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携帯を使った服薬支援“だ・メール”および検査予約システムの開発

研究代表者:白阪 琢磨(国立病院機構大阪医療センター HIV/AIDS先端医療開発センター)

研究協力者:幸田 進(有限会社 ビッツシステム)

研究要旨

「服薬アドヒアランスの向上・維持に関する研究」にて開発し、前「HIV 感染症及びその合併症の課題を克 服する研究」(以下、「前研究」とする)にて試験運用してきた携帯電話の電子メールと WEB 機能を利用した「服 薬時間お知らせ」を自動的に通知する通信システム(以下、「だ・メール」または「服薬支援ツール」とする)

を更に継続して特定の医療機関に通院する患者及びその他の患者に提供し、患者の利用状況データから、携帯 電話を利用した服薬支援ツールが院外の患者に対する服薬支援として長期的に活用されている事を確認する。

また前研究で開発した、携帯電話の個体識別機能と WEB 機能を利用して個人情報を入力する事なく HIV 検査 予約が行える予約システム(以下、「検査予約システム」とする)を特定の HIV 検査機関に提供し、検査予約シ ステムをどのように活用すれば HIV 検査機関に効率よく受検者を誘導する事が可能であるか利用状況データを 収集して検証する。

研究目的

(1) 服薬支援ツール 前研究より継続運用してい る服薬支援ツールによって、院外の患者が継続的 に服薬できているかを長期的な利用状況データに よって検証する。また、それらの結果に基づき必 要に応じた機能改善を検討する。

(2) 検査予約システム 特定の HIV 検査機関に検 査予約システムを提供し、検査機関における HIV 検査の受検者の動向の変化を調査し、携帯電話に よる検査予約システムの有効性および利用者の利 便性等のメリットあるいはデメリットを継続評価 する。また、検査機関からの要望を吸収し機能改 善を検討する。

研究方法

(1) 服薬支援ツール 前研究にて開発し改良して きた服薬支援ツールを継続して特定の患者を対象 に試験運用し、患者毎の服薬時間お知らせメール の配信回数、および、お知らせメールに対する服 薬応答回数データを蓄積・解析し評価する。

(2) 検査予約システム 前研究で試験運用を開始 した検査予約システムを特定の HIV 検査機関に提 供し、検査予約システムの導入前後での予約状況 の推移を比較する事で検査予約システムによる HIV 検査予約の導入が有効であるか検証する。

また、HIV 検査機関からの要望を吸収し必要に 応じて検査予約システムに反映させる。

本研究では東京都南新宿検査・相談室(以降「南 新宿検査室」とする)を運用モデルケースとし、

検査予約システムへの受検者の誘導の流れとして は前研究同様、東京都福祉保健局ホームページ、

“HIV 検査・相談マップ”(厚生労働省科学研究費 エイズ対策研究事業「HIV 検査相談体制の充実と 活用に関する研究」)、“東京都 HIV 検査情報 WEB”

サイトからを想定した。

なお、前研究で開発し試験運用を行ってきた検 査予約システムを南新宿検査室に正式提供し、平 成24 年 4 月1日より本運用を開始して頂き、本研 究のためにデータ提供のご協力を頂いた。

(倫理面への配慮)

服薬支援ツールおよび検査予約システムの提供に あたっては、収集するデータの取り扱いに注意する とともに、利用者に対して携帯画面の文書で説明し 同意を得た上で実施する事とする。

研究結果

(1) 服薬支援ツール 利用期間の長い患者では 7 年を経過したが相変わらず利用を継続している事 が確認された。また、服薬支援ツールの特徴の 1 つである「服薬時間お知らせ」メールに対する服

23

0%

20%

40%

60%

80%

100%

0 365 730 1095 1460 1825 2190 2555 2920

利用日数(日)

応答

大阪医療 国立国際 その他(一般)

薬応答に関しても、“グラフ 1 利用期間と応答 率”に示すように長期的に 80%以上の応答率を維 持している患者も多く、服薬したら応答するとい う服薬のためのリズムが根付いている事を再確認 できた。

