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第2章 今年度の活動

2.3 参考文献による調査

AI、機械学習、マシンラーニング、ビックデータ、IoTなどに関する書籍から、

人工知能(AI)教育に参考になる部分をピックアップする。調査する文献は、以 下とする。

• ITSS+(プラス) IPA独立行政法人情報処理推進機構

• AI白書 IPA独立行政法人情報処理推進機構

• G検定 一般社団法人日本ディープラーニング協会

• 最強のAI活用術 メタデータ代表取締役社長 野村 直之

※ この章では、参考文献から引用する文章は枠線で囲むこととする。

2.3.1 ITSS+(プラス)、データサイエンティスト協会

(1) ITSSとは

参考 IPA情報処理推進機構ホームページ URL:https://www.ipa.go.jp/jinzai/itss/itssplus.html

ITSSの具体的な活用例を端的に説明する。

 ITサービス企業(情報システム部門を持つ一般企業を含む)

企業戦略に沿った戦略的な人材育成・調達を行う際の指標

 各種教育・研修サービス提供機関(高等教育機関を含む)

教育・訓練プログラム(スキルの向上)を提示する際の指標

 プロフェッショナル個人

自らのキャリアパス、キャリアチェンジを判断する指標

 行政

IT人材育成支援策を展開する指標、政府調達の人材能力を判断する指標 ITスキル標準(以下単に「スキル標準」という)は、各種IT関連サービス の提供に必要とされる能力を明確化・体系化した指標であり、産学におけるIT サービス・プロフェッショナルの教育・訓練等に有用な「ものさし」(共通枠 組)を提供しようとするものです。

スキル標準は、これらのプロフェッショナルの成長・育成に関連する様々な 主体が、有機的な連携を図る上で必要な辞書的な機能を持つことを目指すもの です。

第2章 今年度の活動

(2) ITSS+プラスとは

ITSSは、IT業界で必要とされるスキル指標をまとめたもので、10数年前から IPA主導で構築されてきたものである。ITSS+は、第4次産業革命に対応し従来 のITSSにはない新スキル「セキュリティ」、「データサイエンス」を先行的に 取り入れたものである。

第4次産業革命に対応した新スキル標準の検討にあたり、専門分野の更なる 具体化が求められる「セキュリティ領域」、足元で特に必要性が高まっている ものの現状のITスキル標準(ITSS)には十分に含まれていない「データサイ エンス領域」について、新スキル標準の策定に先行し“ITSS+”(プラス)と して過渡的に取りまとめを行い、公開することとしました。

ITSS+は、主に従来ITSSが対象としている情報サービスの提供やユーザ企業

のIS部門に関わっている既存の人材が「セキュリティ領域」や「データサイ エンス領域」のそれぞれに向けたスキル強化を図るための“学び直し”の指針 として活用されることを想定しています。(そのため、ITSSに統合するもの ではありません。「セキュリティ領域」「データサイエンス領域」それぞれ固 有の整理を行っており、ITSSの構成とは異なっています。)

 スキルカテゴリ

今回のITSS+はスキル強化の学び直しに限定する観点と、データサイエンス

領域では一人がフルセットのスキルを持つことが現実的ではなく、分析プロジ ェクトの特徴に応じて必要なスキルセットが異なるという観点から、実務を区 分した”専門分野”ではなく、”スキルカテゴリ”(ビジネス、データサイエ ンス、データエンジニアリング)を定義しています。

スキルカテゴリは、一般社団法人データサイエンティスト協会が公開する”

第2章 今年度の活動

「データサイエンス領域では作業を分担することが現実的であり、その一つが ビジネスである」点について、今回の委託事業にて参考になると思われる。「見 習いレベル3」以上から設定されており、ITSSのレベル3と同程度とすると専門 学校生にはやや高度な領域となる可能性もある。

スキルカテゴリ 説明

ビジネス 課題背景を理解した上で、ビジネス課題を整理し、解決する。

データサイエンス 情報処理、人工知能、統計学などの情報科学系の知恵を理解し、活 用する。

データエンジニアリング データサイエンスを意味のある形に使えるようにし、実装、運用す る。

 レベル

学び直しに用いる観点としては、レベル5が現実的な上限になると想定して います。レベル6、7には、大量データを前提とした非構造化データや特定ド メイン等の分野において、高度な新規性や高難度な課題に対応する突出した専 門分野の設定が想定されます。

スキルチェックリストのレベル (データサイエンティスト協会)

