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ア メ リ カ

ドキュメント内 被災表紙アウトライン(日) (ページ 79-99)

1-2.調査日程

日時 訪問先

2010年月18日 ブルーシールドアメリカ国内委員会(The United States Committee of the Blue  Shield)

2010年月19日 ワールド・モニュメント・ファンド(World Monuments Fund)

2010年月20日 内 務 省 ナ シ ョ ナ ル・ パ ー ク・ サ ー ビ ス(Department of Interior, National Park  Service)、世界銀行(The World Bank)

2010年月23日 国 務 省 文 化 教 育 局(Department of State, Bureau of Education and Cultural  Affairs)、イコモスアメリカ国内委員会(US/ICOMOS)、AIC(American Institute  for Conservation of Historic and Artistic Works)

2010年月24日 国 防 総 省(Department of Defense)、 緊 急 事 態 管 理 庁(Federal Emergency  Management Agency)、スミソニアン博物館(Smithsonian Institution)、米州開 発銀行(Inter-American Culture and Development Foundation)

 また、調査地にワシントンDCが含まれていたこ とから、ワシントンDCに本部の所在する世界銀行

(World Bank)及び本部はパリであるがイコモス事 務局長が在住するため、世界銀行およびイコモスでの 調査も実施した。これについては「III.国際機関によ る支援体制」にて扱う。

.文化遺産の国際協力に関する国内体制

 まず、平時におけるアメリカの文化遺産の国際協力 に関する国内体制を示し、「.被災文化遺産復旧の ための国際協力体制」の参考とする。行政機関につい ては、内務省ナショナル・パーク・サービスの活動に 見られるように、資金の流れやプロジェクト決定過程

の一端が垣間見られるものもあったが、全体的には文 化遺産国際協力の政府の方針や具体的な枠組みといっ たものは見つけることができなかった。しかし、行政 組織、NGOともに他団体と連携関係にあるものも多 く、情報共有は個人的あるいは組織的に常時行われて いる。

2-1.国内の文化遺産保護体制

文化遺産保護に関する国際協力を述べる前に、簡単 にアメリカ内の文化財保護について記しておく。ま ず、アメリカの文化行政については、日本の文化庁に 相当する文化のみを管轄する省庁が存在しないことが 特徴である。その代わりとして、国立人文科学基金

1-3.調査メンバー

氏名 職名 所属 調査担当

山内奈美子 研究員 文化財保存計画協会 資料収集、現地調査

原田怜 特別研究員

(アソシエイトフェロー) 文化遺産国際協力コンソーシアム 資料収集、現地調査

写真AICでのインタビュー風景

写真 国防総省でのインタビュー風景 写 真  ワ ー ル ド・ モ ニ ュ メ ン ト・ フ ァ ン ド で の イ ン タ

ビュー風景

写真 内務省ナショナル・パーク・サービスでのインタ ビュー風景

1U.S. Government Printing Office, http://bensguide.gpo.gov/files/gov̲chart.pdf

(NEH: National Endowment for the Humanities)、 国 立 文 化 基 金(NEA: National Endowments for the  Arts)、及び博物館図書館サービス振興機構(IMLS: 

Institute for Museum and Library Services)といっ た連邦行政組織が、官民問わずに文化関連事業を行う 団体に対して助成を行っている。また、アメリカは カーネギー財団やロックフェラー財団と言った民間助 成財団の資金力、影響力も大きく、文化および文化財 保護の活動促進のための資金源となっている。

 次に、アメリカの文化財保護行政については、連 邦国家であるがゆえ連邦政府レベル、州レベル、市 町村レベルで異なった文化財保護制度と権限をもっ ていることが特徴である。連邦レベルにおいて文化 財保護を管轄するのは、内務省ナショナル・パーク・

サービス(NPS: Department of Interior, National Park  Service)である。NPSでは、全米に存在する国立公 園の管理・整備だけではなく、文化財登録(National  Register)、調査研究、技術支援、及び保護のための 助成などを行う。なお、アメリカには文化財登録制度 では不動産のみを対象としているが、NPSは考古遺 物などを含む動産の調査研究・技術支援も行ってい る。NPSの中には、国際部(Office of International 

