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G3BP2 の臨床病理に関する考察

ドキュメント内 日本大学大学院医学研究科博士課程 (ページ 34-67)

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による直接的な制御を受けていることなどから、前立腺癌に関わるアンド

ロゲン作用の下流シグナルであると考えられる。さらに今回の免疫組織染

色では、正常前立腺組織では G3BP2抗体でほとんど染色を得られず、癌で 高発現していることが見出されており、アンドロゲンにより誘導され前立

腺癌の発症や進展に働いていることが示唆された。

Ⅳ 今後の研究の展望

(前立腺癌治療標的としてのG3BP2の応用)

これまでの細胞レベルでの機能解析と臨床病理から得られた解析結果から、

G3BP2は TSS近傍(Intron 1)に 1 つのARE をもつ新規アンドロゲン応

答遺伝子で、アンドロゲン作用により前立腺癌細胞の増殖能及び遊走能を

亢進させる機能を有する可能性が考えられる。また G3BP2を発現抑制する ことにより癌細胞増殖能及び遊走能はそれぞれ抑制され、悪性度の低い癌

や正常前立腺組織では発現が低いことなどからも癌細胞において重要な役

割を果たしていることが想定できる。以上より G3BP2を治療標的とするこ とで前立腺癌細胞の発症や進展を抑えることができる新しい治療法につな

がる可能性もある。さらに、G3BP2 と臨床的予後との関連性やホルモン療 法不応性前立腺癌細胞内での G3BP2 の役割などを機能解析していくこと

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で新たな臨床マーカーの発見や CRPC 樹立の機序解明などへつながってい くことも考えられる。

今回、G3BP2の前立腺癌細胞における役割の一部が初めて報告できた。し

かし、実際にどのようなシグナル伝達経路に寄与し、どのような機能を持

っているかは未だに解明されていない点も多く今後の研究課題と言える。

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【まとめ】

本研究においてヒトゲノムにおけるAR結合領域データの解析を行い、新規 アンドロゲン応答遺伝子 G3BP2 を同定、さらに転写制御に関わる ARE を 同定した。また、in vitroで前立腺癌細胞の増殖能及び遊走能に深く関与し ていることを明らかにした。前立腺癌臨床検体においては悪性度(Gleason score)、pathological T stage 分類、リンパ節転移などと相関していた。

G3BP2は様々なシグナル伝達に関与しており、本研究並びにさらなる機能

解析により新たな治療標的や診断マーカーの発見などにつながる可能性が

期待される。

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【謝辞】

本研究の機会を与えてくださり、終始親身な御指導、ご鞭撻を賜りました

日本大学医学部泌尿器科学系泌尿器科学分野主任教授 高橋悟博士に謹ん

で感謝の意を表します。また 1 年半の間、特別研究学生として受け入れ本 研究を行うにあたり、環境を与えて頂き、親身な御指導、貴重な御助言を

賜りました東京大学大学院医学系研究科抗加齢医学講座特任教授 井上聡

博士、東京大学大学院医学系研究科抗加齢医学講座特任講師 浦野友彦博

士、東京大学医学部附属病院老年病科 髙山賢一博士、東京大学医学部附

属病院泌尿器科講師 藤村哲也博士、日本大学医学部泌尿器科学系泌尿器

科学分野助教 大日方大亮博士に心から感謝申し上げます。本研究にあた

り細胞培養を初め、各種解析の御指導、ご鞭撻を賜りました東京大学大学

院医学系研究科抗加齢医学講座皆様に深く感謝申し上げます。

本研究をまとめるにあたり、貴重な御助言を賜りました日本大学医学部泌

尿器科学系泌尿器科学分野研究所准教授 山口健哉博士には衷心よりの謝

意を、そして日本大学医学部泌尿器科学系泌尿器科学分野の皆様に深く感

謝申し上げます。

最後に、物心両面にわたり援助をいただいた両親に感謝いたします。

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【表・図・図説】

表 前立腺癌臨床病理検体を用いたG3BP2免疫組織染色 (n = 101) G3BP2 染色強度

Low (n = 83) High (n = 18) p-value Age 68.2 ± 5.5 68.0 ± 6.6 0.87 血清PSA値(ng/ml) 26.4 ± 34.8 27.6 ± 29.3 0.92 Gleason score

