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ChIP-chip 法及び ChIP-sequence 法による新規アンドロゲン応答遺伝子の同定 28

ドキュメント内 日本大学大学院医学研究科博士課程 (ページ 31-34)

本研究では ChIP-chip 法及び ChIP-sequence 法を用いてゲノムワイドに ARE を解析した結果を引用している。東京大学大学院医学系研究科抗加齢

医学講座の高山らはこれまでに ChIP-chip 法による AR 結合部位の解析結 果を報告している 26-26 。従来の ARE に関する多くの報告は各遺伝子の転 写開始点(TSS)近傍のプロモーター領域の配列を解析しレポーターアッセ イなどで同定するものであった39 。しかし、これらの方法では TSS近傍の AR結合部位のみの解析であり、ヒトゲノム全領域を解析したものではなか

った。今回 ChIP-chip法及びChIP-sequence 法によりヒトゲノム全領域を 解析しAR結合部位を同定することに成功している。利点として、標的遺伝 子のプロモーター領域に偏ることなく AR 結合部位を網羅的に同定するこ とが可能であることがあげられる。また、次世代シークエンサーを用いる

ことによって AR の結合が強い領域の配列をシークエンスし全ゲノム配列 上のどの位置に AR結合部位が存在しているか、またターゲット遺伝子のど の位置にARE が存在するかなどの詳細な情報が得られるようになった。本

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研究により G3BP2 TSS近傍(Intron 1)に1 つの AR結合部位を同定し、

これは新規の AR 結合部位であった。その部位に対する ChIP assay では AR の結合が濃縮して確認され精度の高い検出ができていることが見出さ

れた。同定した AR結合部位への ARの結合により直接的なアンドロゲンに よる転写制御を受け、アンドロゲン応答性にmRNA 及びタンパク質レベル での発現増加が認められ新規アンドロゲン応答遺伝子の発見へと至った。

今後ますますChIP-chip法及び ChIP-sequence法が核内受容体ならびに転 写因子の機能解析に応用されていくことが期待される。

Ⅱ G3BP2の分子機能

本研究により G3BP2 がアンドロゲンによる制御を受けていることを見出 した。G3BP family はG3BP1, G3BP2a, G3BP2b の 3つのアイソフォーム が知られているがそれぞれ Proline rich (PxxP) motifの splicingの程度に より大きく分類されている。G3BP2 は Ras GTPase activating protein (SH3 domain) binding protein2であり Ras GAP に SH3 domainを介して

結合することが知られている。また、G3BP2のC末端にはRNA Recognition Motifや RGG (arginine-glycine rich) boxなど RNAとの結合がよく知られ

ている domain や p53 との結合が報告されている domain なども認められ

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41-43 。このように G3BP2 は様々な domain を有しており癌との関連に

関してもいくつかの報告があり近年、癌関連遺伝子としても注目されてい

37, 44-45 。G3BP2はC末端のdomainを介して癌抑制遺伝子p53やMDM2

と直接結合し、p53のdegradation及びubiquitin化を阻害し、さらにMDM2

自身の ubiquitin 化も阻害していることが知られている。また、G3BP2 に

より p53 の細胞内局在は核内から細胞質へ変化し、その機能は抑制されて いる。さらに G3BP2 の発現を抑制することにより MDM2 は減少し、p53 はタンパク質レベルで増加を認め活性も上昇する 39 。このように多くの報

告ではG3BP2 は癌細胞で過剰発現しており、p53 と結合し抑制することで

癌細胞の増殖能を亢進させているものと考えられる。また、前立腺癌細胞

におけるドセタキセル感受性は機能的な p53 により決定されるとの報告も ある46 。さらに臨床検体における前立腺癌細胞の p53 遺伝子変異はゲノム レベルで約 40%との報告もあり前立腺癌の発生や悪性化などに深く関与し ているものと思われる 47

今回、p53 と直接的に結合しその活性の制御に関わる G3BP2が前立腺癌細 胞においてアンドロゲン応答性に発現増加することを初めて報告した。ア

ンドロゲンが G3BP2 を直接制御し前立腺癌の悪性化に関与している可能 性が示唆される。

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