第2章 今年度の活動
9 活動マネジメント 20
2.3.3 G 検定
一般社団法人日本ディープラーニング協会から、AI教育のヒントになる部分に ついて記載する。
URL:http://www.jdla.org/
※以下、点線枠はホームページを参考にしている。
ディープラーニング協会では、ディープラーニングを人工知能、機械学習とは 違う意味合いで考えているようであるが、いずれにしろ人材育成の重要性を第一 にあげており、その延長上に資格試験を運営している。
設立目的
本協会は、ディープラーニングを中心とする技術による日本の産業競争力の向上 を目指します。
そのため、ディープラーニングを事業の核とする企業および有識者が中心となっ て、産業活用促進、人材育成、公的機関や産業への提言、国際連携、社会との対 話 など、産業の健全な発展のために必要な活動を行っていきます。
ご挨拶(東京大学大学院工学系研究科 特任准教授 松尾 豊)
ディープラーニング協会は、ディープラーニングを事業の核とする企業が中心 となり、ディープラーニング技術を日本の産業競争力につなげていこうという意 図のもとに設立されたものです。
~(省略)~
そのために、まず重要なのは人材育成です。ディープラーニング技術を担う人 材、また、ディープラーニングの可能性と限界を正しく理解し、うまく事業に活 用する人材の両方が必要です。ディープラーニングは決して万能なわけではあり ません。得意なデータや不得意なデータがありますし、ディープラーニング以外 のさまざまな機械学習技術を使うほうが有効な場合も多くあります。人工知能、
機械学習、ディープラーニングに関する俯瞰的な理解をもった人材を、特に、デ ィープラーニングを活用したいと考えるユーザ企業のなかで増やすことが、産業 全体の進展にとって大変重要だと考えます。同時に、ディープラーニングを用い たシステムの開発をできる人材も大きく不足しています。さまざまな領域のエン ジニアや研究者、学生などに技術を習得してもらえればと思っています。
~(省略)~
第2章 今年度の活動
資格検定は、G検定(ジェネラリスト)とE資格(エンジニア)の2つがある。
GとEで「検定・資格」と言い方が違うが、G検定は「測る」、E資格は「認定 する」という意味合いだと思われる。G検定は2017に初回が終了しており、2018 が2回目、E資格は2018が初回と思われる。
各々年二回実施予定。日進月歩する技術であることから、検定・資格実施年毎 に実施年号を付与する。
・G検定 ディープラーニングの基礎知識を有し、適切な活用方針を決定して 事業応用する能力を持つ人材
・E資格 ディープラーニングの理論を理解し、適切な手法を選択して実装ス ル能力を持つ人材
JDLA Deep Learning for GENERAL 2018#1
概要: ディープラーニングを事業に活かすための知識を有しているかを 検定する
受験資格:なし
試験概要:120分(予定)、知識問題(多肢選択式)、オンライン実施(自宅 受験)
受験料: 12,960円(税込)程度
試験日: 2018年6月16日(土)13時~15時 申込期間:2018年5月(予定)
申込: 申込期間中「日本ディープラーニング協会 資格試験専用Webサイ ト」より受付(現在サイト準備中)
JDLA Deep Learning for ENGINEER 2018
概要: ディープラーニングを実装するエンジニアの技能を認定する 受験資格:JDLA認定プログラムを修了していること
試験概要:会場試験(初回は東京、大阪)、知識問題(多肢選択式)と実技試 験で構成
受験料: 32,400円(税込/予定)
試験日: 2018年8月(予定)
申込期間:2018年5月(予定)
JDLA認定プログラム
JDLA では、ディープラーニングの理論を理解し、適切な手法を選択して実装
第2章 今年度の活動
する能力を持つ人材を育成する講座を、JDLA 認定プログラムとして認定推奨し ます。 認定講座の受講を修了すると、E資格の受験が可能になります。
E資格は、JDLA認定プログラムと連動しており、JDLAに認定された教育プロ グラムを修了した方が受験可能となっている。2018年2月現在、ホームページ上 では、JDLA認定プログラム提供事業者は存在せず「現在募集中」となっている。
次にG検定、E資格の学習シラバスを掲載する。シラバス名に年が付随してい るのは、ディープラーニングが日進月歩であり、検定・資格名同様にシラバス内 容も年々変わっていく可能性があるからだと推測する。
JDLA Deep Learning for GENERAL 2017
人工知能(AI)とは(人工知能の定義)
人工知能をめぐる動向例題
- 探索・推論、知識表現、機械学習、深層学習
人工知能分野の問題例題