5 1 0 0.0003 6 37 3

7 25 2 8 12 7 9 7 2 10 1 4 Pathological T stage

2 37 8 0.01

3a 32 1

3b 13 7

4 1 2 Pathological N stage

N0 72 9 0.0011

N1 11 9

全細胞数のなかで陽性細胞数が何%存在し(score 0, 陽性細胞なし; score 1, <

1/100; score 2, 1/100 to 1/10; score 3, 1/10 to 1/3; score 4, 1/3 to 2/3; score5, >

2/3)、染色強度(score 0, 染色されず; score 1, 弱; score 2, 中; score 3, 強)と 合わせてIR score; 0-8までで評価した。IR score ≧ 7を強発現、IR score ≦ 6 を弱発現とした。

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図 11 前前 立立 腺腺 癌癌 診診 療療 アア ルル ゴゴ リリ ズズ ムム

「前立腺癌診療ガイドライン2012年版」より抜粋・改変

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図 22 前前 立立 腺腺 癌癌 細細 胞胞 内内 でで のの アア ンン ドド ロロ ゲゲ ンン 受受 容容 体体 のの 役役 割割

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図 33 ゲゲ ノノ ムム ワワ イイ ドド なな AARR 結結 合合 部部 位位 のの 検検 索索

上 図 は Prostate specific antigen (PSA) の Chromatin immunoprecipitation (ChIP) -sequence法の結果である。アンドロゲンを 付加することにより活性型ヒストンの修飾が認められ、エンハンサー・プ ロモーター領域に多くの ARの結合が認められる。同様にしてゲノムワイド にアンドロゲン応答配列を同定している。

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図 44 直直 接接 的的 なな AARR のの 制制 御御 をを 受受 けけ るる 遺遺 伝伝 子子 のの 同同 定定

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図 55 アア ンン ドド ロロ ゲゲ ンン 応応 答答 遺遺 伝伝 子子 GG33BBPP22 のの 同同 定定

( 上 段)UCSC genome browser(hg18) 上 で の G3BP2 の 位 置 。 ChIP-sequence 法により G3BP2 TSS 近傍にリガンド処理により AR の結 合の増加が認められ 1 つの ARBS が同定された。(下段)LNCaP 細胞に Vehicleもしくは DHT (10 nM )処理を行い AR抗体により ChIP assayを 行った。濃縮度はqRT-PCRにより定量化しinputに対する濃縮率を示した。

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図 66 GG33BBPP22 TTrraannssccrriippttiioonn SSttaarrtt SSiittee ((TTSSSS)) 近近 傍傍 AARRBBSS 内内 及

及 びび 周周 囲囲 のの mmoottiiff 検検 索索

G3BP2 TSS 下 流 645bp-1051bp に Androgen Receptor Binding Site (ARBS) を認め、内部に 1 つのAndrogen Response Element (ARE) を同 定。また、周囲に Oct1や HNF3(FOXA1)などの前立腺癌で知られる AR 関連転写因子群の結合予想配列が多く認められる。

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図 77 GG33BBPP22 pprroommootteerr,, mmuuttaattiioonn--LLuucc ccoonnssttrruucctt のの 作作 製製

(上段)ARBSを含むG3BP2 enhancer/promoter領域をinsertしたG3BP2 promoter-Lucを作製。さらに ARBS内に認められた 1つの ARE候補領域 に2 カ所の mutationを入れた G3BP2 mutation-Lucを作製した。(下段)

公共データベース(Transfac)で公表されている ARE consensus配列。

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図 88 GG33BBPP22 AARREE のの リリ ガガ ンン ドド 依依 存存 的的 なな 転転 写写 活活 性性 化化

LNCaP細胞に図7で作製したconstructをtransfectionしそれぞれVehicle 及び DHT (100 nM)処理し転写活性化を検討した。pGL3 vector-Luc は negative controlとして、PSA 及び mouse mammary tumor virus (MMTV) -Lucは positive control として使用した。

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図 99 GG33BBPP22 mmuuttaattiioonn--LLuucc のの 転転 写写 活活 性性 化化 能能 のの 消消 失失

図 8 と同様に LNCaP 細胞に図 7 で作製した G3BP2 promoter-Luc 及び G3BP2 mutation-Luc construct をそれぞれ transfection し Vehicle 及び DHT (100 nM)処理し転写活性化を検討した。pGL3 vector-Lucは negative controlとして使用した。

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図 1100 GG33BBPP22 AARREE のの 同同 定定