Affairs)が存在するが、それについては後に詳しく

述べる。州レベルとなると、州歴史保存事務局(State  Historic Preservation Office)が各州に存在し、連 邦法を根拠としつつも独自に発展させた州法に則り、

州ごとの文化財登録、調査研究、助成などの文化財保 護を行っている。また、市町村はそれぞれ条約・規制 を作成し、個性豊かな文化財保護制度が発展してい る。どのレベルにおいても行政機関は、文化財保護を 行う非政府組織(NGO)及びコンサルタントなどの 民間団体と協力し、住民の意見が反映されやすい文化 遺産保護制度を運用しているといえる。

2-2.文化遺産の国際協力の関連基本方針

 今回の調査では文化遺産国際協力を直接の立法目 的とした法律や方針はみつけることができなかった。

ただし、文化遺産の国際協力を行っている連邦政府 機関である国務省文化教育局を例とすると、1961年 対 外 援 助 法(Foreign Assistance Act of 1961, PL  87-195)や1961年フルブライト-ヘイズ法(Mutual  Education  and  Cultural  Exchange  (Fulbright-Hays) Act of 1961, PL87-256)、2010年 統 合 予 算 法(Consolidated  Appropriations  Act  of  2010, 

 アメリカ行政組織図

P.L.111-117)に準拠して成り立っているとのことが インタビューで明らかにされた(2010年時点)。具体 的には、1961年対外援助法により外国への資金援助 が可能になり、1961年フルブライト-ヘイズ法により 国務省内に文化教育局を設立することができ、2010

年の統合予算法により予算拠出がある、とのことで あ っ た。 ま た、NPS国 際 部 に よ る と、 設 立 自 体 は

1961年であるが議会による設立根拠の承認が特別あ るわけではないとのことであった。ただし、1966年 国 家 歴 史 保 存 法(National Historic Preservation  Act) の101条(Section 101) 及 び401条(Section  401)に準拠してユネスコ世界遺産条約履行のため の責任を負っている事、1961年対外援助法により米 国 国 際 開 発 庁(USAID: United States Agency of  International Development)や国務省予算を利用す ることができる事が、NPS国際部が国際支援を行う 事が出来る根拠となっているという事がインタビュー において明らかにされた。他にも国防総省があげた 文化遺産の国際協力のための準拠法として、1966年 国 家 歴 史 保 存 法 の106条(Section 106) 及 び402条

(Section 402)がある。106条及び402条の内容として は、連邦政府による事業が登録文化財(歴史的建造物、

考古遺跡等で経年50年を超えるもの)及び登録文化財 に準じるものに影響を及ぼすか否かを審査し、これに は国防総省の管轄する海外にある基地(厳密には土地 がリースされている時には必要でない、と判断出来る こともある)も対象地となる。つまり、連邦政府が国 外にて活動を行う場合、現地の文化財保護法に準じて 保護されている文化財に対しての影響について考慮し なくてはならない。

2-3.文化遺産の国際協力を担う国内行政、NGOの活

 文化遺産の国際協力を担っている連邦機関は内務省 ナショナル・パーク・サービス、国務省文化教育局、

国防総省が中心である。加えて、ハイチ地震の時に は、スミソニアン博物館(Smithsonian Institution) も活動を実施したが、これは特例といえる。文化遺 産国際協力を行うNGO団体はアメリカには多数ある が、本調査目的を考慮し、その中でも被災した海外の 文化遺産復旧のための支援を行う団体である、ブルー

シールドアメリカ国内委員会(The United States  Committee of the Blue Shield)、ワールド・モニュ メ ン ト・ フ ァ ン ド(World Monuments Fund)、

イ コ モ ス ア メ リ カ 国 内 委 員 会(US/ICOMOS)、

AIC(American  Institute  for  Conservation  of  Historic and Artistic Works)に注目する。以下、各 行政およびNGOの活動について述べる。なお、国家 規模の災害が起こった際に対応する緊急事態管理庁

(Federal Emergency Management Agency)は現 段階では海外の文化遺産保護活動を行っていないが、

参考として載せる。

2-3-1.行政団体

内務省ナショナル・パーク・サービス(Department  of Interior, National Park Service

 NPSの中で自然及び文化遺産の国際事項を扱うの は国際部(Office of International Affairs)である。

NPS国際部は1961年に設立され、世界遺産条約など アメリカ政府が批准した文化遺産に係る国際的な条 約履行に係る活動、国立公園への海外ボランティアの 受け入れ、国内外での研修の開催、及び技術支援等を 行っている。文化遺産国際協力の内容は多岐に渡る