レベル7

業界を代表するレベル レベル6

レベル5 棟梁レベル

レベル4 独り立ちレベル

レベル3 見習いレベル

第2章 今年度の活動

(3) データサイエンティスト:タスクとスキルレベル

 「データサイエンス」 タスク(中分類)構造図

タスクは、中分類、小分類と分けられており、それぞれタスク詳細が定義さ れている。以下に、一例を示す。

大 分 類

中 分 類

小 分 類

No 内容

データサイエンス

分析プロジェクトの立ち上げと組み込み後の業務設計 前提条件の明確化

1 分析プロジェクト(データサイエンスを活用し、課題解 決を行う一連の取組)のステークホルダーを明らかにす る

2 分析プロジェクトの背景や問題意識を踏まえて目的と ゴールを明らかにし、ステークホルダー間で共有する 目標の明確化

第2章 今年度の活動

(4) スキルチェックリスト

ITSS+では、スキルの具体的な参照と評価は、一般社団法人データサイエンテ ィスト協会が公開するスキルチェックリストを活用するとしている。一般社団法 人データサイエンティスト協会のホームページ(http://www.datascientist.or.jp/)よ り、参考文献を調査する。

2017年10月25日プレスリリースにて「スキルチェックリスト ver.2」を公開 している。今回の改定のポイント、および、ITSSとの関係を明記している。

 プレスリリース

https://www.datascientist.or.jp/common/docs/skillcheck.pdf

https://www.datascientist.or.jp/common/docs/PR_skillcheck_ver2.00.pdf

改定のポイントは大きく以下の通りです。

• 機械学習、深層学習時代に対応した項目の見直し・追加

• 「画像・動画処理」「音声/音楽処理」のカテゴリ・項目見直し(データサ イエンス領域)

• 「知財」カテゴリをビジネス領域に追加

• 「データの理解・検証」「分析プロセス」をビジネス領域からデータサイ エンス領域に移動

• 各スキルレベルでの必須スキル項目を全面的に見直し、増加(全項目の約 1/4 を指定)

• 各領域内のカテゴリと項目の見直しを行い、項目数も 422 項目から 457 項目に増加

• 以上をふまえ、データサイエンティストのスキルレベルを総合的に説明し た内容を見直し

また、本年 4 月には大量データを分析し、その分析結果を活用するための 一連のデータサイエン ティスト業務を整理した「データサイエンス領域 タス クリスト」の第 1 版を、独立行政法人情報処理 推進機構(IPA)が定める「ITSS+

(プラス)」として公開したことを、あわせてお知らせいたします。 本タス クリストは、各スキル要件がどのようなプロセスに必要とされるかを整理し た、横断的な 内容で、IT スキル標準(ITSS)の新領域「データサイエンス領 域」にて採用された「スキルチェック リスト」を補完するものとなっていま す。

第2章 今年度の活動

AIの進展により、機械学習・深層学習や画像・動画処理、音声/音楽処理、知 財などのスキルに対応したものと思われる。

前出の通りスキルカテゴリは、「分析プロジェクトの特徴に応じて必要なスキ ルセットが異なるという観点から、実務を区分した”専門分野”ではなく、”ス キルカテゴリ”(ビジネス、データサイエンス、データエンジニアリング)を定 義」している。

今回のプレスリリースに、3つのスキルカテゴリのレベル感について詳細が記 載されているので掲載する。

---[以下、部分的にプレスリリースから引用しながら記載する]---

 ビジネス力 business problem solving

【Senior Data Scientist】 業界代表レベル

• 業界を代表するデータプロフェッショナルとして、組織全体や市場全体レベ

第2章 今年度の活動

- 対象とする事業全体、産業領域における課題の切り分け、論点の明確 化・構造化

- 新たなデータ分析、解析、利活用領域の開拓

- 組織・会社・産業を横断したデータコンソーシアムの構築、推進 - 事業や産業全体に対するデータ分析を核としたバリューチェーン創出

など

【Full Data Scientist】 棟梁レベル

• 生み出す価値にコミットするプロフェッショナルとして、データサイエンテ ィストとは何かを体現したビジネス判断、課題解決ができる

• 初見の事業領域に向かい合う場合や、スコープが複数の事業にまたがる場合 であっても本質的な課題を見出し、構造化・深掘りができる

• 解決に必要な結果を総合した上で、 説得力ある形で共有し、関連する組織、

人を動かし、知見の横展開、組織を超えるつなぎ込みができる

• プロフェッショナルからなる複数のチームによるプロジェクトの役割、目標 を定義、推進し、全体としてのアウトプットにコミットできると共に、メン バーを育成、さらには持続的な育成システムを作り出すことができる

【Associate Data Scientist】 独り立ちレベル

• 大半のケースで自立したプロフェッショナルとして、ビジネス判断、課題解 決ができる

- ビジネス要件の整理、プロジェクトの企画・提案 - 知財リスクの確認などの適切な対応

• 既知の領域、テーマであれば、新規課題であっても解くべき問題の見極めや 構造化、深掘りができる

• データ、分析結果に対する表面的な意味合いを超えた洞察力を持ち、担当プ ロジェクトの検討結果を取りまとめ、現場への説明、実装を自律的かつ論理 的に行うことができる

• 5名前後のプロフェッショナルによるチームでのプロジェクトを推進しア ウトプットにコミットできる

- タスクの粘り強い完遂

- イシュードリブンでスピード感のある判断

- プロジェクトマネジメントと個別メンバーの育成

- 異なるスキル分野の専門家、事業者との協働 など

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