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第 2 章 実験の原理と方法

第 4 節 Hall 効果

物質中には伝導を担うマイナスの電荷を持った電子と、プラスの電荷を持った正孔が存在 する。Hall効果を測定してHall係数の温度依存性からは、キャリアの種類とキャリア密度が 分かる。また、異常Hall効果による磁気的な性質が分かる。

原理

図2.4.1のように電流に垂直に磁場をかけると、電子と正孔はLorentz力を受けて軌道が曲

げられる。キャリアが試料中を偏って流れることで、試料の両端に電位差が生じる。これを 正常Hall効果とよぶ。物質の伝導を担うキャリアの種類が電子か正孔かによって、発生する 電圧の符号が異なる。結晶中のキャリアの運動方程式はSI単位系で

E v Bm v

dt q v m d

 

 

となる。qはキャリアの電荷で、電子ではq = -e、正孔ではq = eである。定常状態でのy成 分を考えると

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となる。ここでキャリアが完全に偏りy方向に電流が流れていない状態では

となる。両辺にキャリア密度nをかけて、電流密度jx = nqvxより

が導出され、電流と磁場に比例するHall電圧が発生する。物質に特有の値

(m3/C)

をHall係数という。CGS単位系では

(cm3/C) である。また

(m)

をHall抵抗率という。Hall係数はキャリアの種類が電子ならば負で、正孔ならば正である。

キャリア密度に反比例するので、キャリア密度が大きい金属ほどHall係数が小さくなる。目 安としてキャリア密度n > 1022 cm-3程度なら金属で、n < 1017 cm-3程度で半導体、その中間は 半金属である。

2.4.1 Hall効果の発生原理。

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以上の場合は、キャリアが電子か正孔の1種類のみの場合を考えたがRT2Al10は補償的で同 数の電子と正孔の2種類のキャリアを持つ。この場合、Hall係数は、電子のキャリアneと易 動度eと、正孔のキャリアnhと易動度hを用いて

と表される。

磁性体の場合、正常Hall効果に加えて異常Hall効果が発生する。局在電子と結晶中を動き 回る遍歴電子がスピン軌道相互作用を起こし、伝導電子が非対称に散乱されると磁化に比例 したHall電場が生じる。異常Hall効果にはスキュー散乱とサイドジャンプによる2つの機 構がある。それぞれ電気抵抗の磁気成分に比例するスキュー散乱Mと、二乗に比例するサ イドジャンプM2の足し算で異常Hall抵抗率は決まる。

正常Hall係数をR0、異常Hall係数をRSとすると、磁性体のHall抵抗率は

H

= R

0

B + 

S

M

である。磁場に比例した正常Hall効果と、物質の磁化に関係する異常Hall効果がHall電場に 寄与する。

測定方法

測定は常伝導電磁石を用いて1 Tの磁場下で、4Heクライオスタットを使い1.5 Kまでの温 度領域で測定した。測定端子は金線で、電流方向に垂直に試料に直接付けた。Hall 電圧測定 は、熱起電力による電圧を打ち消すために電気抵抗測定と同じ方法で電流反転した。また、

Hall 電圧端子間の電流方向のずれによる電圧を打ち消すために、磁場も反転しながら測定し た。磁場は+1 Tと-1 Tを交互に斑点させながら、それぞれの磁場で電流を反転して電圧の平 均を取っている。+1 Tと-1 Tで測定した電圧の平均、次に-1 Tと+1 Tの平均というふうに測 定して、ホール端子間のずれを打ち消している。更に、Nernst効果によるHall起電力を考慮 しなければならない。Nernst効果とは、熱起電力によるキャリアの移動が、磁場下でLorentz 力を受けて曲げられる現象である。これによる起電力は、電流反転で打ち消される。熱磁気 横効果ともよばれるRighi-Leduc効果は、熱流と磁場に対して垂直に温度勾配が生じる現象で、

これによる誤差も電流反転で打ち消される。この他、Ettinghausen果により、電流と磁場に垂 直な方向に温度勾配が生じる。これは電流反転をするとその符号が変わるので、打ち消すこ

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とができない。しかし、通常この効果による誤差は小さいので、無視している。

温度平均を取るために、以上で出した磁場反転の平均値を 2 つ取り、それらを平均しなけ ればならない。つまり、最終的には(+1 T、-1 T×2、+1 T)というふうに、のべ4回分の平均 を取っている。これにさらに各磁場での電流反転を考えているので、合計 8 回分のデータを 集め1つのHall電圧のデータとした。

試料のホール係数は

で与えられる。tは磁場方向の試料の厚さである。この厚さtが小さいほど検出するHall電圧 が大きくなり、高い精度で測定できる。試料の幅は大きいほど試料の断面積が大きくなり、

Joule熱発生が少なく熱起電力による誤差が小さくなる。また、電流は大きいほどHall電圧が

大きく誤差が少ないが、電流を流しすぎるとJoule熱により自己加熱され、正確な測定が出来 なくなる。

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