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IDTSAW 素子 表面

ドキュメント内 修士論文 (ページ 51-65)

第 5 章 SAW 素子先端形状の工夫

(2) 振動振幅分布

各素子のレイリー波の伝搬方向に対する垂直方向の振動変位振幅と印加電圧との位 相差の関係を LDV により測定した。各素子ともに図 5-11 中のy 軸、u 軸に関して 測定した。測定結果を図 5-12 に示す。

y u

IDT

第 5 章 SAW 素子先端形状の工夫

 

 

 

0 0.5 1.0 1.5 2.0

0 30 20 10

振動振幅A[mn]

0 -180

180

位相差

θ

[°]

A

θ

(c) 素子 E u

   

 

0 0.5 1.0 1.5 2.0

0 30 20 10

振動振幅A[mn]

0 -180

180

位相差

θ

[°]

θ

A

(d) 素子 F u

表 5-12 (2) 素子 E、素子 F の諸特性

図 5-12 (1) (a)、(b) より、進行波成分とともに定在波成分が存在することがわかる。

これは、素子端面における波の反射の影響であると考えられる。また、各素子におい て位相差が 180° となっている。しかし、後で述べる通り、2 つの入力電圧の位相 差を 0°にしたときが最も霧化量が得られた。したがって、素子自体の位相差も 0° であると考えられ、この測定結果は、測定の始点がずれてしまっていて、2 枚の素子 の測定位置にずれが生じてしまっていると考えられる。ゆえに、この 2 枚の素子も他 の霧化器に用いた素子同様、各素子において位相差はなく、さらに振動振幅分布の山 と谷の現れる位置が、先端からほぼ同じ位置であるということがいえると考えられる。

図 5-12 (2) (c)、(d) に関して、霧化器 Wedge に用いた素子同様、素子先端部では 振動振幅が減少した。このことについても今後検討が必要である。

第 5 章 SAW 素子先端形状の工夫

5-2-3 霧化特性

「霧化器 Wedge2」の霧化特性について測定した。ここでの測定条件は、各素子共

に、駆動周波数 9.74 MHz、バースト繰り返し周波数 1 kHz、波数 1000 とし、素子 間隔は最も霧化量の得られた 1.40 mm とした。霧化させる液体には水道水を用いた。

また、液体が素子先端裏側に流れるのを防ぐため、先端部の裏側にグリスを塗って 撥水性をもたせた。このことにより、素子裏側に液体が流れるのを防ぐことができる。

グリスについては、前述したように振動には影響を与えないと考えられる。

(1) 霧化量

供給電力と霧化量の関係を図 5-13 に示す。

これまでに検討してきた「霧化器 Normal」「霧化器 Wedge」においては、2 枚 の素子の振動が対称に振動しているとき、より多くの霧化量が得られた。このことか ら、「霧化器 Wedge2」においても同様の結果が予想される。そこで、本霧化器にお いては、2 枚の素子の振動の位相差を変化させたときの霧化量を測定し、位相差と霧 化量の関係を測定した。結果を図 5-14 に示す。図 5-14 より、位相差が 0°、すな わち 2 枚の素子が対称に振動していると予想されるときに最も霧化量を得られた。ま た、位相差が 180°、すなわち 2 枚の素子が非対称に振動していると予想されると きに最も霧化量が得られなかった。

3 通りの霧化器において、2 枚の素子の振動の様子と霧化量の関係は同様の結果が 得られた。

 

 

 

 

霧化量[ml/min]

0 0.16

0.08

0.04 0.12

4.0 0

供給電力 [W]

8.0

2.0 4.0 6.0

0

供給電力 [W]

8.0

2.0 6.0

0.14

0.10

0.06

0.02

図 5-14 素子間の位相差と霧化量の関係

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(2) 液滴噴霧距離

素子先端部からの液滴の噴霧距離を測定した。その結果を図 5-15 に示す。前述し た 2 通りの霧化器では、4 W のときでは、10 mm 以上噴霧させることは不可能であ ったが、「霧化器 Wedge2」では 10 mm 以上の噴霧が可能であった。

 

   

 

0 2.0 4.0 6.0 8

供給電力[W]