が、USAID及び国務省からの資金援助を受けつつ、

政府及び国務省を中心とした外交方針に照らし合わせ て支援対象国を決定する。特に技術支援に関しては、

NPS以外の政府機関から資金が中心となって事業化 している。ハイチを例に挙げると、ハイチ首相から今 後予期される観光客増加への対応要請を受け、米国開 発機構 (USAID)と共同でシタデル、サン=スーシ城、

ラミエール国立歴史公園(Citadelle Laferrière and  the Palais de Sans-Souci)の状況調査および技術支 援を行っている。これは、ハイチ地震以前からの支 援事業であり、被災文化遺産への緊急支援ではない2。 なお、NPS国際部は、被災文化遺産に特化したプロ グラムは持っていない。

国 務 省 文 化 教 育 局(Department of State, Bureau of  Education and Cultural Affairs)

アメリカ国務省は国防以外の国の外交全般を司る 機関であり、文化教育局はその中の一般外交、広報 部門(Under Secretary for Public Diplomacy and 

2 National Park Service, http://www.nps.gov/oia/new/Travel̲Log/Travel̲Log2 .

 内務省組織図3

 ナショナル・パーク・サービス組織図4 3 U.S. Department of Interior, http://www.doi.gov/whoweare/orgchart.cfm

4National Park Service, http://www.nps.gov/aboutus/upload/nps̲org.pdf

Public Affairs)下に国際情報プログラムと並んで存 在する。国務省内に文化教育部門が設置されたのは、

1961年、議会でフルブライト-ヘイズ法が承認され、

国務省予算から国際的な交流、留学、研究に対する助 成金の予算を認め基金を設置することが決定した時点 に遡る。そして現在文化財の国際的な支援を行ってい るUSアンバサダープログラム(以下アンバサダープ ログラム)もこの延長上に位置付けられたプログラム である。

 アンバサダープログラムは2001年月に議会決議 によって創設されたプログラムで、初年度は万ドル の予算から出発した。プログラムは約10年間継続して いるが、設立の趣意より、次年度の予算の確証はなく、

毎年議会で承認された予算額に基づき国務省の定める 開発途上国136カ国に存在する文化遺産の修復、保護、

保全に係る助成金をそれぞれの国にある大使館を通じ て配布する、というプログラムである。現時点では国 務省内で文化財に関わる業務を行っているのはこのア ンバサダープログラムのみであり、昨年度の総額予算 は650万ドルであった。

 アンバサダープログラムは設立当初より、「文化財 の修復」を通じて行う国際支援の形であり、アメリカ の外交方針の一側面を非政治的、非軍事的、非商業的

に世界にアピールしていくことに有効である、という 議会の認識に基づいている。つまり、アメリカの国際 社会への貢献への一手段であり、国家のイメージ向上 を目指した広報の一手段ともとらえられる。助成金の 申請が可能なのはアメリカが認めた発展途上国でその 国内にある文化遺産の保護に関するプロジェクトが対 象となる。プロジェクト推進責任団体が公的機関であ るか、民間であるか、またはその集合体であるか等の 規制はない。対象となる文化財の種別も無形、有形、

動産、不動産を問わず、プロジェクトの内容も「新規 建築、復元建築への助成は行わない」ということ以外 ほぼ制限を設けていない。

 プログラムには遺産保護そのものに加えて各国の アメリカ大使館とその国とのより良い関係構築を目 指し、文化を通じて深めようとする目的がある。ま た、「文化」という多角的なツールにより幅広い分野 における可能性の拡大、発展が期待されている。更 に、2008年からはラージプログラムと称して、約10万 ドル以上の予算の大きなプロジェクトの計画及びその 援助を開始した。ラージプログラムに関しては、大使 館からの単なる申請形式ではなく、専門家やワシント ンの担当官による積極的な調査を行った上で、国務省 の趣意に則したプロジェクトを計画し、内容も精査し

 国務省組織図5 5U.S. Department of State, http://www.state.gov/documents/organization/99588.pdf

ドキュメント内 被災表紙アウトライン(日) (ページ 79-99)

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