- トイプロブレム、フレーム問題、弱いAI、強いAI、身体性、シンボルグ ラウンディング問題、特徴量設計、チューリングテスト、シンギュラリ ティ
機械学習の具体的手法例題
- 代表的な手法、データの扱い、応用
ディープラーニングの概要例題
- ニューラルネットワークとディープラーニング、既存のニューラルネッ トワークにおける問題、ディープラーニングのアプローチ、CPU と GPU - ディープラーニングにおけるデータ量
ディープラーニングの手法例題
- 活性化関数、学習率の最適化、更なるテクニック、CNN、RNN - 深層強化学習、深層生成モデル
ディープラーニングの研究分野例題
- 画像認識、自然言語処理、音声処理、ロボティクス (強化学習)、マル チモーダル
ディープラーニングの応用に向けて
- 産業への応用、法律、倫理、現行の議論
第2章 今年度の活動
JDLA Deep Learning for ENGINEER 2017
応用数学 - 線形代数 - 確率・統計
機械学習
- 機械学習の基礎 - 実用的な方法論
深層学習
- 順伝播型ネットワーク - 深層モデルのための正則化 - 深層モデルのための最適化 - 畳み込みネットワーク
- 回帰結合型ニューラルネットワークと再帰的ネットワーク - 自己符号器
- 生成モデル - 強化学習
G検定、E資格は、シラバスを見る限り「ディープラーニング」に特化した資 格検定のようである。ビックデータ、IoTに関する知識や、ビジネス力に関する スキルは存在せず、狭義のAI教育と捉えることができる。
2018年2月現在、正会員はコンピュータGPUで有名なNVIDIAを含む13社、
有識者会員は大学教授など7名、賛助会員はTOYOTAを含む【GOLD】2社、
【SILVER】2社となっている。
第2章 今年度の活動
2.3.4 その他参考文献
今回の文科省委託事業で委員として参加して頂いているメタデータ株式会社の 野村氏がAI関する書籍を出版している。以降、「最強のAI活用術」から当事業 のAI教育に参考になる点を掲載する。(以下、参考部分は枠線)
人 工 知 能 が 変 え る 仕 事 の 未 来 日本経済新聞社
実践フェーズに突入 最強の AI 活用術 日経BP社
最強のAI活用術(以下、本書と記載)の「はじめに」で、企業がAIを「適切 に活用する」ポイントを述べており、当然のことながらAI導入が企業経営の目 的・理念と合致すべきであるとしている。
高いROI(投資対効果)が得られる
健全に生産性を向上できる
働く人たちがよりやりがいあふれる仕事にシフトし幸福に働ける
本書では、AIを3つの軸から分類している。当面は「強いAI」、「汎用AI」
は産業界におけるビジネス活用の範疇外と捉えている。
第1の軸: 「強いAI」ヒトの脳を目指す
「弱いAI」人を補佐し人間の能力を拡充する
第2の軸: 「専用」
「汎用」
第3の軸: 「大規模データ」に基づき扱う
「小規模データ」で動作する
第2章 今年度の活動
また、機械学習を4つのタイプに分けて、それぞれの良さを組み合わせながら ビジネスに適応して活用すべきとしている。
このように様々な機械学習の特質を踏まえ、人間が知恵を発揮し、データを収 集し、どのタイプの機械学習を利用するのかを考える。そのうえで深層学習をつ かうのであれば、深層学習の良さを引き出すべく試行錯誤を重ねることで、産業 界はAIを少しずつ実用的な道具として導入されていくでしょう。
第2章 今年度の活動
本書の「第2章 深層学習活用の基本的な流れ」では事例をもとに2つの指標 を基準にビジネスに活用する基本的な考えが掲載されており大変参考になる。
人工知能(AI)をビジネスに活用するには、ROIを意識しつつ2つの指標から 業務フローを捉え直す必要があり、ビジネスセンスが大変重要であると述べられ ている。
適合率: システムの指摘が正しい比率 再現率: 本当の正解を拾えた比率
またAIの導入は、業務フローを見直す良い機会と指摘しており、コンピュー タシステムが会社に普及したときも同じことが重要視されていた。この点、業務 フローは、ITIL(IT Infrastructure Library)v2を参考にすべきとしており、この ITILも次年度以降、委員会で検討すべき点である。
ITサービスマネジメント(ウィキペディアより)
IT サービスマネジメントとは、顧客のニーズに合致した適切な IT サービスを 提供するマネジメント活動全般のことである。その運用の維持管理ならびに継続 的改善を行っていくための仕組みをITサービスマネジメントシステムと呼ぶ。IT サービスマネジメントの略称はITSMで、ITサービスマネジメントシステムの略
称はITSMSである。
ITサービスを提供する企業には利用顧客のニーズだけでなく、自身の事業目標 の達成、事業活動に必要な法令の遵守など、複雑で様々な要件が求められる。こ