0 15.0

10.0

5.0

液滴噴霧距離[mm]

.0

 

 

 

0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.10 0.12

霧化量[ml/min]

0 90 180

-90 -180

位相差[°]

霧化器Wedge2 供給電力:7 W

 

 

 

0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.10 0.12

霧化量[ml/min]

0 90 180

-90 -180

位相差[°]

霧化器Wedge2 供給電力:7 W

図 5-14 素子間の位相差と霧化量の関係

第 5 章 SAW 素子先端形状の工夫

(3) 霧化粒子の大きさ

参考のために、「霧化器 Wedge2」で得られる霧化粒子の大きさを測定した。

測定は、霧の粒を受け止め液で捕らえ、実体顕微鏡で観察する方法で行った。

まず、霧化させるために用いた液体である水道水を霧化器で霧化し、霧化粒子を霧 化器先端より約 5 mm の個所で、目盛付きスライドグラスに塗ったシリコンオイル中 に捕らえる。捕らえた直後に捕らえた霧化粒子をシリコンオイルで覆い、さらに霧化 粒子を閉じ込める。次に捕らえた液滴を実体顕微鏡で拡大し、撮影する。

その結果を図 5-16 に示す。図中の円の中に霧化粒子が存在する。得られた霧化粒 子の粒径は最小で 約 5 µm であるということがいえる。今まで報告されている弾性 表面波霧化器においては、駆動周波数 10 MHz のときに得られる粒径は 10 µm 前後 であるので、本霧化器においても実現されているということがいえる。

100 µm

霧化粒子

図 5-16 霧化粒子の大きさ (実体顕微鏡により撮影)

第 5 章 SAW 素子先端形状の工夫

5-3 まとめ

本章では、本研究が提案する霧化器の構成において、霧化器の霧化能力の向上を図 るため、SAW 素子形状の工夫を行った。素子先端部の IDT が設けられていない面 を角度 30°に削って楔形にした 2 枚の素子を用いて霧化器を構成した「霧化器 Wedge」、素子先端部の IDT の設けてある面を角度 30°に削って楔形にした 2 枚 の素子を用いて霧化器を構成した「霧化器 Wedge2」の 2 通りの霧化器を構成した。

提案した、2 通りの霧化器について諸特性の測定を行い、第 4 章で述べた「霧化器

Normal」を含め、霧化器の能力比較を行い、本研究が提案する霧化器の構成で最も有

効な素子形状・構成を検討した。その結果、以下のことが明らかになった。

・ それぞれの霧化器の霧化量を比較したとき、図 5-17 に示すように、「霧化器

Wedge2」が最も多くの霧化量を得られる。

・ それぞれの霧化器の液滴噴霧距離を比較したとき、図 5-18 に示すように、

「霧化器 Wedge2」が最も遠くに液滴を噴霧することが可能である。

・ 「霧化器 Wedge2」では液体注入量を他の霧化器の 5 倍にしても液体の霧化 が可能であった。

以上のことを表 5-3 にまとめた。「霧化器 Normal」の値を 1 とし、他の霧化器 の能力をその比率で表している。これは供給電力が 4 W のときの比較である。

また、2 枚の素子の振動状態により霧化量が変化するということが明らかになった。

それぞれの霧化器において、2 枚の素子が対称に振動している場合のほうが、非対称 に振動している場合よりも多くの霧化量が得られた。ゆえに、素子の駆動方法として は、2 枚の素子が対称に振動する場合が有効であるということがいえる。

したがって、本研究で提案する霧化器の構成では、「霧化器 Wedge2」の構成で 2 枚の素子を対称に駆動する場合が最も有効な霧化器であるということが明らかになっ た。

第 5 章 SAW 素子先端形状の工夫

 

 

霧化量[ml/min]

0 0.16

0.08

0.04 0.12

4.0 0

供給電力[W]

8.0

2.0 4.0 6.0

0

供給電力[W]

8.0

2.0 6.0

Normal

Normal 9.59 MHz

9.59 MHz

Wedge Wedge

9.57 MHz 9.57 MHz

Wedge2 Wedge2

9.74 MHz 9.74 MHz

0.14

0.10

0.06

0.02

図 5-17 霧化能力の比較   (霧化量)

