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ICOMOS (国際記念物遺跡会議)

ドキュメント内 被災表紙アウトライン(日) (ページ 109-113)

1 ICOMOS, http://www.international.icomos.org/about.htm

2 ICOMOS, ICOMOS  International  Secretariat  e-newsn°  53,  26  January  2010  http://www.international.icomos.org/publications/

e-news/2010/E-news̲53̲20100126.pdf

3 STOVEL, Herb, Risk Preparedness: A Management Manual for World Cultural Heritage4, Rome, ICCROM, 1998.(ストーベル:『建築・都 市遺産の防災指針』、立命館大学歴史都市防災研究センター叢書、2008年)

4 Managing Disaster Risks for World Heritage,World Heritage Resource Manual, Paris, UNESCO, 2010.  ユ ネ ス コ、 イ ク ロ ム、 イ コ モ ス、IUCNが共同で出版した。ユネスコ世界遺産センターの以下のアドレスから全文をダウンロードすることができる。http://whc.unesco.org/

uploads/activities/documents/activity-630-1.pdf (英語版)http://whc.unesco.org/uploads/activities/documents/activity-630-2.pdf (仏語版)

て開催された第14回イコモス総会にて採択された「分 析、保護、構造的修復の原理」(Principles for the  Analysis, Conservation and Structural Restoration  of Architectural Heritage:ISCARSAH Principles)

を創案等の実績もあり、イコモス内でも特に技術専 門家の色合いが強い。 近年は気候変動作業部会を設 立し、2008年には中国にて「気候変動と文化遺産構 造 」(Global Climate Change and its Impact on  Structures of Cultural Resources)と題した会議を 開き、防災、パイロットプロジェクトのための資金調 達、トレーニング、「分析、保護、構造的修復の原理」

の普及といった多岐にわたる内容の勧告をまとめて いる。その他の最近の活動としては、国際標準化機 構(ISO)の既存構造物の設計基準(ISO13822 Based  on  design  of  structures-  Assessment  of  existing  structures) のANNEXにHeritage Structuresを 加 える活動についての議論及び支援、また世界各地の歴 史的建造物に対する現状評価の要請に対しての対応、

委員会の年回開催などがあげられる

 ICORPは自然災害及び人災から文化遺産を守るた

めの危機管理強化のための国際学術委員会で活動自体 は10年以上前からであるが、正式な設立は比較的新し い。現在は、ISCARSAH とICORPが中心となって、

イコモスの被災文化遺産保護についての方針・取り組 みを行っている。2010年よりICORP委員長はユネス コ等で被災文化遺産に関するコンサルタントとしての 実績が多いロヒト・ジグヤス(Rohit Jigyasu)立命 館大学歴史都市防災センター教授に代わった。ロヒ ト・ジグヤスICORP委員長は立命館大学歴史都市防 災センター教授と共同で文化遺産防災分野での活動も 多い。例えば、立命館大学では先進国の高等教育研究 の成果を途上国等に還元するユネスコの活動であるユ ネスコ・チェアの認定を2006年に受け、同年「文化遺 産と危機管理」国際研修を開始した。国際研修は、文 化遺産保護専門家と防災の専門家が協同して、文化遺 産の価値を尊重した危機管理計画を作成する手法を習 得することを目的に、アジア太平洋地域の政府や研究 機関に所属する文化遺産保護専門家と防災専門家など を招聘し、文化遺産保護専門家と防災の専門家が協同

して、文化遺産の価値を尊重した危機管理計画策定の ための研修を行っている。また、2010年には、公開 シンポジウム「文化遺産を災害からどう守るか―防災 と災害復旧」を開催し、文化遺産を守るために、災害 復旧という観点も含めた防災について、日本および世 界の現状を基に今後の課題や取り組みの指針を検討し た。NGOであるICOMOSは財政的理由もあり、事業 展開することは珍しいが、上記のように外部資金を導 入した活動もある

.活動の課題、日本に対して求めるもの

 今後のイコモスの被災文化遺産復旧に関連する活 動は、ISCARSAHとICORPが中心となり活動して いくと考えられる。ISCARSAHが建造物の構造補強 を使命としている点、ICORPが被災後の文化遺産復 旧に対しても活動を広げている点を考えれば、両者と もに被災前後といった役割分担以上ではなく、それぞ れの専門性を補いながら活動を展開していることがう かがえる。今後は、ISCARSAH及びICORPともに、

イコモス内だけでなく、国際的な要求に応えうる実績 をさらに積み上げることが今後の課題となる。2010

月のハイチ地震において、イコモスは文化遺産の 危機的状況に対して懸念をいち早く表明し、アラオズ 事務局長を中心にハイチの文化遺産保護の重要性を世 界に呼び掛けた。ただし、ハイチ地震においては、イ コモス、ユネスコ、及び各国政府及びNGOが文化遺 産への支援を表明したが、各国・各機関の協力、連携 は万全とは言い難く、ハイチ復興運営委員会の活動も 困難が伴ったとのことである。理由の一つとして、文 化財復旧と一括りに言っても、対象が動産か、不動産 か、有形か、無形かによって、支援方法が大きく異な るため、各団体の優先順位が異なる状況で共同しての 活動が難しかったことがあげられる。多様な国、機関 がこぞって支援を表明し、一同に活動を行ったハイチ 地震のような大規模災害の時こそ、ISCARSAH及び

