相談をする相手を日立分室内で相互に調整する体制も整っている。今後は実用化す