 

4.0 0

供給電力 [W]

8.0

2.0 6.0

液滴飛翔距離[mm]

0 15.0

10.0

5.0

 

4.0 0

供給電力 [W]

8.0

2.0 4.0 6.0

0

供給電力 [W]

8.0

2.0 6.0

液滴飛翔距離[mm]

0 15.0

10.0

5.0

図 5-18 霧化能力の比較 (液滴噴霧距離) 表 5-3 霧化能力の比較

霧化器 霧化量 液滴噴霧距離 液体注入量

Normal 1 1 1

Wedge 1.4 0.65 1

Wedge2 3 1.35 5

第 6 章 結論

第 6 章 結論

本章では、本研究で得られた成果及び今後の課題について述べる。

6-1 本研究の成果

本研究では、対向する 2 枚の SAW 素子で液体を挟み込む構成のデバイスを提 案・試作した。試作した霧化器について、諸特性の測定を行った。まず、通常の SAW 素子を用いて霧化器を構成し、霧化器の構成について検討を行った。素子間間 隔、素子間角度について最も有効に霧化量を得られた。次に、SAW 素子先端形状を 工夫した素子を用いて霧化器を構成し、SAW 素子先端形状について検討を行った。

素子先端部の IDT が設けられていない面を角度 30°に削って楔形にした 2 枚の素 子を用いて霧化器を構成した「霧化器 Wedge」、素子先端部の IDT の設けてある面 を角度 30°に削って楔形にした 2 枚の素子を用いて霧化器を構成した「霧化器

Wedge2」の 2 通りの霧化器を構成した。3 通りの霧化器に関して霧化能力の比較を

行ったところ、最も霧化量が得られ、最も液滴噴霧距離が大きく、液体注入を多量に 行うことのできるのは「霧化器Wedge2 」であった。また、2 枚の素子の振動状態に ついて、検討を行った結果、2 枚の素子が対称に振動している場合、2 枚の素子が非 対称に振動している場合に比べて、各素子で約 2 倍の霧化量を得られることが分かっ た。これらのことから、本研究で提案する霧化器に関して最も有効である霧化器及び 駆動方法は、「霧化器 Wedge2」の構成で 2 枚の素子を対象に振動させる場合であ るということがいえる。

6-2 今後の課題

○ 液体供給機構の一体化した霧化器の考案

本研究では、素子で挟み込んだ液体がSAW ストリーミングにより液体が霧化粒子 の噴出する地点まで移動することを確認し、液体供給機構の容易化への可能性を見出 した。しかし、液体の自動供給や連続供給が可能な機構を見出すまでには至っていな い。今後は、霧化器と一体化した液体供給機構を考案し、よりコンパクトで液体供給 の面からも制御可能な霧化器を考案する必要がある。

第 6 章 結論

○ SAW 素子 2 枚による霧化現象の理論的検討

本研究では、2 枚の素子を用いた霧化法について検討を行った。今まで報告されて いる弾性表面波霧化器では霧化現象の原因はキャピラリ波表面波理論により行われて いる。本研究で提案する霧化器に関しても、素子間に注入された液体の表面における キャピラリ波の発生によって説明できると考えている。しかし、本研究では理論的検 討までは至らなかったが、今後は SAW 素子 2 枚による霧化現象のメカニズムを解 明し、理論的検討を行っていく必要がある。

○ 計算機シミュレーションにより SAW 素子形状最適値を検討する。

本研究において、作成した、楔形の SAW 素子の基板表面の振動振幅を測定したと ころ、作成する前に予想していた、楔部分での振幅の増幅は成らなかった。しかし、

霧化量は通常の SAW 素子よりも多く得られ、液滴噴霧距離も 大きかった。また、

IDT が設けられている面を削った素子、楔形 SAW 素子と IDT が設けられていない 面を削った素子では、特性が大きく異なった。したがって、その特性を計算機シミュ レーションにより明らかにし、最適な先端形状を検討する必要がある。

ドキュメント内 修士論文 (ページ 51-65)

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