ICORPのような専門委員会がユネスコ、ブルーシー

ルドなどの国際機関と協力し、支援の交通整理ができ るような実績と求心力を持つ必要があるであろう。そ の際、インターネット等を積極的に利用した多くの専

5 ISCARSAH, http://iscarsah.icomos.org/

6 Japan ICOMOS/INFORMATION 誌7期8号(20081210日)7期9号(2009年3月27日)7期11号(2009年9月17日)8期1号(2010年3月5日)

7 立命館大学歴史都市防災研究センター、http://www.rits-dmuch.jp/unesco.html

8 立命館大学・イコモスICORP、文化遺産を災害からどう守るか―防災と災害復旧 http://www.rits-dmuch.jp/dl̲files/2010kokusaisympo.pdf

門家とのネットワーク構築及び、平時からの情報共有 を行うことが重要だと考える。NGOという組織形態 は資金面の理由で体制の弱さが露呈することもある。

しかし、人次第、会員次第で活動内容を決定できる柔 軟性の高い団体であるからこそ、被災文化遺産支援と いうような未だ決定的対応策の見つかっていない課題

に対して対応できるのではないだろうか。今後より多 くの人材を集め、実績を積むことで、ISCARSAH及

びICORPへの期待はさらに高まることと思う。日本

もイコモス加盟国として、両委員会へのさらなる積極 的な活動協力を続けていくことが重要であろう。

 組織の概要

ユ ネ ス コ( 国 際 連 合 教 育 科 学 文 化 機 関:United  Nations  Educational,  Scientific  and  Cultural  Organization)は、「諸国民の教育、科学、文化の協 力と交流を通じて、国際平和と人類の福祉の促進を目 的とした国際連合の専門機関」1であり、本部はパリに 所在する。ユネスコ本部内にあるユネスコ世界遺産セ ンター(UNESCO World Heritage Centre)2は、世 界遺産条約3の管理をはじめ、世界遺産に関するあら ゆる業務を担当しており、世界遺産委員会と事務局に よる年次セッションの開催、条約締約国に対する候 補地準備への助言、世界遺産基金(World Heritage  Fund)からの協力調整等を行っている。また、世界 遺産登録地の状況確認と緊急対策措置、技術的なセミ ナーやワークショップの開催、世界遺産リストとデー タベースの更新、若い世代に向けた教材の開発、世界 遺産に関する諸問題の一般への公開も進めている4

以下では、ユネスコ世界遺産センターにおけるイン タビューの際、本調査に密接に関わるものとして取り 挙げられた二つのプログラムについて、その概要を示 したい。

 文化遺産のためのラピッド・レスポンス・ファシ リティ(Rapid Response Facility: RRF

ラピッド・レスポンス・ファシリティ(RRF)5プ ログラムは、ユネスコ世界遺産センターと国連基金

(United Nations Fund)、 イ ギ リ ス のNGOで あ る

Fauna & Flora International(FFI)6が共同で実施 する小規模助成プログラム(Small grants program) であり、特に優れた生物多様性を保有する世界自然遺 産とその周辺地域を対象として、緊急的な資金援助を 行うものである。

従来、ユネスコが実施していた緊急支援に比べ、

RRFでは、迅速な対応に何よりも重点を置いている。

従来の支援体制では、要請があってから援助資金が 相手方の銀行口座に届くまでに、早くとも週間がか かっており、即座な対応が要される災害時等は、この 手続きの間に被害が増大し、取り返しのつかない損害 に至ってしまうためである。RRFでは資金到達まで の期間を週間(営業日)に短縮することで、被害 をできるだけ最小限に食い止めることが目指されてい る。

RRFの目的は次のように示される。

▪世界自然遺産の危機的状況に応じて迅速に資金を調 達する。

▪長期的資金調達が想定される場所にブリッジング・

ファンドを提供する。

▪長期支援プログラムの一部として迅速な革新的資金 調達のメカニズムを採り入れる。

RRFは支援要請に応じてFFIの専門家が要請内容 を査定し、それをもとにユネスコが資金援助を行うと いうかたちを採っている。申請書は随時受け付けられ ており、申請者はプロジェクトの詳細を所定の書式に

1 ユネスコ憲章章1より引用 2 http://whc.unesco.org/en/134/

3 正式には「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約Convention Concerning the Protection of the World Cultural and Natural  Heritage」、1972年にユネスコで採択された。

4 本調査では、ユネスコ内の関連部署として、文化部と世界遺産センターに対しインタビューを行った。文化部(Culture Sector)は、無形文化 遺産救済条約(Convention for the Safeguarding of the Intangible Cultural Heritage)や文化多様性世界宣言(Universal Declaration on 

Cultural Diversity)等、異文化間の対話を促進するために適用される重要な条約や宣言を管轄する他、国際的なキャンペーンの管理、世界遺産

を含む史跡や口伝、無形文化遺産の保護を支援している。また世界遺産センター、イクロム、イコモス、アイコムと共同で運用プロジェクトを実 施している。

5 http://whc.unesco.org/en/activities/578 6 http://www.fauna-flora.org/

Ⅲ  国際機関による支援体制

ドキュメント内 被災表紙アウトライン(日) (ページ 109-113)

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