(左図)Vehicle 及びDHT (100 nM)処理 48時間の LNCaP細胞から核内 タンパク質の分離抽出を行い、それぞれARE, ARE mutation オリゴ核酸と 室温で15分間 incubation しGel shift assay を施行した。(右図)リガン

ド処理LNCaP細胞から抽出した核内タンパク質とオリゴ核酸に加え抗AR

抗体の濃度をそれぞれ 4, 10 (µg)及び incubation時間を 15, 30分間として 調整し施行した。

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図 1111 GG33BBPP22 mmRRNNAA レレ ベベ ルル でで のの リリ ガガ ンン ドド 応応 答答 性性 発発 現現 定定 量量 解解 析析

(左図)LNCaP細胞に Vehicle 及びDHT (100 nM)処理し、処理後各時間 での mRNA レベルの発現を qRT-PCR を用いて定量化した。Vehicle 処理 に対するリガンド処理での発現増加率で示した。(右図)Vehicle 処理及び DHT (100 nM)処 理 単 独 、 さ ら に DHT 処 理 に 抗 ア ン ド ロ ゲ ン 剤 Bicalutamide付加(それぞれ 1 µM, 5 µM)処理し 24時間後に定量解析を 施行した。

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図 1122 GG33BBPP22 タタ ンン パパ クク 質質 レレ ベベ ルル でで のの リリ ガガ ンン ドド 応応 答答 性性 発発 現現 解解 析析

(上図)LNCaP細胞に Vehicle 及びリガンド処理 0, 24, 48時間後にタンパ ク質を回収し whole cell lysates 30 (µg)で Western Blot 法による発現解析 を行った。(下図) LNCaP 細胞を用いて同様にしてリガンド処理し蛍光 免疫染色を施行した。G3BP2 特異抗体により反応させ蛍光に標識された 2 次抗体を用いて局在を示した。DAPIにより核染色を行った。

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図 1133 別別 のの AARR 陽陽 性性 前前 立立 腺腺 癌癌 細細 胞胞 株株 ((VVCCaaPP 細細 胞胞 )) でで のの G

G33BBPP22 アア ンン ドド ロロ ゲゲ ンン 応応 答答 性性 のの 検検 討討

細胞株を別の AR陽性前立腺癌細胞株 VCaP細胞にして図 9, 11, 12と同様 の条件にてアンドロゲン応答性を検討した。

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図 1144 GG33BBPP22 安安 定定 過過 剰剰 発発 現現 細細 胞胞 株株 ((SSttaabbllee 細細 胞胞 )) のの 作作 製製 G418 (500 µg/ml)にて selectionを行い、Flag付き G3BP2安定過剰発現細 胞株を2 株作製した。(上図)qRT-PCRにより mRNA レベルでの G3BP2 の発現を解析した。(下図)Western Blot 法によりタンパク質レベルでの

G3BP2の発現の解析を行った。

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図 1155 GG33BBPP22 安安 定定 過過 剰剰 発発 現現 細細 胞胞 株株 のの 細細 胞胞 増増 殖殖 能能 解解 析析

Cell proliferation assay(MTS assay)を用いて G3BP2 安定過剰発現細胞

及び Vector コントロール細胞の細胞増殖能を検討した。96 well にそれぞ

れの細胞株を 3×103 個ずつ散布した(N=4)。0, 24, 48, 72時間後にMTS

assayを行い、吸光度を測定した。

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図 1166 GG33BBPP22 安安 定定 過過 剰剰 発発 現現 細細 胞胞 株株 のの 遊遊 走走 能能 解解 析析

G3BP2 安定過剰発現細胞及び Vector コントロール細胞をそれぞれ 5×104 個ずつ24 well に散布し 24時間培養し Cell migration assayを用いて解析 した。メタノール固定後ギムザ染色しpore を通過した細胞数を蛍光顕微鏡 にてランダム 5 視野で評価し G3BP2 安定過剰発現細胞の遊走能を解析、

定量化した。

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図 1177 ssiiGG33BBPP22 にに よよ るる 発発 現現 抑抑 制制 効効 率率 のの 検検 討討

LNCaP細胞に対して各 siRNA (10 nM)になるように transfection施行し、

48時間後に RNA及びタンパク質を回収、qRT-PCR, Western Blot法によ り発現を解析した。

ドキュメント内 日本大学大学院医学研究科博士課程 (ページ 34-67)

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