グラフ 1 利用期間と応答率

服薬支援ツールの平成24 年12月末日時点での 登録者数は“表 1 利用登録者数”の通りであり、

若干の利用者増が確認できる程度であった。

表 1 利用登録者数

大阪医療センター 82 人(75,68,60,44)

国立国際医療センター 38人(29,31,23,23)

その他 108人(97,90,62,23)

※カッコ内は H23,22,21,20 年の登録者数

(2) 検査予約システム 南新宿検査室にて検査予 約システムでの予約受け入れ人数を1日あたり21 人(電話受入れ人数も21 人)にて運用し、予約状 況データを蓄積して集計した結果、直近の 12ヶ月 間(H23.12/1~H24.11/30)の予約システムによる 予約者数は5,288人(電話予約者数は7,113人)

で、1日あたりの平均予約人数は 15.3人(同、20.6 人)であった。

予約状況の推移としては“グラフ 2 南新宿検 査室における予約人数推移”および“表 2 南新 宿検査室における検査実施人数増減”に示すよう な状況であり、検査予約システムから HIV 検査を 予約する利用者数の割合が増加の傾向にある事が 確認された(6 月度、12月度の予約増加は東京都 実施の HIV/エイズ啓発イベントによる効果)。

グラフ 2 南新宿検査室における予約人数推移

表 2 南新宿検査室における検査実施人数増減

受検者数 21年比 平成21年 2,280人

(2,661 人) - 平成22年 2,464人

(2,945人) 8.0% 増 (10.7%増) 平成23 年 2,291 人

(2,921 人) 0.4% 増 (9.8%増) 平成24 年 2,236人

(2,984人) 0.01%減 (12.1%増)

※ 8 月 1 日~10 月 31 日データで集計

※ カッコ内は予約者数

予約状況を曜日別にみると、“グラフ 3 曜日別 平均予約数”に示すように平日は予約枠の半数程 度に留まり常に予約に余裕のある状態であったが、

週末の予約については非常に高い予約率を示す結 果であった。

グラフ 3 曜日別平均予約数

(H22 年 7 月 1 日~H24 年 12 月 31 日)

17.28

12.19 10.94 12.46 12.55 12.69 19.56

0 5 10 15 20 25

曜日

n=9,071 max=21人

0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600

H22.1 3 5 7 9 11 H23.1 3 5 7 9 11 H24.1 3 5 7 9 11

予約

電話予約数 携帯予約数 全体予約数

1000 200 300400 500 600700 800 1000900

0時 2時 4時 6時 8時 10時12時 14時16時 18時 20時22時

n=11,970

利用者が検査予約を行っている時間帯について は“グラフ 4 携帯予約を行う時間帯”に示すよ うに前研究時同様に曜日に関係なく深夜にかけて 増加する傾向が観察され、電話予約では対応でき ない時間帯(南新宿検査室では平日:15:30~19:00、 土日:13:00~16:30が電話受け付け時間帯)での 利用が多い事が改めて確認された。

グラフ 4 携帯予約を行う時間帯

(H22 年 7 月 1 日~H24 年 12 月 31 日)

検査予約システム導入前後での検査予約をする年 齢層については“グラフ 5 システム導入前後の利 用者層”に示すように、電話予約と検査予約システ ムを使用した予約とを合わせた比率としてはほぼ変 動なしであったが、男女別に分けてみると、“グラフ 6 男女別年齢別利用者層”に示すように男女ともに 20 歳代で電話予約を利用する率が減少し、検査予約 システムを利用する率が増加する傾向が見られた。

グラフ 5 システム導入前後の利用者層

10代 10代

20代 20代

30代 30代

40代 40代

50代 50代

0% 20% 40% 60% 80% 100%

導入後 H23.4/1

H24.9/30

n=7075 導入前 H22.1/1

7/14

n=3858 10代

20代 30代 40代 50代 60代 70代 未記入

グラフ 6 男女別年齢別利用者層

10代 10代 10代

20代 20代

20代

30代 30代

30代

40代 40代

40代

50代 50代

50代

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

導入後(携帯予約)

H23.4/1~H24.9/30 n=1978 導入後(電話予約)

H23.4/1~H24.9/30 n=2780

導入前 H22.1/1~7/14

n=2570

男性

10代 20代 30代 40代 50代 60代 70代 未記入

10代 10代 10代

20代 20代 20代

30代 30代

30代

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

導入後(携帯予約)

H23.4/1~H24.9/30 n=1191 導入後(電話予約)

H23.4/1~H24.9/30 n=1217

導入前 H22.1/1~7/14

n=1284

女性

10代 20代 30代 50代 60代 70代 未記入

受検者の誘導としては、想定している誘導の流れ の 1つである“HIV 検査・相談マップ”サイトには 南新宿検査室の携帯向け HPを表示するためのQR コ ードの掲載を行っているため、“グラフ 7 HIV 検 査・相談マップからの誘導状況”に示すように毎月 40~80人が検査予約するに至っており、QR コードを 使った南新宿検査室携帯向け HP への誘導及び南新 宿検査室の携帯向け HP を経由した検査予約システ ムの利用が効果的に機能している事が確認できた。

グラフ 7 HIV 検査・相談マップからの誘導状況

0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200

0 100 200 300 400 500 600 700 800 900

1000 予約到達数

誘導者数

※ H23.8月より誘導元統計開始

※ H23.8月よりQRコードによる案内開始

その他、今年度の運用システムでは、オプション 機能として年齢入力オプション(“図1 年齢入力オ プション”)を実装した。また、アンケートシステム の仕様の検討を行った(実装については次年度の予 定)。アンケート実施の有無及びアンケート項目につ いては検査予約システムを導入する検査機関毎に任 意で指定できるように考慮している。

図 1 年齢入力オプション

考察

(1) 服薬支援ツールについては、登録した利用者は 長期的に利用を継続しているが、新規の利用者は 少ない状況にある。

運用を開始して7 年になるが、この間にiPhone やAndroidなどのスマートフォンの登場や、従来 の携帯電話自体にも“服薬お知らせ”に流用可能 なスケジュール管理機能を装備しているものがあ ったりと、携帯電話の機能が激変している。現在 の電子メールによる“服薬お知らせ”の形式でい いのか、サービスの提供をスマートフォン向けの みに限定して“スマートフォンアプリ”として配 布したほうがいいのか、など、現行のサービスの 終了も含め、見直す時期に来ているものと思われ る。

(2) HIV 検査予約システムについては、前研究時同 様、着実に予約実績数を伸ばしており、携帯電話 とインターネットを使った検査予約サービスの実 用性が改めて確認できた。また、今年度研究でも 検査予約システムで予約の操作を行う時間帯が夕 方から深夜にかけて増加する傾向が確認された。

この結果から、インターネットを利用する層には 夕方から深夜にかけてインターネット上で HIV 検 査に関する検索を行う傾向があるものと推測され る。電話予約のできない時間帯をインターネット 上からの予約システムがカバーしている形となっ ているものと思われ、電話予約と検査予約システ ムとが非常にうまく時間帯分担できている結果と 考える。

結論

(1) 服薬支援ツールについては、約7 年の実証試験 において長期的に服薬応答している患者の存在か ら“飲み忘れ”防止の支援効果は確認できるが医 療機関からの利用促進などを行わない限り利用者 の増加は見込めないものと思われる。また、考察 でも述べたように携帯電話を取り巻く環境が激変 しており、サービスモデルの見直しや場合によっ ては終了も視野に入れ今後の方向性を検討する必 要があるものと思われる。

(2) HIV 検査予約システムについては、南新宿検査 室では常時検査が行える検査機関という事もあり インターネット上での露出も大きいため、既に検 査予約システムからの予約が全体の4 割を超える までになっており短期間で予想以上の効果が出て いるが、1週間に 1 回の検査しか行わない検査機 関やイベント時のみ検査を行う検査機関など、南 新宿検査室とは異なる稼働形態をとる検査機関で の実証実績がない。このため、現在構築している 検査予約システムをそのまま利用可能なのか、南 新宿検査室とは異なる稼働形態をとっている検査 機関に導入し、検査機関数を増やして検証する必 要がある。

健康危険情報 該当なし

知的財産権の出願・取得状況 該当なし

研究発表 該当なし

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